Contents
海外勢で成功してるのはテスラのみ
次に注目していきたいのがテスラの存在です。8月はおおよそ983台を達成し、前年同月比2倍以上という大幅成長を実現しています。
やはりこれは、4月から始まった新型モデルYの納車スタート、さらに新車などに対するゼロ金利キャンペーン、さらに高崎や名古屋則武、沖縄、東京錦糸町などをはじめとする、新規オフラインストア開業による、日本人とテスラの物理的接点が大幅に増えていることなどが追い風になっていることが考えられます。
※テスラ独自の急速充電ネットワーク「スーパーチャージャー」は、8月末時点で累計136カ所が稼働中。8月中は成田空港と山口に新設。
次にトヨタのEV販売動向について。8月の販売台数はたった16台に留まりました。これが、bZ4Xとソルテラ、およびRZも含めて行われるモデルチェンジに伴う一時的な需要減少が主な要因でしょう。一部報道でもあるとおり、モデルチェンジ後の新型bZ4Xは50kWh級のバッテリーが搭載されたエントリーグレードが追加されることで、エントリー価格が現時点の550万円からさらに引き下がる見通しです。
とくに400万円台を実現し、その上でCEV補助金90万円を適用できると、実質300万円台で購入できる可能性があります。これは新型リーフと同等レベルの値段設定となる勢いであり、その場合、新型bZ4Xの販売台数がどこまで伸びるのかは気になります。
さらに中国BYDについては、8月で239台を販売することに成功したものの、前年同月比-19.8%とマイナス成長に留まりました。そこでBYDは9月中に車両登録を完了すると、最大117万円のBYD補助金を適用できるという販売プロモーションを実施中です。はたしてBYD補助金によって、9月単体でどれだけ販売台数を増やすことができるのか注目です。また年末以降に投入予定のPHEVモデル、2026年後半に投入予定の軽EVなどの新型モデルの動向にも目が離せません。
またヒョンデについては8月単体で75台と、前年比で増加はしているものの、このうち61台は新型モデルのインスターでした。なので、IONIQ5とコナはたったの14台しか売れていないという厳しい状況とも見て取れます。とくにIONIQ5は2025年初頭にモデルチェンジしていることを踏まえると、不発に終わっているといわざるを得ません。
最後に注目するべきはホンダの商用軽EVであるN-VAN e:の存在です。8月の販売台数は不明ながら、7月はじつに500台越えを達成しました。ただ、他方で7月のガソリン車も含めたN-VAN全体に占めるN-VAN e:のシェア率は20%前半と、EVバージョンのシェアが伸びていない様子も見て取れます。N-ONEe:がN-ONE全体のどれほどのシェアを獲得できるのかには注目でしょう。
いずれにしても、日本国内の最新EVシフト動向はEVシフト停滞の底にあるものの、新型リーフ、N-ONE e:、スズキe VITARAという日本メーカーの新型EVを中心として、さらに好調のテスラ、値下げ余力を有するBYD、およびEVのライアップが多い輸入車メーカー勢の存在によって、2025年末にかけて、EVシフト低迷からどこまで浮上することができるのかに期待していきたいと思います。