THE EV TIMES

#VW
TEXT:生方 聡
電気自動車のドライブ、寒い日は要注意!? [ID.4をチャージせよ!:その8]

「電気自動車は寒さに弱い」という話をよく耳にします。実際、ID.4ではどうなのか、電費や充電の速さ、エアコンの効きなどを振り返ります。 「EVは寒さに弱い」は本当だった! 「このまえID.4で雪山に行ったら、電欠しそうになった」 先日、同業のライターからそんな話を聞きました。バッテリー残量に余裕があると思っていたのに、実際はギリギリだったと。私も以前、フォルクスワーゲンeゴルフに乗っていたときに同じような経験をしました。しかも、なんとか辿り着いた急速充電ステーションではなかなか充電が進まず、“寒さはEVの敵”と思い知らされたのです。 「EVは寒さに弱い」というのは事実で、ウチのID.4 プロでも、気温が10℃を下まわるようになると平均電費の数字が明らかに下がってきます。一般道では、それまでは6〜7km/kWhを示していたものが、4〜5km/kWhと3〜4割低くなり、それにあわせて走行可能距離も短くなるわけですから、油断は大敵です。 では、実際どのくらい電費が下がるのか、高速道路で比較してみました。 気温[℃] 平均速度[km/h] 電費[km/kWh] エアコン 備考 13.0 94 6.4 ON 3.0 95 5.2 ON 4.0 97 5.9 OFF -1.0 98 5.1 ON スタッドレスタイヤ装着 上の表は高速道路の同じ区間(常磐自動車道 守谷SA〜友部SA)を、ACCを100km/hに設定して走ったときの電費です。ただし、リアルな世界でチェックした電費ですので、気温以外の状況を完全に揃えることはできず、あくまで傾向を把握するための数字とご理解ください。 気温が13℃のときの電費を基準とすると、気温が3℃に下がると2割弱も電費が悪化しました。その要因のひとつとしてエアコンの消費電力が増えることが考えられます。 それでは、エアコンをオフにし、シートヒーターだけでガマンするとどうなるでしょうか? 実際に試してみると電費低下は1割ほどにとどまりました。とはいえ、エアコンをガマンしても電費の悪化をゼロにすることはできません。これは気温の低下にともない、駆動用リチウムイオン・バッテリーの働きが鈍くなるからです。スタッドレスタイヤを装着すると、若干ではありますがさらに電費が低下しました。 気温が低いと充電にも影響が出ます。リチウムイオン電池の働きが鈍い状態で無理に急速充電を行うとバッテリーを傷める恐れがあり、それを防ぐために充電量を抑制することがあるのです。実際、いつも利用している50kW急速充電器で、ふだんなら40〜47kWで充電できるのが、気温が低く、バッテリー温度が低い状況では20kW台とほぼ半分の出力に落ちることもありました。 最新のEVのなかには、急速充電前にバッテリーを温める機能が備わるものもありますが、ID.4ではそういった機能は備わっていないため、バッテリーが冷えた状態でいきなり急速充電せず、ある程度走行したあと、バッテリーが温まっているうちに急速充電するよう心がけています。

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TEXT:生方 聡
「ID.4」は雪道が苦手ってホント?[ID.4をチャージせよ!:その7]

