#EV
TEXT:小鮒康一
「ガソリンでも走れるくせに急速充電器使うなよ」は暴論? 正論? PHEVの急速充電器問題を考えてみた

外部充電のみで賄っているPHEVユーザーも存在 EVユーザーにとってバッテリー残量というのは命綱でもあり、ギリギリの状態でたどり着いた急速充電器に先客がいたときの絶望感は計り知れないものがある。 このとき充電しているのがBEVであるならまだしも、PHEV車であったときは、「ガソリンでも走れるんだから、急速充電器占領しないでよ~」という気もちになる人も少なからずいるのではないだろうか。 筆者もBEVに乗っていたときは何度かそういったシチュエーションに遭遇し、そういった気もちを抱いたことがあるというのが正直なところだ。 しかし、冷静に考えてみれば、急速充電器を使用しているPHEVユーザーも年会費やビジター充電費を支払って使用しているれっきとしたユーザーであり、急速充電器を使用する権利はBEVユーザーと同等にあるということなる。 PHEVモデルはバッテリー容量がそこまで大きくないため、自宅で充電すれば十分だろうという声もあるかもしれないが、なかには自宅に充電設備をもたずに外部充電のみで賄っているユーザーも少なからず存在するハズ。 そもそもPHEVのユーザーは急速充電器を占領するな、といい始めてしまうと、次はBEVのユーザーでも緊急性の低いユーザーは急速充電器を占領するな、というような意見にも繋がりかねないだろう。 もちろん、急速充電器を使う側にもマナーは必要であるため、充電が終わっているのに一向にクルマに戻ってこないとか、そもそも純内燃機関車なのに急速充電器前に駐車するというような行為は言語道断だが、自車のバッテリー残量や待機ユーザーの有無などで譲り合って使うというのがマナーであるのはBEVでもPHEVでも変わりないといえるのではないだろうか。 今後、さらにBEVが普及して急速充電器がより多く設置されるようになったり、充電速度が飛躍的に向上したりすれば、こういったいがみ合う意見も減ってくるかもしれないが、現状はやむを得ないところがあるというのが実際のところ。いつの日か、そんなこともあったと当時を知る人の間で話せる日が来ることを期待したい。

