#販売台数
TEXT:高橋 優
EVがますます加速する中国市場! ただし「人気車」はかなりの変化アリ

順調にNEV車が伸びている中国市場 中国市場における最新の2025年8月のEV販売動向の詳細が判明しました。EV先進国中国のEVシフトの現状を、人気車種の売れ行きや注目の新型EVの展望を含めて解説します。 まず、中国市場における8月のBEVとPHEVの合計を示した新エネルギー車の販売台数は110.1万台と、前年同月比+7.5%の販売増加を記録しました。また、新車販売全体に占める新エネルギー車の販売比率は55.14%と史上最高のシェア率を更新しました。すでに過半数が新エネルギー車に置きかわっている状況です。 次に、その新エネルギー車のなかでもBEVとPHEV、EREVそれぞれの販売割合を確認しましょう。2022年8月時点での新エネルギー車全体に占めるBEVのシェア率は75%と、BEVが圧倒的なシェア率を示していたものの、直近の2025年8月単体では62.36%とBEVシェア率が減少している状況です。とはいえ、2024年8月の57.23%と比較すると、むしろNEV全体に占めるBEVの割合は増加傾向にあります。 8月単体のPHEVとEREVの販売台数は41.4万台だったものの、これは前年比でマイナス成長です。このPHEV販売の減速というトレンドは、ごく短期的な中国市場の動向を見極める上で重要な視点でしょう。 さらに、BEVに絞った販売シェア率は34.39%と、史上最高のシェア率を更新しました。いずれにしても中国市場はEVシフト減速と無縁の世界線である様子が見て取れます。 それでは人気車種動向を確認しましょう。 はじめに、8月単体の内燃機関車も含めたすべての販売ランキングトップ30では、新エネルギー車が15車種ランクイン。トップ10に絞ると7車種が新エネルギー車です。 新エネルギー車に絞った販売ランキングトップ30で注目するべきは、海外メーカー勢がテスラ・モデルYとモデル3しかランクインできていないという点です。新エネルギー車といえば中国製であると広く認知されてしまっているのです。 また、BYDが13車種を席巻しており、圧倒的な存在感を感じさせます。さらに、ファーウェイのAITO M8が9位にランクインしており、日本円で800万円級にも及ぶファーウェイの高級EVが非常に人気となっている様子も見てとれます。 そして、BEVに絞った販売ランキングトップ30での注目は、発売開始から半年程度しか経っていない最新BEVが続々とランクインしている点でしょう。 第30位:Xpeng G7 第29位:Leapmotor B10 第22位:BYD Fang Cheng Bao Tai 3 第20位:BYD Seal 06 EV 第17位:BYD Sealion 05 EV 第16位:Leapmotor B01 第9位:シャオミYU7 第8位:BYD Sealion 06 EV このように、旧モデルを最新モデルが追い抜いて新陳代謝を促しているという点こそ、中国市場の競争の激しさを物語っていると思います。 第25位:トヨタbZ3X 第18位:日産N7 という日本メーカーの健闘にも注目です。とくにN7は1万148台と絶好調です。

TAG: #セールス #中国市場 #販売台数
TEXT:高橋 優
テスラ以外は低迷気味の日本のEV市場! 国産勢はリーフ・eビターラ・N-ONE e: らの新型モデルで浮上なるか?