リアモーター、リアドライブのID.4は雪道が苦手——そんなイメージが本当かどうか確かめるため、スタッドレスタイヤを装着したID.4 プロ・ローンチエディションで雪の裏磐梯までドライブに出かけました。 15年ぶりの“鉄チンホイール” ID.4を購入するにあたって、ずっと気がかりだったのが雪道での走行性能です。日本で販売されるID.4は、ID.4 プロ、ID.4 ライトともに、リアアクスルにモーターを搭載し、後輪を駆動するRRを採用しています。FF(フロントエンジン、フロントドライブ)や4WDに比べて雪道に弱いというイメージがあり、本当にそうなのかどうか、実際に運転して確かめたいと思っていました。 そしてついにそのチャンスが到来! 愛車のID.4 プロ・ローンチエディションの納車が昨年の11月末で、そこからホイールとスタッドレスタイヤを手配したため、この2月に入ってようやく準備が整ったのです。 ID.4 プロ・ローンチエディションには20インチのアルミホイールと、前235/50R20、後255/45R20サイズのタイヤが標準装着されていますが、スタッドレスタイヤ用として、エントリーグレードのID.4 ライトに設定されている純正スチールホイールを購入。サイズは2インチダウンの18インチですが、ID.4 プロ・ローンチエディションには問題なく装着できますし、20インチのアルミホイールに比べて、かなり安上がりなのが決め手でした(笑) さらに、ID.4はリアのブレーキがドラム式で、自慢げに見せるものでもないので、スチールホイールのほうが好都合です。“鉄チンホイール”を履くのはなんと15年ぶり! これに、ID.4 ライトと同じ235/60R18サイズの「ミシュランX-ICE SNOW SUV」を組み合わせました。

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TEXT:生方 聡
[ID.4をチャージせよ!:その6]「e-Mobility Power」ネットワークは頼みの綱

自宅に充電設備がない私にとって、なくてはならないのが急速充電できる充電スポット。なかでも「e-Mobility Power」(以下eMP)の充電ネットワークは頼みの綱です。 コンビニからサービスエリアまで 前回のコラムでは、フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェの各オーナーが利用できる「プレミアムチャージングアライアンス(PCA)」を紹介しました。いまのところ比較的空いていて充電スピードも早いということで便利に使っていますが、2022年末の時点で全国に222基の設置で、高速道路などでは利用できないことから、おもに利用しているのがeMPの充電ネットワークです。 eMPの充電ネットワークは、急速充電器だけでも全国に約7,800口(2023年3月時点)あり、日産や三菱、トヨタ、メルセデス・ベンツ、BMWといった自動車ディーラーをはじめ、高速道路のサービスエリア/パーキングエリア、道の駅、ショッピングモール、コンビニエンスストア、ガソリンスタンドなど、さまざまな場所にある急速充電器が、専用の充電カードをかざすだけで利用できます。 フォルクスワーゲン・ジャパンでも、ID.4やeゴルフのオーナー向けに、eMPの充電ネットワークが利用できる「フォルクスワーゲン充電カード」(以下、VW充電カード)を用意していて、私もすでに入手したことは[ID.4をチャージせよ!:その3]で紹介しました。 実は以前eゴルフを所有していたときにもVW充電カードを利用していましたが、その当時と現在では料金体系が異なっています。eゴルフのときに加入していた「プレミアムプラン」では、月額5720円で急速充電と普通充電がなんと使い放題! 最強の充電カードといっても過言ではありませんでした。残念ながらこのプランはeゴルフオーナー専用で、2022年12月31日で新規受付は終了しています。 代わりに登場したのが「普通・急速充電器併用プラン」です。会費が月額7810円に値上がりしたうえに、急速充電は1分あたり16.5円、普通充電は2.75円の料金が発生します。月90分の急速充電料金が含まれているので、実質の月会費は6325円ということになりますが、eMP自身が発行する充電カードと比べて割高です。ただ、ID.4を新車で購入した場合、月会費が1年間無料となるので、そのあいだはVW充電カードを利用しない手はありません。

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TEXT:生方 聡
[ID.4をチャージせよ!:その5]90kW急速充電はこんなに速い!