TAG: #EV #PHEV #急速充電
TEXT:高橋 優
全世界のBEVシェア率は約14%……の一方で日本は2%以下! BEVが難しい日本市場の現状を探った

EVシフト減速の流れが一過性のものではなくなっている 日本国内における7月の電気自動車の販売動向が速報。EV販売台数、EVシェア率ともに前年比マイナス成長という、日本国内のEVシフト停滞模様について解説します。 今回取り上げていきたいのが、日本国内における最直近のEV普及動向です。まず、このグラフは、2018年以降のバッテリーEVとプラグインハイブリッド車の合計販売台数を月間ベースで示したものです。最直近の2024年7月の販売台数は8741台と、6月よりも多くの販売台数を実現したものの、前年同月は1.1万台以上であり、マイナス22%と大幅なEV減速の兆候が見てとれます。とくに2023年12月以降、8カ月連続で前年同月比でマイナス成長という、EVシフト減速の流れが一過性のものではなくなっている状況です。 次に、新車販売全体に占めるバッテリーEVとPHEVの販売台数の合計の比率を示したグラフを見てみると、直近の7月は2.58%と、前年同月の3.49%と比較しても明確にシェア率が低下している状況です。さらに、2022年7月も3.54%であったことから、じつは2年前のEVシェア率よりも悪化してしまっているわけです。 次に、バッテリーEVの販売動向を詳細に確認していきたいと思います。まず初めに普通車セグメントと軽自動車セグメントそれぞれのバッテリーEVの販売台数の変遷を見てみると、直近の7月は5058台と、前年同月比で19.7%ものマイナス成長。さらに2022年7月と比較しても16.3%ものマイナス成長です。 さらに、普通車セグメントを、日本メーカーと輸入車メーカーそれぞれにわけて示したものを見てみると、白で示されている輸入EVは、前年同月比で27.8%ものプラス成長を実現した一方、ピンクで示されている日本メーカーの、普通車セグメントのバッテリーEV販売台数は1021台と、前年同月比でマイナス24.8%という落ち込み具合を記録しています。このことからも、現在の日本国内のEVシフト後退のもっとも大きな要因は、日本メーカーの、とくに普通車セグメントの需要が大きく低下しているからであるといえます。 また、現在の日本のバッテリーEVの販売シェア率が、世界の主要国と比較してどれほどの立ち位置であるのかを確認してみると、6月の世界全体のシェア率は14%に到達。さらに、7月の中国市場は、歴史上最高水準の28%オーバー。四台に一台以上がバッテリーEV販売で占められています。いまだにバッテリーEVが60台に1台以下という日本とは、まるで違う世界線にいる様子が見て取れるでしょう。 それでは、この日本国内においてどのようなEVが人気であるのかを確認していきましょう。 まず初めに、2024年の主要自動車メーカー別のバッテリーEVの販売台数の変遷を見てみると、やはり日産の販売台数が圧倒的な存在感を見せています。また、その日産を除いた販売台数の変遷を見てみると、テスラが販売台数でリード。その次は軽EV2車種をラインアップする三菱。そして、中国BYDがトヨタ超えを実現してきている状況です。 とくにテスラについて、月間販売台数の変遷を見てみると、7月はおよそ317台を達成しました。 ちなみに、テスラ独自の急速充電ネットワークであるスーパーチャージャーは、7月末現時点で累計122箇所、604基を建設しました(実際に稼働中なのは120箇所)。

