#販売
TEXT:TET 編集部
シーライオン7が大好評で他モデルも絶好調! BYDが国内の単月登録台数で過去最高を記録

輸入車ブランド別登録台数でも初のトップ10入り BYDの乗用車部門を担うBYD Auto Japanは、2025年5月の月間登録台数が416台に達したと発表した。これにより、同社の最高月間登録台数であった2024年3月の353台を上まわる過去最高の成績を収めたばかりでなく、日本自動車輸入組合(JAIA)の輸入車ブランド別登録台数ランキングにおいても、BYDが初のトップ10入りを果たすこととなった。 その原動力となったのは、4月に発売されたばかりの大型クロスオーバーeSUV「シーライオン 7」だ。品質、装備、価格などがユーザーから高く評価され、BYDの予想を大きく上まわる反響があったのだという。 その新車効果に加え、BYDそのものへの関心が高まり、店舗への来店者数が向上したことで小型EVハッチバックのドルフィン、中型eSUVのアット 3、中型スポーツEVセダンのシールのいずれもが、対前月比で大幅な販売増を記録している。これにより過去最高の月間登録台数を達成したと、BYDはコメントを発した。 なお、シーライオン 7の初期販売では、車両価格が500万円を切る後輪駆動モデルに人気が集中しているようで、その比率は全体の8割になるという。一方で、全4色のボディカラーはオーロラホワイトが約半数を占めるものの、次いでシャークグレーとコスモブラックがほぼ同等の人気で、駆動方式ほどの極端な傾向はみられない。 BYD Auto Japanは年内にプラグインハイブリッド(PHEV)の発表を控えるほか、軽自動車規格のEVを2026年後半以降に国内導入する方針を示すなど、今後も日本国内へ積極的な商品ラインアップの拡充を図っていく構えだ。 国内販売拠点の整備が急速に進んでいるほか、テレビCMなどのプロモーション活動も活発で、それらの努力の積み重ねと潜在顧客に対する取り組みが、成果として過去最高の月間登録台数という記録に結びついていることに疑いの余地はない。シーライオン 7の国内発売を機に、新たなBYD乗用車事業の成長期に向けたスタート地点に位置付けることを明言しているBYD Auto Japan。今後もその勢いは増していくものと思われる。

TAG: #BYD #シーライオン 7 #販売
TEXT:高橋 優
EVシフトの減速は幻想!? 世界規模でみたEVシェア率の伸びは想像を超えていた!

