#セールス
TEXT:高橋 優
EVの王者BYDの勢いに陰り! 中国の新興勢力やテスラの影響で暗雲立ちこめる

BYDのセールスが下落傾向に 中国 BYDの2025年第2四半期の決算が発表され、収益性が悪化し始めているという驚きの決算内容であることが判明しました。 まず初めに、BYDの第二四半期の販売台数は114.5万台と、前年比+16.1%と成長を実現した一方で、BYDが2025年シーズン通しでの販売目標として社内で当初掲げられていたとされる550万台という数値目標と比較すると、その達成は厳しくなっていると言えます。実際にロイターなど一部メディアによれば、すでにBYDは2025年の販売台数目標を460万台にまで下方修正したとされており、2025年シーズンは成長が鈍化する見通しです。 次に売り上げは2009.2億元(日本円で約4兆1436億円)と、前年同四半期比で+14.0%の成長幅であり、販売単価が横ばいに留まったと言えます。BYDはすでにDenzaやYangwangという高級ブランドを立ち上げ、4月にはHan LとTang LというBYDブランドのフラッグシップを投入済みです。ところがこれらの高級ブランドや高級モデルの販売は芳しくなく、実際に販売単価が伸びていません。 次に、BYDのEVで稼ぐ力を見極める上で重要といえる粗利益について、Q2単体のグループ全体の粗利益率は16.27%と、2022年Q2以来となる3年ぶりの低水準に留まってしまいました。さらに、BYDグループから電子部品や半導体の受託製造部門を担当するBYD Electronicsの粗利益を差し引いてみると、その自動車部門に絞った粗利益率は18.74%と、前年同四半期の22.42%と比較してみても、大きく減少しています。つまり自動車部門においてマージンが顕著に落ちていることを示すのです。 とはいえ、自動車マーケット全体を見渡すと、ドイツ勢やアメリカ勢、日産などのマージンは低下傾向にあり、粗利益率18.74%というのは業界平均レベルの水準を維持しています。 次に、販管費や研究開発費などを差し引いた営業利益率は3.83%と、前年同四半期の6.54%と比較しても大幅に悪化しています。この営業利益率の低さは2022年Q1以来の水準です。その一方で、研究開発費についてはQ2単体で153.7億元(日本円で約3200億円)であり、前年同期比+70.6%と大幅に増加。売り上げ全体に占める研究開発比率も上昇し続けており、直近のQ2も7.65%と史上最高水準です。 よって、営業利益は低下しているものの、研究開発という将来への種まきは加速。ちなみに、世界最大の自動車メーカーであるトヨタは2025年4-6月期で3558億円という研究開発費が計上されていたことから、BYDはすでにトヨタと同等規模の研究開発費を投入していることになります。

TAG: #BYD #セールス #中国市場
TEXT:渡辺陽一郎
スズキ初のEV「eビターラ」はぶっちゃけ売れる? 日本のスズキファンが買うかどうかは「価格」次第

クルマとしてはよくできているスズキ初のBEVだが…… スズキは最初の量販電気自動車となるeビターラを2025年度中(2026年3月まで)に国内で発売する。フロンクスと同様、インドの工場で生産される輸入車で、ボディサイズは全長が4275mm、全幅は1800mm、全高は1640mmだ。カテゴリーはコンパクトSUVで、全長と全幅はマツダCX-3などに近い。 エンジンを搭載しない電気自動車だから、駆動用リチウムイオン電池の容量は比較的大きい。49kWhと61kWhが用意され、1回の充電で走れる距離は、49kWhの2WDが400km以上、61kWhの2WDは500km以上(4WDは450km以上)とされる。 ボディはコンパクトだが車内は意外に広く、身長170cmの大人4名が乗車したとき、後席に座る乗員の膝先空間は握りこぶしふたつぶんだ。4名で乗車できる居住性が備わり、1回の充電で400km以上を走れるから、電気自動車としては実用性も高い。 はたしてeビターラは売れるのか。販売面では決して有利なクルマではない。いまの乗用車の需要は、約80%が従来型や同じメーカーの車両からの乗り替えに基づく。それなのにeビターラは、日本では初代モデルだから、先代型からの乗り替え需要もない。すべてが新規ユーザーだ。 しかもスズキは、いままで電気自動車を扱った経験がない。加えて2024年度は、国内で新車として販売されたスズキ車の81%が軽自動車だった。残りの小型/普通車も、売れ筋は5ナンバー車のソリオとスイフトだ。eビターラは、国内におけるスズキのブランドイメージに合っていない。 eビターラの売れ行きを決定付けるのが価格だ。2025年7月中旬時点では未定だが、リチウムイオン電池の容量などが似ているリーフの価格を参考にできる。eビターラは装備を相応に充実させるから、49kWhのリチウムイオン電池を搭載したもっとも安価なグレードは、リーフに40kWhの電池を搭載したX・Vセレクションの431万8600円に近いと予想される。 仮にeビターラのもっとも安価なグレードが430万円なら、国から交付される約80万円の補助金を差し引いて、実質価格は約350万円だ。スズキのブランドイメージを考えると、車両価格を370万円に抑えて、補助金を差し引いた実質価格を290万円としたいが実際は難しい。 そして、先に挙げた車両価格が430万円/補助金を差し引いて350万円という予想価格を超えてしまうと、順調に販売するのは困難だ。eビターラは難しいビジネスだが、将来に向けた環境対応を考えると、避けられない一種の試練になる。

TAG: #SUV #セールス #国産車

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