移動式充電サービスは電動化社会にとって重要なインフラ
商用EVが出揃いつつある日本国内でも開発・普及を
【THE 視点】ステランティス・グループのフィアット・プロフェッショナルは7月24日、イタリアの移動充電サービス企業「E-GAP」に60台のEVバン「E-スクード」を納入したと発表した。フィアット・プロフェッショナルは、「E-GAP」を「E-スクード」とともにサポートしていくという。
「E-GAP」は、都市部における移動式の急速充電サービス。電欠の救援・救急サービスと理解して良いだろう。利用希望の場合は、同社が展開するスマートフォンアプリを介して予約を行う。アプリに自分のいる場所等を入力すれば給電車両が駆けつけてくれ、料金はオンラインにて支払う仕組みとなっている。
本サービスは現在、イタリア(ローマ・ミラノ・ボローニャ・トリノ・ヴェローナ・ブレシア・トレント)、フランス(パリ)、スペイン(マドリッド)、ドイツ (ミュンヘン)にて提供されており、今後、欧州の各国各都市へサービスを拡大する予定だという。
「E-スクード」は、最高出力100kW(136ps)・最大トルク260Nm(26.5kgm)のモーターを搭載。バッテリー容量は最大75kWhまで用意があり、最大航続距離は330km(WLTP値)となっている。最高出力11kWの普通充電を使用すると45分で80%の充電ができ、100kWの急速充電にも対応している。
日本でもEVによる移動式の充電サービスは展開されており、筆者が知るのは「日産サクラ」をベースに、容量3.35kWhのバッテリーを3基搭載した車両。およそ10kWhの電気の救急車である。
対して「E-スクード」は、少なくとも車両自体に最大75kWhのバッテリーが載っている。充電サービス専用車ともなれば、さらに大容量の給電専用バッテリーを積んでいるのではないだろうか。
現在の日本には、このような大容量の移動式充電サービスがないのが残念である。ただ、パワーエックスが大型蓄電池式の超急速EV用充電器を導入する計画があり、それらを応用すれば、すぐにでも移動式充電サービスを展開できそうだ。車両はEVトラックを使用すれば良い。「三菱ふそう・eキャンター」や「いすゞ・エルフEV」といったおあつらえの素材が日本にはある。
移動式の充電サービスは、今後のEVの普及とともに日本でも必要なインフラとなるはず。是非とも国内に普及してほしいサービスだ。
(福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー)
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デイリーEVヘッドライン[2023.07.28]