コラム
share:

EVだったら災害時の車中泊で家電も使い放題? エアコン使いっぱなしでどれくらいバッテリーは持つの? 実用性や注意点について解説


TEXT:高橋 優 PHOTO:EV NATIVE/THE EV TIMES/写真AC
TAG:

ガソリン車の車中泊は一酸化炭素中毒に気をつけるべし

ガソリン車の車中泊の注意点としては、アイドリングで暖をとっているときに、雪でマフラー部分が埋もれてしまうと、排気ガスが車内に逆流して一酸化炭素中毒死のリスクが高まることが挙げられます。一酸化炭素については、サイレントキラーとも呼ばれており、無色無臭であることから、毎年一酸化炭素中毒死による痛ましいニュースが後を絶ちません。

いずれにしても、ガソリン車で真冬に車中泊を行う際は、雪が降っていないか、仮に就寝前に雪が降っていなくても、寝ている間に雪が降ることはないのか、定期的に起床して様子を確認するなどの対策が必要な点も抑えなければなりません。

他方でEVの場合は、このような一酸化炭素中毒のリスクはありませんので、ある程度安心して夜を明かすことが可能であり、この点はEVの強みと言えるのかもしれません。

EVならではの災害時における強みとは?

また、EVに対するさまざまな懐疑論としてとくに大きいのが、災害時に停電してしまったら、EVに充電することができなくなるので実用性がないという指摘です。

確かに停電すれば、電気自動車への充電はできなくなることは間違いないものの、じつはガソリンスタンドに関しても、電動ポンプが動かなくなることで、営業ができなくなります。もちろん、災害対応のガソリンスタンドであれば発電機などが設置されているため、当面営業を行うことができるものの、さらに厄介な部分は、その給油を求める長蛇の列という観点も忘れてはなりません。

今回の北陸地方においても、早速給油のための長蛇の列ができてしまったというニュースは記憶に新しいと思います。

しかも、その際の給油量についても、20リッターに制限されるなどで、かなりのストレスになると予想できます。

給油のイメージ

ところがEVの場合は、そもそも自宅充電を設置することさえできていれば、災害時でも満充電状態にすることが可能です。仮に自分の住んでいる地域が停電してしまったとしても、停電というのは、その地域まるまるというケースは少なく、隣町に行くと電気は通っているケースが多いため、隣町で急速充電を行って、満充電状態にするなんて方法も可能です。

もちろん、停電さえ解消してしまえば、自宅で充電することが可能であり、わざわざ長蛇の列、給油量も限られているかもしれないガソリンスタンドに赴く必要もありません。

そのうえV2LやV2Hに対応しているEVの場合、バッテリーに貯めてある電気を取り出して、家電製品や自宅に電気を供給することが可能になります。

実際に、今回の能登半島地震においても、日産などがアリアなどのEVを避難所に貸し出して、スマホの充電などで活躍している状況です。

日産アリアのフロントスタイリング

このように、災害時におけるEV車中泊に関しては、すでにガソリン車と同等の時間、車内を快適な状態に空調設定することができるようになっています。また、冬場の車中泊で大きなリスクである一酸化炭素中毒のリスクもないという点で、じつはEV車中泊というのは、世間のイメージとは裏腹に、快適なものになりつつあります。

さらに、EVに搭載されている大容量バッテリーから電力を取り出すことで、停電時において活躍するなんて事例も出てくるなど、EVならではの強みも存在します。

いずれにしても、災害大国である日本において、EVの正しい実用性を理解したうえで、政府自治体は災害対策として、効果的にEVを導入していくことも必要になっていくのかもしれません。

もちろん、我々一般消費者に関しても、災害対策・停電対策にEVを導入するなんて考え方もアリなのかもしれません。

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
いすゞがピックアップトラック「D-MAX」にBEVを用意! バンコク国際モーターショーでワールドプレミア予定
BEV大国の中国で販売が失速! ここ数年でPHEVのシェアが伸びていた
中国市場でファーウェイのEVが爆発的人気! ライバルを凌ぐ激安っぷりと超豪華内装のAITO M9とは
more
ニュース
大阪・関西万博の建設現場に「電源いらずのコンビニ」出現! どうやって運営しているの?
スーパーオートバックスに新たなブランド施設「ヒョンデコーナー」誕生! カー用品店の一角でありながら他ショールームと同じサービスを受けることが可能
Audi charging hubが東京都・紀尾井町にオープン! いまなら無料で急速充電を体験できる
more
コラム
中国市場はまだまだEV化の流れが止まらなかった! 内燃機関からPHEVを介してEVシフトするシナリオの中身
やっぱり日本でEVは需要薄か!? 国産で好調なのは軽EVだけという現実
数字だけ高スペックでも実際の充電は遅い! EVの進化についていけない急速充電器の現状
more
インタビュー
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
災害に強いクルマは「PHEV+SUV+4WD」! 特務機関NERVがアウトランダーPHEVを選ぶ当然の理由
more
試乗
EV専業の「テスラ」とEVに力を入れる従来の自動車メーカー「ヒョンデ」! モデルYとコナを乗り比べるとまったく違う「乗りもの」だった
誰もが感じる「ポルシェに乗っている」という感覚! ポルシェはBEVでもやっぱりスポーツカーだった
佐川急便とASFが共同開発した軽商用EV「ASF2.0」に乗った! 走りは要改善も将来性を感じる中身
more
イベント
中国市場のニーズに合わせて開発! 日産が北京モーターショー2024で新エネルギー車のコンセプトカーを出展
レース前に特別に潜入! フォーミュラEに参戦する日産チームのテント内は驚きと発見が詰まっていた
日産がフォーミュラE「Tokyo E-Prix」開催前スペシャルイベントを開催! 六本木ヒルズアリーナに1夜限りのサーキットが出現
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択