#EV
TEXT:山本晋也
EV乗りだけが知ってる日々の生活での「お得感」! エンジン車じゃ味わえない幸せ3つ

EVに乗って得したこと 筆者は2010年代からEVに乗っている。途中、住居の関係でエンジン車をメインで利用していた時期もあったが、いまは自宅や職場に普通充電設備が整っていることもあり、日常使いはEVが担っている。そんな筆者が「EVに乗り換えてトクした意外なこと」をお伝えしよう。 クルマ好きであれば「EVでオトクになる」と聞いて、新車購入時に数十万円の補助金が給付されることを想像するかもしれない。また、自動車税の割引や、車検時に収める自動車重量税の免税といった税制優遇もご存じだろう。しかし、ここで紹介するのは、そうした誰もが知っているランニングコストを抑えられるという話ではなく、筆者の実体験に基づいた、想定外にオトクと感じた3つのエピソードだ。 まずは「買い物の交通費が実質無料になる」というテーマからお伝えしたい。 郊外型の大型ショッピングモールは、クルマでの来客を前提に広大な無料駐車場を備えていることが多い。駐車料金がかからなければ、交通費は無料と感じてしまうが、よくよく考えてみると、自宅からショッピングモールに行くまでの燃料代はユーザーの負担となっている。「そんなの当たり前じゃないか」と思うかもしれないが、EVオーナーになるとその認識が変わるのだ。 なぜなら、一部のショッピングモールなどには無料の普通充電サービスが備わっていることがあるから。とはいえ、たいていは3kW級の普通充電なので、1時間つないでいても3kWh相当の充電しかできないが、実際に利用すると十分に役立つ充電量であると感じる。 たとえば、筆者の乗っているフィアット500eの場合、渋滞などにハマらないときの街乗り電費は10km/kWhを超えてくるし、冷暖房を使わない時期であれば8km/kWh前後の電費で走行できる。 3kWhの電力量というのは24~30km走行分に相当する。あくまで筆者の生活圏の話になるが、これだけ充電できれば自宅とショッピングモールを往復するときに消費した電力をカバーできる。つまり無料で買い物に行けることになる。 ただ、30km程度であれば燃費のよいハイブリッドカーだと、1リットルくらいのガソリンで走れる距離といえるため、金銭的には大したことがないと感じるかもしれない。それでも、「買い物の交通費がタダになる」という感覚は、そのショッピングモールを利用するインセンティブになる。だからお店は無料充電設備を用意するのだろうし、無料充電につられているのはお店側の術中にハマっているのかもしれないが……。

TAG: #EV #カーライフ #コスト
TEXT:渡辺陽一郎
買おうと思ってもほしいクルマがない! 国産EVが売れない理由は「車種の少なさ」が大きな原因

日本のEV市場はサクラが支えている 2025年上半期(1〜6月)の国内販売状況を見ると、乗用車に占める電気自動車の販売比率はわずか1.4%だ。 ハイブリッド(マイルドタイプを含む)の販売比率は50%を超えるが、エンジンを搭載しない電気自動車は、ほとんど売られていないことになる。 その少数の電気自動車のなかで、どのような車種がどの程度売れているのか。国産電気自動車の販売ランキングを見てみたい。 ■2025年上半期/国産電気自動車(乗用車)販売ランキング *販売台数は1カ月の平均値。 1位:日産 サクラ:1460台 2位:日産 リーフ:約330台 3/4位:日産 アリア:約150台 3/4位:三菱 eKクロスEV:約150台 5/6位:トヨタ bZ4X:約30台 5/6位:レクサ スRZ:約30台 7/8位:マツダ MX-30EV+ロータリーEV:20台 7/8位:スバル・ソルテラ:約20台 上記が乗用電気自動車/8車種の販売ランキングだ。Honda e:はすでに販売を終了しており、上記のランキングに入らない。 1位は日産サクラで、2位の日産リーフに圧倒的な差を付けた。上に挙げた電気自動車8車の販売総数の内、サクラが60%以上を占める。N-VAN e:のような軽商用車や輸入車を含めても、サクラの日本の電気自動車市場に占める販売比率は32%と高い。日本の電気自動車は、サクラが支えているといっても大げさではない。 そして、上記の販売ランキングからわかるとおり、国産電気自動車は車種が少なすぎる。小型/普通車市場で50%以上のシェアを維持するトヨタでさえ、乗用電気自動車はbZ4XとレクサスRZだけだ。これでは電気自動車の販売比率が乗用車全体の1.4%でも仕方がない。 国産の電気自動車が少ない一方で、メルセデスベンツやBMWなどの輸入車には豊富に設定されている。そのために国内で売られる電気自動車の約40%を輸入車が占める。1車種当たりの売れ行きは少ないが、車種数が多いから、総数では販売比率が増えた。そこにサクラの32%を加えると70%を上まわる。 日本で電気自動車を普及させるには、サクラのような軽自動車がもっとも効果的だ。その意味で、今後登場する軽自動車のホンダN-ONE e:が注目される。2025年8月1日に予約受注を開始して、9月12日に発売をスタートさせている。 そのあとに輸入車のBYDも、軽自動車規格の電気自動車を発売するから、ようやく電気自動車の本格普及が始まりそうだ。