TAG: #EV #販売台数
TEXT:TET編集部
レース前に特別に潜入! フォーミュラEに参戦する日産チームのテント内は驚きと発見が詰まっていた

レース直前の日産ピットに潜入! 3月30日、東京都心の公道を封鎖して行われるビッグイベント「FIA フォーミュラE世界選手権 2024“東京 E-Prix”」が大盛り上がりのなか、無事に閉幕した。 このレースは世界選手権なので、世界各国からさまざまな自動車メーカーが参戦しており、なかでもポルシェやジャガー、マセラティといった日本でも馴染みのあるメーカー(チーム)が揃うことも特徴。また先日、ヤマハ発動機が来シーズンから参戦することも発表され、これも大きな話題となった。 そんななかで今回もっとも注目されたのが、日本が世界に誇る自動車メーカーの日産だ。同社はフォーミュラE世界選手権にシーズン5(2018年/19年)から、日本の自動車メーカーとしては唯一参戦している企業でもあるのだ。このときのマシンがGen2と呼ばれるモノであった。 今回は、そんなフォーミュラEの決勝レース直前の「日産フォーミュラEチーム」のテントに特別に潜入することが許されたので、少しその様子をレポートしたい。 まず、日産のチームテント内には、オリバー・ローランド選手が担当する22号車と、日本のスーパーGTでお馴染みだった、サッシャ・フェネストラズ選手が操るエース車両、23号車が2台収まるようになっているほか、テント内にはエンジニアたちが作戦会議などを行う会議スペースが設けられている。 ちなみに、環境に配慮し、無駄な資源は極力使わないサスティナブルなレースというのがこのフォーミュラEの特徴。 世界で行われるレースに帯同するチームのテントはどの会場に行っても全チーム、テントのサイズや使用する面積が決まっている。さらに、持ち込める総機材量も7トンまでとレギュレーションで決まっているそうだ。また、移動も船便などがメイン。移動時に発生する無駄なCO2を削減するのがその狙いだ。 また、今回は担当エンジニアからマシンの詳細も少し聞くことができた。 現在使われているのは、Gen3と呼ばれる第3世代のマシンとなっており、2022‐23年シーズンから導入されたモノだ。日産のスタンスとしては、”市販車技術の応用”という点に重点を置いて参加しているとのこと。マシンの出力は350kW(470馬力)となっており、車重は850kg程度。これはリーフの半分くらいの重量。なお、0-100km/h加速は2.5秒、最高速度は320km/hという数値を叩き出す。 充電はテント内にある充電器から行うことになっており、コネクターはCCS2形式を使用する。なお、このレースはほとんどワンメイクとなっており、車体の90%は全チーム同じスペックなのもポイント。主な例を挙げると、「シャシー」、「エアロ」、「ボディ」、「前後サスペンション」、「タイヤ(ハンコック製の全天候型タイヤ)」、フロントに搭載される250kWの回生用ジェネレーターは全車統一となる。 「ここまで一緒なら各メーカーは何で争ってるんだ?」となるだろう。しかしご安心を。フォーミュラEでは、リヤに搭載される最大350kWの出力までが許されるパワートレインだけは、各社のオリジナルユニットとなっている。ただし、ここはブラックボックスで、トップシークレットとなっているため撮影NGであったので写真はご勘弁を。 なお、日産では、レース中に発生した回生エネルギーのデータをフィードバックして市販車開発に活かしているとのこと。 そして、このフォーミュラEでは、先述した”回生”が大きなキーとなっており、いかにこの回生でどれだけ電力を蓄えられるかが勝負の鍵だ。フォーミュラEでは、約1時間のレースで使われるエネルギーのうちの60%ほどをエネルギー回生によって回収できるそう。これがまさに、回生で得たエネルギーを効率よく使っているという何よりの証拠だ。 また、レーシングカーではお馴染みの、ステアリングからさまざまな情報を確認する機能を持つ。とくに特徴的なのが、回生ブレーキのレベルやブレーキバランス、EVならではの機能としてバッテリー量の調整など、マシンをドライバーが細かく操作できる点だ。 さらに、フォーミュラEで使われる車両はエンジンを使わないので、練習走行や予選のフィーリングを会議して、場合によってはプログラムを介してその場でマシンをアップデートできるのもEVならでは。 フォーミュラEは、まさにリアルタイムで変化する走る実験室なのだ。

TAG: #EV #フォーミュラE #モータースポーツ
TEXT:THE EV TIMES
2月10日(土)〜2月13日(月/祝)は大阪がアツい! 小型EVにも乗れる西日本最大級のカーイベント「大阪オートメッセ2024」の前売りチケットが絶賛販売中

2月の3連休は大阪に集まれ! 1月の東京オートサロンは、国内外から多くのクルマ好きが集結し大盛り上がりであったが、2月にもそれに負けないほど盛り上がるクルマ好き必見の一大イベントが関西で控えている。 それが、2月10日(土)〜2月13日(月曜/祝)の3日間、インテックス大阪にて開催される大阪オートメッセだ。今回の開催で27回目となる西日本最大規模のイベントで、西日本を中心としたカスタム系ショップのデモカーや、東京オートサロンなどの展示で話題となった自動車メーカーのコンセプトモデルが集結する。   そして今年は目玉イベントとして、コンパクトEVの大試乗会が会場内で開催される。普段なかなか試乗機会がない小型EVを実際に乗って触れることがチャンスとなっているので必見だ。 ※画像はイメージ そんな大阪オートメッセのチケットは、公式サイトからアクセスできるチケットぴあ内にて現在絶賛販売中! 前売りチケットの販売期限は2024年2月9日(金)23:59までとなる。 価格や注意事項は以下の通り。 ・価格(期間中1回有効) 一般:2700円 U-22:1250円(平成13年以降に生まれた人が対象・要身分証提示) 障がい者:1250円(付き添いの方1名無料。3人目のお客様からは中学生以下の方も入場券が必要) ・注意事項 会場時間:9:00~18:00 2/10(土)9:00~13:00はサイレントタイム(音響機材によるPRを控えた時間帯) 一般チケットは保護者同伴に限り中学生以下入場無料。保護者1名につき1名まで 中学生は要年齢確認書類 ペット入場不可(介助犬・盲導犬・聴導犬を除く) 再入場不可 ・前売りチケット支払い方法 ・ ぴあカード ・ クレジットカード ・ セブン-イレブンで支払 ※セブン-イレブンで発券 ※発券手数料:ご購入のチケット1枚につき 110円 ※店頭での発券は、一部を除き、ご購入日時の24時間後から可能(公演により異なる場合があり) となる。なお、当日販売券も用意されているおり、価格は「一般:3000円/U-22・障がい者:1500円」となる。若干割高となるので、来場予定の方は前売り券が断然オススメだ。 そのほかイベントの詳細は以下より確認できる。 https://www.automesse.jp/ 人気アーティストのライブや、大手カー用品店のオートバックス創業50周年記念イベント、スーパーGTに出走するマシンの展示なども行われるので、クルマ好きはぜひ大阪オートメッセに足を運んでみてはいかがだろうか。

