コラム
share:

テスラ・モデルSを実走テスト! 充電性能は抜群だが航続距離はカタログ値を下まわる結果に


TEXT:高橋 優 PHOTO:EV NATIVE/THE EV TIMES
TAG:

頭ひとつ抜けた充電性能を発揮した

【総評】

まず、航続距離テストについて、外気温は平均27℃程度だったこともあり、EVの電費という点ではかなり有利なコンディションだったはずです。そして、モデルSのもっとも信用に値するEPAサイクルにおける航続距離は、19インチ装着車両で652km程度と公表。よって、カタログスペックをかなり下まわる結果となってしまいました。

テスト結果

次に充電性能テストについて、250kW級のV3スーパーチャージャーを使用した場合、充電時間は29分程度を達成。他方で、130kW級のV2スーパーチャージャーを使用した場合、充電時間は39.5分とかなり長くなっています。

テスト結果

そして、30分間の充電時間で回復可能な航続距離を、航続距離テストの結果である611kmから概算すると、およそ442km。個人的にEVの経路充電において最低限必要な充電性能を「30分充電すると300km分程度の航続距離を回復可能」と定義しているため、その意味において、十二分な充電性能であるといえます。

実際に、メルセデス・ベンツEQEやEQS、アウディRS e-tron GTなどの競合のEVセダンと比較しても、400kmを超える唯一のEV性能として、頭ひとつ抜けた充電を実現しています。そのうえ、旧世代の2019年製のモデルS100Dと比較しても、30分で回復可能な航続距離で倍近い差がついており、充電性能と電費性能の進化も見て取れるでしょう。

新型&旧型テスラ・モデルS

また、私がEV性能とは別の評価軸として独自設定している6つの項目についても確認しましょう。

・乗り心地:7/10ポイント
CDC付きのエアサスペンションが標準設定。他方で若干のコツコツ感はタイヤから来ている感じでベストチューニングとは感じない。

・静粛性:9/10ポイント(100km/h:65-67dB・120km/h:67-69dB)
前後に2重ガラス採用で静粛性高め。高速巡行の際のロードノイズキャンセリング機能もわずかに効果を感じる。

・自動運転支援機能:7.5/10ポイント
全モデル標準搭載のレーンキープ&ACCは安定感高め。他方で1000万円越えの高級車としてはオートレーンチェンジ機能がオプション設定という点は残念。

・音響性能:9.5/10ポイント
22スピーカーシステム(サブウーファーあり、システム最高出力:960W)
立体感を出しにくいセダンとしては最上級の音響性能。重低音もパンチがあり、高音域も細部までクリア。ほぼベストに近い音響システムだと感じる。

・回生ブレーキのフィーリング:9/10
完全ワンペダル可能。完全停止時のつんのめりもなし。十分な制動力があり、実用性と快適性の両面で完成度が高い。

・小まわり性能:5/10
最小回転半径は6mを超えており、取りまわしが悪い。競合のメルセデス・ベンツEQEなどは4WSを採用するなどしてホイールベースの長さと小まわり性能を両立しており、今後は4WSの採用に期待。

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
BYDの売り上げ鈍化に注目しても意味なし! むしろ心配すべきはテスラか? BYDは利益率も投資額も驚くべき水準だった
いすゞがピックアップトラック「D-MAX」にBEVを用意! バンコク国際モーターショーでワールドプレミア予定
more
ニュース
ヒョンデが東京オートサロン2025でスモールEV「インスター」を日本初公開! ドリキン土屋圭市監修のNパフォーマンスパーツのお披露目と屋外ドリフト走行も披露
ホンダの新世代EV「e:NP2」と「イエ」シリーズはここから生まれる! 中国合弁会社「広汽ホンダ」の新工場が広州市に誕生
2025年末までに100店舗展開を目標に開店ラッシュが止まらない! 全国37番目となる佐賀県初のBYD正規ディーラー「BYD AUTO 佐賀」がオープン
more
コラム
リーフやi-MiEV以前にも量産EVはあった! じつは長〜い国産EVの歴代モデルを振り返る!!
スマホならまだイケるのにEVのバッテリーは容量が70%を切ったら交換ってなぜ? 容量以外に求められるEV独特の性能とは
EVとV2H機器があれば停電時でも普通に家で生活できる? 使用電力について計算してみた!
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
ボルボEX30で11時間超えの1000km走行チャレンジ! 課題は90kWまでしか受け入れない充電性能
more
イベント
外からもまる見えな全面ガラスドアも高齢化が進む地域のモビリティとして最適!? タジマの超低床グリーンスローモビリティ「NAO2」が斬新すぎた
EVはレアメタルが詰まった都市鉱山! CEATEC2024でBASC展示が提唱するサーキュラーエコノミーというバッテリーとは
畳めるバイク! 階段を上り下りできるカート! 自由な発想のEV小型モビリティが作る明るい未来を見た!!
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択