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乗用車への採用はいまのところ期待薄! 充電待ちから解放される夢のバッテリー交換式EVの行方


TEXT:桃田健史 PHOTO:TET 編集部/写真AC
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最大の課題は電池パックや交換作業等の標準化

ENEOSホールディングス、アメリカのスタートアップ「Ample」、そしてタクシー大手のエムケイホールディングスは、京都でEV向けバッテリー全自動交換ステーションの実証実験で協力している。

バッテリーを交換するというアイディア自体は、以前から存在する。

中国NIOのバッテリースワップステーション

時計の針を少し戻すと、日産リーフが世に出て間もない2000年代後半から2010年代前半にかけて、中東イスラエルとの関係が深いアメリカのスタートアップ「ベタープレイス」の存在が注目された。

同社は、日本政府からの事業支援を受けて、都内や横浜市内でEVタクシー向けの全自動交換ステーション実証を行ったことがある。筆者は当時、同社幹部らに事業計画について詳しく取材したが、同社はその後しばらくして事業を解散している。

中国では2000年代の北京オリンピック開催のタイミングで、市内中心部を走行するEVバスで交換式バッテリーを社会実装した。

北京オリンピックの会場

2010年代に入ってからも、中国では乗用EV向けのバッテリー全自動交換ステーションの実用化を進めるさまざまな動きがあったが、ステーション導入におけるコスト、ステーション数の伸び悩み、そしてユーザーに対する安定したサービス体制維持に対する不備などがあり、一気に普及したとはいい切れなかった。

話を現在に戻すと、自動車産業界は2050年までにグローバルでカーボンニュートラルを目指すという大義のもと、少なくとも2030年代には本格的なEVシフトが始まるという予測を立てながら、2020年代を「EV普及に向けた移行期」と捉えているところだ。

そうなると、今一度、EV普及に向けた根本的な課題を注視する必要が出てきた。

EV普及のイメージ

EVが普及するための三大要素は、電池コスト、航続距離、そして充電時間といわれて久しい。バッテリー交換型EVになれば、充電時間は電池交換時間となるので短くできる。

また、電池パックの容量を大きくしたり、バッテリー交換ステーションの設置場所が増えれば航続距離についての不安も少なくなるだろう。

さらに、ユーザーが電池パックを所有するのではなく、充電サービスの一環として捉えるならば、EV本体のコスト削減にもつながる。

バッテリーのイメージ

このように、バッテリー交換型EVは「いいことずくめ」に思える。だが、最大の課題は電池パックや交換作業等の標準化だ。少なくとも、乗用EVについてはこの分野での議論が活発に進んでいるとはいえない。

他方、トラックなど商用車におけるバッテリー交換式EVについては、国土交通省が1月、「国際基準の策定をオールジャパンで目指す」という方針を発表している。

こうした国の議論と京都でのEVタクシー実証が上手く連動することを期待したい。

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