「ID.4をチャージせよ!」は連載5回目にしてようやく“チャージ”、すなわち、実際に充電する話題に漕ぎ着けました。まずは「プレミアムチャージングアライアンス」の90kW急速充電をチェックします。 最高75kWをマーク! ID.4オーナーは、フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェの各ディーラーにある90kW超の急速充電器が相互に使用できる「プレミアムチャージングアライアンス(PCA)」が利用できます。[ID.4をチャージせよ!:その3]で触れたとおり、すでにPCAの加入手続きを済ませているので、いつでも利用することが可能な状態です。 使い方は簡単で、クルマに充電プラグを挿し、PCA専用アプリで充電器のQRコードを読み取り、あとはアプリの指示にしたがって進めていけば、自動的に充電が始まります。果たして、どれくらいの電力で充電できるでしょうか? ID.4ではセンターディスプレイで充電中の電力をリアルタイムに確認することができます。ずっと監視している必要はないのですが、面白いので眺めていたら最高で75kWをマーク! 90kW急速充電器といっても実際には90kWで充電が行われるわけではなく、その数字より低めというのが現実です。フォルクスワーゲン・ジャパンの担当者によれば、90kW急速充電器で75kWというのはほぼ最速とのこと。それでも、40〜50kW急速充電器に比べて2倍近いパフォーマンスです。ちなみに、150kW急速充電器では94kWが上限。本来125kWの急速充電に対応するID.4ですが、日本の環境ではその実力が発揮しきれないのが残念なところです。

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TEXT:生方 聡
VWグループ、2022年のEV世界販売台数は57万2100台で26%増

フォルクスワーゲン・グループは、1月12日、2022年のEV販売台数が前年比26%増となる57万2100台に上ったと発表した。 フォルクスワーゲン・グループは、フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェ、ランボルギーニ、ベントレーといった乗用車ブランドに加えて、フォルクスワーゲンの商用車部門や、マン、スカニアといったトラック部門など、さまざまなブランドを傘下に擁している。 2022年のグループ全体の世界販売台数は、部品の供給不足や一時的な生産停止などの影響で、前年から6.9%減の8,262,800台に留まったが、EVの販売台数は452,8100台から26.3%増の572,120台に伸ばす結果になった。総販売台数に占めるEVの割合も、2021年の5.1%から6.9%に上昇している。   2022のEV販売台数 2021のEV販売台数 増減(%) フォルクスワーゲン(乗用車) 325,100 263,100 +23.6 シュコダ 53,700 49,100 +9.3 セアト/クプラ 31,400 13,000 +140.8 フォルクスワーゲン(商用車) 7,500 3,600 +109.0 アウディ 118,200 81,900 +44.3 ランボルギーニ/ベントレー 0 0 —— ポルシェ 34,800 41,300 -15.7 マン 900 800 +3.5 フォルクスワーゲン(トラック&バス) 0 0 —— スカニア 260 0 —— ナビスター 260 10 —— 合計 572,120 452,810 +26.3 […]

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TEXT:生方 聡
[ID.4をチャージせよ!:その4]気になる「電費」はどのくらい?