日本ではEVシフトが下降気味 日本国内における最直近の8月のEV販売動向が判明しました。とくにテスラのEV販売台数が大幅増加する一方、日本メーカー勢は深刻なEV販売低迷が続いています。2025年末以降の日本国内EVシフトの展望を含めて解説します。 まずこのグラフは、2018年以降のBEVとPHEVの月間販売台数を示したものです。2025年8月の販売台数は約6500台弱と、前年同月比でマイナス成長に留まりました。ただしこの直近月は商用軽EVである日産クリッパーEVとホンダN-Van e:の販売台数は含まれていないため、この2車種を含めると、概ね前年と同等水準のEV普及台数に留まる見通しです。 とはいえ、今回着目するべきは全体需要という観点です。じつはこの8月は自動車販売全体が大きく沈んでしまった月であり、とくに乗用車セグメントは前年比-11.4%という落ち込みです。軽自動車セグメントも前年比-4.3%と同様に下落。それを含めると、8月は前年と同等のEV販売台数を達成見込みであり、全体としてはEVシフトがわずかに進んだと見ることもできそうです。ちなみに普通車セグメントに限ると、トヨタは前年比-13.9%、ホンダも前年比-12.9%、日産は前年比-28.4%と壊滅的な販売台数減少です。 次に、新車販売全体に占めるBEVとPHEVの販売台数の合計比率について、直近の8月は速報値で2.36%と、前年同月に記録した2.49%と比較してシェア率は横ばいとなりました。確定バージョンであれば前年比はわずかにプラス成長となる見込みであり、やはり2024年のEV減速のトレンドが底を打ち始めている様子が見て取れます。 さらにBEV単体の販売動向を詳細に確認しましょう。普通車セグメントの日本メーカーと輸入車メーカー、さらに軽自動車セグメントにわけてみると、輸入EVは2356台と、前年同月比+23.4%と販売増加を記録している一方で、日本メーカーの普通車セグメントのBEV販売台数はたったの293台と、前年同月比-62.1%という壊滅的な状況です。この293台という数値は2代目リーフのモデルチェンジ直前の2017年9月以来の少なさと同等。まさに、日本国内で日本メーカーの普通車セグメントのEVが、まるで売れていない様子が見て取れます。 また、年間ベースにおけるBEVとPHEV販売台数、およびそれぞれのシェア率の変遷を確認すると、データが確定した2025年7カ月間でのBEVシェア率は1.49%と、2023年以降のBEVシェア率後退トレンドに歯止めがかかっていません。下半期に挽回して、2025年シーズン通しで前年越えを達成できるのかが注目ポイントでしょう。 それでは、日本国内でどのようなEVが人気であるのかを確認しましょう。まず初めに、2025年累計での主要自動車メーカー別のBEV販売台数の変遷を見てみると、やはり日産が頭ひとつ抜けた存在感を見せています。また2位にはテスラがつけています。 日産は2025年8カ月間で1.44万台強を発売したものの、2025年シーズンは2月から7カ月連続で前年比マイナスです。新型リーフの納車は2026年初冬が濃厚で、2025年のEV反転攻勢にはあまり期待できない状況です。いずれにしても、新型リーフが日本国内でどれほどの値段設定で発売されるのかは、2026年の日本のEVシフトを占う上で最重要動向のひとつといえるでしょう。

TAG: #市場 #新車 #販売台数
TEXT:琴條孝詩
日本は3年連続「日産サクラ」がトップ! じゃあ中国・欧州・アメリカで一番売れてるEVってなにか調べてみた

世界中で人気なEVは? 日産サクラが2024年度、3年連続で国内BEV販売台数No.1を獲得した。年間販売は2万832台に達し、2024年度の国内BEV販売全体の約4割を占めている。軽自動車ならではの取りまわしのよさとBEVの静かでスムースな加速、そして手ごろな価格設定が多くのユーザーから支持されている。また、航続可能距離も長距離旅行に適したものではないが、通勤や通学、近場での買い物用などの日常使いには便利だ。 では、世界最大のBEV市場である中国や、BEVシフトに積極的な欧州、そして巨大な自動車市場をもつ北米では、一体どのようなBEVが人気を博しているのだろうか。各地域の最新動向を詳しく見ていこう。 <中国で人気のBEVはBYDとテスラが競合> 中国では、2024年にBEVの販売台数が約772万台を記録しており、世界最大のBEV市場として圧倒的な存在感を示している。2025年上半期においてもその成長は著しく、とくにBYDとテスラが目立つ。最新の販売台数ランキングでは、テスラ「モデルY」、Geely「星願(Geome Xingyuan)」、BYD「シーガル(海鴎)」、上汽通用五菱「宏光MINI EV」、シャオミ「SU7」などが上位を占めている。 モデルYは都市部の中堅層を中心に安定した人気を維持し、BYDが展開する低価格・高効率な小型BEV群が幅広い顧客層に支持されている。とくにBYD「シーガル」は、低価格で若者や初めてEVを購入する層に「最初の一台」として選ばれやすい。中国市場の特徴としては、BEV専業メーカーや新興ブランドが短期間で新車投入を繰り返すダイナミズムがあり、ユーザーの期待や関心がすぐに変化する点だ。政府主導の普及政策や都市部を中心とした充電インフラ整備もBEV成長の後押しとなっている。 中国市場で注目すべきは、2020年に上汽通用五菱汽車が約50万円という驚きの車両価格で販売した「宏光MINI EV」が大ヒットしたことに始まる低価格BEV戦略である。現在ではBYD「シーガル」が全長4m前後のボディサイズの4人乗りハッチバックとして支持されており、手頃な価格でありながら実用性の高いコンパクトBEVが市場を牽引している。 さらに、スマートフォンメーカーでもあるシャオミが2024年3月に初のBEV「SU7」を発売し、発売直後の予約は24時間で約8.9万台に達した。2024年には約13万5000台を販売し、テスラ「モデル3」並みの高性能をもちながら、より割安な価格設定が特徴として注目されている。

