コラム
share:

エンジンはなくともEVも冷却は必要! 結構難しいバッテリーやモーターの「温度管理」とは


TEXT:大内明彦 PHOTO:TET 編集部
TAG:

EVにも発熱作用がある

二酸化炭素の排出を抑える目的で、自動車のパワーユニットは化石燃料と内燃機関の組み合わせから、充電池(主として)と電気モーターによるEVにシフトしつつあるのが現状だ。いうまでもなく、原動機が内燃機関から電気モーターに変わるのだから、自動車のメカニズムも大きく変わって当然、こう考えたくなる。

たしかにそのとおりなのだが、異なるようで似ている部分もある。冷却系の有無だ。エンジン内部で燃料を燃やして動力に変える内燃機関は、当然ながらその発熱量は相当なもので、エンジンを冷却しないで(冷却装置なし)使えば、過度の温度上昇となって各機関部が焼き付いてしまう。

もちろん、焼き付き防止、機関部潤滑のためエンジンオイルが使われているが、過度の温度上昇によって油膜が切れ、金属同士が焼き付いてしまうことになる。このため、冷却装置(ほとんどが液冷で冷却経路と放熱器=ラジエター)が設けられ、エンジンがもっとも効率よく作動する温度で保たれるよう作られている。

ラジエターのイメージ

では、EVの場合はどうだろうか? 内燃機関と違って燃焼作用がないだけに、パワーユニットの冷却装置は不要だろう、と思い込みがちだが、じつはこれが違うのだ。EVにも発熱作用はあり、冷却(正確にいうと適性な範囲での温度管理)を怠ると大きなトラブルを招くことになる。

EVの発熱部分は電気モーターとバッテリー(現在、大半はリチウムイオン方式)、このふたつのパワーユニットが発熱源となっている。

まず、モーターだが、大きくわけて3つの要素が発熱源となっている。ある意味、捨ててしまう熱であることから、銅損(通電によるコイル電気抵抗による発熱、コイル材質が銅であることから)、鉄損(コアなど磁性材料特性による発熱、コア材質が鉄であることから)、機械損(摩擦など機械的要因による発熱)と識別している。

EVのモーターのイメージ

バッテリー(EVのバッテリーは動力用と制御用のふたつあるが、ここで取り上げるのは大容量で発熱が問題となる動力用)は、化学反応によって電気を生み出す装置と考えてよい。当然、自動車に積んで機能させるわけだから、軽量コンパクト化、大容量化は永遠の課題となっている。

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
ブレーキダストを封じ込めて環境対策! メルセデス・ベンツが開発したEVならではの技術「インドライブ・ブレーキ」ってどんなもの?
ヒョンデの魅力を日本に伝える新たな拠点! 「ヒョンデ みなとみらい 本社ショールーム」がグランドオープン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
more
ニュース
価格・航続距離・パフォーマンスでテスラを圧倒!? 中国の巨大スマホメーカー「シャオミ」が作ったEV「YU7」がついにデビュー
2025年はBYD Auto Japanの設立3周年記念! お買い得な限定車「ATTO 3 Black Style」を 全国50台限定で発売
EVミニバンは誰が買うのか? VWが明かした意外な「ID.Buzz」の購入者像
more
コラム
電動キックボードとはひと味違う3輪モビリティ! ホンダ発「ストリーモ」のビジネスが広がりまくっていた
全然違うようでちゃんと「Type 2」感はある! ID.Buzzのデザインの妙をプロが分析
日産の新型EVは大型SUV! 「N8」と見られるその中身を提携メーカーの「eπ008」から占う
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】いい意味で「EVを強調しない」乗り味! 本格4WDモデルも用意される期待のニューモデル「スズキeビターラ」に最速試乗
【試乗】5台の輸入EVに一気乗り! エンジン車に勝るとも劣らない「個性」が爆発していた
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
more
イベント
公道レース「フォーミュラE東京」が帰って来る! チケットを持っていなくとも無料で1日遊び尽くせる2日間
災害に備えて未来を楽しむ! 「AWAJI EV MEET 2025」の参加はまだまだ受付中
災害時にも活躍できるEVの可能性を淡路島で体験! 「AWAJI EV MEET 2025 from OUTDOOR FEELS」開催決定
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択