インタビュー
share:

BYDは日本のEV市場を本気で取りにいく。独自の開発手法で世界トップも狙う!


TEXT:小川 フミオ PHOTO:BYD
TAG:

時代の一歩先をいき、10年後に世界のトップへ

劉GMは、同時に、BYDオートの製品の大きな特徴として「依然として会社の原点は電池の開発製造」であることを強調。

「BYDは、自動車に進出する前は、携帯電話を開発していました。電池と通信。いまのBEVにとって重要な技術の蓄積がしっかりあるんです。なので、従来どおりエンジン車を黙々と作っているのではありません。最新のソフトウェア技術をしっかり組み込んだ、新しい世代のプロダクトなんです」

シールでは、ハードウェアも注目点。セル・トゥ・ボディといって、駆動用バッテリーを構造材として使用する設計。今後、同様の構造を採用するメーカーは増えていくと思われるが、BYDはいち早く実現した。

最新は「e3.0プラットフォーム」。シールを例にとると、プラグインハイブリッドのパワートレインにも対応するフレキシブルプラットフォームだ。

劉GMは「ただしBYDでは、ICE(エンジン車)からBEV(バッテリー駆動のピュアEV)を開発するのでなく、BEVは最初からBEVとして設計します」と語る。

今回、珠海で試乗できたシールもBEV。ツインモーターによる強大なトルクと、走行中は4輪のトルクをコントロールして走行安定性を図る「iTAC(インテリジェントトルクアダプションコントロール)」なども搭載している。

BYDでは、上記のとおり、シールのプラグインハイブリッドモデルも生産している。23年、BEVとPHEVの比率は5対5になると見込まれる。BEVが増えている。純粋なICE(エンジン車)の生産はすでに止めたBYDでは、将来完全なBEVメーカーを目指すという。

「充電ネットワークを含めて、地域ごとに投入するモデルを決めていくのが、私たちの製品戦略です。日本には、BEVのみを展開するのがいまの計画です」

ただし、”私たちはこれでなくてはいけない”という考え方はしません、と劉GM。

「いろいろ考えすぎると、たぶんBYDにチャンスはないんです。市場はすごいいきおいで変わっていくので、受け身にだけはならないようにしたい。一歩先に行っている企業が、10年後には世界の頂点に立っているかもしれません。それを肝に銘じてます」

アグレッシブな姿勢が、小気味よいBYD。日本でもこのあと、さらに多様なモデル展開も期待できそうで、楽しみである。

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
ブレーキダストを封じ込めて環境対策! メルセデス・ベンツが開発したEVならではの技術「インドライブ・ブレーキ」ってどんなもの?
ヒョンデの魅力を日本に伝える新たな拠点! 「ヒョンデ みなとみらい 本社ショールーム」がグランドオープン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
more
ニュース
新型リーフを筆頭に世界中に新型EVを投入して戦力底上げ! 日産が今後の経営戦略を発表
BEV用の新開発プラットフォーム「PPE」初採用! アウディQ6 e-tron/SQ6 e-tronがついに日本デビュー
交換式バッテリーの実用化は商用・フリートから! 米Ample社と三菱ふそうが提携し都内で実証実験開始
more
コラム
結局「全固体電池」ってなに? どんなメリットがある? 「夢の電池」と言うには時期尚早な次世代バッテリーの中身
「セダンであり、5ドアクーペであり、SUV的でもある」という謎の表現! でも確かにカッコイイ「ボルボES90」をデザインのプロはどう見る?
そういや「スマートグリッド」ってドコいった? EVを蓄電池として利用する流れのいま
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
ボルボEX30で11時間超えの1000km走行チャレンジ! 課題は90kWまでしか受け入れない充電性能
more
イベント
災害時にも活躍できるEVの可能性を淡路島で体験! 「AWAJI EV MEET 2025 from OUTDOOR FEELS」開催決定
売り物ではなく概念を展示するモデリスタ! 正体不明なトヨタbZ4Xはブランドの「新化」という概念を示すスタディモデルだった【大阪オートメッセ2025】
子どもに大人気の電動バギーに大迫力のエアロキットや色が変わるフィルムまで登場! 大阪オートメッセのEV関連出展物はどれもユニークすぎた
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択