BEVとPHEVの合計販売台数は163.5万台超 2025年3月における世界全体のEV販売動向が判明しました。EVシフト減速といわれるなか、EVシフト減速のリアルとともに、2025年シーズンに注目するべき最新EV動向を含めて解説します。 まず初めに、最新のデータが判明している2025年3月の世界全体でのBEVとPHEVの合計販売台数は163.5万台超に到達し、前年同月比+24.4%となりました。成長率の内訳について、PHEVは前年同月比+14%だった一方で、BEVは+32%で成長しており、PHEVよりも販売台数が伸びています。 さらに、新車販売全体に占めるBEVとPHEVの合計販売台数のシェア率も、3月単体では25%に到達しています。前年同月が19%だったことを踏まえると、シェア率の伸びが加速している状況です。 次に、BEVに絞った販売動向について、1月から3月のQ1合計におけるBEV販売台数とBEVシェア率の変遷を2023年シーズンから追ってみると、黄色で示されたBEVの販売シェア率は9%、10%、そして14%とシェア率が上昇中です。2025年通期でのBEVシェア率20%にも期待可能でしょう。 また、世界の主要マーケットと比較したBEVシェア率の変遷について、日本市場のBEVシェア率は3月単体で1.56%と低迷しているものの、世界全体では17%に到達しており、主要先進地域において日本のBEVシェア率がまったく伸びていない様子も見て取れるでしょう。 次に、このEVシフト減速という言説が間違っているといえる世界全体のEVシフト成長の流れにおいて、人気のEVを分析しましょう。まず2025年Q1におけるBEVとPHEVの販売台数ランキングトップ20を見てみると、トップからテスラ・モデルY、BTD Song、テスラ・モデル3、ジーリーXingyuan、BYDシーガル、Hong Guang Mini EV、シャオミSU7と続いています。 また、トップ20のうちBYDが9車種、ジーリーが3車種ランクイン。とくにトップ20のうち、テスラと中国勢以外でランクインできたのはフォルクスワーゲンID.4だけであり、BYDやジーリーを筆頭とする中国勢の躍進の様子が見て取れます。 その一方で、それらの人気車種を2024年Q1での販売台数と比較しましょう。まず注目するべきは、ジーリーのXingyuan、Starship 7、シャオミSU7、BYD Qin L、Seal 06、Xpeng Mona M03、Li Auto L6であり、これらは1年前には発売されていなかった新型モデルです。また、BYD Song、テスラ・モデル3、BYDシーガル、Hong Guang Mini EVは、前年比で販売台数を伸ばしているものの、テスラ・モデルY、BYD Qin Plus、Yuan Plusは前年比で販売台数が減少しています。BYD Qin PlusとYuan PlusはQin LやYuan Upが登場したことによる販売が鈍化したことが推測可能です。モデルYはモデルチェンジにおける買い控えと生産ラインの切り替えが要因として考えられます。 そして、この人気車種ランキングにおいて注目するべきさらなるポイントとして、中国とアメリカ、欧州という主要マーケットを抜いたその他のマーケットにおける人気EVランキングについて、トップからBYD Song、テスラ・モデルY、Vinfast VF3、BYD ATTO 3が人気です。とくにベトナムの振興メーカーVinfastの小型SUV「VF3」の快進撃には驚かされるでしょう。 また、ピックアップトラックセグメントについて、3月単体でトップに躍り出たのがBYD Shark 6です。Q1全体だと、フォードF-150 Lightningが販売台数トップを維持しているものの、このShark 6はオーストラリアやメキシコ市場などの一部マーケットでしか販売されておらず、ピックアップが人気のタイ市場をはじめとする東南アジアで本格的に発売がスタートすると、F-150 Lightningを抜くはずです。 Q1のテスラ・サイバートラックは約6300台と、F-150 Lightningを下まわるという販売低迷に見舞われています。一時は予約台数200万台に達したなどといわれていたサイバートラックの低迷は、在庫過剰、生産ラインの稼働率低下によるテスラ全体の収益性低迷の理由とも推測でき、今後の販売動向には注目が集まります。

TAG: #EVシフト #普及 #販売
TEXT:高橋 優
日本のEVシェアはたった1%台! この先続々投入される新型EVで停滞ムード解消なるか?

BEVとPHEVの販売台数は約6400台 日本国内における2025年4月のEV販売動向が判明しました。テスラ、BYD、ヒョンデそれぞれが新型モデルを投入することで販売を増加させた一方、日本メーカー勢は深刻なEV販売低迷が続いています。2025年シーズンの国内EVシフトの展望を含めて解説します。 まず、2025年4月のBEVとPHEVの合計販売台数は約6400台と、前年同月比でわずかなプラス成長を実現しました。商用軽EVの日産クリッパーEVとホンダN-VAN e:の販売台数は月末にならないと判明しないため、実際にはEV販売は少しプラスされます。前月である2025年3月の販売実績は1万1985台となりましたが、前年比−9.5%に留まりました。 次に、新車販売全体に占めるBEVとPHEVの合計販売台数の比率について、4月は2.01%となりました。ここにN-VAN e:などの販売台数が合わさると、おそらく前年同月のシェア率2.12%を超える見通しです。ちなみに確定した3月度のシェア率は2.62%であり、前年同月に記録していた3.17%から下落しています。 さらにBEV単体の販売動向について、白で示されている輸入EVは4月に1763台と、前年同月比+51.2%と販売が大幅増加したものの、ピンクで示されている日本メーカーの普通車セグメントのBEV販売台数は348台と、前年同月比で半減と落ち込みました。また、シェア率が確定した3月のBEVシェア率は1.56%であり、前年同月が1.89%だったことから、国内のBEVシフトが後退している様子が見て取れます。 また、現在の日本のBEV販売シェア率を世界の主要国と比較すると、日本はデータが確定した3月において1.56%と低迷しています。その一方で、3月の世界全体のBEVシェア率は17%に到達しており、2024年3月が13%だったことから着実にBEVシフトが進行中です。 日本は2025年の間に1%台というBEVシェア率の低迷を脱出できるのか、世界全体では2025年平均でBEVシェア率20%の大台にどこまで近づけるのかに注目でしょう。