TAG: #EV #新車 #新車販売ランキング
TEXT:琴條孝詩
日本は3年連続「日産サクラ」がトップ! じゃあ中国・欧州・アメリカで一番売れてるEVってなにか調べてみた

世界中で人気なEVは? 日産サクラが2024年度、3年連続で国内BEV販売台数No.1を獲得した。年間販売は2万832台に達し、2024年度の国内BEV販売全体の約4割を占めている。軽自動車ならではの取りまわしのよさとBEVの静かでスムースな加速、そして手ごろな価格設定が多くのユーザーから支持されている。また、航続可能距離も長距離旅行に適したものではないが、通勤や通学、近場での買い物用などの日常使いには便利だ。 では、世界最大のBEV市場である中国や、BEVシフトに積極的な欧州、そして巨大な自動車市場をもつ北米では、一体どのようなBEVが人気を博しているのだろうか。各地域の最新動向を詳しく見ていこう。 <中国で人気のBEVはBYDとテスラが競合> 中国では、2024年にBEVの販売台数が約772万台を記録しており、世界最大のBEV市場として圧倒的な存在感を示している。2025年上半期においてもその成長は著しく、とくにBYDとテスラが目立つ。最新の販売台数ランキングでは、テスラ「モデルY」、Geely「星願(Geome Xingyuan)」、BYD「シーガル(海鴎)」、上汽通用五菱「宏光MINI EV」、シャオミ「SU7」などが上位を占めている。 モデルYは都市部の中堅層を中心に安定した人気を維持し、BYDが展開する低価格・高効率な小型BEV群が幅広い顧客層に支持されている。とくにBYD「シーガル」は、低価格で若者や初めてEVを購入する層に「最初の一台」として選ばれやすい。中国市場の特徴としては、BEV専業メーカーや新興ブランドが短期間で新車投入を繰り返すダイナミズムがあり、ユーザーの期待や関心がすぐに変化する点だ。政府主導の普及政策や都市部を中心とした充電インフラ整備もBEV成長の後押しとなっている。 中国市場で注目すべきは、2020年に上汽通用五菱汽車が約50万円という驚きの車両価格で販売した「宏光MINI EV」が大ヒットしたことに始まる低価格BEV戦略である。現在ではBYD「シーガル」が全長4m前後のボディサイズの4人乗りハッチバックとして支持されており、手頃な価格でありながら実用性の高いコンパクトBEVが市場を牽引している。 さらに、スマートフォンメーカーでもあるシャオミが2024年3月に初のBEV「SU7」を発売し、発売直後の予約は24時間で約8.9万台に達した。2024年には約13万5000台を販売し、テスラ「モデル3」並みの高性能をもちながら、より割安な価格設定が特徴として注目されている。