TAG: #EV #新車 #販売台数
TEXT:高橋 優
世界のBEV覇権争いの主役はテスラからBYDに! テスラはロボタクシーで巻き返しなるか?

テスラの販売台数は13.5%減 テスラとBYDの2025年第2四半期の販売台数が判明しました。テスラが大幅に販売台数を落としたことで、2025年の年間EV王者がBYDとなる可能性が確定的となりました。上半期における両社の現状と見通しを比較します。 まず取り上げていきたいのがテスラの最新販売動向です。テスラは2024年シーズンに178.9万台と、2023年比でマイナス成長に留まってしまっていたという背景が存在します。その上で、2025年Q2におけるグローバル全体の納車台数は38万4122台と、2024年Q2と比較して-13.5%と販売減少を記録しました。車種別の販売台数について、モデル3とモデルYの販売台数の合計は37万3728台と、2年連続で販売台数が低下しています。とくにQ2は新型モデルYの販売のピークを迎えていたものの、それでも販売減少に歯止めがかからなかった格好です。 さらに懸念するべきは、モデルS、モデルX、そしてサイバートラックの販売台数の合計でしょう。Q2単体で1万394台と、前年同四半期比で-51.8%と半減してしまっています。とくに懸念視するべきはサイバートラックです。現時点では販売台数の内訳は公開されていないものの、多く見積もったとしてもサイバートラックは5000台程度だったと推測可能です。すると、サイバートラックの年間販売台数は2万台規模と概算可能です。そして、現状のサイバートラックの生産能力は12.5万台以上であることから、生産ラインの稼働率は16%程度と低迷していると推測できます。まったく同様にモデルSとモデルXのフリーモント工場の生産ラインの稼働率も約20%と推測可能であり、収益性の圧迫要因といえそうです。この収益性については7月23日の決算発表に注視する必要があります。 いずれにしても、テスラが年初に掲げていた20〜30%の販売台数増加目標の達成は絶望的になったといえます。とはいえ、すでに商業運行をスタートしているロボタクシー事業には期待がもてます。現在はテキサス中心部の一部区画でのみ展開しているものの、今後どれほどのスピード感で展開が加速していくのか。この1、2年では目立った収益への貢献は期待できないものの、中長期的なテスラの新たな収益モデルとして期待せずにはいられません。

TAG: #2025年 #販売台数
TEXT:TET 編集部
日産が不況にあえいでいるのがまるで嘘のようなほど絶好調! 2024年に日本一売れたEVは3年連続で日産サクラだった