TAG: #EVシフト #普及 #販売
TEXT:高橋 優
中国勢が次に目を付けたのはトルコ! いまトルコはEV激戦区になっていた

トルコはEUと関税協定を結んでいる 欧州の玄関口として近年注目を集めているトルコ市場でEV販売が急加速中です。とくに中国勢がシェアを大きく伸ばしながら、現地工場を建設して関税を回避しようとする動きも確認されています。 まず、今回取り上げていきたいトルコ市場は、人口約8750万人、国土面積は78.35平方キロメートルと、日本の2倍強の国土を有します。また、2023年シーズンにおける自動車販売台数はおよそ129万台と世界第14位であり、ロシアやオーストラリアと同等という規模感です。自動車生産も年間で147万台と、フランスと同等の生産規模であり、自動車産業が国の主力産業のひとつにもなっています。 このトルコについて重要なポイントは、欧州連合には加盟していないにもかかわらず、EUとトルコは独自の関税協定を結んでおり関税がかからないという点です。さらに、20カ国以上の国と自由貿易協定も締結しています。また、欧州各国と比較しても人件費が比較的安いことから、欧州の自動車メーカーが生産コストを下げるために、関税のかからないトルコを自動車工場に選んでいます。トルコは海に面していることから、自動車の輸出という観点でも地理的に強みを持っています。 なによりもエルドアン大統領はEVに注力する方針をかねてより示しており、実際に国策として自国の自動車メーカーを立ち上げに成功。Toggと名付けられたEVメーカーはすでにEVを発売中であり、トルコ国内で人気を博しています。 そして、トルコに目をつけたのが中国勢の存在です。まず、BYDがBEVとPHEVの生産工場などの設立のために10億ドルを投資中です。年間生産能力は15万台であり、おもに欧州市場向けに出荷されます。さらにCheryも黒海の面するサムスンにおいて、年産15万台となるEV生産工場の建設を正式に発表しています。 このようにして、Toggをはじめとする国内のEVメーカーやサプライチェーンに投資しながら、さらに国内に中国勢などの生産工場を誘致することによって、欧州向けのEV生産拠点の構築を目指そうとしているのです。 それでは、このトルコ市場最新のEV販売動向や人気のEVランキングを俯瞰しましょう。まず3月単体のBEVの販売台数は約1万2800台と、前年同月比+113.5%であり、急速にBEVシフトが進んでいる様子が見て取れます。 次に新車販売全体に占めるBEVの販売シェア率は10.94%と、前年同月の5.46%と比較しても倍増。すでにトルコ国内で販売されている10台に1台以上がBEVに置き換わっているとイメージしてみれば、驚きのペースであるとイメージできるはずです。 さらに、PHEVとEREVの販売台数も着実に上昇しており、3月単体では3600台以上が売れています。よって、PHEVも含めたNEVシェア率は史上最高水準となる14.25%に到達。2025年末にNEVシェア率25%達成にも期待可能でしょう。 ちなみにこのグラフは、日本やオーストラリアと比較してどれほどBEVシフトが進んでいるのかを比較したものです。この通りトルコは日本市場と比較すると、10倍以上という圧倒的な差をつけてEVシフトを進めている様子が確認できます。