TAG: #EV #新車 #販売台数
TEXT:渡辺陽一郎
電気自動車って「お金的に」得? エンジン車と諸々の費用を比べてみた

同じメーカーの似た車種でコストに違いは出るか 電気自動車は果たしてトクなのか? 走行に要するコストを含めて、維持費をノーマルエンジン車と比べてみたい。 電気自動車は日産サクラを取り上げる。サクラは2025年上半期(1〜6月)に、国内で販売された電気自動車の30%以上を占めた人気車だ。 ノーマルエンジンの比較相手は、本稿執筆時点でルークスのフルモデルチェンジが予定されているとのことで、同じ日産のデイズとする。プラットフォームはサクラと共通だ。サクラ(X)の価格は259万9300円と高いが、国から交付される補助金額の57万4000円を差し引くと、実質価格は202万5300円に下がる。これに近い価格のデイズには、ハイウェイスター(Gターボプロパイロットエディション)があり192万9400円だ。 購入時に納める環境性能割や自動車重量税は、サクラでは課税されない。軽自動車では、軽自動車税も購入の翌年度に支払うから、購入時には納めないことになる。 デイズハイウェイスター(Gターボプロパイロットエディション)は、環境性能割と自動車重量税を合計すると4万1400円になる。サクラと違ってこの金額を購入時に納める。自賠責保険料は、両車とも3年分で2万4010円だから等しい。 電気代/燃料代はどうか。サクラは駆動用電池の総電力量が20kWhで、WLTCモードにより180kmを走行できる。たとえば東京電力のスタンダードプランの場合、1kWh当たり電力料金は35円前後だから、満充電の20kWhに要する電気料金は約700円だ。この金額で180kmを走れるから、1km当たりの電気代は約3.9円になる。 デイズハイウェイスター(Gターボプロパイロットエディション)は、WLTCモード燃費が21.5km/Lだ。レギュラーガソリン価格が1リットル当たり170円とすれば、1km当たりの走行コストは7.9円になる。 1年間に1万kmを走ると、サクラの電気代は約3万9000円、デイズのガソリン代は約7万9000円だ。サクラの走行コストは、デイズの約半額に収まる。サクラの充電に夜間電力を使ったりすれば、走行コストをさらに抑えられる。 数年間使ったあとに、売却する時の金額はどうか。これは残価設定ローンの5年後の残価(残存価値)をベースに考えたい。サクラ(X)で5年間の残価設定ローンを組んだ場合、5年後の残価は85万7000円だ。デイズハイウェイスター(Gターボプロパイロットエディション)は75万2000円だから、サクラXが少し高い。 残価設定ローンの残価は、車種によっては、販売促進を目的に高く設定する。従って残価設定ローンの残価がそのまま数年後の売却額に相当するとは限らないが、少なくともサクラは、デイズに比べて大幅に不利にはならないだろう。 ただし先に述べたとおり、サクラは電気自動車だから補助金が交付される。今後、補助金額の57万4000円が交付されない状態になると、損得勘定も大きく変わる。電気自動車は徐々に価格を下げる必要があるわけだ。

TAG: #EV #ガソリン車 #コスト
TEXT:御堀直嗣
ホンダのEVは「Honda e」からじゃないんだぜ! かつて販売したフィットEVを覚えているか?

