#販売
TEXT:渡辺陽一郎
BYDが着実に日本に浸透! 第3弾として導入された「シール」は圧倒的にお買い得だった

シールはいまが買いどき! 中国の電気自動車、BYDシールの販売が好調だ。発売後1カ月の受注台数は300台で、台数自体は多くないが、歴史の浅いEV(電気自動車)としては堅調に推移している。 まず、BYD全体の国内販売実績だが、2024年度上半期(4〜9月)には1071台を登録した。1カ月平均は179台だ。シトロエンを少し下まわる程度だが、EV専門の新興メーカーとしては注目される。前年度の上半期に比べると1.6倍に増えた。 そもそもBYDは、車種のラインアップが少ない。アット3とコンパクトなドルフィン、そして先に挙げたシールのみだ。そこを考えても、2024年度上半期(4〜9月)の登録台数が1071台であれば堅調だろう。 このうち、BYDシールは、全長が4800mm、全幅は1875mmの4ドアセダンだ。日本車に当てはめると、スカイラインと同程度のサイズになる。駆動方式は後輪駆動の2WDと4WDを用意した。停車状態から時速100kmに達するまでの加速タイムは、2WDが5.9秒、4WDは3.8秒だから、後者についてはスポーツカー並みに速い。リチウムイオン電池の総電力量は82.56kWhで、1回の充電により2WDは640km、4WDは575kmを走行できる。 BYDシールの価格は、2WDが528万円だ。国から交付される2WDの補助金は45万円だから、2WDの車両価格から差し引くと483万円になる。ちなみにコンパクトなアット3の価格は450万円で、35万円の補助金額を差し引くと415万円だ。この点だけを見ると、シールはアット3に比べて68万円高い。 そこでBYDの販売店に、シールが高い人気を得ている理由を尋ねた。 「シールでは、いまは先着1000台限定の導入記念キャンペーンとして、特別価格を設定しているから33万円安くなる。さらに早期購入特典として、ドライブレコーダー、ETC車載器、メンテナンスパッケージのサービス装着も行っており、これが25万円に相当する。つまり、総額で58万円だから、いまならシールは実質的にアット3に近い金額で購入できる」。 シールの価格はアット3に比べて実質的に68万円高いが、このうちの58万円は、シールの特別価格や早期購入特典によって取り戻せるわけだ。つまり差額は10万円だから、ボディサイズ、内外装のデザイン、動力性能の違いを考えると、いまはシールが魅力的に思える。その結果、冒頭で述べたとおり売れ行きも増えた。