発売3年目の2024年でも2万台超えの人気ぶり 日産自動車は、軽自動車EV「サクラ」がすべての電気自動車(EV)を対象とした2024年度の国内販売台数トップを獲得したと発表。これにより、発売初年度の2022年度から3年連続のトップ獲得となった。 日本の自動車市場の常識を変えるゲームチェンジャー として、2022年度に日産が発売した「サクラ」は、新たなクルマの選択肢として選ばれ続けている。その結果、国内累計EV販売台数においても、約4割をサクラが占めるまでに至り、2024年度も年間2万832台を売り上げ好調を維持している。 軽自動車のEV「日産サクラ」は、洗練されたデザインに加え、小まわりの利く軽自動車ならではの特性や、EVの特長である静かでスムーズな加速を実現。それまでのEVとは異なり、手の届きやすい車両価格設定やランニングコストを抑えた経済性、運転支援機能の充実などが顧客から支持されている要因だと日産は分析している。 また、個人客のみならず、SDGsの実現に向けた取り組みとして、自治体や法人が導入する例が多いそうで、日産が掲げる「持続可能な社会の実現に向けて、競争力のあるEVを提供する」という目標を見事に体現している。それらの利用シーンは営業車や商品配送に留まらず、空港内での荷物輸送の牽引車などにも用いられ、環境負荷の高い事業用車両のEV転換を大きく後押ししている。 なお、サクラは価格と装備のバランスが良い中間グレード「X」が人気で、半数以上の購入者が選択しているという。また、ボディカラーはホワイトパールが一番人気、次いでスターリングシルバーとオーソドックスなカラーが上位に連なる。このあたりはまとまった台数を導入する事業用車両のニーズが反映した形なのかもしれない。 一方、CMやカタログに掲載されているサクラに用いられるイメージカラーだからだろうか、昨年追加された新色「シルキーライラック」も人気なのだという。こちらは一転して明るいカラーなだけに個人客の需要が人気を下支えしているといえそうだ。 必要十分な航続距離で、日本の道路事情に適した軽自動車規格のEV。年に数回の遠出よりも日常に軸足を置いて商品企画を行ったサクラは、目下ライバル車が見当たらないだけに、当面その地位は揺るぎそうにもない。

TAG: #サクラ #新車 #販売台数
TEXT:高橋 優
イーロン・マスクの目は「EV販売台数」から「自動運転普及」へ! BYDとの販売台数争いは眼中なしか

2024年の販売台数は178万9226台 テスラの2024年シーズンの納車台数が速報され、アナリストの予測を大きく下まわる結果に留りました。年間EV王者対決として注目されていた中国BYDとどれほどの販売台数の差がついたのか。2025年シーズンにおける展望も含めて解説します。 まず、2024年Q4におけるグローバル全体の納車台数は49万5570台と、2023年Q4と比較して2.28%のプラス成長となりました。その一方で、2024年シーズン全体の販売台数は178万9226台と、1.07%のマイナス成長と前年割れという結果に留まりました。 車種別の販売台数を確認してみると、まずモデル3とモデルYの販売台数の合計は47万1930台と、Q4単体では前年比超えを実現したものの、2024年通しではモデル3とモデルYという主力車種の販売台数は前年割れとなりました。 また、モデルS、モデルX、そしてサイバートラックの販売台数の合計はQ4単体で2万3640台と史上最高を更新しながら、2024年シーズン全体の販売台数という観点でも前年超えを達成。サイバートラックの販売台数が伸びたぶんだけ販売ボリュームが増加していると推測できます。 ところが、今回のQ4における最大の問題点は、主力車種であるモデル3とモデルYではなく、サイバートラックにあると思います。というのも、モデルS、モデルX、そしてサイバートラックの合計販売台数の伸びはたったの700台弱です。次にサイバートラックは、2023年Q4以降に生産体制を拡張することで、すでに年産12.5万台のペースに到達済みであると公式に発表。つまり、四半期ペースで3万台の生産能力を有しているということを意味します。 サイバートラックの生産ラインの稼働が一時的に停止したという情報や、さらに予約台数が200万台以上も存在するはずのサイバートラックが、2024年末には即納状態であることを示すタイムラインがテスラのホームページ上で表示されていましたが、やはり販売台数という観点からも、残念ながらサイバートラックの需要は想定を遥かに下まわっているのが現状であると推測できるのです。 テスラは2025年中にも、サイバートラックのエントリーグレードであるRWDを追加設定しながら、さらにベッド部分に追加バッテリーを搭載するというレンジエクステンダー仕様を追加予定。そのうえ2025年以降に登録された車両に対しては、連邦政府からの7500ドルの税額控除が追加で適用可能になったという点は好材料です。とはいうものの、トランプ政権下では税額控除が廃止される可能性が高いという点をはじめとして、サイバートラックの需要が大きく伸びるとも考えづらい状況です。 このサイバートラックの生産ラインの稼働率低下問題が、テスラ全体にどれほどの影響を与えるのかは決算内容に注視する必要がありそうです。 また、テスラは地域別の販売台数を公開していないものの、主力マーケットである中国市場の販売台数は2024年シーズン65.7万台と、前年比8.8%の成長を実現しています。よって、テスラが中国国内だけで販売した割合はQ4単体で4割程度という水準です。つまり、テスラは中国国内でさらに販売台数を伸ばすことに成功したものの、ホームマーケットである北米市場、そして欧州市場での販売がマイナス成長だったことにより、中国市場での成長分が相殺されてしまった格好なのです。