TAG: #トルコ #普及 #販売
TEXT:高橋 優
頼みの綱の日産サクラも大幅減! 日本のEV販売動向は世界と逆の動きで縮小していた

2025年3月の販売台数は約1万1220台 日本国内における最直近の3月のEV販売動向が速報され、テスラの販売が絶好調だったものの、日本メーカー勢は深刻なEV販売低迷が続いている状況が判明しました。 まずこのグラフは、2018年以降のBEVとPHEVの合計販売台数を月間ベースで示したものです。最直近2025年3月の販売台数はおよそ1万1220台と、前年同月比でマイナス成長に留まってしまいました。2カ月連続で販売台数が前年割れという状況です。 ちなみに、商用軽EVである日産クリッパーEVとホンダN-Van e:の販売台数は4月末にならないと判明しないため、若干販売台数とシェア率は増加する見込みです。確定版となる2025年2月の販売実績は8400台となったものの、前年比マイナス21.1%という苦しい状況は変わりません。 次に、新車販売全体に占めるBEVとPHEVの販売台数の合計の比率を示したグラフを見てみると、直近の3月は速報値で2.45%と、前年同月に記録した3.17%と比較してもシェア率は大きく低下しています。数値が確定した2月度のEVシェア率は2.21%であり、前年同月の3.32%から急落している状況でもあります。 次に、そのなかでもとくにBEVの販売動向を詳細に確認していきましょう。このグラフは普通車セグメントの日本メーカーと輸入車メーカー、さらに軽自動車セグメントにわけて示したものです。白で示された輸入EVは3303台と、前年同月比で17.8%もの増加を記録。その一方で、ピンクで示された日本メーカーの普通車セグメントのBEV販売台数はたったの707台と、前年同月比でマイナス36.7%という落ち込み具合です。 また、すでにシェア率が確定している2月は1.42%というBEVシェア率でした。2024年2月が1.88%だったことを踏まえると、BEVシフトが後退している様子が見て取れます。 ちなみに、現在の日本のBEVの販売シェア率が世界の主要国と比較してどれほどの立ち位置であるのかを確認すると、日本はデータが確定した直近の2月において1.42%と低迷しています。その一方で、2月の世界全体のシェア率は13%に到達。2024年2月の世界全体のBEVシェア率は8%だったことから、世界のBEVシフトは着実に成長していることがわかります。 それでは、この日本国内においてどのようなEVが人気であるのかを確認していきたいと思います。まず初めに、2025年累計での主要自動車メーカー別のBEV販売台数の変遷を見てみると、やはり日産が頭ひとつ抜けた存在感を見せています。 日産は3カ月で7800台以上を発売したものの、2025年シーズンは2月と3月連続して前年比で販売台数を落としてしまっています。リーフやアリアだけでなくサクラも前年割れと低迷しており、2025年中のモデルチェンジに期待が集まります。もちろん年末までに発売される新型リーフがどれほどのコスト競争力を実現して、どれほど販売台数を復活させることができるのかにも注目です。