TAG: #シール #販売
TEXT:高橋 優
ドイツ御三家もポルシェも中国では厳しい戦い! もはやプレミアムセグメントでさえ中国のEVメーカーが席巻

ドイツ御三家にプレッシャーをかけるファーウェイ 中国市場におけるEVシフトの急加速によって、じつは日本メーカー以上に打撃を被ってしまっているドイツ御三家について、その苦しい販売動向を詳細に分析します。 今回注目するのが高級車セグメントです。とくに、その高級車セグメントでこれまで圧倒的なシェアを築いていたのが、アウディ、BMW、そしてメルセデス・ベンツというドイツ御三家です。中国人の間では、このドイツブランドという価値は絶対的であり、よってこれまで中国メーカーは、安いガソリン車を作り続けることで販売シェアを伸ばそうとしていたわけです。 ところが、ドイツ御三家が支配していたプレミアムセグメントに地殻変動が起こっています。まず、中国EVメーカーとしてNIOとLi Autoが2014年に設立。NIOは、バッテリー交換というコンセプトを打ち上げて、2024年5月から9月まで、5カ月間連続で月間2万台超を発売することに成功。 Li Autoは、当初はレンジエクステンダーEVのパイオニア的な存在として、とくにプレミアムセグメントを購入検討する富裕層の場合、EVが欲しいが急速充電に対する不安を抱える層が多かったこともあって需要とマッチ。 さらに、富裕層のファミリー層に特化した、高性能シートやエンタメ機能という快適性を追求することによって、これまで中国車が立ち入ることができなかったプレミアムセグメントで急速にシェアを拡大中です。直近の9月は5万台超という史上最高の販売台数を更新しました。 さらにその上、中国の既存メーカーも独自のプレミアムEV専門ブランドを次々と立ち上げています。BYDはDenza。GeelyはZeekr。SAICはIMモーター。BAICはArcfox。ChanganはAvatr。DongfengもVoyahなどを立ち上げています。 さらに、第三勢力として注目を集めているのが、シャオミとファーウェイというテック企業の存在です。 まずシャオミは2024年4月からSU7の納車をスタート。このSU7はプレミアムEVセダンの王者「テスラ・モデル3」を凌ぐEV性能を実現することによって、現在急速に販売シェアを拡大中です。 その上、現在ドイツ御三家に対してもっともプレッシャーをかけてきているのがファーウェイです。ファーウェイはマーケティング戦略をはじめ、ファーウェイストアで車両を販売するまでを包括的に担当するHarmony Intelligent Mobility Alliance、通称HIMAを設立。すでにSeresと立ち上げたAITO、Cheryと立ち上げたLuxeed、BAICと立ち上げたStelato、そしてJACと立ち上げるMaextroという独自ブランドをそれぞれ設立し、販売規模を拡大中です。 現在、月間4万台級の販売規模を実現しており、Li Autoとともに、中国のプレミアムEVセグメントで2強体制を構築しています。 そして、これらの存在によって、ドイツ御三家の販売台数に大きな影響が出始めています。とくに直近の2024年Q3でトップの販売台数を達成したのがテスラの存在であり、前年同期比で30.3%ものプラス成長を実現しています。また、NIOも前年同期比で10.1%ものプラス成長を実現。さらにファーウェイも11.3万台以上を売り上げて、前年同期比で8倍もの急成長を実現しています。そして、Li Autoも前年同期比で45.4%もの急成長を達成し、ドイツ御三家を上まわる販売規模すら実現しています。 その一方で、Li Autoに販売台数で抜かれたドイツ御三家の販売台数は減少傾向です。アウディは前年同期比で18.1%ものマイナス成長。メルセデス・ベンツも前年同期比で12.2%ものマイナス成長。そしてBMWはQ3単体で12.7万台と、ドイツ御三家としてはもっとも販売台数が少なく、ファーウェイの販売台数とも接近。しかも前年同期比30%ものマイナス成長です。

TAG: #ドイツ #中国 #販売
TEXT:高橋 優
BEV大国の中国はもはや「中国メーカー」だらけに! テスラ以外の輸入メーカーは惨敗という現実

BYDが圧倒的な存在感を放つ 中国市場における9月のEV販売動向の詳細が判明し、新車販売の2台に1台以上がすでにBEVかPHEVに置き換わり、BYDをはじめとする中国勢がさらに爆発的に販売台数を増加。そのBYDなどのプレッシャーにさらされている日本メーカーの危機的な状況について考察します。 まず、中国市場におけるBEVとPHEVを合わせた新エネルギー車の販売台数は112.3万台と、前年同月の74.4万台という販売台数と比較しても50.9%もの販売台数の増加を記録。そして、新車販売全体に占める新エネルギー車の販売比率は53.2%と、史上最高水準の電動化率を達成しています。 四半期別の動向も、Q3の新エネルギー車比率は52.74%と、史上初めて四半期でも50%の大台を突破。2023年Q3の電動化率が36.84%だったことからも、ここにきて電動化のスピードが加速していることがわかります。 また、バッテリーEVに絞った販売シェア率は、9月単体で30.54%と、こちらも史上最高水準の販売シェア率を達成。2023年Q3が24.73%だったことからも、バッテリーEVシフトが加速している状況です。 このグラフは、世界の主要マーケットにおけるバッテリーEVの販売シェア率の変遷を比較したものです。水色で示されている中国市場が欧米などを大きくリードしている状況であり、9月に1.75%だった日本と比較しても、その差は歴然です。 次に、9月に中国国内でどのようなEVが人気であったのか、そして2024年末にかけて、どのEVに注目するべきなのかを詳細に確認しましょう。 このグラフは、内燃機関車も含めたすべての販売ランキングトップ30を示したものです。ピンクが新エネルギー車、緑が内燃機関車を示します。トップはテスラ・モデルYで、BYDシーガル、BYD Song Plus、BYD Qin L、そしてBYD Qin Plusと続いていますが、ポイントは、トップ10のうち、なんと内燃機関車は日産シルフィとフォルクスワーゲン・ラヴィダしかランクインできず、トップ20に広げてみても、たったの6車種しかランクインすることができていないという点です。 つまり、すでに人気車種のマジョリティが、バッテリーEVかPHEVという新エネルギー車で占められているということを意味します。また、そのなかでも、トップ20のうちBYDが9車種もランクインしているという驚異的な支配構造も見て取れるでしょう。 次にこのグラフは、新エネルギー車に絞った販売ランキングトップ30を示したものです。黄色がバッテリーEV、水色がPHEVを示します。この通りBYDが13車種を席巻しながら、トップ20に限ると12車種、トップ10に限ると7車種、トップ5に限ると4車種を席巻。 同じくBYDの驚異的な支配構造が見て取れるでしょう。また、日本勢やドイツ勢などの海外メーカー勢はトップ30ではテスラ2車種のみであり、残りはすべて中国勢と、まるで販売規模では勝負になっていない様子も見て取れます。 また、このグラフはバッテリーEVに絞った販売ランキングトップ30を示したものです。この通り、黄色で示されたBYDがトップ20のうち8車種を席巻、トップ10に絞ると5車種を独占。2024年中旬から投入されている新型BEVが、さっそく上位にランクインしてきているという点も重要です。 具体的には、9月から納車がスタートしたばかりのXpengのMONA M03が第18位。4月に納車がスタートしたシャオミSU7も第14位。さらに、8月から発売がスタートしているGeely GalaxyのコンパクトSUV、E5も第13位にランクイン。 いずれにしても、新型EVの存在によって、ランキングトップ層の新陳代謝が行われている点も、この中国市場の競争の激しさが見て取れるわけです。

