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賛否の渦に巻き込まれるも聞けば唸るほどの徹底ぶり! 話題のR32EVが目指した場所とは


TEXT:斎藤 充生 PHOTO:日産自動車/斎藤 充生/TET 編集部
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ただEV化しただけに収まらない尋常じゃないこだわり

それから時が経つこと約1年半、2024年10月に富士スピードウェイで行われたGT-Rの祭典「R’s Meeting」に突如そのEV化されたR32GT-Rが降臨したのです。そこでまずGT-Rファンに向けてこの車両の製作意図が説明されたそうですが、その内容をより広く知ってもらおうということで、1月10日から12日まで開催された東京オートサロン2025に展示され、詳細なスペックも公開されました。

EV化されたR32型GT-R「R32EV」の全体像

「R32EV」と名づけられたこのクルマ、まずエンジンに替わるモーターは、日産リーフのものを流用しています。ただ載せたというだけでなく、R32GT-RのRB26エンジン特有の加速感やフィーリングを再現できるよう、制御を綿密に調整しているそうです。また、そのモーターを前後に搭載することで2モーター4WDとし、本来のアテーサE-TSの4WDフィーリングに近づけているようです。

R32EVは前後ツインモーターを採用し、アテーサET-Sの代わりとなる4WDに仕上げている

バッテリーはニスモが製作したデモンストレーション用のレーシングカー「リーフNISMO RC02」のものを、リヤシートを撤去のうえ搭載しています。

R32EVのバッテリーはフロントシート背後の大きな箱の中に収まっている

なぜリーフじゃなくてリーフNISMO RC02なのかというと、それはパワーのためだそう。リーフ用では力不足で、アリア用は大き過ぎて車体に収まらない。そこで目を付けたのがリーフNISMO RC02だったと。それを車両重量に合わせてモーターの出力・トルクをチューニングすることで、パワーウエイトレシオをR32GT-Rに合わせこんでいるのだとか。

R32EVのバッテリーは写真のリーフNISMO RC02のものが採用された

ブレーキはEV化による重量増から強化が図られ、第3世代GT-RであるR35型GT-Rのブレーキを移植。一見ノーマルと同じに見えるホイールも、ブレーキサイズの拡大に合わせて18インチ化のうえ、表面のデザインだけでなくスポークの裏側まで再現する凝りよう。

EV化にあたりR35GT-Rのブレーキを採用 18インチ化されたホイールは純正デザインをスポーク裏側まで再現

車内では、ステアリングやシフトノブはオリジナルを再現しながら、メーターとセンターコンソールに液晶パネルを採用しているのですが、オリジナルのパネルをグラフィック処理で再現しており、ノーマルの世界観を大事にしていることがうかがい知れます。

R32EVのインパネ周り メーターとセンターコンソールは液晶パネルで当時の雰囲気を再現

これは乗ってみないとわからないのですが、どうやら音と振動には相当な力の入れようだとのことで、RB26DETTエンジンが発する音や振動を、専用のサウンドシステムで再現しているそうです。

というのも、このR32EVの製作チームリーダーを務めた、日産自動車パワートレインエキスパートリーダーの平工良三氏は、単純にエンジン音を収録して電気自動車で鳴るようにしても、シンクロしていないと全然つまらないものになってしまうことを知っているからだそうです。だから、アクセルやステアリングなどの操作に音と振動を連動させて、どうエモーショナルに感じさせるかという部分に注力したそうです。

コースを疾走するR32EV

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