TAG: #EV #大阪オートメッセ #試乗会
TEXT:TET 編集部
レンジローバー初のEVモデルが登場! ティーザー画像と動画を公開

もっとも静かで洗練されたレンジローバーを開発 2023年12月13日(現地時間)、ランドローバーは、レンジローバー初となる電気自動車モデル「レンジローバーエレクトリック」のティーザー画像および動画を公開。 同時に「レンジローバーエレクトリック」の予約を優先的に案内するプライオリティアクセスの登録サイトをオープンした。 「レンジローバー エレクトリック」は、極端な温度環境、あらゆる気候条件、どんな地形にも対応する走破能力、850mmの渡河水深を確保すべく、現在、プロトタイプを使ってテストを行なっているという。 エンジニアたちは、史上もっとも静かで洗練されたレンジローバーを開発するという目標を掲げ、独自のアクティブ・ロードノイズ・キャンセリング・システムとサウンドデザインに加え、モダンラグジュアリーを体現するEVならではの静穏で快適なキャビンを実現。 800Vのアーキテクチャーを採用し、公共充電ネットワークでの急速充電に対応する(欧州仕様)。 また、簡単な充電、エネルギーパートナーシップ、無線通信でソフトウェアのアップデートができるSoftware-Over-The-Air(SOTA)、航続距離を最大化する技術などシームレスなEVエクスペリエンスを提供。 レンジローバーの模範的なデザインを踏襲しながら、EVモデルならではの先進的なルックスを実現している。ぜひティーザー動画で確認してほしい!

TAG: #EV #SUV #エレクトリック #レンジローバー #電気自動車
TEXT:TET 編集部
年間20万台のEVの生産が可能なメガファクトリー! ヒョンデが韓国・蔚山に新EV専用工場を建設

ヒョンデが29年ぶりに韓国で工場を新設 2023年11月13日、Hyundai Motorsは韓国の自動車産業の中心地である蔚山(ウルサン)の複合施設において、電気自動車(EV)新工場の起工式を執り行った。 Hyundai Motorsが韓国国内で工場を新設するのは1996年の牙山(アサン)工場開設以来、29年ぶりだ。 蔚山に建設されるEV専用工場は、54万8000㎡の敷地に年間20万台のEVを生産する能力を有する。本プロジェクトには約2兆ウォン(約15億3000万ドル)が投資された。本格的な建設は2023年の第4四半期に開始され2025年に完了する。車両の量産は2026年の第1四半期に開始される予定だ。 Hyundai Motor GroupのラグジュアリーブランドGenesisの電気自動車SUVが、この工場で生産される最初のモデルとなる。 この工場にはシンガポールのHyundai Motor Group Innovation Center(HMGICS)が開発した、革新的な製造プラットフォームを採用。これにより、施設の将来性を高め、従業員の安全性、利便性、効率性を確保していくという。 また、起工式では蔚山工場の50年を振り返る展示会も開催された。 「The Beginning of a Dream(夢の始まり)」、「The Realization of a Dream(夢の実現)」、そして「Our Dream, Dreams Ever Dreamt(私たちの夢、これまで夢見た夢)」の3つのテーマで構成され、EV試作車「ソナタ(Y2)EV」も展示。 なお、展示会は2024年1月より、蔚山工場文化センターのヘリテージホールにて一般公開される予定だ。

