試乗
share:

[VW ID.4試乗記]ID.シリーズの世界戦略車「ID.4」:その 2


TEXT:生方 聡 PHOTO:小河原 認
TAG:

好印象だが、気になる点もあるインテリア

エクステリア以上に好印象なのが、ID.4のインテリアだ。ステッチがアクセントのブラウンのレザレット(人工皮革)がダッシュパネルやシートに施され、シンプルなデザインながら、とても上質に仕立て上げられている。さらに、今回試乗する上級グレードのID.4 プロ・ローンチエディションでは、ルーフに広がるパノラマガラスルーフのおかげで、明るく開放的な雰囲気が楽しめる。

ただ、シンプルなデザインと引き換えに、操作しにくいという難点も。たとえばエアコンの操作は、温度の上下は中央のタッチパネル下にあるタッチスイッチが使えるが、それ以外は設定画面を呼び出し、タッチパネルを操作する必要がある。運転席側にあるパワーウインドーのスイッチも、後席の窓を操作するには「REAR」の部分に触れてから開閉スイッチを上げ下げしなければならず、いままでよりひと手間増えるうえに、スイッチに視線を落とす必要があるのが煩わしい。

センターディスプレイは、ID.4 ライト・ローンチエディションには10インチ、ID.4 プロ・ローンチエディションには12インチのタッチパネルが搭載される。日本に導入される他のフォルクスワーゲン車と異なり、ID.4ではナビゲーションシステムの設定がなく、コネクテッド機能も備わらない。ナビゲーションシステムについては、最新のフォルクスワーゲンのそれが、お世辞にも使いやすいとはいえないことから、スマートフォン連携機能を利用すれば済むことだ。しかし、コネクテッド機能が搭載されないのは、離れたところから充電の操作をしたり、乗車前にエアコンのスイッチを入れておくといった便利な機能が搭載されないことを意味するだけに、できるだけ早い改善を望みたい。

センターディスプレイに比べてかなり小振りなのが、ドライバーインフォメーションディスプレイと呼ばれるメーターパネル。5.3インチのディスプレイには、速度表示のほか、ドライビングデータ、アシスタンスシステム、ルート案内の矢印などを選択して表示することが可能だ。ステアリングコラムに直付けされており、ステアリングと一緒にチルト/テレスコピック調整ができるので、思いのほか見やすい。なお、ルート案内表示はCarPlayでApple標準のマップアプリを使用するときにかぎられる。

充実装備と広々室内

ドライバーインフォメーションディスプレイの右側には、ドライブモードセレクターが設けられている。ステアリングホイールから少し手を伸ばすだけで届き、視界に入る場所にあることから、前進/後退、パーキングの切り替えが簡単にできるのは実に便利だ。ステアリングホイールのスイッチはタッチ式で、左側でアダプティブクルーズコントロール、右側でオーディオの操作ができる。ID.4 プロ・ローンチエディションには、総出力450Wの12チャンネルアンプと、6スピーカー+サブウーファーが備わるフォルクスワーゲンサウンドシステムが搭載されるが、ゴルフ8に設定される“Harman Kardon”プレミアムサウンドシステムに迫る気持ちのいい音が楽しめるのがうれしい。

マイクロフリースとレザレットを組み合わせたフロントシートには、電動の調整機能に加えて、マッサージ機能(ただし運転席のみ)が備わる。シートヒーターやステアリングヒーターなど、少ない電力で効率的に身体を温められる機能もBEVには不可欠だ。一方、リアシートは、ロングホイールベースの恩恵で楽に足が組める余裕があり、また、センタートンネルがないおかげで横の移動が楽に行える。

ラゲッジスペースは、後席を使用する状態でも約90cmの奥行きが確保され、2分割式の後席を倒せば180cmほどに拡大。これなら流行の車中泊も快適だろう。荷室のフロア下には深さ約15cmの収納スペースがあり、充電ケーブルなどを収めるには十分な広さが確保されている。

VW ID.4 Pro Launch Edition スペック
全長:4,585mm
全幅:1,850mm
全高:1,640mm
ホイールベース:2,770mm
車両重量:2,140kg
乗車定員:5名
交流電力量消費率:153Wh/km
(WLTCモード)
一充電走行距離:561km(WLTCモード)
最高出力:150kW(204ps)/4,621-8,000rpm
最大トルク:310Nm(31.6kgm)/0-4,621rpm
バッテリー総電力量:77.0kWh
トランスミッション:1段固定式
フロントサスペンション:マクファーソンストラット式(スタビライザー付)
サスペンション:マルチリンク式(スタビライザー付)
フロントブレーキ:ベンチレーテッドディスク
ブレーキ:ドラム
タイヤサイズ:前235/50R20、後255/45R20
車両本体価格:6,365,000円
TAG:

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
ブレーキダストを封じ込めて環境対策! メルセデス・ベンツが開発したEVならではの技術「インドライブ・ブレーキ」ってどんなもの?
ヒョンデの魅力を日本に伝える新たな拠点! 「ヒョンデ みなとみらい 本社ショールーム」がグランドオープン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
more
ニュース
新型リーフを筆頭に世界中に新型EVを投入して戦力底上げ! 日産が今後の経営戦略を発表
BEV用の新開発プラットフォーム「PPE」初採用! アウディQ6 e-tron/SQ6 e-tronがついに日本デビュー
交換式バッテリーの実用化は商用・フリートから! 米Ample社と三菱ふそうが提携し都内で実証実験開始
more
コラム
結局「全固体電池」ってなに? どんなメリットがある? 「夢の電池」と言うには時期尚早な次世代バッテリーの中身
「セダンであり、5ドアクーペであり、SUV的でもある」という謎の表現! でも確かにカッコイイ「ボルボES90」をデザインのプロはどう見る?
そういや「スマートグリッド」ってドコいった? EVを蓄電池として利用する流れのいま
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
ボルボEX30で11時間超えの1000km走行チャレンジ! 課題は90kWまでしか受け入れない充電性能
more
イベント
災害時にも活躍できるEVの可能性を淡路島で体験! 「AWAJI EV MEET 2025 from OUTDOOR FEELS」開催決定
売り物ではなく概念を展示するモデリスタ! 正体不明なトヨタbZ4Xはブランドの「新化」という概念を示すスタディモデルだった【大阪オートメッセ2025】
子どもに大人気の電動バギーに大迫力のエアロキットや色が変わるフィルムまで登場! 大阪オートメッセのEV関連出展物はどれもユニークすぎた
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択