いきなり8.6km/kWhをマーク 充電サービスの準備が整ったところで、ずっと気になっていた「電費」をチェックしてみることに。すでにメディア向け試乗会でID.4 プロ・ローンチエディションをドライブする機会はありましたが、短時間・短距離の走行だったため、参考にできるような電費が計測できなかったのです。 まずは、走り慣れた有料道路を乗り継ぎ、のんびりとドライブ。途中で停まることはなく、また、高速道路に比べると遅い流れにあわせて走ったところ、なんと8.6km/kWhをマーク! ちなみに、エアコンはオンの状態です。 「8km/kWh超えはすごい!」といわれてもピンとこないでしょうが、このクラスのEVとしてはかなり立派です。 カタログによると、ID.4 プロ・ローンチエディションの燃費は次のとおりです。 交流電力量消費率 換算値  WLTCモード 153Wh/km 6.5km/kWh  市街地モード(WLTC-L) 135Wh/km 7.4km/kWh  郊外モード(WLTC-M) 143Wh/km 7.0km/kWh  高速モード(WLTC-H) 168Wh/km 6.0km/kWh ちなみに、カタログでは1km走行あたりの消費電力の[Wh/km]で電費が表されていますが、1kWhで走行できる距離の[km/kWh]で表したほうがわかりやすいと思いますし、メーターの表示も初期設定が[km/kWh]となっているので、換算した値を併記しました。数字が大きいほど、電費が良いことになります。今後電費を扱う場合にも、基本的には[km/kWh]で進めることにします。 それはさておき、8.6km/kWhという電費は、WLTCモードや高速モードを大きく上回る数字で、ID.4 プロのオーナーとしてはまずはひと安心というところです。 スピードを上げると目に見えて電費は低下 カタログの電費を見てお気づきのように、EVの場合は速度が高くなるにしたがって、電費は悪くなる傾向にあります。以前所有していたフォルクスワーゲン・ゴルフeTSIスタイルとは真逆です。 ID.4 プロ・ローンチエディション ゴルフeTSIスタイル  WLTCモード 6.5km/kWh 17.3km/L  市街地モード(WLTC-L) 7.4km/kWh 12.8km/L  郊外モード(WLTC-M) 7.0km/kWh 18.0km/L  高速モード(WLTC-H) 6.0km/kWh 19.8km/L とくに高速では空気抵抗の影響が大きく、スピードを上げると目に見えて電費は低下します。 実際にそれを確認するため、80km/h、100km/h、120km/hで高速道路を巡行してみました。リアルな環境でチェックした数字ですのであくまで参考です。走行時はアダプティブ・クルーズコントロール(ACC)を使いました。 設定速度 平均電費 (参考)平均速度 80km/h 7.5km/kWh 75km/h 100km/h 6.4km/kWh 94km/h 120km/h 5.4km/kWh 115km/h […]

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TEXT:生方 聡
[ID.4をチャージせよ!:その3]さっそく補助金を申請! 充電の準備もOK

国の補助金は65万円 2022年11月末、ID.4 プロ・ローンチエディションが無事納車されたということで、さっそく取りかかったのが、「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)」の申請です。 EV(電気自動車)やプラグインハイブリッド車、燃料電池車を新車で購入した場合、申請により国(経済産業省)が実施するCEV補助金を受けることができます。エンジン車に比べてやや割高に思えるEVを購入するうえでは、実にありがたい制度で、たとえばEVの場合、普通自動車が最大65万円、小型自動車や軽自動車では最大45万円の補助が受けられます。AC100V/1500Wのコンセントや外部給電機能がある場合には、さらにそれぞれ20万円と10万円が上乗せされます。 ID.4の場合、補助金の額はライト、プロともに65万円。ただし、4年間保有しなければならないルールがあり、もしその前に手放す場合は、売却額に基づいて補助金の一部を返納する必要があります。 申請そのものはさほど難しくはなく、専用の申込フォームに加えて、クルマの注文書や領収書のコピー、車検証や住民票の写しのコピーなどをまとめて事務局に郵送するだけ(オンライン申請も可能)。申し込みフォームは記入例を見れば簡単にできるもので、私は自分で作成しました。 令和4年度予算にまにあいました! ID.4の購入前から気になっていたのが、予算の残額です。2022(令和4)年は、日産サクラや三菱eKクロス EVが発売されたこともあり、早めに予算残高がゼロになる可能性が出てきたからです。CEV補助金の窓口である次世代自動車振興センターでは、2022年7月25日の時点で、令和4年の本予算が2022年10月末にはなくなると予想。その後、随時情報が更新され、終了する見込み時期が少しずつ延びましたが、最終的には2022年12月15日の申請分をもって、受付が終了になりました。 さいわい私の場合は11月末に申請を終えたため、滑り込みセーフ。現時点では「審査中」という状況です。ちなみに、受付から実際の振り込みまでは3〜4ヵ月かかるそうです。 なお、令和4年当初予算分はすでに受付が終了していますが、令和4年第2次補正予算にCEV補助金が盛り込まれたことから、今回の申請にまにあわなかった人や、これから購入する場合でもCEV補助金を受けることができますので、ご安心ください。 国の補助金以外に、地方自治体が独自の補助金を用意している場合があります。私が住む東京都では、個人でEVを購入した場合に45万円の補助が受けられます。郵送とオンライン申請があり、事前に必要書類をPDF化しておいたおかげで、簡単にオンライン申請ができました。