あのフィットにもEVがあった ホンダは、2012年8月に、フィットEVの国内リース販売を開始した。対象は、自治体や企業というフリート(団体)利用者である。2年間で約200台の限定的な内容だ。 車載するリチウムイオンバッテリーの容量は20kWhで、一充電走行距離は、当時のJC08モードで225kmであった。車両価格は、消費税(5%)込みで400万円である。 車体色は、限定的なリース販売であったこともあり、ブルーパールの1色のみだ。 特徴的なのは、リチウムイオンバッテリーに東芝製のSCiBを採用したことである。 SCiBは、負極にチタン酸リチウムを用いることで、一般的な炭素と比べ、リチウムイオンが負極に出入りする際の容量低下を抑えることができ、急速充電に適しているとされる。 東芝によれば、充放電のサイクル回数が2万回以上とあり、これはほかのリチウムイオンバッテリーの4~5倍にのぼる。一方、容量や電圧で劣る面があるとされるが、フィットEVのモーター出力は92kW、最大トルクは256Nmで、初代日産リーフの80kW、254Nmと比べてもほぼ同等であり、あえて不足があるというほどではないはずだ。 また、SOC(State Of Charge=バッテリーの充電状態)で0~100%まで繰り返し使え、それでも劣化が少ないといわれる。 実際、SCiBは、三菱i‐MiEVでバッテリー容量の小さい10.5kWhのMグレードにも使われ、満充電からの走行距離は短くなるが、バッテリー劣化が少ないため、あえて中古車でMグレードを選ぶ例もあるほどだ。 ホンダ関係者でフィットEVを乗り続けている人も、充電や走行性能でとくべつ劣化に悩むような不満はないと語っている。 5ナンバー車というフィット本来の使い勝手のよさもあり、フィットEVが一部のフリート関係者でのみ使われ終わってしまったのは残念である。 遡ればホンダは、1988年からEVの研究をはじめたという。 最初の実験車は、シビックシャトルをベースにしていたように記憶している(ややあやふやだが……)。1990年代初頭、国内自動車メーカーでEV開発が行われた際、実験車両として選ばれたのは、トヨタRAV4、日産プレーリーなどSUVが多かった。床下にバッテリーを車載する都合上、積載性がよかったためだろう。ただし、当時はいずれも車載するバッテリーは、エンジン車で補器用に使われる鉛酸であった。 次いで、ホンダが本格的にEV開発を進めたのは、ホンダ EVプラスになってからといえる。 このモデルはバッテリーはまだリチウムイオンではなく、ニッケル水素であった。このため、一充電走行距離は10・15モードで210kmである。空調には、ヒートポンプが用いられ、省電力への取り組みがすでにあったといえる。 DCブラシレスモーターの性能値は明らかにされなかったが、試乗する機会があり、運転してみると、EVらしく出足が鋭く、そこからの加速も躍動感があり、VTECのガソリンエンジンで魅了してきた、ホンダ車らしい活気を感じることができた。 国内への導入は1997年に、36カ月のリース販売で、国内法人営業での取引であった。しかも約20台という限定数だ。したがって、フィットEVと同様に、一般の消費者が手にする機会はなかった。 価格は発表されなかったが、リース料金は保守整備を含め26万5000円で、36カ月で954万円に達する。とても一般の手には負えない金額になる。 一方、ホンダEVプラスは米国でも実証実験の一環としてリース販売され、米国では個人への提供もあった。 カリフォルニア州に住む一家族を取材する機会があり、両親と子どもの4人家族に話を聞くと、性能にはとても満足しているとのことであった。米国では未成年の子供を学校へ両親が送り迎えする(あるいは、スクールバスを利用しなければならない)とき、子どもたちにとってEVであることが誇らしく、友達に自慢したという話もあった。 ほかに、自宅の車庫で充電プラグを充電口に差し込むのは子どもの役目で、そうした親の手伝いのできることも子どもたちを喜ばせていた。セルフスタンドでのガソリン給油は、子供にはさせられない。排出ガスを出さないだけでなく、日常的な使い勝手のなかで、子どもにも役割分担できるよさがEVにはあることを知ることができた。

TAG: #EV #名車 #国産車
TEXT:渡辺陽一郎
補助金ありきでEVを買うなら要注意! タイミング次第では「もらえない」こともある!!

EVの補助金は誰でももらえるわけではない 電気自動車を購入した場合、申請を行うと、国からCEV(クリーンエネルギービークル)補助金の交付を受けられる。その交付対象は新車のみだ。なぜかというと、補助金の申請要件に「申請車両は、初度登録された車両で、製造事業者の新車保証が付いているものであること」という記載があるからだ。 中古車は、登録済み未使用中古車(軽自動車は届出済み未使用中古車)を含めて、少なくとも一度は登録や届け出を受けている。申請要件の「初度登録(届出)」ではないから、中古車は国が交付する補助金の対象に含まれない。また「自家用であること」という要件もあるため、事業用車の場合は、新車でも補助金の交付を受けられない。 そして申請書類の提出期限(消印有効)は、車両の新規登録(届け出)日までに支払い手続きが完了している場合、登録(届け出)日から1カ月後だ。提出期限に遅れないよう注意したい。 また、ユーザーと販売店やメーカーの間でトラブルが生じやすいのは、車両の納期遅延だ。納期が遅れて購入年度の補助金を使い切ると、そこで補助金が終了する。登録(届け出)日から1カ月という期限があるから、今年度に新車登録を行い、翌年度の補助金に申請することもできない。 そこで補助金が先に終了した場合、車両がメーカーから届いても登録や届け出を行わず、販売店が預かって翌年度に登録して補助金の申請を行うこともあった。ただしこれでは、販売会社が数カ月にわたって車両を預かるため、保管コストも高まってしまう。今はこのようなサービスを基本的に行っていない。 そして都道府県や市町村などの自治体も、国とは別に、電気自動車などに関して補助金を交付する場合がある。その申請期限は、国と異なり、こちらは初度登録(届け出)日から1年以内というケースもある。 また中古で購入した電気自動車やプラグインハイブリッドについて、災害時の電力供給に協力することを条件に、補助金を交付している自治体もある。このように自治体の補助金事業は、足並みがそろっておらず、それぞれ対応が異なる。電気自動車やプラグインハイブリッドの購入を検討しているなら、自身の属する自治体の補助金事業を調べておきたい。

