#生方 聡
TEXT:生方 聡
バランスの良い仕上がり でも気になることも [トヨタbZ4X試乗記:その4]

EVならではの“Fun to drive”を追求したというbZ4X。その出来映えと気になるところは? バランスの良い走り SUVスタイルを採用するとはいえ、71.40kWhの薄型大容量バッテリーを床下に搭載することで低重心化を図り、コーナリング時の安定性を確保したというbZ4X。実際に走ってみると、その言葉どおり、コーナリング時のロールはSUVとしては良く抑えられており、ハンドリングも素直で安定感が高い。走行時のボディの揺れなども気にならないレベルに仕上がっている。高速走行時の挙動も安定していて、直進性も優秀だ。 乗り心地も十分快適であるが、標準より2インチアップの20インチタイヤを履く試乗車は、路面の粗さを拾いがちで、目地段差を超えたときのショックを遮断しきれないこともしばしば。鋭い衝撃が伝わってこないのが幸いだが、乗り心地や航続距離を考えると、個人的には標準の18インチタイヤ仕様を選びたい。 ところで、今回は雨の中を走ることが多く、リアワイパーのないbZ4Xでは後方が見にくいのが気になった。個人的にはリアワイパーの装着を望むが、駐車時などは「パノラミックビューモニター」があるおかげでずいぶん助けられた。クルマの周囲がリアルタイムで確認できるので、充電ステーションにクルマを寄せる場面などで重宝する。しかも、クルマが透けて見え、床下の障害物を確認しながら動かすのにはとても頼りになった。

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TEXT:生方 聡
「bZ4X」で世界に挑むトヨタ [トヨタbZ4X試乗記:その1]

EV専用プラットフォームを採用する「bZ」シリーズ第一弾として登場した「bZ4X」に試乗。まずはどんな特徴を持つEVであるのか、価格や販売方法などを含めて探ってみることにしよう。 EVづくりでスバルとタッグを組む 「プリウス」などのハイブリッド車で電動化をリードしてきたトヨタが、新たに開発したEV専用プラットフォーム「e-TNGA」を用いて世に送り出すのが「bZ」シリーズ。その第一弾となるのが、ミドルサイズSUVタイプの「bZ4X」である。 EV専用モデルを開発するにあたって、トヨタはスバルと再びタッグを組み、bZ4Xの兄弟車にあたる「ソルテラ」をスバルが市場に投入しているのはご存じのとおりだ。 bZ4X(とソルテラ)が戦いを挑むのは、いまもっとも熱気を帯びるCセグメントだ。写真で見るかぎりはライバルよりもコンパクトな印象のbZ4Xだが、全長4,690×全幅1,860×全高1,650mmのボディは「日産アリア」や「フォルクスワーゲンID.4」よりもさらに長く、ホイールベースも2,850mmとこのクラスではトップレベルだ。 この長いホールベースの床下には、総容量71.40kWhの薄型の駆動用リチウムイオン・バッテリーが搭載されている。駆動方式はFWD(前輪駆動)と4WDの2種類が用意され、前者はフロントに最高出力150kWの電気モーターを1基搭載する一方、後者は80kWのモーターを前後1基ずつ配置している。一充電走行距離は、標準の18インチ仕様の場合でFFが559km、4WDが512km。オプションの20インチを選ぶと、それぞれ540kmと487kmと短くなる。

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TEXT:生方 聡
このスピードはBYDならでは! [BYD アット3試乗記:その3]

