コラム
share:

バッテリーを交換してまで乗り続けるケースはレア! EVはバッテリーの寿命=クルマの寿命と捉える人がほとんどだった


TEXT:渡辺陽一郎 PHOTO:トヨタ/TET 編集部
TAG:

ディーラーでバッテリーを交換した例は少ない

電気自動車の購入時に気になることは、駆動用リチウムイオン電池の劣化だ。充電と放電を繰り返すと、充電できる量が減ってくる。充電量が減ると、1回の充電で走行できる距離が短くなる。先代(初代)日産リーフのユーザーからは、「リーフを使っていると次第に走行可能な距離が短くなり、最後は満充電でも100km少々しか走らなくなった」という話を聞いた。

直近で電気自動車の開発者に尋ねると、「いまはリチウムイオン電池の温度管理も入念に行われ、10年ほど前に比べると電池の劣化が大幅に抑えられている」とコメントされた。

また、電気自動車ではリチウムイオン電池に関する保証も行っている。たとえば現行リーフでは「新車登録から8年間、あるいは16万km走行の早いほうにおいて、リチウムイオン電池の容量計が8セグメント以下になると、修理や部品交換によって9セグメント以上になることを保証する」としている。

日産リーフ

ここではリチウムイオン電池を新品に交換するとは表現されていない。保証修理も含めて、リチウムイオン電池を交換するユーザーはどの程度いるのか、販売店に尋ねた。「規定の範囲内(新車登録から8年間、あるいは16万km走行の早いほうなど)であれば、リチウムイオン電池や部品の交換、修理などを保証している。しかし実際には、リチウムイオン電池を交換した例は少ない」

少なくとも8年間は劣化が少なく、それを超えて保証対象からはずれると、車両の価値が下がってしまう。そのために電池容量計が8セグメント以下になっても、有償で交換するユーザーはほとんどいないわけだ。電気自動車の寿命と判断される。

バッテリーのイメージ

そして、電気自動車に搭載されて劣化したリチウムイオン電池は、クルマではなく汎用の蓄電池などに使われる。電気自動車のリチウムイオン電池は容量が大きく、その割に中古になれば価格が下がる。開発者は「車載用としては劣化が進んで航続可能距離が短くなっても、蓄電池に転用すれば十分な性能を発揮できる。汎用の蓄電池に比べると割安だ」という。

つまり、劣化したリチウムイオン電池には、蓄電池など車載用とは別の使い方があるわけだ。このような事情も含めて、電気自動車の電池を載せ換えて使うユーザーは少ないようだ。

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
ブレーキダストを封じ込めて環境対策! メルセデス・ベンツが開発したEVならではの技術「インドライブ・ブレーキ」ってどんなもの?
ヒョンデの魅力を日本に伝える新たな拠点! 「ヒョンデ みなとみらい 本社ショールーム」がグランドオープン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
more
ニュース
ヒョンデのFCEVが2代目に大進化! 初代とは似ても似つかないタフなスタイリングで新型ネッソが飛躍を狙う
このご時世にあえて値下げに踏み切り300万円以下で狙えるEV登場! BYDがより身近に感じられる価格改定に踏み切った
新型リーフを筆頭に世界中に新型EVを投入して戦力底上げ! 日産が今後の経営戦略を発表
more
コラム
最大90万円だがモデルによってはわずか12万円の車種も! 2025年度のEV購入補助金の車種名と具体的金額
エンジン車の醍醐味チューニング! EVはそんな楽しみ方は不可能?
本当にEV時代はくるのか? 「EVシフトは踊り場」は本当か? 電気自動車のいまの立ち位置
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
ボルボEX30で11時間超えの1000km走行チャレンジ! 課題は90kWまでしか受け入れない充電性能
more
イベント
災害に備えて未来を楽しむ! 「AWAJI EV MEET 2025」の参加はまだまだ受付中
災害時にも活躍できるEVの可能性を淡路島で体験! 「AWAJI EV MEET 2025 from OUTDOOR FEELS」開催決定
売り物ではなく概念を展示するモデリスタ! 正体不明なトヨタbZ4Xはブランドの「新化」という概念を示すスタディモデルだった【大阪オートメッセ2025】
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択