チェーンレスで摩耗知らず
この自転車用ハイブリッド・ドライブシステムの主要な利点のひとつとして、チェーンやベルト、ギアリング、スプロケットのほか、機械的駆動部品がないことが挙げられる。このため、従来の電動自転車と比べて、はるかに機械的摩耗が生じにくくなる。
「Free Driveを使用すれば、摩耗したチェーンの交換は過去の遺物となります」と電動モビリティ事業部門の責任者であるヨッヘン・シュレーダー博士は述べている。丈夫で壊れにくい設計でメインテナンスの手間が減ることは、走行時間が増え、修理に費やす時間を減らすことができるため、カーゴ自転車配送業者にとって大きなメリットとなる。一方、カーゴ自転車に乗る人にとっては、服にチェーンオイルが付く心配をしなくてすむ。
革新的な「バイク・バイ・ワイア」コンセプト
これまでの電動自転車のドライブシステムでは、ペダルとモーターを機械的に接続する必要があり、それにより設計に制約があった。「Free Drive」は、その名のとおり、設計の自由度を大幅に高めることができる。自転車設計やペダル位置にまったく新しい可能性を拓くもので、これには二輪、三輪、四輪の、または屋根付き、屋根なしの自転車の設計にも該当する。
またデジタル・バイク・バイ・ワイアというコンセプトは、運転モード間でのギアシフトやギアチェンジがソフトウェアによって行われることを意味している。これを可能とするため、チェーンレス・ドライブシステムのコンポーネントはすべて、CAN(Controller Area Network)を介して相互通信をしている。
今後電動カーゴ自転車は、特にラスト・マイル・デリバリー(お客様へ商品を届ける物流の最後の区間)において、重要なギャップを埋める役割を果たし、都市部のモビリティの形に新たな影響を与えていくことだろう。
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