150kWの電気モーターで前輪を駆動するアット3。その加速を、さまざまな場面で試してみる。 ※走行シーンはオーストラリア仕様。試乗は日本仕様で行っています 流行のスタイルとは違う リモコンキーを身につけていれば、ドアハンドルにタッチするだけでキーのロック/アンロックができる「キーレスエントリー」は、いまやポピュラーな装備。このアット3にも標準で装着されているし、カードキーをドアミラーにかざしてロック/アンロックができる機能も搭載されている。ただ、他の最新モデルでは、ドアハンドルに軽く触れるだけで操作ができるのに対して、アット3では小さい四角いボタンを押す必要があり、ボタンが用意されるのも運転席のドアに限られる。 加えて、パワートレインの始動にはセンターコンソールのプッシュボタンを押してやらなければならないし、ステアリングホイールのスイッチはタッチ式ではなく昔ながらのプッシュ式だ。もちろん、走行するうえで困るものではないが、「流行のスタイルを採用しないことでコストを抑えているのかな!?」というのが私の感想だ。 ブレーキを踏みながらスタートボタンを押してシステムを起動。センターコンソールにある大きめのシフトスイッチを操作すれば動き出す準備は完了である。ちなみに、日本仕様のアット3はウインカーレバーが日本車と同じ右側にある。 走行モードはセンターコンソールの右手前にあるスイッチで選択し、まずはNORMALで走り出すことにした。アクセルペダルを軽く踏むかぎりは、アット3の動き出しや加速はとても穏やか。EVらしい勢いの良い加速を期待すると肩透かしを食らうかもしれない。それでも、加速そのものはスムーズで余裕が感じられるし、同じクラスのEVに比べて動きの軽さが際だつ印象だ。 アクセルペダルを踏み増せば、余裕ある加速が味わえる。さらに奥までいっぱい踏み込むと、ようやくEVらしい力強さが体感できた。走行モードをSPORTに切り替えると、アクセルレスポンスは素早くなるが、力強く加速させるには、やはりアクセルペダルを奥まで踏みつける必要がある。一方、ECOモードはNORMALよりも反応が穏やかになるが、それでも十分活発なドライビングが可能である。

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TEXT:生方 聡
クセ強め! 「アット3」のデザインについていけるか? [BYD アット3試乗記:その2]

ついに日本に上陸したBYDのEV第一弾「アット3」。さっそくエクステリアやインテリアをチェックしてみた。 ユニークなデザイン アット3を試乗する前日、たまたまサービスエリアで急速充電中のアット3に遭遇した。見覚えのない後ろ姿に「あのクルマは何だろう?」と興味津々で近づいていくと、ようやく途中でアット3と気づいたのだが、そのクリーンでスタイリッシュな雰囲気には好感を抱いた……というのが私の第一印象である。Dピラーをボディとは異なるシルバーのパネルで装飾するあたりは「アウディQ2」や「フォルクスワーゲンID.4」とイメージが重なるが、BYDの文字をあしったシルバーの細いパネルが特徴のフロントマスクに見慣れてくれば、遠くからでもアット3とわかるようになるのだろう。 一方、インテリアデザインには戸惑うところも。コックピットは奥行きのあるダッシュボードや、スイッチ類を排したセンタークラスター、ステアリングコラムに置かれた小さいデジタルメーターなどにより開放的な雰囲気。ダッシュボード中央に据えられた12.8インチの大型ディスプレイには、スイッチひとつで縦向きと横向きが切り替えられるギミックが仕掛けられている。 センターコンソールを見るとダッシュボード側に半円状のスロットが並んでいたり(実はエアコンの吹き出し口)、ドアのトゥイーターの上にドアハンドルがあったり、ドアポケットにギターの弦のような装飾が施されていたり……。遊び心に溢れているというか、自由過ぎるというか、クセの強さに正直なところ最初は驚いた。ただ、全体としてはエクステリアデザイン同様、スタイリッシュな印象であり、EVという新しい時代のクルマが楽しめる雰囲気にまとめられているといえるだろう。

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TEXT:生方 聡
BYDの世界戦略モデル「アット3」(ATTO 3)がついに日本上陸 [BYD アット3試乗記:その1]

