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[THE視点]現役エンジニアが見抜いた「日産サクラ」JNCAPファイブスター獲得の要因


TEXT:福田 雅敏 PHOTO:独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)、日産自動車株式会社
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EVの構造はガソリン車と大きく異なる。キャビン床下には「サクラ」の場合は総容量20kWhの重いバッテリーパックを搭載しており、これにも衝突安全基準が存在する。日本の保安基準のほか、乗用EVであれば国連の基準(UN-ECE-R100.02)も適用される。

筆者もこの国連のバッテリー安全規定の認証を国内で初めて受けた経験を持ち、その大変さは重々承知している。

その要件の中には、バッテリーパック搭載状態での圧壊試験が含まれる。特に側面衝突では、限られたボディ幅と大きく取った室内との間の薄いドアやサイドシル部分で衝突時の衝撃を吸収しなければならない。

EVの場合、バッテリーパックも衝撃吸収体の一部と考えられるが、「サクラ」は先に受賞した「デイズ」のプラットフォームを基本としているので、まずそこをしっかりと、おそらく将来のEV化も見据えて設計していたのだろう。ゆえにバッテリーパックと合わせて非常に頑丈なプラットフォームを作ることができたのだ。

ちなみに「7つのエアバッグ」をはじめとする先進安全性機能を標準装備させたのも今回の評価獲得に大きく寄与したものと考えられる。

「サクラ」の受賞で軽自動車の安全性が世界基準に

今回の「ファイブスター賞」獲得は、「日本カー・オブ・ザ・イヤー」の三冠受賞も含めて「サクラ」のユーザーや購入検討者にも大きな喜びと安心を与えた。軽EVが初の最高評価獲得となったことは大変喜ばしいことである。半導体問題などが収束し、希望者が「サクラ」を待たずに購入できる日が早く来ることを期待する。

海外でもEVが安全関連の賞を続々と受賞している。2021年には「ヒョンデ・アイオニック5」が、2022年には「BYDアット3」がユーロNCAPでファイブスターを獲得している。ここに日本独自規格の軽自動車をベースに開発されたEVも「JNCAP」として同じ土俵に乗れたことは、日本の軽EVの安全性の高さが世界的に評価されることにつながるのではないだろうか。

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