インタビュー
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VWはBEVとICEを両立? 中長期的なラインナップを製品開発責任者が語る


TEXT:小川フミオ PHOTO:生方 聡、Volkswagen
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BEV(バッテリー電気自動車)化が進むなかで、VWは、IAAでは新型「パサート」でICE(内燃機関)用プラットフォームも発表した。インタビューのなかでは「MEBプラス」というBEVプラットフォームの計画もあるいう。ライナップとパワートレインのプランニングは、どうなっていくのか。

ICE用プラットフォームは、8〜10年は改良をかさねる

ーーモデル計画についてうかがいます。この先ラインナップの数は増えますか? あるいは、減っていきますか?

「いま現在、私たちは、ICEとBEVと、パワートレインをみても、非常に多くのラインナップを持っております。ID.シリーズと名付けたBEVのモデル数は、ご存知のとおり、まだ限られていますけれど。ICEの生産をすぐ止めるかというと、ごくさいきん、MQBエボというICE用のプラットフォームを発表したばかりです」

ーーMQBエボは、23年のIAAモビリティで発表された新型パサートにも使われるプラットフォームですね。

「MQBエボは、このさき、最低でも8年から10年ぐらいは使用していく予定です。ただし、今回開発して、これで完成、あとは何もしないというわけではないです。約2年ごとに、新しい技術や新しい機能を投入していくつもりです」

ーーでは、ICEモデルの数は維持していくのですか。

「欧州においてはICEモデルを減らしていくのは間違いないです。他の市場に関しては事情は違う場合がありますが、欧州では、26年ぐらいからBEVを増やしていきます」

ーーいまのID.シリーズも、やはり改良を重ねていきますか。

「はい、明確なプランをもっています、MEBプラスというプラットフォームです。MQBエボと同じように、つねに最適化をしていくというアイディアをベースに開発するものです。いまのMEBの進化形ですね」

ーーID.2 allや、ID.GTIコンセプトは、いまのID.シリーズと違い、モーターをフロントに持ってきて、前輪を駆動するといいますね。なぜ、わざわざ180度、変えるんでしょうか。

「端的に理由を言うと、コストです。ドライブトレインをフロントに集めたほうが、コスト節約になるのです。(たとえばBEVでは電気配線に使うハーネスのコストが高く、ID.2allなどではそれを短くすることでコストダウンが図れる、とインタビューに同席していたVWの広報担当者が説明してくれた)。あともうひとつ、ターゲット顧客が前輪駆動車の運転に慣れていることも考慮しています」

sameではないけど、similarになる

ーードライブフィールはどうでしょう。ICEのゴルフGTIとID.GTIコンセプトと比べた場合、ドライブフィールも同じようにしようと考えていますか。

「ゴルフGTIの本質は、俊敏であり、正確な操作性が魅力になっています。ステアリングやダンパーも、非常にきびきびとした走りを目的とした設定です。同時に、スムーズであり、乗っていて快適でなくてはなりません。街乗りや遠出を含めて、すべての点でICEのゴルフGTIは、完璧な回答だと思っています」

ーーそれがめざすところですか。

「電動化にあたっても、このように幅広い使い方に対応しなくてはならないと認識しています。ゴルフGTIのDNAをいかにBEVで実現していくか。ただし、ICEとBEVとでは、完全におなじクルマにはならないです。パワートレインの特性が、ICEとBEVとではちがってきます。それでも、いわゆるsameではないけど、similarになるのではないでしょうか」

有言不実行よりは不言実行

ーーID.GTIコンセプトの資料を読むと、ゴルフGTIクラブスポーツのようなフロントディファンレシャルロックも採用されるとありますね。

「導入を決めています、えっと、これをなんて呼ぶか。じつは1時間前に、フロントアクスル・ロックにしようと決まったんです。なかなかすんなりとおぼえられないんですが(笑)。ドライビングエクスペリエンスマネージャーを搭載し、ダンパーの設定など、非常に俊敏で、正確なドライビングフィールをめざします」

ーーパワーは。ID.2allと、ID.GTIコンセプトで、どれぐらい違いますか。

「ドライブフィールとパワーにおいて、2車の差別化を図っていきます。ID.GTIコンセプトは、(全輪駆動の)ゴルフRの未来形ではないことも、ここで申し上げておきます。数字に関しては、1年後には言えるかもしれませんけど、今日は言えないです。有言不実行よりは不言実行の方がいいと思っています(笑)。いま高い数値を出して、あとで、実現できませんでしたというよりは、ちゃんとしたことを申し上げたほうがいいですよね」

<Vol.3へ続く>

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