TAG: #EV #新車 #補助金
TEXT:小鮒康一
「ガソリンでも走れるくせに急速充電器使うなよ」は暴論? 正論? PHEVの急速充電器問題を考えてみた

外部充電のみで賄っているPHEVユーザーも存在 EVユーザーにとってバッテリー残量というのは命綱でもあり、ギリギリの状態でたどり着いた急速充電器に先客がいたときの絶望感は計り知れないものがある。 このとき充電しているのがBEVであるならまだしも、PHEV車であったときは、「ガソリンでも走れるんだから、急速充電器占領しないでよ~」という気もちになる人も少なからずいるのではないだろうか。 筆者もBEVに乗っていたときは何度かそういったシチュエーションに遭遇し、そういった気もちを抱いたことがあるというのが正直なところだ。 しかし、冷静に考えてみれば、急速充電器を使用しているPHEVユーザーも年会費やビジター充電費を支払って使用しているれっきとしたユーザーであり、急速充電器を使用する権利はBEVユーザーと同等にあるということなる。 PHEVモデルはバッテリー容量がそこまで大きくないため、自宅で充電すれば十分だろうという声もあるかもしれないが、なかには自宅に充電設備をもたずに外部充電のみで賄っているユーザーも少なからず存在するハズ。 そもそもPHEVのユーザーは急速充電器を占領するな、といい始めてしまうと、次はBEVのユーザーでも緊急性の低いユーザーは急速充電器を占領するな、というような意見にも繋がりかねないだろう。 もちろん、急速充電器を使う側にもマナーは必要であるため、充電が終わっているのに一向にクルマに戻ってこないとか、そもそも純内燃機関車なのに急速充電器前に駐車するというような行為は言語道断だが、自車のバッテリー残量や待機ユーザーの有無などで譲り合って使うというのがマナーであるのはBEVでもPHEVでも変わりないといえるのではないだろうか。 今後、さらにBEVが普及して急速充電器がより多く設置されるようになったり、充電速度が飛躍的に向上したりすれば、こういったいがみ合う意見も減ってくるかもしれないが、現状はやむを得ないところがあるというのが実際のところ。いつの日か、そんなこともあったと当時を知る人の間で話せる日が来ることを期待したい。

TAG: #EV #PHEV #急速充電
TEXT:高橋 優
全世界のBEVシェア率は約14%……の一方で日本は2%以下! BEVが難しい日本市場の現状を探った

EVシフト減速の流れが一過性のものではなくなっている 日本国内における7月の電気自動車の販売動向が速報。EV販売台数、EVシェア率ともに前年比マイナス成長という、日本国内のEVシフト停滞模様について解説します。 今回取り上げていきたいのが、日本国内における最直近のEV普及動向です。まず、このグラフは、2018年以降のバッテリーEVとプラグインハイブリッド車の合計販売台数を月間ベースで示したものです。最直近の2024年7月の販売台数は8741台と、6月よりも多くの販売台数を実現したものの、前年同月は1.1万台以上であり、マイナス22%と大幅なEV減速の兆候が見てとれます。とくに2023年12月以降、8カ月連続で前年同月比でマイナス成長という、EVシフト減速の流れが一過性のものではなくなっている状況です。 次に、新車販売全体に占めるバッテリーEVとPHEVの販売台数の合計の比率を示したグラフを見てみると、直近の7月は2.58%と、前年同月の3.49%と比較しても明確にシェア率が低下している状況です。さらに、2022年7月も3.54%であったことから、じつは2年前のEVシェア率よりも悪化してしまっているわけです。 次に、バッテリーEVの販売動向を詳細に確認していきたいと思います。まず初めに普通車セグメントと軽自動車セグメントそれぞれのバッテリーEVの販売台数の変遷を見てみると、直近の7月は5058台と、前年同月比で19.7%ものマイナス成長。さらに2022年7月と比較しても16.3%ものマイナス成長です。 さらに、普通車セグメントを、日本メーカーと輸入車メーカーそれぞれにわけて示したものを見てみると、白で示されている輸入EVは、前年同月比で27.8%ものプラス成長を実現した一方、ピンクで示されている日本メーカーの、普通車セグメントのバッテリーEV販売台数は1021台と、前年同月比でマイナス24.8%という落ち込み具合を記録しています。このことからも、現在の日本国内のEVシフト後退のもっとも大きな要因は、日本メーカーの、とくに普通車セグメントの需要が大きく低下しているからであるといえます。 また、現在の日本のバッテリーEVの販売シェア率が、世界の主要国と比較してどれほどの立ち位置であるのかを確認してみると、6月の世界全体のシェア率は14%に到達。さらに、7月の中国市場は、歴史上最高水準の28%オーバー。四台に一台以上がバッテリーEV販売で占められています。いまだにバッテリーEVが60台に1台以下という日本とは、まるで違う世界線にいる様子が見て取れるでしょう。 それでは、この日本国内においてどのようなEVが人気であるのかを確認していきましょう。 まず初めに、2024年の主要自動車メーカー別のバッテリーEVの販売台数の変遷を見てみると、やはり日産の販売台数が圧倒的な存在感を見せています。また、その日産を除いた販売台数の変遷を見てみると、テスラが販売台数でリード。その次は軽EV2車種をラインアップする三菱。そして、中国BYDがトヨタ超えを実現してきている状況です。 とくにテスラについて、月間販売台数の変遷を見てみると、7月はおよそ317台を達成しました。 ちなみに、テスラ独自の急速充電ネットワークであるスーパーチャージャーは、7月末現時点で累計122箇所、604基を建設しました(実際に稼働中なのは120箇所)。