TAG: #2024年 #販売台数
TEXT:高橋 優
日本のEV販売は全体に減速気味! 日産&三菱とテスラが売れるなかBYDも存在感を増す販売動向

8月に売れたバッテリーEVは4424台 日本国内における最直近8月の電気自動車の販売動向が判明。前年比マイナス成長というEVシフト後退の現状について解説します。 まずこのグラフは、2018年以降のバッテリーEVとプラグインハイブリッド車の合計販売台数を月間ベースで示したものです。8月の販売台数は7071台と、前年同月比でマイナス27.5%と、大幅なEV減速の兆候が見てとれます。 とくに2023年12月以降、9カ月連続で前年同月比でマイナス成長という深刻な状況です。 また、新車販売全体に占めるバッテリーEVとPHEVの販売台数の合計の比率を示したグラフを見てみると、直近の8月は2.6%と、前年同月に記録した3.48%と比較してもシェア率が低下している状況です。2年前の2022年8月は3.85%であったことから、じつは、2年前のEVシェア率よりも悪化してしまっているレベルです。 次に、バッテリーEVの販売動向を詳細に確認すると、8月の販売台数は4424台と、前年同月比較で23.7%ものマイナス成長となりました。 さらにこのグラフは、普通車セグメントを、日本メーカーと輸入車メーカーそれぞれにわけて示したものです。白で示されている輸入EVは、前年同月比で6.6%ものマイナス成長に留まったものの、ピンクの日本メーカーの、普通車セグメントのバッテリーEV販売台数は773台と、前年同月比でマイナス28.2%で低迷しました。 このことからも、現在の日本国内のEVシフト後退のもっとも大きな要因は、日本メーカーの、とくに普通車セグメントの需要が大きく低下しているからであると結論づけることができそうです。 また、バッテリーEVの販売動向について、累計販売台数を年別に比較すると、2024年8カ月間で3.8万台以上ものバッテリーEVを発売。他方で、2023年の8カ月間では6万台近くを発売していたことから、2024年末にかけて、どれだけ前年対比で盛り返すことができるのかが注目ポイントとなりそうです。 また、現在の日本のバッテリーEVの販売シェア率が世界の主要国と比較して、どれほどの立ち位置であるのかを確認してみると、日本は最直近の8月で1.63%という販売シェア率だったものの、6月の世界全体のシェア率は14%に到達。さらに、7月の世界最大の自動車大国中国は28.02%に到達。 いまだにバッテリーEVが60台に1台という日本とは、まるで違う世界線にいる様子が見て取れるでしょう。

