インタビュー
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VWのリアリティ。製品開発責任者は量産ブランドのやるべきことが見えていた


TEXT:小川フミオ PHOTO:生方 聡、Volkswagen

EV時代に求められるのは、走行距離でもパワーでもない。エネルギーは、E-FUELでも水素でもない。電動化へ向かう現代に、VWは現実的な選択をしていくという。

カスタマーが求めているのは、短い充電時間

ーー今回の取材では、あたらしいOSを搭載したID.4に乗る機会がありました。ドライブフィールはたいへん好ましかったのですが、モデル改良における状況を教えてください。BEVにおいては、パワーを上げる方向なのか、走行距離を伸ばす方向なのか、どっちの要望が強いんですか?

「走行距離でもパワーでもないですね。カスタマーが求めているのは、短い充電時間です。急速充電ではご存知のように、2つの重要な要素があります。車両とチャージャー、ともに、できるだけ速い速度での大容量の充電が求められています」

ーー具体的に聞かせてください。

「私たちのターゲットは15分などで充電という短時間充電です。リロードのための時間が短いのは、メーカーに課せられたタスクと思っています。いっぽう、充電インフラは、政治的な判断になりますので、思うようにはいきません」

ーーメーカーは、あたらしいBEVを市場に投入するとき、高出力を喧伝しがちなような気がします。

「それがいちばん技術的に実現しやすいという事実があります。しかし実際の顧客の声を聞いていると、急速充電がもっと効率よくできたら、何百キロも走れるよ、と言われます。それは認識しています」

私たちはBEVに注力

ーーグループでE-FUELを研究されていると思いますが、VWブランドでも使う可能性はありますか。

「グループぜんたいが、将来的には、BEVですが、過渡的な燃料として、可能性のある燃料と考えられます。ただし、ご指摘があったように、コストの高い燃料です。なので、過渡的に使うのは、より価値の高いブランド、つまり、ポルシェやアウディにおいてでしょう。量産ブランドでは、おそらくPHEVを過渡的に使い、最終的には全モデルがBEVの方向にいくと私は思っております」

ーー水素の活用はどうでしょうか。

「私たちはBEVに注力しています、水素燃料は高すぎるので、プライベートセクターにおける利用というのは、現実的でないと思います。たとえば、スチールやプラスチック、航空、海運、化学などの分野では、水素エネルギーも考えられます。プライベートセクターにおいては、我々としてはBEV化だと思っています」

ーー自社でギガファクトリーなるバッテリー工場を作って世界各地で展開する計画が着々と進んでいますね。ドイツ、バレンシア、カナダなど進行中ですね。同時に、クルマからの給電、つまりV2HやV2Lが出来るようになれば、エネルギープロバイダーにもなれるのではないですか。

「エネルギープロバイダになるという計画は一切ありません。もちろんバッテリーを橋渡し的に使うといえばいいのか。クルマから電気を外部に供給したり、回生など使って車両に貯めた電気をほかの目的で使うことで、お金がセーブできたなどとよろこんでくださるユーザーもいらっしゃるかもしれません。そこまでなら技術的に可能ですが、それを拡大していって、積極的にエネルギーを外部に供給していく計画はありません」

<了>

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