TAG: #EV #販売台数
TEXT:TET編集部
レース前に特別に潜入! フォーミュラEに参戦する日産チームのテント内は驚きと発見が詰まっていた

レース直前の日産ピットに潜入! 3月30日、東京都心の公道を封鎖して行われるビッグイベント「FIA フォーミュラE世界選手権 2024“東京 E-Prix”」が大盛り上がりのなか、無事に閉幕した。 このレースは世界選手権なので、世界各国からさまざまな自動車メーカーが参戦しており、なかでもポルシェやジャガー、マセラティといった日本でも馴染みのあるメーカー(チーム)が揃うことも特徴。また先日、ヤマハ発動機が来シーズンから参戦することも発表され、これも大きな話題となった。 そんななかで今回もっとも注目されたのが、日本が世界に誇る自動車メーカーの日産だ。同社はフォーミュラE世界選手権にシーズン5(2018年/19年)から、日本の自動車メーカーとしては唯一参戦している企業でもあるのだ。このときのマシンがGen2と呼ばれるモノであった。 今回は、そんなフォーミュラEの決勝レース直前の「日産フォーミュラEチーム」のテントに特別に潜入することが許されたので、少しその様子をレポートしたい。 まず、日産のチームテント内には、オリバー・ローランド選手が担当する22号車と、日本のスーパーGTでお馴染みだった、サッシャ・フェネストラズ選手が操るエース車両、23号車が2台収まるようになっているほか、テント内にはエンジニアたちが作戦会議などを行う会議スペースが設けられている。 ちなみに、環境に配慮し、無駄な資源は極力使わないサスティナブルなレースというのがこのフォーミュラEの特徴。 世界で行われるレースに帯同するチームのテントはどの会場に行っても全チーム、テントのサイズや使用する面積が決まっている。さらに、持ち込める総機材量も7トンまでとレギュレーションで決まっているそうだ。また、移動も船便などがメイン。移動時に発生する無駄なCO2を削減するのがその狙いだ。 また、今回は担当エンジニアからマシンの詳細も少し聞くことができた。 現在使われているのは、Gen3と呼ばれる第3世代のマシンとなっており、2022‐23年シーズンから導入されたモノだ。日産のスタンスとしては、”市販車技術の応用”という点に重点を置いて参加しているとのこと。マシンの出力は350kW(470馬力)となっており、車重は850kg程度。これはリーフの半分くらいの重量。なお、0-100km/h加速は2.5秒、最高速度は320km/hという数値を叩き出す。 充電はテント内にある充電器から行うことになっており、コネクターはCCS2形式を使用する。なお、このレースはほとんどワンメイクとなっており、車体の90%は全チーム同じスペックなのもポイント。主な例を挙げると、「シャシー」、「エアロ」、「ボディ」、「前後サスペンション」、「タイヤ(ハンコック製の全天候型タイヤ)」、フロントに搭載される250kWの回生用ジェネレーターは全車統一となる。 「ここまで一緒なら各メーカーは何で争ってるんだ?」となるだろう。しかしご安心を。フォーミュラEでは、リヤに搭載される最大350kWの出力までが許されるパワートレインだけは、各社のオリジナルユニットとなっている。ただし、ここはブラックボックスで、トップシークレットとなっているため撮影NGであったので写真はご勘弁を。 なお、日産では、レース中に発生した回生エネルギーのデータをフィードバックして市販車開発に活かしているとのこと。 そして、このフォーミュラEでは、先述した”回生”が大きなキーとなっており、いかにこの回生でどれだけ電力を蓄えられるかが勝負の鍵だ。フォーミュラEでは、約1時間のレースで使われるエネルギーのうちの60%ほどをエネルギー回生によって回収できるそう。これがまさに、回生で得たエネルギーを効率よく使っているという何よりの証拠だ。 また、レーシングカーではお馴染みの、ステアリングからさまざまな情報を確認する機能を持つ。とくに特徴的なのが、回生ブレーキのレベルやブレーキバランス、EVならではの機能としてバッテリー量の調整など、マシンをドライバーが細かく操作できる点だ。 さらに、フォーミュラEで使われる車両はエンジンを使わないので、練習走行や予選のフィーリングを会議して、場合によってはプログラムを介してその場でマシンをアップデートできるのもEVならでは。 フォーミュラEは、まさにリアルタイムで変化する走る実験室なのだ。

