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アバルトは、アバルト500eのローンチエディションである「スコーピオニッシマ(Scorpionissima)」に続き、スコーピオンファミリーにアバルト500eとアバルト500eツーリズモを加えたことを発表した。両車ともにハッチバックとカブリオを用意する。
効率よりも走りや楽しさに振った個性派BEV(バッテリー電気自動車)
アバルト版の500eが発表された。正確にはローンチエディションのスコーピオニッシマに続く、「量産型」の発表となった。
リリースから数字を拾うと42kWhのバッテリーで、“たった”265kmの航続距離となっており、電費(※)は6.31km/kWhと計算できる。ノーマルの「500e」は7.98km/kWh、ライバルとなりそうな同じステランティス・グループのプジョーe-208 GTはノーマル500eとほぼ同値の7.90km/kWhとなる。
この電費数値からも「より航続距離を」というよりも「より楽しい走りを」に振ったクルマであることが読み取れる。
※電費に関しては、以下の数値から算出した。
アバルト500e:バッテリー42kWh、航続距離265km、電費6.31km/kWh、パワー155ps
ノーマル500e:バッテリー42kWh、航続距離335km、電費7.98km/kWh、パワー118ps
e-208 GT:バッテリー50kWh、航続距離395km、電費7.90km/kWh、パワー136ps
ノーマル500eと写真を見比べてもヘッドライト上辺の“眉毛”の部分が光っていないこともあり、より睨みをきかせた顔となっており、ノーマルのかわいさにカッコ良さがプラスされている印象だ。室内もアルカンターラを多用したレーシーな雰囲気にまとめられ、フロントシートの黄色と青のステッチや「サソリ」のエンボス加工がマニア心をくすぐる。
アバルト500eの価格の発表はなかったが、ノーマル500eの日本(アイコングレードが522万円)と欧州(34,990ユーロ、約525万円)での価格差やローンチエディションのスコーピオニッシマ(ハッチバックが43,000ユーロ、約645万円)から推測すると、600万円を超えてくるのではないだろうか。
ただし、ライバル(例えばe-208 GTは512.4万円)よりも多少価格が高かろうが、電費が悪かろうが、アバルト500eにとっては大した問題ではないかもしれない。
それは類稀なる個性を持っていることに加えて、現状のICE(内燃機関)のアバルトが、同じイタリアの“跳ね馬”や“闘牛”のオーナーのセカンドカー(あるいはサードカーかもしれない)としての需要が一定数読めるからだ。近所への買い物など日常の移動にはこれまでのICEアバルトと同様に重宝されることだろう。
イタリア車に限らずともドイツやアメリカ製のBEVのオーナーが普段使いのセカンドカーにコンパクトなアバルト500eを選ぶこともあり得るだろう。
刺激的なコンパクトEVは唯一無二の存在で、BEVの世界に多様性をもたらしてくれそうなアバルト500eの日本での正式発表を楽しみに待ちたい。
※リリースによる車両詳細については次の通り。