TAG: #普及 #販売台数
TEXT:高橋 優
全世界のBEVシェア率は約14%……の一方で日本は2%以下! BEVが難しい日本市場の現状を探った

EVシフト減速の流れが一過性のものではなくなっている 日本国内における7月の電気自動車の販売動向が速報。EV販売台数、EVシェア率ともに前年比マイナス成長という、日本国内のEVシフト停滞模様について解説します。 今回取り上げていきたいのが、日本国内における最直近のEV普及動向です。まず、このグラフは、2018年以降のバッテリーEVとプラグインハイブリッド車の合計販売台数を月間ベースで示したものです。最直近の2024年7月の販売台数は8741台と、6月よりも多くの販売台数を実現したものの、前年同月は1.1万台以上であり、マイナス22%と大幅なEV減速の兆候が見てとれます。とくに2023年12月以降、8カ月連続で前年同月比でマイナス成長という、EVシフト減速の流れが一過性のものではなくなっている状況です。 次に、新車販売全体に占めるバッテリーEVとPHEVの販売台数の合計の比率を示したグラフを見てみると、直近の7月は2.58%と、前年同月の3.49%と比較しても明確にシェア率が低下している状況です。さらに、2022年7月も3.54%であったことから、じつは2年前のEVシェア率よりも悪化してしまっているわけです。 次に、バッテリーEVの販売動向を詳細に確認していきたいと思います。まず初めに普通車セグメントと軽自動車セグメントそれぞれのバッテリーEVの販売台数の変遷を見てみると、直近の7月は5058台と、前年同月比で19.7%ものマイナス成長。さらに2022年7月と比較しても16.3%ものマイナス成長です。 さらに、普通車セグメントを、日本メーカーと輸入車メーカーそれぞれにわけて示したものを見てみると、白で示されている輸入EVは、前年同月比で27.8%ものプラス成長を実現した一方、ピンクで示されている日本メーカーの、普通車セグメントのバッテリーEV販売台数は1021台と、前年同月比でマイナス24.8%という落ち込み具合を記録しています。このことからも、現在の日本国内のEVシフト後退のもっとも大きな要因は、日本メーカーの、とくに普通車セグメントの需要が大きく低下しているからであるといえます。 また、現在の日本のバッテリーEVの販売シェア率が、世界の主要国と比較してどれほどの立ち位置であるのかを確認してみると、6月の世界全体のシェア率は14%に到達。さらに、7月の中国市場は、歴史上最高水準の28%オーバー。四台に一台以上がバッテリーEV販売で占められています。いまだにバッテリーEVが60台に1台以下という日本とは、まるで違う世界線にいる様子が見て取れるでしょう。 それでは、この日本国内においてどのようなEVが人気であるのかを確認していきましょう。 まず初めに、2024年の主要自動車メーカー別のバッテリーEVの販売台数の変遷を見てみると、やはり日産の販売台数が圧倒的な存在感を見せています。また、その日産を除いた販売台数の変遷を見てみると、テスラが販売台数でリード。その次は軽EV2車種をラインアップする三菱。そして、中国BYDがトヨタ超えを実現してきている状況です。 とくにテスラについて、月間販売台数の変遷を見てみると、7月はおよそ317台を達成しました。 ちなみに、テスラ独自の急速充電ネットワークであるスーパーチャージャーは、7月末現時点で累計122箇所、604基を建設しました(実際に稼働中なのは120箇所)。

TAG: #EV #販売台数
TEXT:高橋 優
アメリカでもEVは失速気味……トランプ氏が大統領になるとテスラですら安泰ではなくなる可能性アリ!

