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空飛ぶ絨毯のような加速フィールに驚く[ソルテラ試乗記:その1]


TEXT:田中 誠司 PHOTO:交通タイムス社
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「スバル・ソルテラ」は「トヨタbZ4X」の兄弟モデルである。後者と違いサブスクリプションモデルを利用せず普通に購入できたり、リアシートヒーターがなぜかこちらだけ標準装備だったりはするものの、基本的にはbZ4Xと同一のモデルである。すでに生方 聡さんのbZ4Xの記事が掲載されているので、普段はまだICE(内燃機関)モデルを愛用している筆者なりの見解についてここでは書き記していきたい。

上品なインテリア、無骨なエクステリア

広報車両を受け取ったのは恵比寿のスバル本社ビル地下でのことだった。地下深くから螺旋状の細いスロープを登るにあたり、幅が結構広くて大きな車だという印象を受けた。Aピラーが前方に配置されていてかなり視界から遠いために、距離感が測りにくいのだと思う。コンパクトカーに乗り慣れた人だと戸惑うかもしれない。

インテリアにはダッシュボードの一部にファブリックをあしらっていたり、ダッシュボード中央の大ぶりなモニターがオーソドックスにスクエアな形状だったりする。それ自体は問題ないのだが、特別に高級感を感じさせるわけではないことから、約700万円のクルマとしては平凡すぎるという評価を受けるケースもある。

表面的なデザインの印象や、前述した取り回しの問題はさておき、横幅方向には非常にゆとりがある。運転席と助手席が完全に隔てられているので、パートナーとの関係がうまく保てるのだろうか、と要らぬ心配もしてしまうけれども。

そのようにどちらかというと上品さを強調したインテリアと異なり、エクステリア・デザインはがっしりした印象だ。フェンダーに使った樹脂パネルが多少傷ついても構いやしないといった、ラギッドな印象を与える。Aピラーの下やリアドアのあたりに深いキャラクターラインがあって、その仕上げも高品質だ。素直にカッコいいと言われるデザインであるだろう。

静かで十分に速いパワートレイン

電動パワーユニットから発せられるサウンドは、どんな速度から踏んでいったとしても、昨今の電気自動車の中でもとりわけ穏やかであるように思う。トヨタとスバルの共同開発であるソルテラにおいて、パワートレインはハイブリッド車の分野で実績のあるトヨタが主に担ったと聞いているが、「モーターはとにかく静かであることこそが、ICEと差別化できるセリングポイントなのだ」と、両社は現時点における経験上信じているのではないだろうか。

そのように静かなパワーユニットによって、滑り出しの加速は空飛ぶ絨毯のように軽い。車重とパワーユニットの最高出力から期待されるよりずっと逞しく加速する。ちょっと信号で出遅れたかなと思って深く右足を踏み込めば、優に隣のクルマを追い越してしまい、市街地における制限速度をうっかり超えそうになってしまうほどだ。この常用域におけるスピード感の希薄さはこれでいいのかな、と少し疑問にさえ思う。

加速に伴うノイズがきわめて少ない車内には、大径のタイヤ&ホイールが跳ねる音がたまに聞こえてくることもあるが、日本車ならではの組付け品質の高さもあり基本的にはとても静かで、ハーマンカードンの秀逸なオーディオ・システムに集中して耳を傾けることができる。

市街地における乗り心地については、硬めに作ったほうがいろいろな意味で安全と捉えたのか、基本的にボディの剛性感は高いものの、4輪に入力があるたびにボディがそっくり正直に揺すられる感覚はある。約700万円のクルマであれば、もう少し鷹揚に動いてくれたほうが高級車らしい雰囲気を感じやすい。フードが備わらないメーターは、不思議だけれど昼間でも夜でも一切見にくいとは思わせなかった。

スバル・ソルテラ ET-HS
全長:4,690mm
全幅:1,860mm
全高:1,650mm
ホイールベース:2,850mm
車両重量:1,930kg
前後重量配分:前1,110kg、後940kg
乗車定員:5名
交流電力量消費率:148Wh/km(WLTCモード)
一充電走行距離:487km
最高出力:160kW(218ps)
最大トルク:338Nm(34.5kgm)
バッテリー総電力量:71.40kWh
モーター数:前1基、後1基
トランスミッション:1速固定
駆動方式:AWD
フロントサスペンション:マクファーソン・ストラット式
リアサスペンション:ダブルウィッシュボーン式
フロントブレーキ:ベンチレーテッドディスク
リアブレーキ:ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:235/50R20
最小回転半径:5.6m
荷室容量:441L
車体本体価格:6,820,000円

 

 

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