2022年のEV/PHEV/FCVの販売台数世界一を誇るBYDが、日本市場向け第1弾として投入したミドルサイズSUVタイプのEV「アット3(ATTO 3)」に試乗。BYDが世界戦略モデルと位置づけるアット3とは? 2023年の台風の目に 日本のEV市場において、2022年のビッグニュースとして真っ先に頭に浮かぶのが、韓国のヒョンデがEVの「アイオニック5(IONIQ 5)」とFCVの「ネッソ(NEXO)」を引っ提げて日本再上陸を果たしたことだ。黒船来航とも言われたヒョンデ・アイオニック5だが、2023年、それを上回るインパクトとなりそうなのが、中国のBYDが日本の乗用車市場に参入したこと。ミドルサイズSUVタイプのアット3を440万円という低価格で発売したのが、間違いなく台風の目になるだろう。 日本ではまだ馴染みが薄いBYDだが、2022年のEV/PHEV/FCVの販売台数では、アメリカのテスラを抑えて世界ナンバーワンの座に輝くグローバルカーメーカー。もともとバッテリーメーカーとして創業したという背景もあり、EVの核となるバッテリーをはじめ、モーターやコントローラーといった主要部品を自社で開発・製造できる強みを持ち、EVバスやEVフォークリフトの分野ではひとあし先に日本への上陸を果たしている。そのBYDが、日本の乗用車市場向け第1弾として投入したのが、このアット3である。 アット3が参入するのは、内外のメーカーが鎬を削るミドルサイズSUVセグメント。「トヨタbZ4X」、「スバル・ソルテラ」、「日産アリア」といった日本勢に加えて、「ボルボC40/XC40リチャージ」、「メルセデス・ベンツEQB」、「アウディQ4 e-tron」、「フォルクスワーゲンID.4」、ヒョンデ・アイオニック5などの輸入車勢と、手強いライバルがひしめいているが、そのなかでアット3に注目するのには理由がある。

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TEXT:生方 聡
[ボルボC40/XC40 Recharge試乗記]EVブランドへと向かうボルボの先鋒 その4 1モーターか2モーターか

気軽に乗れる1モーター スポーツカー顔負けのパフォーマンスを示すC40リチャージ・ツインモーターに対して、XC40リチャージ・シングルモーターは動きが軽い印象。モーターの最大トルクはツインモーターの半分だが、モーター1基ぶんとバッテリー容量を減らしたおかげで車両重量は150kg軽く、発進から余裕ある加速を見せてくれる。ツインモーターの痛快さはないが、どんな場面でもその速さに不満を覚えることはなかった。 加速だけでなく減速の印象もツインモーターとは異なる。ツインモーターの場合、One Pedal Driveがオンの状態でアクセルペダルから足を離すと強めに回生ブレーキが効くが、シングルモーターでは効きが穏やかになり、多くの人が、こちらのほうが扱いやすいと感じるだろう。ツインモーターと比べると、シングルモーターの乗り心地はマイルドで、快適性ではシングルモーターに軍配が上がりそうだ。 ただ、シングルモーターは前輪駆動ということもあり、フル加速時にステアリングが乱されることがあった。その点、ツインモーターは、4WDならではの高い接地感が確保され、さらに加減速時の安定感、フル加速時の高いトラクション性能など、ダイナミックな性能の高さは実に魅力的。私が選ぶなら、C40リチャージ、XC40リチャージともに、100万円高いツインモーターかなと思うし、その中身を考えればC40リチャージ・ツインモーターの759万円、XC40リチャージ・ツインモーターの739万円は十分に納得がいく価格といえる。

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TEXT:生方 聡
[ボルボC40/XC40 Recharge試乗記]EVブランドへと向かうボルボの先鋒 その3 EVらしさを前面に

300kWの鋭い加速 まずはパワフルな走りが自慢のC40リチャージ・ツインモーターを試す。運転席に収まり、システムの始動ボタンを探すがどこにも見当たらない。それもそのはずで、いまどきのEVらしく、システム始動の儀式は不要で、リモコンキーが車内にあれば、あとはシートに座り、ブレーキを踏みながらシフトレバーを操作すれば、発進の準備は完了するのだ。ちなみに、フォルクスワーゲンID.4でも同様に準備は整うが、始動ボタンは見えにくい場所に備わっている。 さっそくDレンジを選んで走り出したいところだが、その前にひとつ確認しておきたいことあがる。C40/XC40リチャージでは、走行中にアクセルペダルを離したときの動きを、ドライビング設定で選ぶことができるのだ。「One Pedal Drive」の項目をオンにすれば、アクセルペダルを離したときに強めの回生ブレーキが効き、最終的にはクルマが完全停止する、いわゆる“ワンペダルドライブ”が利用可能になる。一方、One Pedal Driveをオフにすれば、アクセルペダルを離したときに回生ブレーキが効かない惰力走行になる。ワンペダルドライブが無効のときには、ブレーキペダルから足を離したときにゆっくりと動くクリープがあるので、車庫入れなどではこのモードが使いやすい。 とりあえずOne Pedal Driveをオンにして走り出すことにする。アクセルペダルを軽く踏むだけで、C40リチャージ・ツインモーターは力強く発進。カタログを見ると、前後モーターともに最大トルクの330Nmを0〜4,350rpmで発揮するとあり、動き出しの力強さはまさにEVの醍醐味といえるものだ。クルマが動き出したあとも、アクセルを軽く操作するだけで意のままに速度を上げてくれるだけに、ストレス知らずのドライブが楽しめる。

