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EVにも発熱作用がある
二酸化炭素の排出を抑える目的で、自動車のパワーユニットは化石燃料と内燃機関の組み合わせから、充電池(主として)と電気モーターによるEVにシフトしつつあるのが現状だ。いうまでもなく、原動機が内燃機関から電気モーターに変わるのだから、自動車のメカニズムも大きく変わって当然、こう考えたくなる。
たしかにそのとおりなのだが、異なるようで似ている部分もある。冷却系の有無だ。エンジン内部で燃料を燃やして動力に変える内燃機関は、当然ながらその発熱量は相当なもので、エンジンを冷却しないで(冷却装置なし)使えば、過度の温度上昇となって各機関部が焼き付いてしまう。
もちろん、焼き付き防止、機関部潤滑のためエンジンオイルが使われているが、過度の温度上昇によって油膜が切れ、金属同士が焼き付いてしまうことになる。このため、冷却装置(ほとんどが液冷で冷却経路と放熱器=ラジエター)が設けられ、エンジンがもっとも効率よく作動する温度で保たれるよう作られている。
では、EVの場合はどうだろうか? 内燃機関と違って燃焼作用がないだけに、パワーユニットの冷却装置は不要だろう、と思い込みがちだが、じつはこれが違うのだ。EVにも発熱作用はあり、冷却(正確にいうと適性な範囲での温度管理)を怠ると大きなトラブルを招くことになる。
EVの発熱部分は電気モーターとバッテリー(現在、大半はリチウムイオン方式)、このふたつのパワーユニットが発熱源となっている。
まず、モーターだが、大きくわけて3つの要素が発熱源となっている。ある意味、捨ててしまう熱であることから、銅損(通電によるコイル電気抵抗による発熱、コイル材質が銅であることから)、鉄損(コアなど磁性材料特性による発熱、コア材質が鉄であることから)、機械損(摩擦など機械的要因による発熱)と識別している。
バッテリー(EVのバッテリーは動力用と制御用のふたつあるが、ここで取り上げるのは大容量で発熱が問題となる動力用)は、化学反応によって電気を生み出す装置と考えてよい。当然、自動車に積んで機能させるわけだから、軽量コンパクト化、大容量化は永遠の課題となっている。