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TEXT:TET編集部
デイリーEVヘッドライン[2023.01.05]

  VW、新型セダン「ID.7」のプロトタイプを「CES 2023」で公開 【THE 視点】フォルクスワーゲンは新型EVセダン「ID.7」のプロトタイプを発表した。実車は1月5日、米国ラスベガスで開催する「CES 2023」で初公開される予定。  「ID.7」は、「ID.4」などと共通する「MEBプラットフォーム」初のEVセダンモデルで、2026年までに発売予定の10車種のニューモデルのひとつだという。  バッテリー容量は不明だが、「ID.AERO」と呼ばれる空力性能に優れたボディにより、最大約700km(WLTPモード)の航続距離を持つ。  室内では、ユーザーエクスペリエンスを向上させた多くの革新的装備が搭載されるという。15インチの新しいディスプレイ、拡張現実ヘッドアップディスプレイ、インフォテインメントシステムと一体設計された空調コントロール、照光式タッチスライダーなどを採用するとしている。  「ID.4」が発売されたばかりの日本だが、ID.シリーズ全体では既に世界で50万台が納車されているという。「ID.7」も日本への導入が待ち遠しい一台だ。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★ソニー・ホンダモビリティ、初のEV「アフィーラ」プロトタイプをCES2023で公開……2025年前半に先行受注開始[詳細はこちら<click>] ★ボルボ、「EX90」をCES2023で初公開……7人乗りのSUV、グーグル内蔵のインフォテインメントシステムを搭載[詳細はこちら<click>] ★豊田自動織機、トヨタ「RAV4 PHEV」ベースのカスタマイズモデル3台を「東京オートサロン2023」に展示……「アドベンチャー」「オフロード」「スポーティ」がコンセプト ・ヒョンデ、自動運転のロボタクシーがラスベガスを走るイメージ映像を公開……「アイオニック5」がベース ・「ADAC オペル e-ラリーカップ 2023」の最終戦がWRCと併催決定……「コルサ eラリー」によるワンメイクラリー ・エヴァラティ、ポルシェ「911」(964型)を純EV化……507psのモーターを搭載、既存のエンジン車を換装 ・フィアット、メタバースストアを本国で開設……「500e」も購入可能 ・ボッシュ、電動パワートレインの「イーアクスル」をCES2023に出展……メインとしてもサブとしても使用可能な高効率機 ・メルセデス・ベンツ、工場の設計や計画に「エヌビディア」の仮想空間プラットフォーム「オムニバース」を採用……AIによる生産技術を共同開発 ・エヌビディア、台湾の「フォックスコン」とパートナーシップ締結……自動運転に対応するECUなどを提供

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TEXT:生方 聡
[ID.4をチャージせよ!:その2]Q4 e-tronとID.4、どっちにする?