TAG: #EV #フォーミュラE #モータースポーツ
TEXT:THE EV TIMES
2月10日(土)〜2月13日(月/祝)は大阪がアツい! 小型EVにも乗れる西日本最大級のカーイベント「大阪オートメッセ2024」の前売りチケットが絶賛販売中

2月の3連休は大阪に集まれ! 1月の東京オートサロンは、国内外から多くのクルマ好きが集結し大盛り上がりであったが、2月にもそれに負けないほど盛り上がるクルマ好き必見の一大イベントが関西で控えている。 それが、2月10日(土)〜2月13日(月曜/祝)の3日間、インテックス大阪にて開催される大阪オートメッセだ。今回の開催で27回目となる西日本最大規模のイベントで、西日本を中心としたカスタム系ショップのデモカーや、東京オートサロンなどの展示で話題となった自動車メーカーのコンセプトモデルが集結する。   そして今年は目玉イベントとして、コンパクトEVの大試乗会が会場内で開催される。普段なかなか試乗機会がない小型EVを実際に乗って触れることがチャンスとなっているので必見だ。 ※画像はイメージ そんな大阪オートメッセのチケットは、公式サイトからアクセスできるチケットぴあ内にて現在絶賛販売中! 前売りチケットの販売期限は2024年2月9日(金)23:59までとなる。 価格や注意事項は以下の通り。 ・価格(期間中1回有効) 一般:2700円 U-22:1250円(平成13年以降に生まれた人が対象・要身分証提示) 障がい者:1250円(付き添いの方1名無料。3人目のお客様からは中学生以下の方も入場券が必要) ・注意事項 会場時間:9:00~18:00 2/10(土)9:00~13:00はサイレントタイム(音響機材によるPRを控えた時間帯) 一般チケットは保護者同伴に限り中学生以下入場無料。保護者1名につき1名まで 中学生は要年齢確認書類 ペット入場不可(介助犬・盲導犬・聴導犬を除く) 再入場不可 ・前売りチケット支払い方法 ・ ぴあカード ・ クレジットカード ・ セブン-イレブンで支払 ※セブン-イレブンで発券 ※発券手数料:ご購入のチケット1枚につき 110円 ※店頭での発券は、一部を除き、ご購入日時の24時間後から可能(公演により異なる場合があり) となる。なお、当日販売券も用意されているおり、価格は「一般:3000円/U-22・障がい者:1500円」となる。若干割高となるので、来場予定の方は前売り券が断然オススメだ。 そのほかイベントの詳細は以下より確認できる。 https://www.automesse.jp/ 人気アーティストのライブや、大手カー用品店のオートバックス創業50周年記念イベント、スーパーGTに出走するマシンの展示なども行われるので、クルマ好きはぜひ大阪オートメッセに足を運んでみてはいかがだろうか。

TAG: #EV #大阪オートメッセ #試乗会

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