ヒョンデとキアがシェアを伸ばしている アメリカ国内の、2024年第二四半期のEV普及動向が判明しました。これによると、EV普及スピードは停滞中であり、テスラ全体の販売台数も縮小しています。そしてトランプ前大統領が銃撃されたことで、トランプ政権が復活し、EVシフトがさらに混乱する可能性について解説します。 まず、このアメリカ市場における、直近の2024年6月度のバッテリーEVの販売台数は、およそ9.6万台以上と、前年同月比でまったく販売台数を伸ばすことができていない状況です。 そして、新車販売全体に占めるバッテリーEVの販売シェア率も7.3%と、2023年末に記録した8.34%というEVシェア率から低下。前年同月の7.36%と比較して、まったくEVシェア率が成長していない様子を確認できます。 また、このアメリカ市場におけるEV普及率が、その他の主要マーケットと比較してどれほど達成しているのかを比較してみると、中国や欧州などがEVシフトを引っ張る形で、世界全体のバッテリーEVの普及率は、2024年5月の段階で13%を実現。その一方、アメリカ市場は7.31%と、グローバル平均と比較して半分程度の普及率であることが見て取れます。 それでは、最新の2024年上半期において、アメリカ国内でどのようなEVが人気であるのかを分析していきたいと思います。 まず初めに、自動車ブランド別の販売台数について、2024年Q2と2023年Q2の販売台数を比較したグラフを見てみると、圧倒的トップを実現したのがテスラです。2024年Q2だけで16万台以上を販売し、アメリカ国内で販売されたバッテリーEVの総数のうち49.7%のシェアを確保。お膝元のアメリカ国内で、テスラの盤石さが光る格好となりました。 他方で、現在テスラについて指摘されているのが、じつは前年同四半期比で6.3%ものマイナス成長であるという点です。第一四半期も、前年同四半期比13.3%ものマイナス成長であり、この2024年前半戦は、9.6%ものマイナス成長でフィニッシュ。したがって、盤石であるように見せていたアメリカ国内のテスラは、じつは販売台数を落としているという状況なわけです。 その一方で、大きくシェアを伸ばしたのがヒョンデとキアという韓国勢の存在です。2024年上半期において、ヒョンデは34%もの販売増加を記録しながら、キアは倍以上の成長すら実現しています。ヒョンデグループ全体で、アメリカのバッテリーEV販売全体の10.5%ものシェアを獲得しており、かなり健闘している様子が見て取れます。 なかでもキアは、大型SUVのEV9が大きく販売台数を伸ばしています。さらに、ようやくアメリカ国内での生産をスタートしたことで、連邦政府からの日本円で100万円級の税額控除を適用可能となり、よりコスト競争力が増していくことにも期待可能です。 次にこのグラフは、第二四半期で人気のバッテリーEVの車種別ランキングトップ30を示したものです。トップはモデルY、次にモデル3、さらに第5位にはサイバートラックと、やはりテスラが圧倒的な支配力を有する一方、問題はモデルY、3の両車種ともに、販売台数が低下しているという点です。 なかでもモデル3は前年同四半期比で26.2%ものマイナス成長です。やはりモデル3に対する需要が、ハイランドへのモデルチェンジを経たとしても低下しているという点、またエントリーグレードであるRWDグレードが、7500ドルの税額控除の適用対象外であるという2点が、販売台数減少に影響したと推測可能でしょう。 他方で、販売台数を伸ばしているのが、フォード・マスタングマックE、ヒョンデIONIQ 5、トヨタbZ4X、キャデラック・リリック、キアEV6、シボレー・ブレイザーEVなどという、モデルYの競合となるミッドサイズSUVのEVたちです。なかでも、発売してすでに3年以上が経過しているマスタング・マックE、2年半が経過しているIONIQ 5については、いまだに販売台数が伸びています。 とはいうものの、やはり四半期で2万台を超えるような販売台数を実現する人気EVは、テスラ以外でいまだに存在しないのも現実であり、アメリカのEVシフトが停滞を脱するためには、テスラ以外の、人気のEVが続々と誕生する必要があるでしょう。

TAG: #アメリカ #トランプ大統領 #販売台数
TEXT:高橋 優
電動化の失速どころかEV&PHEVがバカ売れ! テスラもドイツ御三家も押し出す中国メーカーの勢い