TAG: #中国 #新車 #販売
TEXT:高橋 優
じわじわ日本でのシェアを伸ばすBYDはシトロエンやルノーと同等規模に! 一方で日本のEV販売台数は前年同月比10カ月連続でマイナスだった

普通車セグメントの需要が低下している 日本国内の2024年9月のEV販売動向が速報され、EVシェア率が前年比マイナス成長という、日本国内のEVシフト停滞模様を解説します。 まずこのグラフは、2018年以降のバッテリーEVとプラグインハイブリッド車の合計販売台数を月間ベースで示したものです。2024年9月の販売台数は9587台と、前月である8月よりもプラス成長だった一方、前年同月は1.3万台強という販売台数であり、前年同月比でマイナス29.8%と、大幅なEV減速の兆候が見てとれます。2023年12月以降、10カ月連続、前年同月比でマイナス成長です。 そして、そのEVシフトの変遷をさらにわかりやすくするために、新車販売全体に占めるバッテリーEVとPHEVの販売台数の合計の比率を示したグラフを見てみると、9月は2.62%と、前年同月に記録した3.76%と比較してもシェア率が低下している状況です。 次に、バッテリーEVの販売動向として、このグラフは普通車セグメントと軽自動車セグメントそれぞれのバッテリーEVの販売台数の変遷を示したものです。9月はバッテリーEV全体で6421台と、前年同月と比較して19.7%ものマイナス成長です。 さらにこのグラフは、その普通車セグメントを、日本メーカーと輸入車メーカーそれぞれにわけて示したものです。白で示されている輸入EVは、前年同月比で13.4%のマイナス成長に留まったものの、ピンクで示されている日本メーカーの普通車セグメントのバッテリーEV販売台数は972台と、前年同月比でマイナス41.3%という落ち込み具合です。このことからも、現在の日本国内のEVシフト後退のもっとも大きな要因というのは、とくにリーフやアリア、bZ4Xのような日本メーカーの普通車セグメントの需要が大きく低下しているからであるといえます。 また、バッテリーEVの累計販売台数を年別に比較すると、2024年9カ月間において4.5万台ものバッテリーEVを発売したものの、2023年は9カ月間で7万台近くを発売しています。年末までにどれほど販売台数で巻き返しを図れるのかに期待です。 また、現在の日本のバッテリーEVの販売シェア率が世界の主要国と比較して、どれほどの立ち位置であるのかを確認してみると、9月は1.75%というBEV販売シェア率でした。まだ9月の各国の最新販売データが更新されていないものの、7月の世界全体のシェア率は12%に到達。さらに、8月の自動車大国中国市場は30.6%を達成しています。 それでは、この日本国内においてどのような電気自動車が人気であるのか、とくに懸念視されている、日本メーカーのEVがどのような販売動向であるのかを確認しましょう。

TAG: #日本 #普及 #販売

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