TAG: #EV #工場
TEXT:TET 編集部
ボルボの小さなSUV電気自動車「EX30」が価格559万円で発売中

「EX30」はオンラインのみでの販売 ボルボ・カー・ジャパンは「EX30」の販売を2023年11月22日(水)午後3時より、購入専用サイト(https://www.volvocars.com/jp/shop/)にて開始した。価格は税込み559万円だ。 「EX30」は、ボルボ史上最小のSUVの電気自動車。オンラインのみでの販売で、ボルボのホームページ上の購入専用サイトで、仕様選定から見積り、契約および車両代金の支払いまでを行うことができる。 なお、オンライン販売では、ボルボ・カスタマーリレーションセンター(CRC)が9:00~18:00まで、年中無休で顧客の質問に回答する。 ディーラーでは、試乗、現有車の査定、アクセサリーの提案、登録や納車、購入後のアフターサービスを提供し、オンラインでのクルマの購入や、その後の使用がスムースにできるようサポート。 「EX30」のデリバリーは、2024年2月より順次開始予定だ。 車両詳細は以下のとおり。 モデル名:EX30 Ultra Single Motor Extended Range 車両サイズ:全長4235mm×全幅1835 mm×全高1550 mm モーター最高出力:200kW(272ps) モーター最大トルク:343Nm(35.0kgm) バッテリー容量:69kWh 一充電走行距離(WLTCモード):560km すでに日本でラインアップするすべてのモデルの電動化を果たしているボルボ。そんなボルボの新たなるEVに期待したい。

TAG: #EV #EX30 #SUV
TEXT:TET編集部
アウディが屋久島で電気自動車e-tronのレンタカーサービスを開始

車両にはグリーン電力が充電される アウディ ジャパンは2023年の11月14日より屋久島にて、電気自動車のレンタカーサービスを開始する。 今回のレンタカーサービスはファーレン九州のレンタカー事業部が、THE HOTEL YAKUSHIMAへの業務委託として始めるもので、ファーレン九州より提供するアウディの電動SUV、「e-tron Sportback」と「e-tron」の各1台を使用。 「e-tron Sportback」は2020年9月にアウディが日本国内に初めて導入した電気自動車で、クーペ調のルーフラインが特徴だ。 一方「e-tron」は荷室を重視したSUVらしいルーフラインを採用。余裕あるボディサイズと高いユーティリティ性能を備えている。 2台には屋久島の水力により発電されたグリーン電力が充電されるという。 アウディ ジャパンは、自然と人が共存する持続可能な未来を目指す屋久島町と、2023年7月に包括連携協定を締結。脱炭素につながる電気自動車でのレンタカー事業のサポート、充電器の寄贈によるインフラ整備、未来を担う子どもたちへの環境学習機会の提供で、屋久島の持続可能な未来に貢献することを目的としている。 今後も提携に基づいて屋久島との活動を進めていくという。

TAG: #EV #SUV #レンタカー
TEXT:西川 淳
電気自動車が「クルマとしての魅力」でガソリン車を上回る時代に突入してきた!

