THE EV TIMES

ニュース
share:

次なるフェーズへ歩むGS。エネオスが「マルチモビリティステーション」を東京・駒沢に開設。電動キックボードなど小型モビリティのシェアリングを展開


TEXT:曽宮岳大
TAG:

電動キックボードに代表される新しい電動モビリティの普及に併せ、その貸出し・返却を行うステーション/ポートが増えつつある。この度、石油大手のENEOS(エネオス)は、さまざまなマイクロモビリティのシェアリング拠点となる「マルチモビリティステーション」の開設を発表した。それは一体、人々の生活にどんな影響を与え、どのような可能性を秘めているのか。

「駅近」という発想に変化を及ぼす次世代ステーション

ガソリンスタンド(GS)の数が減っている一方、EVにスポットをあてたサービスが増加している。石油大手のエネオスは、EV充電サービス「エネオスチャージプラス」を展開すると共に、EVのリースやカーシェアを展開するなど、マイカーユーザーだけでなく、新たなモビリティユーザーに向けたサービスを広げている。そして今回エネオスは、マイクロモビリティと呼ばれる超小型な電気の乗り物をシェアリングする「マルチモビリティステーション」を、2023年2月に東京・駒沢に開設すると発表した。

マイクロモビリティとは、電動キックボード、電動スクーター、軽自動車よりさらに小型な電動小型自動車など、短距離の移動で活躍する取り回しに優れた電動の乗り物のこと。エネオスでは「ラストワンマイルの移動」、つまり電車の駅から目的地までの移動や、これまでバスで移動していた区間など、短距離の移動を快適にするサービスの提供を目指し、「マルチモビリティステーション」を開設する。これはパイロット事業的な側面もあり、利用状況によっては今後の充実が見込めそうだ。

マイクロモビリティを貸し出すシェアリングサービスの便利な点は、乗り捨てが可能なこと。この事業でエネオスとのパートナーとして名を連ねているのは、電動キックボードのシェアリングサービスで実績のあるLUUP(ループ)と、同じく電動アシスト自転車や電動スクーター、電動小型自動車など多彩なマイクロモビリティのシェアリングサービスを行なっているHELLO MOBILITY(ハローモビリティ)。いずれも会員登録をすればスマホのアプリ上から利用手続きから決済までを実現でき、ステーション間の移動(別ステーションでの返却)を可能としている。

すでにLUUPは東京・大阪・横浜・京都に展開エリアを拡大しており、都内には相当数のポート(LUUP専用駐車場)を配備している。これらのマイクロモビリティをうまく利用すれば、目的地まで短時間で効率よく快適に移動することができる。ステーションが電車駅の近くにあれば目的地までの利便性がグッと高まるが、自宅と勤務地の近くにポート/ステーションがあれば、駅自体を利用する必要がなくなるユーザーもいるだろう。その利用を前提とした生活設計が可能になり、住居選びの際、ステーションが近くにあることを望む人が増えると予想される。マイクロモビリティの普及は、従来の「駅近」という発想に変化を起こす可能性を秘めている。

道交法改正により新時代を迎えるマイクロモビリティ

こうしたマイクロモビリティの普及を後押しする要素が他にもある。道路交通法の改正案が可決され、特定小型原動機付自転車という区分が新設されることだ。2023年7月とされる規制緩和以降は、16歳以上であれば電動キックボードに免許不要、ヘルメット不要(努力義務)で乗れるようになる。安全面を考えれば、電動キックボード乗車時にヘルメットを着用するに越したことはないが、努力義務となれば自転車同様に、気軽に乗れる乗り物として普及が進む可能性があるだろう。

エネオスが展開する「マルチモビリティステーション」は、こうしたマイクロモビリティを利用するユーザーのライフスタイルに、さまざまな変化を起こす可能性を秘めている。

場所は、駒沢駅の近くで、国道246号線から1本入った道沿いに位置する。このステーションの場合は、すでに周辺が栄えているが、今後このようなステーションが増え、人が集えば、カフェができたり、周辺が活性化したり、街にさまざまな変化が起きるかもしれない。

ENEOSマルチモビリティステーション
東京都世田谷区駒沢2-3-1

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
米ピータービルト、EVのトレーラーヘッド「579EV」をダラスの業者に納入……デイリーEVヘッドライン[2023.03.24]
「ポールスター2」に230台限定のスポーツモデル「BSTエディション230」登場……デイリーEVヘッドライン[2023.03.23]
HWエレクトロ、中型EVバン「エレモ-K」の先行予約を開始……デイリーEVヘッドライン[2023.03.22]
more
ニュース
大日本印刷と島田理化工業、EV用ワイヤレス給電の実証実験装置を共同開発
横幅いっぱいに表示されるヘッドアップ・ディスプレーをBMWが開発中。「BMWパノラミック・ビジョン」が次期「ノイエクラッセ」に
ランチア、本格的なブランド再生に向け、名門復活の狼煙を上げる
more
コラム
岡崎宏司の「EVは楽しい!」第8回:e-208GTは楽しい!生活で魅力が増していくEV。
お得な充電カードを探せ [ID.4をチャージせよ!:その10]
企業同士の協力が新エネルギーを普及させる……現役EV開発エンジニアによる「スマートエネルギーWeek」探訪後編[THE視点]
more
インタビュー
「こうなる! 2023年の自動車業界!」伝説の自動車アナリスト、中西孝樹教授に訊く:第8回
「分断はやめて、楽しもうよと(笑)」 モデル3オーナー、石井さんに聞くEVコミュニティ事情
「なぜテスラはうまくいったのか?」伝説の自動車アナリスト、中西孝樹教授に訊く:第7回
more
試乗
レベルの高い走り 乗り心地には要改善点も [日産アリア試乗記:その4]
電気自動車の商用車「フォロフライ」EV F1 VANを試乗
「アリア」のベースグレードを買っても後悔しない? [日産アリア試乗記:その3]
more
イベント
企業同士の協力が新エネルギーを普及させる……現役EV開発エンジニアによる「スマートエネルギーWeek」探訪後編[THE視点]
ホンダの電動戦略のカギは脱着式可搬バッテリーにあり……現役EV開発エンジニアによる「スマートエネルギーWeek 春」探訪前編[THE視点]
EVだってもっと自由に楽しめる! CUSCOブランドが提案するEVチューニングの世界
more
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

ARCHIVE

月を選択