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TEXT:生方 聡
アウディ ジャパン、2023年はEV戦略を加速

アウディジャパンは、1月20日、年頭記者会見「Audi New Year Press Conference 2023」を東京都内で開催し、2023年も引き続き充電ネットワークの拡充に努め、EVの販売比率を2022年の約3倍となる12%まで増やしたい考えであることを明らかにした。 会場には「アウディS1 e-tron クワトロ・フーニトロン」も 会場となった都内のホテルには、開場前から多くのメディア関係者が詰めかけた。記者会見場に入ると、アウディジャパンが現在販売している「e-tron」と呼ばれるEVが展示され、その中心にはアウディのアンバサダーを務めたプロドライバーのケン・ブロック氏と共同開発した「アウディS1 e-tron クワトロ・フーニトロン」が据えられていた。この車両は翌1月21日から2月5日まで都内3ヵ所で特別展示が予定されているもの。それにしても、会場内の展示がすべてe-tronとは思い切ったものだ。 記者会見の冒頭には、1月2日に不慮の事故で急逝したケン・ブロック氏に触れ、彼の死を悼むとともに、彼がS1 e-tron クワトロ・フーニトロンを米国ラスベガスで操る映像が披露された。 これに続き、アウディジャパンでブランドディレクターを務めるマティアス・シェーパース氏が、2022年の業績を振り返るとともに、2023年の展望を語った。 2022年のアウディの新車登録台数は20,750台と、前年の92.1%に留まった。世界的な半導体不足により新車の生産が遅れ、日本市場もその影響を受けたかたちだ。その一方で、e-tronの販売は808台を記録し、全体に占めるEVの比率は約3.9%と、前年の約1.5%を大きく上回る結果になった。これには従来から販売されている「e-tron/e-tronスポーツバック」、「e-tron GTクワトロ/RS e-tron GT」に加えて、スポーツモデルの「e-tron S/e-tron Sスポーツバック」や、今後主力となるコンパクトSUV型EVの「Q4 e-tron/Q4スポーツバックe-tron」の投入が貢献している。 Q4 e-tron/Q4スポーツバックe-tronには約2,000台の受注があり、2023年生産分はすでに完売している状況だという。アウディジャパンとしては、2023年はQ4 e-tronシリーズの未納車分に加えて、これまで供給が滞っていたe-tron GTシリーズも輸入台数が拡大するとの見通しや、フェイスリフトによりe-tronシリーズから生まれ変わる「Q8 e-tron」の導入などにより、全販売台数に占めるEVの比率を2022年に約3倍となる12%まで引き上げたい考えだ。

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TEXT:生方 聡
VWグループ、2022年のEV世界販売台数は57万2100台で26%増

フォルクスワーゲン・グループは、1月12日、2022年のEV販売台数が前年比26%増となる57万2100台に上ったと発表した。 フォルクスワーゲン・グループは、フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェ、ランボルギーニ、ベントレーといった乗用車ブランドに加えて、フォルクスワーゲンの商用車部門や、マン、スカニアといったトラック部門など、さまざまなブランドを傘下に擁している。 2022年のグループ全体の世界販売台数は、部品の供給不足や一時的な生産停止などの影響で、前年から6.9%減の8,262,800台に留まったが、EVの販売台数は452,8100台から26.3%増の572,120台に伸ばす結果になった。総販売台数に占めるEVの割合も、2021年の5.1%から6.9%に上昇している。   2022のEV販売台数 2021のEV販売台数 増減(%) フォルクスワーゲン(乗用車) 325,100 263,100 +23.6 シュコダ 53,700 49,100 +9.3 セアト/クプラ 31,400 13,000 +140.8 フォルクスワーゲン(商用車) 7,500 3,600 +109.0 アウディ 118,200 81,900 +44.3 ランボルギーニ/ベントレー 0 0 —— ポルシェ 34,800 41,300 -15.7 マン 900 800 +3.5 フォルクスワーゲン(トラック&バス) 0 0 —— スカニア 260 0 —— ナビスター 260 10 —— 合計 572,120 452,810 +26.3 […]

