セダンやマイバッハさえ上回るBEVならではの乗り心地
満充電のEQS450 SUVを都内で受け取り、いざ京都を目指して走り出す。街中での乗り心地はセダンをはるかに上回り、マイバッハGLSよりも優れているとさえ思う。足がしっかりと仕事をこなし車体を震わせたりしないから、重さを必要以上に感じることがない。重厚感はあるというのに、重々しさがない。力のある“電気自動車ならでは”の乗り味だ。
そしてBEVだから静かなことは当然だが、その異次元の静粛性には驚くほかない。防音室に入っているかのようで、不気味なくらいだ。沈黙に耐えきれず、すぐに音楽を鳴らしてしまった。
街中をドライブしていて実はボディサイズもそれほど気にはならなかった。もちろんホテルの駐車場に停めたりする際には気を遣うけれど、街中を走っている分にはそれほど大きいクルマに思えない。着座位置が極端に高くないことと、横長なフロントガラスによって区切られた視界による、いい意味での錯覚もある。もちろん、自分の思い通りに車体がついてくるという感覚があってこそ、だ。
実はEQS SUVのそんな運転しやすさに助けられた場面があった。ちょうど京都へ向かった日の午後は東海エリアに大きな線状降水帯が発生し、豊橋市や豊川市が大水害に遭ったのだが、私も運悪くその時、あのエリアにいたのだ。東名を追い出され、国道1号線の渋滞に痺れを切らして脇道へとそれたとき、前から水が迫ってくるのが見えた。慌ててバックしたのだけれど、その際、とても運転しやすいことに気づいたのだ。夜、視界も悪い中、見知らぬ路地をバックする。慣れたクルマでも難しい。それをこの巨体は難なくこなした!
マフラーのないBEV、最低地上高の高いSUV。交差点が冠水し、水かさがある程度増えてきてもなんとか走りきれたが、こういう時はそもそもクルマを運転してはいけない。