二者択一問題 eゴルフから最新のEVに乗り換えようと決心した私が白羽の矢を立てたのは、扱いやすいサイズと手が届く価格帯が魅力のアウディQ4 e-tronとフォルクスワーゲンID.4です。最近はコンパクトSUV型EVの選択肢が増えていますが、ここ20年ほどアウディとVWばかり乗り継いできた私としては、“勝手知ったる”この2ブランドから登場したEVがずっと気になっていましたし、きっと期待に応えてくれるだろうと信じていました。 ご存じのとおり、Q4 e-tronとID.4は、どちらもフォルクスワーゲン・グループがEV向けに開発したMEB(モジュラーエレクトリフィケーションプラットフォーム)を採用していて、いわば2台は“いとこ”同士の関係。バッテリーやモーターのバリエーションはほぼ同じで、性能なども互角となると、あとはデザインの好みが選ぶ基準になります。 正直なところ、エクステリアデザインは甲乙つけがたく、どちらを選んでも良かったのですが(笑)、インテリアはQ4 e-tronが好み。なかでも、Q4 e-tronはインフォテインメントとエアコンの操作パネルが完全に独立していて、そのうえ、使用頻度が高いエアコンの操作パネルに物理スイッチが用意されているのが魅力です。これに対してID.4は、温度調節用に独立したタッチスイッチが用意されていますが、それ以外の操作はインフォテインメントディスプレイからエアコン設定画面に入る必要があります。実はID.4購入の直前までゴルフ8を所有していたのですが、この操作スタイルが意外に面倒で、私の気持ちはQ4 e-tronにほぼ傾いていました。 出遅れた争奪戦 ところが、9月半ばにお付き合いのあるアウディ・ディーラーにQ4 e-tronのことを尋ねてみると、すでにその時点で納期が15ヵ月から18ヵ月ということを知らされます。完全に出遅れました(涙)。 それでも注文を入れて待つか、それともID.4にするか……。ただ、その時点ではID.4の日本導入時期に確定情報がなく、「日本での発売は2023年以降なのか!?」となかば諦めかけていましたが、突如フォルクスワーゲン・ジャパンがID.4導入に向けてティザーキャンペーンを開始。あわててeゴルフを購入したフォルクスワーゲン・ディーラーに問い合わせると、発売はもう少し先で、注文もまだ受け付けていないという返事。ただ、そういう状況なので、うまくいけば最初の導入分が買えるかもしれないとのこと。Q4 e-tronで出遅れ、痛い目にあった私はその教訓を生かし、ID.4の発売に関して何か動きがあれば、すぐに連絡してほしいとセールススタッフにお願いしました。 その後、早い時期にフォルクスワーゲン川越のセールススタッフから見積もりが届き、店舗で購入の手続きやローンの申し込みなどを早々に終えたおかげで、11月22日のID.4発売から1週間後には、ブルーダスクメタリックのID.4 プロ・ローンチエディションが無事納車されました。11月末の時点で、初期入荷分の導入仕様はほぼ完売し、次の標準仕様の入荷は2023年4月以降ということですので、早めに動いて正解でした。 ID.4 プロ・ローンチエディションとは? 発売当初のID.4には、搭載されるバッテリー量が異なる2つのグレードが用意されていました。ID.4 ライト・ローンチエディションには52kWhのバッテリーが搭載され、モーターの最高出力は125kW(170ps)、航続距離は388kmです。一方、ID.4 プロ・ローンチエディションは77kWhのバッテリーと、最高出力150kW(204ps)のモーターにより、航続距離は561kmに伸びます。 価格はID.4 ライト・ローンチエディションが499万9000円、ID.4 プロ・ローンチエディションが635万5000円と大きな開きがありましたが、迷わず後者を選びました。仕事がら都内から箱根へ行く機会が多く、途中の充電なしで往復できる性能を考えると、ID.4 プロ・ローンチエディションのほうが良いと思ったからです。さらに、マトリクスLEDヘッドライトのIQ.LIGHTをはじめ、パワーシートやフォルクスワーゲンサウンドシステム、パノラマガラスルーフ、パワーテールゲートなどがほしい装備が、ID.4 ライト・ローンチエディションでは選べないのに対し、ID.4 プロ・ローンチエディションには標準装着されるのも魅力的でした。 ちなみに、導入仕様では、フォルクスワーゲン・ファイナンスが提供する残価設定ローンの「ソリューションズ」が特別低金利・特別残価という特典がありました。3年/5年プランが特別低金利の1.99%となり、さらに5年プランの残価が通常より高い36%となることから、迷わず5年プランを選んでいます。なお、ソリューションズでは最終回の支払い額(残価)が保証されるのもうれしい点です。 ということで、予想以上に早い時期に納車されたID.4。さっそくドライブに行きたいところですが、その前に充電サービスの申し込みと、補助金の申請を片付けておきましょう。    

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TEXT:生方 聡
[ID.4をチャージせよ!:その1]1993年の出逢いが私の人生を変えた!

