BEVであることはスバルが求める安全性に効果をもたらす
「パフォーマンスE STIコンセプトは、こう見えてヒトを置くことから考えて設計をはじめています。4人が座った状態であるべき位置にハンドルとアクセルペダルが来るようにレイアウトし、それからバッテリーやeアクスルを置いてクルマを組み上げているんです。それは0次安全の基本の基ですから当然このクルマでも生きています」
「視界が良く、目から正しい情報が入ってくるからこそ、走りのパフォーマンスを楽しめるのであって、パッケージが上手く出来上がっていないクルマだと運転に集中できません。その点、BEVだと設計がしやすくなります。システムがコンパクトにできることはもちろんですが、サスペンションの自由度も広がります。ボンネットフードの高さも従来のエンジン車に比べて5%程度下げることができ、より視界を確保することが可能になります。なので、技術的にもBEVは面白いですし、可能性を感じているところです」
エクステリアは、スバルのSTIモデルらしく大胆なエアロが目を惹く。ボンネット上のエアインテークはエンジン車ではないため存在しないが、代わりに巨大なエアアウトレット、つまりは空気の吸出し口がレイアウトされている。これは熱気を抜くためのものではなく、ボンネット内に溜まる空気をフロントウィンドウ方向に吸い出して這わせることで、空気による走行抵抗を低減するためのものだという。これもBEV時代のパフォーマンスモデルを特徴づけるものに今後なっていくことだろう。
最後にパフォーマンスE STIコンセプトで表現された要素や、技術を採り入れたBEVモデルはいつ頃世に送り出されるのか質問をしてみた。
「パフォーマンスE STIコンセプトは、決して夢物語みたいなものではありません。このコンセプトを活かした研究車両というのはすでに(社内で)走り始めていますから、なるべく早く皆様のもとにお届けできたらなと思っております」
取材中、BEVであってもスバルを特徴づけるこれまで培ってきた技術は継承し、個性を際立たせていくのだということを、熱心かつ丁寧に筆者へ説明してくれたのが非常に印象的だった。水平対向エンジンがバッテリーEVになろうとも、スバルはスバルらしく続いていく。それを伝えるのがこのパフォーマンスE STIコンセプトだ。



























































