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中国でバッテリー交換式の大型SUVがデビュー! 激安550万円でEVスタートアップが放つ「Onvo L90」の実力をライバルと比較した


TEXT:高橋 優 PHOTO:EV NATIVE/NIO
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豪華装備を安価に実現

それではL90がどれほどのコスト競争力を実現しているのかを、EV性能と装備内容の両面から競合と徹底比較していきましょう。まずEV性能について今回比較したいのが、7月29日にローンチされたLi Auto i8、また8月中にローンチ予定のAITO M8のBEVバージョン、そして9月ごろにローンチ予定のテスラモデルY Lの4車種です。車両サイズについて、ホイールベースはモデルY Lが3040mm、次いでi8が3050mm、そしてM8と今回のL90が3100mmオーバーというサイズ感です。

NIO ONVO L90と競合モデルのデータ

航続距離について、L90は4WDグレードで570kmを確保するものの、電池容量が少ないぶんだけ競合よりも短めですが、バッテリー交換に対応しており、当然電池容量が少ないぶんだけコストを下げています。急速充電性能について、L90はSOC80%まで25分で充電もすることが可能ですが、3分以内でバッテリーを交換することも可能です。

対するi8はおよそ10分程度でSOC80%まで充電可能ですが、やはりバッテリー交換の時間には敵いません。さらに、L90の強みは収納スペースの広さでしょう。とくに車両サイズで近しいAITO M8と比較しても広大なフランクを確保しながら、L90は電動開閉機能も搭載しており、使い勝手に優れています。

そして値段設定について、L90は4WDグレードを設定する最上級グレードのUltraで29.98万元を実現した一方、i8はエントリーグレードのProグレードでも32.18万元であり、L90 Ultraよりも高額です。さらに、AITO M8はファーウェイブランドということもありさらに高額ですし、モデルY Lの情報は現状不明であるものの、おそらく35万元前後からスタートする見通しであることから、少なくともL90 Ultraよりも高額となることは間違いありません。当然BaaSプランを活用すれば、競合と比較にならない安価なイニシャルコストで済ませることも可能であり、L90のEV性能に対するコスト競争力が極めて高い様子が見て取れます。

NIO ONVO L90の発表会

さらに標準装備内容について、今回のL90 Ultraは、以下を装備しています。

・17.2インチの3Kセンターディスプレイ
・ドライバー向けの35インチARヘッドアップディスプレイ
・後席用の吊り下げ式の17.3インチ3Kスクリーン
・空調やシート、音響、後席吊り下げスクリーンを一括で操作可能な8インチディスプレイ
・インフォテインメントシステムを駆動するのがQualcomm Snapdragon 8295P、メモリー容量も24GB
・USB Cポートは最大60Wと急速充電化し、合計7つ搭載
・ワイヤレス充電も空冷式の50W急速充電を2つ搭載
・シート素材はナッパレザーを採用しながら、1列目は8方向電動調整、4方向ランバーサポート、シートメモリー、ヒーター、クーラー、8ポイントマッサージを搭載
・2列目シートは6方向電動調整とレッグレストによるゼログラビティシート、シートメモリー、ヒーター、クーラー、8ポイントマッサージに対応。2列目の両席に対して折りたたみテーブルも搭載
・3列目シートは最大38度のリクライニングに対応する電動背もたれ調整とシートヒーターを搭載
・CDC付きのデュアルチャンバーエアサスペンション
・1600万色のアンビエントライト
・ヒートポンプシステム
・0℃から50℃に対応する8.8リットルの冷温庫
・3列目窓ガラスを含めた、全面の二重ガラスを採用
・2つの分割された1.1平方メートルのガラスルーフは電動サンシェード付き
・全てのドアに対してソフトクローズドアを採用
・ハイエンドADASはNvidia Drive Orin-Xプロセッサーを搭載することで演算能力は254TOPSを実現、シティNOAに対応
・V2L機能は最大3.3kW、車内に220Vコンセントも搭載
・最大2048Wの出力を発揮する23スピーカーシステムは7.1.4ドルビーアトモス対応
・エアバッグは9つ
・高張力鋼とアルミニウム合金の配合割合は84%、最大2000MPaの超高張力鋼を採用することでねじり剛性は38150ニュートンを確保
・車両保証は4年10万km、バッテリー保証は8年16万km、バッテリーサブスクプランなら実質的に永久保証

このように、3列シート搭載のプレミアムSUVとして考えられうる装備内容をほぼすべて網羅していることがわかります。すでに中国全土で納車も始まっているL90の売れ行きには注目でしょう。

ちなみに、L90の該当する3列シート搭載の大型SUVセグメントというのは、2025年下半期以降、競争が激化していくことに注意が必要です。このとおり、主にこれらの車種が中心となるものの、市場の大きさを考えるとすべてのモデルが成功することはないでしょう。

このグラフは、大型SUVセグメントにおける主要なEVたちの値段設定の分布を示したものです。3列シート搭載の大型SUVとひと口に言っても値段設定のレンジが広く、今回のL90の直接の競合となってくるのは、Denza N8L、Lynk & Co 900、Li Auto i8、Xpeng G01、AITO M8、IMモーターLS9、テスラモデルY L、シャオミYU9などとなるでしょう。

中国におけるラージSUVの価格帯

今回取り上げた競合車種は、Lynk & Co 900とLi Auto i8以外は未発売なことから、さらに競争が激化する大型SUVセグメントの動向も要注目です。

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