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EVの電欠非常事態宣言!……“電気の救急車”サービスをJAFが展開へ[2023.08.02]


TEXT:福田 雅敏、ABT werke
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充電サービスカーのイメージ(photo=JAF)

電欠停止による救援要請はEV案件全体の1割で増加傾向
給電車自体もEV化すればイメージアップにつながる

【THE 視点】JAFは、バッテリー切れ(電欠)によりEVが停止した場合の救援施策「EV充電サービス」の試験運用を8月1日より開始した。電欠で路上などに停止したEVの元に電源を積んだ救援車が駆けつけ、応急的な充電を行うサービスとなる。東京都・神奈川県・愛知県・大阪府に先行導入し、全国に順次展開をしていく。

EVユーザーのJAFへのロードサービス要請件数は5,804件(2020年度値)で、そのうちの約1割に当たる573件が電欠だった。2022年度はさらに700件に増加したことから、電欠の救援サービスの創出が急務と判断した。

これまでのJAFの電欠への対応は、最寄りの充電スポットまで搬送する内容だった。しかし新サービスは、自走可能になるまで電力を回復させるものとなる。積載車を用意するよりも、はるかにコストと手間が減るだろう。最寄りの充電スポットまでの電力があれば良いのだから、満充電にする必要はなく合理的である。

先日のデイリーでも紹介したが、電欠の救援サービスは、海外ではすでに始まっている[詳細はこちら]。実は日本でも電欠救援サービスは始まっているが、ロードサービスの老舗が動き出すのは心強い。

こういった給電系のサービスを展開する上で留意したい点は、「救援車もEVである」ということだ。海外では、電欠の救援はEVが行なっている。国内で既に展開されているサービスも「日産サクラ」を使用している。ヒョンデが自社で展開する出張整備車両もEVの「アイオニック5」である。

サービスが展開されることは大いに歓迎する。ただ、電欠の救援を純粋なエンジン車で行なうことは「代わりに救援車にガソリンを焚かせた」などと、EVとそのユーザーへの批判を招く可能性がある。

これも先日のデイリーにて紹介した内容だが、「消防展」にて展示のあったEV消防車は、作業が長時間となった時のために緊急用の発電エンジンを積んでいた[詳細はこちら]。この機構は電動の緊急・救援車両の一つの理想系のように思う。

日本には、こういったサービスに適したサイズのEVバンが少ない。しかし「三菱ふそう・eキャンター」や「いすゞ・エルフEV」があるのだから、それらを活用して救援車を製作できるはずだ。水素燃料電池車(FCEV)を使用しても良いだろう。

いずれにしろ、電欠に対する救援サービスが充実することは、EVの購入検討車には安心材料となる。そしてEVのイメージアップという意味でも、「EV/FCEVの電欠救援車」の研究開発も行なってほしい。逆に世界から注目されるEV救援サービスを創出するチャンスでもある。
(福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー)

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デイリーEVヘッドライン[2023.08.02]

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