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中国でしか販売していないトヨタ車「bZ3」誕生の背景とは[トヨタ・bZ3試乗記]


TEXT:加藤 ヒロト PHOTO:トヨタ、加藤博人(咪车mewcars編集部)
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世界のトヨタ、創立28年のBYDと組む

今回試乗したbZ3は、2019年に発表されたBYDとのパートナーシップによる初の市販商品である。

BYDは1995年に広東省深圳市で設立されたバッテリーメーカーで、現在はそのバッテリー技術を活かしたBEVが世界的に有名だ。BEVに加えてプラグインハイブリッド車(PHEV)にも取り組んでおり、2022年の販売台数はBEVが91万1141台、PHEVが94万6238台、合計して185万7379台を記録した。前年の販売台数が59万3745台であったことを考えると、2022年はBYDにとって大躍進の一年だったと言える。

2023年1月には日本でも初の乗用車「ATTO 3」の販売を開始しており9月には「DOLPHIN」(ドルフィン)、そして年内には「SEAL」(シール)の発売も予定している。日本でもますます目にする機会が増えることだろう。

bZ3の開発は2020年設立の「BYD TOYOTA EV TECHNOLOGY」が中心的役割を担い、そこへ実際の製造と販売をおこなう「一汽トヨタ」も大きく関わる形だ。ちなみに「一汽トヨタ」はトヨタが中国に設ける合弁会社のひとつで、第一汽車との出資で誕生した会社だ。もう一方は広州汽車との「広汽トヨタ」で、この二つの会社が中国におけるトヨタ車の製造と販売を担っている。

もう少し詳しく説明しよう。大前提として中国は輸入車に高い関税(15%)をかけており、それを回避するためには外国メーカーは中国現地での生産を目指す。だが、中国で自動車を生産するためには、中国の自動車メーカーとの合弁設立が不可欠であり、トヨタの場合はそのパートナーが第一汽車と広州汽車になるわけだ。現地生産のための合弁を設けるというルールは2018年から2年ごとにBEV、商用車、そして乗用車と段階的に撤廃されたが、ほとんどの中国国外メーカーは依然として合弁会社を持ち続けている状況である。

トヨタの場合、ひとつのモデルを車名とデザインの異なる姉妹車として、一汽トヨタと広汽トヨタそれぞれからリリースしている。だが、その例外となったのがbZ4Xだ。2022年に中国で発売された同車は、初めて一汽トヨタと広汽トヨタがまったく同じデザインと車名で製造・販売するモデルになった。理由は明かされていないが、おそらくひとつのモデルとしての統一感を重視して売り出したいということだろう。

一方、それに続くbZ3は一汽トヨタのみが製造・販売しており、広汽トヨタからの姉妹車は2023年8月時点でリリースされていない。つまり、一汽トヨタの方が一車種多いBEVラインナップを持つ状況だ。

トヨタbZ3

全長:4,725mm
全幅:1,835mm
全高:1,480mm
ホイールベース:2,880mm
車両重量:1,710/1,835kg
乗車定員:5名
交流電力量消費率:110Wh/km(CLTCモード)
一充電走行距離:517/616km(CLTCモード)
最高出力:135/180kW(184/245ps)
最大トルク:303Nm(30.89kgm)
バッテリー総電力量:49.92/65.28kWh
モーター数:前1基
トランスミッション:1速固定
駆動方式:FWD
フロントサスペンション:マクファーソン・ストラット
リアサスペンション:マルチリンク
フロントブレーキ:ベンチレーテッドディスク
リアブレーキ:ディスク
タイヤサイズ:前後225/50R18
荷室容量:439L
車両本体価格(現地):約3,498,000円〜3,991,000円

 <次回へ続く>

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