TAG: #日本 #普及 #販売
TEXT:高橋 優
EVは踊り場を迎えている? それ、間違ってます! 2024年の全世界EVの「本当の」販売状況

世界で売れたクルマの5台に1台以上がBEVまたはPHEV 2024年シーズン、世界全体でEVシフト減速といわれていたなかにおいて、果たしてどれほどEVシフトが減速してしまっていたのか。そして2025年はEVシフト減速の流れがさらに強まるのか。世界全体のEVシフト動向を解説します。 まず初めに、最新のデータが判明している2024年12月の世界全体でのBEVとPHEVの販売台数の合計は193万台超で前年同月比で24%アップしました。 さらに、新車販売全体に占めるBEVとPHEVの販売台数のシェア率も、12月単体では史上最高の30%に到達。とくに2021年シーズンから15%、21%、20%、そして2024年最新の30%と、明らかにEVシフトが加速している様子が見て取れます。 また、世界の主要マーケットと比較したBEVに絞った販売シェア率の変遷を比較すると、まず世界全体のシェア率は12月単体で史上最高の19%に到達。つまり、12月単体で世界全体で売れた自動車のうち5台に1台がBEVだったことを意味します。 なかでも中国市場は30%に到達。アメリカ市場も9%に到達しながら、さらに東南アジアのタイ市場も15%に到達するなど、世界各国でBEVシェア率が想定以上に上昇している様子が見て取れます。その一方で、日本市場は2.16%と、世界平均の19%と比較しても低迷している点は注目するべき動向でしょう。 また、年間ベースでのEVシフト動向について、このグラフは世界全体におけるBEVとPHEVそれぞれの年間販売台数の変遷、およびNEV(BEV+PHEV)とBEV単体の販売シェア率の変遷を示したものです。2024年シーズン通しでの世界全体のNEVシェア率は22%に到達。つまり、2024年通しで世界全体で売れた自動車の5台に1台以上がBEVかPHEVだったということになります。 また、BEVシェア率も14%に到達。つまり、2024年通しで世界全体で売れた自動車の7台に1台がBEVだったことになります。BEV販売は2023年シーズンは踊り場を迎えていたという背景が存在します。ところが、2024年シーズンというのは力強い成長を実現しており、このことからもEV減速という表現は誤りなのです。むしろ2023年シーズンの踊り場を乗り越えて、再び成長軌道に乗っていた1年だったという表現が正しいわけです。 さらに注目するべきは、欧州・米国・中国という主要マーケット3つを除いた、その他のマーケット全体では、NEV販売台数は前年比27%も増加しているというデータでしょう。つまり、この世界全体のEVシフト動向を考察する際にどうしても最大マーケットの中国市場や欧米市場の動向に左右されてしまい、本当に世界全体のEV動向を細かく分析することが難しいものの、じつは欧米中以外のマーケットでは、2024年シーズン、欧米以上にEVシフトが進んでいたということなのです。 いずれにしても、2024年シーズンにEVシフトが減速したという言説は、PHEVを含めないBEVのみという観点、また欧米中という主要マーケットを含めないその他のマーケットという観点でも明確に誤りであるといえるのです。

TAG: #2024年 #普及 #販売
TEXT:桃田健史
同じ車格のハイブリッドやエンジン車に比べてEVは高い! そもそもEVが高額になるのはナゼ?

同じ車格でもガソリン車の2倍! ウチでもそろそろEVに買い替えようか。そう思って各モデルをネットでチェックすると、「やっぱりEVは、けっこう(価格が)するな」と思う人がいるだろう。 これは、同じ車格のガソリン車やハイブリッド車と比べてのことだ。 メーカーやグレードにもよるが、軽自動車や小型車で比較すると、100万円とか200万円とかいうより、ざっくり2倍といったケースも珍しくない。 そうした価格差を、国や地方自治体からの購入補助金を使って抑制している。補助金がなければ、明らかに高いと感じるだろう。 では、そもそもなぜEVの価格は高いのか。 一般論としては、いわゆる量産効果によるもの。開発や製造にかかるメーカー側のコストが高いので、その分を生産・販売量を増やすことで下げることを指す。 ただし、たとえばハイブリッド車の場合、先行導入されたトヨタ・プリウスがガソリン車と比べてかなり高い買い物というイメージはなかった。トヨタとしては、新しい領域のクルマをユーザーに少しでも早く馴染んでもらうため、いわば赤字覚悟で価格を設定したということになる。 そうならば、EVについても導入当初はメーカー側の利益を大きく抑えた価格設定をすればいい、と考える人もいるだろう。

