コラム
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EVのバッテリーに高電圧化の流れ! そんなクルマの中身の話……と思ったらユーザーにもメリットのある話だった


TEXT:大内明彦 PHOTO:トヨタ自動車/TET編集部/写真AC
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EVはなぜ高電圧なのか

日常的に使う言葉のなかに「電力」という単語がある。では、その意味は? 答えは読んで字のごとし、電気の力だ。電気の力とは、電気が行う仕事量のことで、この電力を電気的な表記に置き換えると「W(ワット)」となる。

この電力(W)は、電流「A(アンペア)」と電圧「V(ボルト)」の数値によって決まってくる。つまり、W(電力)=A(電流)×V(電圧)ということになる。電気によって得られる仕事量は、電圧、電流が高くなるほど大きくなるということだ。

テスターのイメージ

さて、それでは視点をEVに移してみよう。

EVは、搭載するバッテリーからモーターに電気を供給することで走ることができる。そして、その動力性能(モーターの仕事量=電力)は、電圧と電流によって決まってくる。電圧が高くなるほど、電流が大きくなるほど、その仕事量は増える(性能が上がる)ことになる。逆のいい方をすれば、EVの動力性能を引き上げようとするなら、より高い電圧、より大きな電流の電気をモーターに伝えればよいわけで、このバッテリー電圧、電流がEVの基本性能を決める土台となっている。

トヨタ bZ4Xの構造

次に、現在使われるEVのバッテリーだが、そのほとんどがリチウムイオンタイプが採用されている。では、動力用リチウムイオン電池はどういった構造になっているのか。基本的には、細かなセル(個体)の集合体として作られている。ひとつの例だが、3.7ボルトの電圧をもつセルを96個直列に接続。これで355.2ボルトの電圧が得られ、電流量を確保するため2個並列に接続。セル数の合計は192個となり、この仕様でEVの動力用バッテリーが形成されている。

実際には、現状EV用として使われているバッテリーは400ボルト仕様(バスやトラックは600ボルト仕様)が中心なのだが、これを一気に倍の800ボルト仕様に引き上げようという動きが見られている。3.1〜4.2ボルトのセルを198個組み合わせると613.8〜831.6ボルトとなる。こうした構成によるバッテリーだ。

バッテリーの内部構造

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