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アウディ ジャパン、2023年はEV戦略を加速


TEXT:生方 聡 PHOTO:生方 聡
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アウディe-tron店すべてに150kW急速充電器を設置

e-tronの販売や普及に不可欠なのが、急速充電ネットワークの充実。アウディジャパンでは、e-tronの販売を行う「アウディe-tron店」を対象に、2022年には52拠点に150kW急速充電器の「アウディ・ウルトラ・チャージャー」を設置。2023年はアウディe-tron店にすでに設置されている50kW急速充電器42基と90kW急速充電器8基を150kW急速充電器に置き換える。これにより、150kW急速充電器は102基となり、すべてのアウディe-tron店で150kW急速充電器が利用できるようになる。

この自前の急速充電ネットワークに加えて、アウディとポルシェのEVオーナーが、両ブランドが展開する急速充電器を相互利用できる「プレミアムチャージングアライアンス(PCA)」を2022年10月にスタート。11月にはフォルクスワーゲンが加わり、2022年末時点で210拠点、222基が利用できるようになった。2023年は前述のアウディe-tron店に加えて、フォルクスワーゲン正規ディーラーでも90kW急速充電器の設置が進むため、利用できる急速充電器の数はさらに増えることになる。

加えて、アウディジャパンは、自宅に充電施設のない都市部に住むe-tronオーナーの利便性を高めるために、急速充電サービスを行う施設となる「アウディ・チャージング・ハブ」を東京に開設する計画を明らかにした。ヨーロッパでは、すでにドイツのニュルンベルクとスイスのチューリッヒで稼働しているが、このアウディの都市型充電コンセプトがヨーロッパ以外で設置されるのは初めてである。

パワーエックス社と事業提携を発表

年頭記者会見のあとには、パワーエックス社取締役兼代表執行役社長CEOの伊藤正裕氏とシェーパース氏によるトークセッションが行われた。EVのライフサイクルで発生する二酸化炭素の量を減らすには、EVの充電に使う電気がクリーンであることや、EVユーザーの利便性を高めるには、いまよりもさらに早い急速充電器の普及が不可欠であることで意見が一致した。

それを解決する手段として、パワーエックス社が手がけるバッテリー搭載型超急速充電器「ハイバーチャージャー」がある。これを利用すれば、再生エネルギー由来の電力を蓄積して利用できるとともに、240kWの最高出力により充電時間が短縮できるというのだ。

その後、シェーパース氏から、アウディ・ブランドとパワーエックス社が、充電に関する事業提携の基本合意書を締結したことが発表され、アウディe-tron店へハイバーチャージャーを導入することや、前述のアウディ・チャージング・ハブを共同で設置運営することなどを検討していることが明らかになった。

年頭記者会見とトークセッションをあわせて約1時間のイベントでは、EV(e-tron)とその周辺の話題に終始し、内燃機関のクルマの話はほぼ皆無だったことには驚いた。e-tronにブランドの命運を賭けるアウディジャパン、そして、シェーパース氏の覚悟が伝わってくる1時間だった。



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