TAG: #普及 #販売
TEXT:高橋 優
中国市場は「中国国産」BEV強し! テスラが奮闘するも日本もドイツも苦戦

新車に占めるNEVの販売比率は52.33% 中国市場における最直近11月のEV販売動向の詳細が判明しました。新車販売の2台に1台以上がすでに新エネルギー車に置き換わるなか、日本メーカーの苦しい販売動向と見通しを中心に考察します。 まず、中国市場におけるBEVとPHEVの合計を示した新エネルギー車の販売台数は126.8万台と、前年同月比で50.8%もの増加を記録しました。新車販売全体に占める新エネルギー車の販売比率も52.33%と、歴史上最高水準の電動化率を達成しています。 ただし、販売シェア率は3カ月連続でわずかに低下を続けている状況です。この理由は、現在中国市場における経済対策の一環として、いまある車両を下取りに出して新車を購入すると、排気量2リッター以下のガソリン車の場合は1.5万元(日本円で約32万円)、新エネルギー車の場合は2万元(約42万円)が補助されるという政策を実施中だからです。 よって、NEVとともにガソリン車の需要も同じく増加しているのです。ちなみにこの補助金制度は2024年末まで実施され、自動車だけではなく、冷蔵庫や洗濯機、テレビ、エアコン、コンピュータなどの家電などにも買い替え支援策を展開しています。 他方で注目するべきは、新エネルギー車のなかでもBEVとPHEVの販売割合という観点です。2021年11月時点での新エネルギー車全体に占めるBEVのシェア率は79.63%と圧倒的なシェア率を示していたものの、直近の2024年11月単体では59.78%と、PHEVのシェア率が急速に増加しています。 ちなみに9月からPHEVとEREVをわけて統計情報が発表されており、11月単体のシェア率は、BEV:PHEV:EREV=60%:32%:8%という販売割合です。 そして、もっとも注目するべきはBEVに絞った販売シェア率の変遷です。11月単体のシェア率は31.28%と史上最高を達成しました。PHEVの販売増加以上にBEV販売も伸びていることを示しているのです。 世界の主要マーケットにおけるBEVの販売シェア率の変遷を比較すると、水色で示されている中国市場が欧米などを大きくリードしている状況です。果たしてBEVシェア率が最大化する年末までにどれほどシェア率が伸びるのかに注目が集まります。 それでは11月にどのようなEVが人気であったのか、そして2025年以降、どのEVに注目するべきなのかを分析します。 まず初めに、11月の内燃機関車も含めたすべての販売車種ランキングトップ30を確認しましょう。ピンクが新エネルギー車、そして緑が内燃機関車を示しています。 トップに君臨したのがBYDシーガルです。その次にテスラ・モデルY、BYD Song Plus、BYD Qin Plus、Hong Guang Mini EVと続きますが、トップ10のうち内燃機関車は第7位の日産シルフィと第8位のフォルクスワーゲンLavidaしかランクインすることができていません。トップ20に広げてみてもたったの6車種です。つまり、人気車種のマジョリティが、BEVかPHEVという新エネルギー車で占められてしまっているのです。 次に、このグラフは新エネルギー車に絞った販売ランキングトップ30を示したものです。黄色がBEV、水色がPHEVを示します。BYDが13車種を席巻しながら、トップ10に限ると7車種とBYDの強さが見て取れます。 そして、注目するべきは、このトップ30のうち海外メーカー勢はテスラ・モデルYとモデル3の2車種しかランクインできずに、残りはすべて中国勢が席巻しているという点です。

TAG: #EVシフト #中国 #販売
TEXT:高橋 優
2024年の日本国内のEV販売は完全に失速! 2025年に明るい材料はあるのか?

