コラム
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BYDの驚愕の開発スピードの早さ!日本メーカーはまず仕事のやり方を変える必要がある!?


TEXT:烏山 大輔 PHOTO:小河原 認、烏山 大輔、BYD
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BYD深圳本社

若い人材

彼は実際に深圳の本社も訪れたことがあり、まずはスタッフの若さに驚いたそうだ。ほとんどが20〜30代だったとのこと。

この点については、先日THE EV TIMESでも取り上げたBMWのソフトウェア開発を担っているポルトガルのクリティカルテックワークスも同様に、若いスタッフが大半だった。

BMWでさえ、ドイツ国内で人材集めが難しくポルトガルに頼った。「若手が少ない」や「人手不足」が常態化し、少子高齢化が進む日本では、より難しい状況と言えるのではないかと不安になる。

メールではなくチャット、企画書よりもまず行動

日本企業は何か新しい機能を開発する際、まずは担当者が企画書を書き、上司に提出、修正を加えて課長に提出、そして部長へ……など、実際にプロジェクトとして動き始めるまでに、時間がかかるのが通例ではないだろうか。

そしてその過程で理解を得られず没になってしまうアイデアもあるだろう。その中には画期的なアイデアもあるかもしれない。

しかしBYDは違う。担当者レベルで何かアイデアを思いついたら、まずやってみるそうだ。そして形になって、それがよければ採用、実装される。

こういった成功体験があれば、現場のモチベーションも上がり、より自由な発想で、面白い機能や製品ができるのではないだろうか。「ヤンワンU8」のタンクターンや「シール」の車内カラオケ機能(離れた場所の他のシールに乗っている仲間とも通信して楽しむこともできる、日本に導入するかは未定)などはまさにその好例だろう。

また、BYD Auto Japanの彼は、日本と深圳とでやりとりをするのはメールではなく、チャットなのだと教えてくれた。

「各位、お疲れ様です」で始まる形式ばったメールではなく、要点をピンポイントで伝えるチャットで連絡する。日本でも若いメンバーが多い会社では同じような連絡手段かもしれないが、まだまだ少ないのではないだろうか。

そんなチャットでは、「新しい機能を開発したので、日本側でも実装しテストして欲しい」という連絡も頻繁にくるらしく、日々対応に追われているそうだ。長年、日本メーカーで仕事をしていた彼も驚くスピードなのだという。

CASEとSDV

さらに深圳からはしばしば「何かクルマでできたら楽しいこと」のアイデアを要求されるのだという。

ソフトウェアディファインドビークル(SDV、ソフトでクルマを作る、ソフトでクルマの価値を上げる)というワードを最近よく耳にする。CASE時代を迎えた自動車業界では、クルマはハードではなくソフトで選ばれるようになるという意味も持つ言葉だ。

電動化と自動運転化が進むと、運転から解放された車内での移動時間をいかに充実した楽しい時間にできるかが勝負になるという。

だから各社は「車内体験」のレベル向上に鎬をけずる。若いパワーで迅速な開発を進めるBYDは高い対応力・競争力を持っていそうで、このSDVの戦いも最前線を走っていきそうな気がする。

日本でもソニーホンダモビリティの「アフィーラ」のように、同じ方向性を向いたクルマがある。ぜひ負けないように頑張って欲しいと思う。

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