ID.4のオーナーになりました 2022年11月末、晴れてID.4プロ ローンチエディションが納車されました。EVを所有するのはこれが2台目で、PHEV(プラグインハイブリッド車)を入れると3台目になります。そのすべてがフォルクスワーゲンというのは、世の中でもかなり珍しいのではないでしょうか!? ID.4オーナーの視点で、さまざまな情報を発信していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします! ご挨拶が遅れましたが、この連載を担当する生方 聡です。フリーランスのモータージャーナリストで、THE EV TIMESにもレポートを寄稿しています。大学卒業後、外資系のIT企業に入社し、システムエンジニアとして勤務していましたが、自動車メディアの仕事に携わりたいという気持ちから、専門誌「カーグラフィック」で新しいキャリアを始めることになりました。 カーグラフィックには1992年2月に入社。そこから5年ほど修行を積んでフリーランスになるのですが、入社翌年の1993年に私の人生を変えるあのクルマに巡り逢ったのです。 IZA(イザ)との遭遇 それが、東京電力が手がけた2ドアクーペのEVであるIZA(イザ)です。1991年の東京モーターショーに出展されたワンオフのクルマで、実際に走行も可能です。 雑誌の取材に少しずつなれてきた1993年1月のある日、当時の編集長から「明日、面白いクルマに乗るから、取材についてこい!」と言われ、事情を知らずに取材現場に行ったところ、目の前にあったのがIZAでした。「1台数億円もするワンオフのクルマを運転できるなんて、編集長ってすごいなぁ」と感心したのも束の間、「試乗するのは君だよ」と言う編集長。正直なところ、そこからのことはよく覚えてませんが、真冬なのに体中から汗を吹き出しながら、第三京浜を駆け抜けたことは記憶にあります。そして、IZAの圧倒的な加速も。 この日を境に、私は編集部のEV担当になり、「アリゾナではEVレースが盛り上がってるらしい」、「スカンジナビアでEV初の本格的なラリーが行われることになった」、「オーストラリアを縦断するソーラーカーレースが面白いらしい」といった情報をもとに、世界各地を飛び回ることになります。 さらに、編集部のサニートラックをEVに“コンバート”して公道を走らせたりと、いろいろ貴重な体験を積むことができました。 家で充電できなくてもEVは乗れる その後、編集部を卒業してからは、EVの取材とは離れていましたが、「いつかEVを手に入れたい」という思いは忘れませんでした。ただ、自宅に充電設備がなく、日産リーフや三菱i-MiEVが発売されても、なかなか一歩踏み出せずにいたのも事実です。 そんなとき、PHEVのフォルクスワーゲン ゴルフGTEにドイツで試乗し、これなら家で充電できなくてもなんとかなりそうだと思い、日本で発売後に購入したのが2015年末のこと。その性能にはとても満足しましたが、PHEVこそ家での充電が重要という結論になり、2年後にはガソリン車との生活に戻りました。 転機が訪れたのは2020年でした。その年の9月、アウディがe-tronスポーツバックを発売し、これを少し長めに借りることに。当然、充電は自動車ディーラーや高速道路にある急速充電器を使うのですが、多少面倒とはいえ、なんとかそれで乗り切れてしまったのです。それが妙な自信になり、「家で充電できなくてもEVは乗れる」という考えに変わったのです。 「じゃあ何を買う?」という段階で、目にとまったのがフォルクスワーゲンのeゴルフでした。eゴルフの発売は2017年10月のことで、発売時の価格は499万円と、ゴルフにしては高価でした。しかし、2020年の秋、3年落ちの認定中古車が300万円を切っており、あまりのお買い得さに、ついにEVヘの一歩を踏み出してしまいました。 市場では不人気のeゴルフでしたが、その完成度はかなり高く、購入して正解でした。ただ、急速に進化するEVの世界では、eゴルフの航続距離や急速充電の能力は一世代前のもの、というのも事実で、最新世代のEVで新しい世界を見てみたいという気持ちが募っていきます。 そこで、思い切って乗り換えたのがID.4でした。 〈つづく〉

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