コラム
share:

自分のEVが積んでる「電池のメーカー」がわからない! 最近自動車メーカーが「バッテリーのサプライヤー」を公表しないワケ


TEXT:桃田健史 PHOTO:トヨタ/TET 編集部
TAG:

2010年代半ばから状況が一変

「このEV(電気自動車)、どこのメーカーの電池を積んでいるんですか?」。

ユーザーが新車販売店でそう聞いても、販売担当者は「メーカーが公開していないので、こちらではわかりかねます」と回答する場合が少なくないだろう。

これは販売店担当者の言い訳ではない。報道陣向けの新車試乗会や発表会の場で、EVの開発担当者に対して報道陣が聞いても「サプライヤー(製造メーカー)については公表しないことになっています」といわれるのが当たり前になっている。

バッテリーのイメージ

それでも、海外メディアのなかには、各メーカーが搭載する電池メーカーについて、関係者の話として掲載する場合がある。ただし、技術面や事業面に対する経営判断によって、電池のサプライヤーが変化する場合もあるため、ネット上の情報の正確性を問うのは難しい。

時計の針を少し戻してみると、EVが大量生産されて世に出始めた2000年代後半から2010年代前半頃までは、EVを手掛ける自動車メーカーは搭載する電池について、いまと比べるとより多くの情報を開示していた印象がある。

たとえば、「リーフ」を世に送り出した日産は、NECトーキン(当時)との合弁事業を立ち上げ、日産社内で電池技術を手の内化(てのうちか)を強化した。

日産リーフ

海外では、メルセデス・ベンツ(当時ダイムラー)は、電池の材料、電池セル製造、電池パック製造それぞれでドイツ国内企業とパートナーシップを組んで、自社グループ内で電気技術の熟成を加速させることを試みた。

また、円筒形の電池を数千本も使って電池パック化するテスラは、パナソニックと連携しながら円筒形電池の技術革新を進めた。

テスラの円筒形電池

そうした状況が、2010年代半ばから後半にかけて大きく変化した。背景には、欧州、アメリカ、中国の間で政治的な思惑による環境関連事業などに対する投資が活発化したことが挙げられる。

この影響によって、自動車メーカー各社は製造する国や地域によって、同じ車種であっても採用する電池メーカーが違うケースが出てきたり、または長年取引のある電池メーカーとの契約を終了することもある。

さらに、直近では全固体電池について、自動車メーカー各社が自社で基礎研究や量産開発を進め、場合によっては化学関連メーカーとパートナーシップを組むこともある。

事例としては、トヨタと出光との連携が挙げられる。

トヨタと出光の協業のイメージ

このように、EVが本格普及に向けた準備期間から、中・長期的に見れば普及に向けて大きく市場拡大しようとしているいま、自動車メーカーと電池メーカーとのかかわりは大きな変化の時期を迎えているといえよう。

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
日本は3年連続「日産サクラ」がトップ! じゃあ中国・欧州・アメリカで一番売れてるEVってなにか調べてみた
電気自動車って「お金的に」得? エンジン車と諸々の費用を比べてみた
リーフのバッテリーパックをバラして積むって意外に大変! 初代フィアット・パンダのEV化に挑戦してみた【その5】
more
ニュース
これまでに40万人が参加したeモータースポーツイベント! 「Honda Racing eMS 2025」の開催が決定
ついに「コルベットがEV」に!? 2種類のコンセプトカーでシボレーが未来のハイパフォーマンスカー像を描く
ホンダが2026年に発売予定の新型EVは「アシモ」も搭載! アキュラRSXプロトタイプを米国・モントレーで初披露
more
コラム
4つ輪エンブレムじゃなく「AUDI」! VWは「ID.UNYX」! ワーゲングループが中国のZ世代獲得に動く!!
ガソリン車よりも安くね? ジーリーの6人乗り大型SUVのEV「M9」のコスパが「嘘だろ」レベル
EVのネックのひとつは重量! その大半はバッテリー! ではなぜバッテリーは重いのか?
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】いい意味で「EVを強調しない」乗り味! 本格4WDモデルも用意される期待のニューモデル「スズキeビターラ」に最速試乗
【試乗】5台の輸入EVに一気乗り! エンジン車に勝るとも劣らない「個性」が爆発していた
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
more
イベント
マンションでもEVが身近になる! 官⺠連携で既存マンション全274駐⾞区画にEV充電コンセントを導⼊した事例リポート
公道レース「フォーミュラE東京」が帰って来る! チケットを持っていなくとも無料で1日遊び尽くせる2日間
災害に備えて未来を楽しむ! 「AWAJI EV MEET 2025」の参加はまだまだ受付中
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択