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TEXT:生方 聡
[VW ID.4試乗記]ID.シリーズの世界戦略車「ID.4」:その 4

乗り心地に貢献するタイヤ 運転中に気になったのが、ブレーキペダルを踏んで減速するときの感覚。Dモードではアクセルペダルから足を離しても減速せず、ブレーキペダルを踏んではじめて減速を開始するのだが、軽めのブレーキではフロントタイヤが路面に食いつく感じがない。これが少し頼りなく思えるのである。ID.4には前:ベンチレーテッドディスク、後:ドラム(!)ブレーキが搭載されるが、軽くブレーキペダルを踏む状況では前後のブレーキは使わず、リアアクスルのモーターによる回生ブレーキだけで減速を行っている。それがやや頼りないブレーキフィールを生んでいるのだ。このあたりは慣れの問題で、ブレーキペダルを踏んでもクルマが前につんのめる動きをみせないまま穏やかに減速する感覚は、慣れれば悪くない。ところで、ID.4 プロ・ローンチエディションには、前235/50R20、後255/45R20の「モビリティタイヤ」が装着されている。モビリティタイヤとはいわゆる“シールタイヤ”のこと。トレッド内側のインナーライナー上に粘着性の高いシール層を配することにより、釘やネジがタイヤのトレッド部に刺さり内部に達したとしても、シーラント剤が釘などを包むように粘着して空気の漏れを防ぐ。また、釘などが抜け落ちてもパンク穴をふさいでくれるため、パンクで走れなく事態が減り、スペアタイヤも不要である。ランフラットタイヤと異なり、乗り心地が悪化しないのもうれしい点だ。 試乗会場で確認するかぎり、ID.4 プロ・ローンチエディションにはブリヂストン、ピレリ、ハンコックのタイヤが純正装着されており、私たちが試乗したクルマにはブリヂストンの「トランザ エコ」という低燃費タイヤが装着されていた。前:マクファーソン・ストラット、後:マルチリンクのサスペンションは、電子制御のダンピングコントロールを持たず、20インチのタイヤ&ホイールとの組み合わせでは粗い乗り心地を覚悟していたが、良い意味で予想を裏切られることに。 “RR”BEVならではの走り 走り出すと、タイヤと路面とのコンタクトはスムーズで、乗り心地も思いのほかマイルド。重たいタイヤとホイールを履くわりにはバタつくこともないし、目地段差を超えたときのショックもうまく遮断されている。走行時の動きは落ち着いており、高速走行時のフラットさもまずまず。車両の低い位置に重量物のバッテリーを搭載するおかげで、低重心化が図られ、SUV特有の前後左右の揺れもよく抑えられている。走行中のロードノイズやパターンノイズ、さらに風切り音なども気にならないレベルだ。 高速走行時の直進安定性も良好。一方、コーナーでは、後輪駆動らしい素直で軽快なハンドリングが味わえる。初代ゴルフ以来、基本的にはFFレイアウトを採用してきたフォルクスワーゲンだけに、ID.4の爽快な走りはとても魅力的かつ新鮮なものだった。短時間の試乗だったため、電費や急速充電能力などは確認できなかったものの、スタイリッシュなエクステリアや魅力的なインテリア、スムーズで余裕ある加速性能、快適で楽しい走りなど、その高い仕上がりには目を見張るばかりのID.4。BEVにかけるフォルクスワーゲンの本気が感じられる一台である。 VW ID.4 Pro Launch Edition スペック 全長:4,585mm 全幅:1,850mm 全高:1,640mm ホイールベース:2,770mm 車両重量:2,140kg 乗車定員:5名 交流電力量消費率:153Wh/km(WLTCモード) 一充電走行距離:561km(WLTCモード) 最高出力:150kW(204ps)/4,621-8,000rpm 最大トルク:310Nm(31.6kgm)/0-4,621rpm バッテリー総電力量:77.0kWh トランスミッション:1段固定式 フロントサスペンション:マクファーソン・ストラット式(スタビライザー付) リアサスペンション:マルチリンク式(スタビライザー付) フロントブレーキ:ベンチレーテッドディスク リアブレーキ:ドラム タイヤサイズ:前235/50R20、後255/45R20 車両本体価格:6,365,000円

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