前回は電動化という混沌とした時代において、自動車メーカーのクルマ作りが、プラットフォームを電気自動車(BEV)とガソリン車(ICE)で共有するべきか、それぞれに専用のものを用いるべきかという話をした。今回は西川 淳氏に「プラットフォーム共有派」のBMWに乗って感じたことを語ってもらった。 もはやBEV寄りの設計がメインか 前置きが長くなってしまった。今回はBEVとICEでプラットフォームを共有するパターンの雄、BMWの最新モデルである「X1」シリーズ(iX1を含む)を試乗して、いよいよBEVがICEの魅力を、「エンジンのBMW」車でさえ、上回ってきたのではないか、と思った話をしてみたい。 初期の共有モデル、「4シリーズ」や「X3」では実際にBEVとICEを乗り比べてみたところ、個人的に商品としての魅力ではICEグレードの方がまだ優っていると感じた。「7シリーズ」では「i7」の仕上がりに衝撃を受けたものの、それでも悩んだすえに選ぶならICEグレードだと結論づけた。BMWってやっぱりエンジンあってナンボのもんやね、そう思った反面、BEVの仕上がりが劇的に良くなりつつあることもまた感じていた。 そして新型X1だ。このモデル、BMWにとっては不慣れなFFをベースに改良を重ねて今日に至ったわけだが、新型のICEグレードはブランドのエントリーモデルとして十二分に通用する乗り味にまで仕上げてきた。 その上でBEVグレードに乗れば、これがもう完全にICEを上回るクルマになっている。共有設計に臨む姿勢がまるでBEVよりになったかのようだ。最近のICEは効率化重視でBMWといえども容易には官能性を表現できない。燃費のために走るようなエンジンであればいっそ電気モーターでも、と思うのがクルマ運転好きの思考というものだろう。 出だしのしなやかな動き、街中でのアクセルペダルの扱いやすさ、応答に優れたハンドリングの確かさ、高速走行時の安定感、そして全体を通じての爽快感など、どれをとってもBEVグレードはICEグレードを超えている。 繰り返しになるけれど、BMWグループは電動化に最も熱心なブランドだ。意外にも聞こえるが、エンジンに熱心である以上に他の動力源にも熱心だ。例えばFCEVへの取り組みでいうと、日本のトヨタと並ぶ本気度を見せている。“駆け抜ける歓び”は彼らのクルマ造りの信条で、その実現と発展に寄与するのであればICEに拘らない。シルキー6によって歓びが生まれたのではない。歓びのクルマにシルキー6が積まれていただけなのだ。

TAG: #BMW #EV #電気自動車
TEXT:西川 淳
電動化時代にクルマはどうやって作ればいい?まずはプラットフォームを軸に考えてみる

100年に一度の大変革期が自動車業界に訪れている。そして各メーカーは将来BEV(バッテリー電気自動車)専売ブランドになる年を明言し、BEVのラインナップを大幅に増やしている。しかしその作り方にはメーカーによって差がある。今回はプラットフォームに注目してその「差」を西川 淳が考察する。 プラットフォーム共有派のBMW 欧州ブランドの電動化、なかでもBEVへの取り組みに関しては、車体側のコンセプトとして大別すると2つのパターンがある。ICE(内燃機関)モデルとBEVモデルのプラットフォームを共有させるパターンと、全くわけてしまうパターンだ。 なかにはモデルの大小=コストに応じて混在させるブランドもあるが、それでも明確な方向性で考えたならいずれかのグループに区分けすることは可能だ。 前者の代表格としてBMWを挙げたい。ドイツプレミアムブランドの中では最も早くに電動ブランド“ i ”を立ち上げたこともあって、その名を冠するモデルの人気は上々で、独プレミアムブランドのなかでBEVを最もよく売っているメーカーだ。 「i」そのものはもはや独立したブランドとして機能していない。けれども、早い時期にそのイメージを定着させたことが現在に生きているようにも思う。加えて「iX」というインパクトあるデザインの専用設計モデルでハイトなBEVも得意だというアピールもできた。 だからこそ、ICEと同じカタチ(≒プラットフォームを共有する)をしたBEVでアピールできる。コンサバな顧客に安心感を与えることができたこともさることながら。

TAG: #BMW #EV #電気自動車

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