EVシェア率は2年前と同等に 日本国内の最直近11月のEV販売動向が判明しました。販売台数、EVシェア率ともに前年比マイナス成長というEVシフト停滞模様を解説します(商用軽EVである日産クリッパーEVとホンダN-VAN e:の販売台数は執筆時点では判明していないため、販売台数とシェア率は微増の見込み)。 まず、このグラフは2018年以降のBEVとPHEVの合計販売台数を月間ベースで示したものです。2024年11月の販売台数は1万504台と前年同月比でマイナス7.6%。とくに2023年12月以降12カ月連続で前年同月比マイナス成長という、EVシフト減速の流れが一過性のものではなくなっている様子が見て取れます。 次に、新車販売全体に占めるBEVとPHEVの販売台数の合計の比率を示したグラフを見てみると、直近の11月は2.9%と、前年同月に記録した2.99%と比較してもシェア率が停滞しています。 そのうえ2年前である2022年11月のEVシェア率が2.74%であったことから、じつは2年前のEVシェア率と同等水準と、EVシフトが後退状況にある様子が見て取れます。 次に、普通車セグメントの日本メーカーと輸入車メーカー、さらに軽自動車セグメントにわけて示したグラフを見てみると、白で示されている輸入EVは前年同月並みの販売台数に留まったものの、ピンクで示されている日本メーカーの普通車セグメントのBEV販売台数は889台と、前年同月比-22.7%という落ち込み具合です。 つまり、現在の日本国内のEVシフト後退のもっとも大きな要因は、日産リーフやアリア、トヨタbZ4Xのような国産の普通車セグメントの需要低下が要因であると結論づけることができます。 また、BEVの累計販売台数を年別に比較すると、2024年11カ月間において6万台弱ものBEVを発売したものの、2023年の11カ月間では8.4万台強を発売していたことから、2024年シーズンはEVシフト後退の一年となることがほぼ確定的となりました。 さらに、日本のBEV販売シェア率が世界の主要国と比較してどれほどの立ち位置であるのかを確認してみましょう。日本はデータが確定した直近の10月において1.56%という販売シェア率だったものの、最新データが判明している10月の世界全体のシェア率は16%に到達。さらに、10月の中国市場は30%に到達しています。 つまり、中国国内で売れている新車のうち10台に3台がBEVという状況です。いまだにBEVが64台に1台という日本とは別次元である様子が見て取れます。

TAG: #EVシフト #販売
TEXT:琴條孝詩
結局正解は日本のアプローチ! 新車販売のBEV割合がたった1.3%でも焦る必要なし!!

日本の新車販売に占めるBEVの割合は約1.3% 2024年の一般社団法人日本自動車販売協会連合会(自販連)の最新データ(1〜10月)によると、日本の新車販売に占めるバッテリー電気自動車(BEV)の割合は約1.3%。この数値は、2023年のノルウェー(83%)、アイスランド(54%)、スウェーデン(33%)、中国(22%)、アメリカ合衆国(7%)と世界各国と比較しても非常に低い水準にある。一見すると暗たんたる状況に思えるが、本当にそうなのだろうか。 <EVの普及は待ったなしではない> BEVが普及したからといって、私たちの生活に支障が出るわけではない。確かに、街を走るクルマの8割がBEVに変われば、空気の質は劇的に改善されるだろう。しかし、その道のりは段階的であり、焦る必要はまったくない。 日本の自動車メーカーは、長年にわたりハイブリッド車(HEV)の開発と普及に注力してきた。トヨタを筆頭に、日産、ホンダといった大手メーカーは、すでに電動化技術において世界トップレベルの技術を蓄積している。2030年までに、多くの自動車メーカーがBEVとハイブリッド車の販売比率を50%以上に引き上げる計画を発表しており、技術的な準備は着々と進んでいる。 充電インフラの課題も徐々に解決されつつある。経済産業省の支援のもと、全国各地に急速充電器の設置が進められ、2024年時点では約3万基の充電設備が整備されている。都市部だけでなく、地方においても充電ステーションの整備が加速しており、EVの実用性は確実に高まっている。

TAG: #普及 #販売

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