2024年6月の新エネルギー車の販売台数は85.6万台 中国市場における最直近の6月のEV販売動向の詳細が判明。中国の歴史上最高の電動化率を更新するという快挙を達成しました。 まず、中国市場におけるバッテリーEVとPHEVの合計を示した新エネルギー車の販売台数は85.6万台と、前年同月の66.5万台と比較しても29%もの販売増加を記録しました。そして、新車販売全体に占める新エネルギー車の販売比率は48.44%と、歴史上最高の電動化率を更新してきた格好です。2024年に突入して以降、新エネルギー車への需要が増大、そのペースがまったく衰えず、むしろ加速している様子すら見て取れます。 他方で、新エネルギー車のなかでもバッテリーEVとPHEVの販売割合という観点も注目です。 2021年6月時点での新エネルギー車全体に占めるバッテリーEVのシェア率は81.22%と、バッテリーEVが圧倒的なシェア率を示していたものの、直近の2024年6月単体では57.59%と、PHEVのシェア率が急速に増加している様子が見て取れます。よって、現在の中国国内で売れている新エネルギー車の販売割合は、バッテリーEVが6割、PHEVが4割というイメージとなります。 そして、バッテリーEVに絞った販売シェア率の変遷にも注目すると、6月単体のシェア率は27.9%を達成。四半期ベースでのシェア率も、Q2は27.81%と、過去四半期と比較しても圧倒的な伸びを実現しました。いずれにしても、確かにPHEVの販売シェア率が急増しているものの、同じくバッテリーEVも史上最高のシェア率を更新中であり、EVシフト減速とは無縁の世界線である様子が見て取れるでしょう。 次に、中国国内でどのような電気自動車が人気であったのかについて、車種別販売動向を確認しましょう。 初めに、6月に限った、内燃機関車も含めたすべての販売ランキングトップ30を確認しましょう。ピンクが新エネルギー車、緑が内燃機関車を示しています。トップに君臨したのがテスラ・モデルYです。その後にBYDの大衆セダンQin Plus、BYDシーガル、BYD Song Plus、そして日産シルフィと続いていきますが、トップ10のうち、なんと内燃機関車はシルフィを筆頭として、たったの3車種しかランクインすることができていません。トップ20に広げてみてもたったの6車種です。 つまり、すでに人気車種の圧倒的マジョリティが新エネルギー車で占められてしまっているということを意味します。 次にこのグラフは、新エネルギー車に絞った販売ランキングトップ30を示したものです。緑がバッテリーEV、水色がPHEVを示しています。BYDが14車種を席巻しながら、トップ20に限ると9車種、トップ10に限ると7車種と、BYDの王者の貫禄が見て取れます。 他方で、今回注目するべきは、第12位にランクインしたAito M7、および第14位にランクインしたAito M9の存在です。このAitoはファーウェイが支配権を有する自動車ブランドであり、着実にファーウェイが中国EV市場でプレゼンスを高めている様子が見て取れます。 そして、第11位、および第30位にそれぞれランクインしたBYDのQin L、Seal 06も見逃せません。5月末から正式発売がスタートしている第五世代のPHEVシステムを搭載した両車種は、瞬く間に販売台数を伸ばして、すでに中国の人気車種の一角を構成しています。

TAG: #中国 #販売台数

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新型エルグランドがいよいよe-POWERで登場!? 「EVの雄」日産のジャパンモビリティショー2025は電動モデルが盛り盛り
トヨタの新型モビリティでお台場周辺が一気に便利になる! 「eパレット」と「C+walk」が街全体の活性化にも貢献
ホンダがカーボンニュートラル実現に向け二輪の電動化を加速中! 欧州でネイキッドモデル「WN7」を発表
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コラム
そういえば日産が全固体電池は追浜で作るって発表したけど……追浜工場閉鎖で夢の電池はどうなる?
【試乗】速さはスーパースポーツ並! AWD技術も完成の域! アウディS6スポーツバックe-tronに望むのは「感性に訴えかける走り」のみ
中古EVの「バッテリーだけ」がヤフオクに出てる! 一体何に使う?
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インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
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試乗
【試乗】いい意味で「EVを強調しない」乗り味! 本格4WDモデルも用意される期待のニューモデル「スズキeビターラ」に最速試乗
【試乗】5台の輸入EVに一気乗り! エンジン車に勝るとも劣らない「個性」が爆発していた
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
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イベント
新型エルグランドがいよいよe-POWERで登場!? 「EVの雄」日産のジャパンモビリティショー2025は電動モデルが盛り盛り
マンションでもEVが身近になる! 官⺠連携で既存マンション全274駐⾞区画にEV充電コンセントを導⼊した事例リポート
公道レース「フォーミュラE東京」が帰って来る! チケットを持っていなくとも無料で1日遊び尽くせる2日間
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