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神奈川県の海老名SAスタートでどっちが先に加古川まで行って帰ってこられる? BYDシールとテスラ・モデル3で1000km対決!


TEXT:高橋 優 PHOTO:EV NATIVE/THE EV TIMES
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日本で買えるEVセダン2台を比較

BYDのフラグシップEVであるシールとテスラ・モデル3で、米中EVセダン1000kmチャレンジ対決を行いました。とくにスーパーチャージャーを使用するモデル3と比較して、公共の充電インフラのみを使用するシールがどれだけ短時間で走り切ることができたのか? 途中の電費や充電の様子を詳細リポートします。

BYDシールとテスラ・モデル3

まず、1000kmチャレンジの前提条件は以下のとおりです。

*走行ルート
海老名SA下り(神奈川県)

BYDシール:加古川北IC(兵庫県)
テスラ・モデル3:名谷IC(兵庫県)

海老名SA上り(神奈川県)

*走行条件
・途中充電のための停車以外はノンストップで海老名SA上りを目指す
・車内の空調システムはつねにONにして快適な状態をキープ(シール・モデル3共に21℃オートに設定)
・追い越しなど含めて、制限速度+10%までは許容
・渋滞や充電エラー、充電渋滞など、車両の問題以外についてはトータルのタイムから除外
・シールは当該トリップの電費情報が表示されません。他方で直近50kmの区間電費が表示されるので、50km毎に電費をメモ。すべてを平均して電費を概算

*主要スペック
⚫︎ 2024 BYDシール RWD
・搭載バッテリー容量(グロス/ネット):82.56/約81kWh
・航続距離テスト結果:588km(外気温平均28.5℃)
・最大充電出力/SOC 10-80%充電時間:105kW/40.5分
・値段(CEV補助金):528万円(45万円)
※値段は2024年9月時点。さらに初回1000台限定で33万円の値引きキャンペーン中。

⚫︎ 2021 テスラ・モデル3スタンダードレンジ+
・搭載バッテリー容量(グロス/ネット):55/50kWh(新品状態のネット値は約52.5kWh)
・航続距離テスト結果:420km(外気温平均22℃)
・最大充電出力/SOC 10-80%充電時間:170kW/22分
・値段(CEV補助金):531.3万円(65万円)
※値段は2024年9月時点でのモデル3 RWDグレードの値段設定から引用。

*装着タイヤ
⚫︎2024BYDシール RWD
・235/45/R19
・コンチネンタルEcoContact 6 Q
・空気圧:2.5(前)2.9(後)(適正値2.5/2.9)

⚫︎ 2021テスラ・モデル3スタンダードレンジ+
・235/45/R18
・ミシュランパイロットスポーツ4(※エアロホイールのみ社外品)
・空気圧:2.9(適正値2.9)

充電回数ごとにそれぞれのEVの区間電費などのデータをまとめていきます。

<1回目>

⚫︎2024BYDシール RWD
・海老名SA下り→湾岸長島PA下り(150kW級急速充電器)
・走行距離:297.9km
・消費電力量:100%→34%
・平均電費:※5.78km/kWh(173Wh/km)
・外気温:30℃→29℃

テスト結果

⚫︎2021テスラ・モデル3スタンダードレンジ+
・海老名SA下り→浜松スーパーチャージャー(138kW級急速充電器)
・走行距離:194km
・消費電力量:100%→38%
・平均電費:6.58km/kWh(152Wh/km)
・外気温:29℃→29℃

テスト結果

モデル3はシールと比較してもバッテリー容量が少ないため、かなり手前の浜松で充電を行っています。また、テスラスーパーチャージャーの密度がそれほど高くないために、SOCで38%残っているものの浜松に寄らざるを得ません。なんと言っても一回高速道路を退出する必要があり、余計な高速料金がかかるという点もテスラのマイナス面であることは間違いありません。他方で、シールはバッテリー容量が多いことから約300km先の湾岸長島PAまで走破することができています。

その一方で、電費はモデル3が大きくリードしており、しかもモデル3は120km/h制限区間が中心であったことから、やはり効率性という点ではテスラの優位性が際立つ格好です。

<2回目>

⚫︎2024BYDシール RWD
・湾岸長島PA下り→加古川北IC(折り返し)→草津PA上り(90kW級急速充電器)
・走行距離:325.0km
・消費電力量:84%→12%
・平均電費:※5.87km/kWh(170.4Wh/km)
・外気温:29℃→28℃

テスト結果

⚫︎2021テスラ・モデル3スタンダードレンジ+
・浜松スーパーチャージャー→大津スーパーチャージャー(250kW級急速充電器)
・走行距離:198km
・消費電力量:66%→12%
・平均電費:7.58km/kWh(132Wh/km)
・外気温:29℃→28℃

テスト結果

シールはすでに折り返し地点を通過しています。他方でシールは150kW級急速充電器の普及率が低いことから90kW級で充電せざるを得ません。

対するモデル3は充電性能が極めて高く、さらに電費も132Wh/kmと驚異的であり、よってすべての充電セッションで15分程度で切り上げることができています。

ちなみに、私が過去にAtto 3やドルフィンを検証した際に充電エラーが発生していたものの、シールでは充電エラーであったり、期待通りの充電出力が出なかったりなどのトラブルは確認されませんでした。

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