フォルクスワーゲン 記事一覧

TEXT:生方 聡
36分ならガマンできる!? 東京〜鈴鹿往復ドライブ [ID.4をチャージせよ!:その12]

愛車のID.4で東京〜鈴鹿のロングドライブに出かけました。途中の充電環境が様変わりしたおかげで、EVの旅が格段に便利になりました! “東名派”から“新東名派”へ 新東名の御殿場JCT~三ヶ日JCTが開通したのは2012年4月のこと。4年後の2016年2月には浜松いなさJCT~豊田東JCTが開通。さらに、2020年12月からは御殿場JCT~三ヶ日JCTの6車線化が完了し、この区間の最高速度が120km/hになりました。これにより、東京〜名古屋の移動が便利になったのはご存じのとおりです。 ただ、個人的には昔ながらの東名を好んで走っていました。というのも、新東名が開通したおかげで東名の交通量が減り、新東名よりもむしろ東名のほうが走りやすくなったからです。とくに週末などに、追い越し車線をマイペースで走り続けるマナー違反のクルマは新東名のほうが多く(個人の感想です)、気分良く走れるという理由からあえて東名を選んでいました。 そんな私でも、EVでドライブするのであれば、いまや新東名の一択です。駿河湾沼津SAと浜松SAの上下線に、150kW級急速充電器やマルチタイプ急速充電器が設置されたおかげで、一気に充電施設が充実したからです。とくに150kW級急速充電器が利用できるのは頼もしく、以前のレポート(新東名で150kW級急速充電器を巡る旅 [ID.4をチャージせよ!:その11])で報告したとおり、30分の急速充電で走行可能距離が220km増えたこともありました。 では、どれだけ便利になったのか? ちょうど良い機会なので、鈴鹿サーキットの取材にID.4で向かい、チェックしてみることにしました。

TAG: #ID.4 #充電インフラ #急速充電器
TEXT:岩尾 信哉
フォルクスワーゲン、電気自動車(EV)ID.7の上級モデル「GTX」をティザー公開、9月の独IAAモビリティで正式発表

フォルクスワーゲンのEV(電気自動車)ブランドであるIDシリーズでは、最新モデルとなる「ID.7」が、4月に開催された上海国際モーターショーにおいてワールドプレミアとして発表された、さらに5月上旬にフォルクスワーゲンは、IDシリーズの上級スポーツグレードである「GTX」を、アッパーミドルクラスのID.7に設定することをティザー公開して明らかにした。正式発表は来る9月に独ミュンヘンで開催される「IAAモビリティ2023」となる。 欧州での正式発表を控えるID.7 2022年6月にID.4/ID.5(ID.4のクーペSUV版)に設定された「GTX」グレードが、フォルクスワーゲンが“プレミアムリムジン”と表現するID.7にも設定されることとなった。詳細は明らかではないが、欧州での発表時には、ID.7の欧州仕様の基本スペックとともに公表されるはずだ。 ID.7の概要を確認しておくと、IDシリーズのトップモデルとなるID.7は約5mの全長を与えられ、フォルクスワーゲンの既存車種ではパサート・クラスとなるモデルである。一見すると“セダン”とも思える「ID.7」は、5ドアのボディに長く伸びたルーフなどエアロダイナミクスが煮詰められ、CD値は約0.23に抑えられている。 ID.7も他のIDモデルと同様に、フォルクスワーゲンのEV専用プラットフォームであるMEB(モジュラー・エレクトリック・ドライブ・マトリックス)を基本に、後輪を駆動する。 ID.7で注目すべきは、新設計の永久磁石式同期モーターを採用することだ。後軸用モーターは“APP550”と呼ばれ、技術面での新機軸が取り入れられている。 この新型モーターでは、巻き線の有効数を増加させ、断面の有効部を拡大したステーター(固定子)を採用。ローター(回転子)は、より高い負荷容量を持つ強力な永久磁石と高い負荷に耐えうるよう設計され、増加したトルクに対応したという。熱管理面でも、電動オイルポンプを省略するなどの効率化が図られた。 最高出力は210kW(286ps)、最大トルクは約550Nmを発生するとされ、ロングドライブを可能とするため、最大約200kWの充電施設に対応可能としつつ、WLTPモードで約700kmの一充電航続距離を実現したという。なお、車載バッテリーについては複数の仕様を用意するとしかコメントされていない。 インテリアではタッチ操作式の15インチ・ディスプレイを設定するなど、シンプルな仕立てとなっており、総じて快適性の確保と余裕のある長距離移動を実現したとされる。

TAG: #GTX #ID.7
TEXT:加納亨介
EVオーナー114人の本音と実態。「フリーコメント集(後編)」アンケート 結果発表(最終回)

EVオーナーアンケート結果発表の最終回は、「EVの良いところ/悪いところ」に関するコメントを拾ってみた。 【アンケート概要】 調査対象:EVオーナー 調査方法:インターネット 調査実施期間:2023年1月12日〜2023年2月28日 アンケート回収状況:114件 良いところ 第3回で「次もまたEVを買う」という方が9割近くを占めるという結果を報告した。いわゆるアーリーアダプターにとっても、EVは一度乗ったらハイブリッド車やICE(内燃機関、ガソリン車やディーゼル車)には戻れないもののようだ。 上のグラフは「ご自身が所有するEVの気に入っているところを教えてください」の結果である(選択式/複数回答可)。114名の回答者のうちほとんどの方が出足や加速の良さなど動力性能を挙げている。フリーコメントを拾っていく。 「初動からダイレクト感が素晴らしく、回生モードだとアクセル、ブレーキがワンペダルで運転できる点が楽でいい」(東京都:BMW・i4) 「アクセルだけでの回生ブレーキによる減速操作」(東京都:VW・ID.4) 「とにかく上質な加速フィールと、回生ブレーキを使った(ほぼ)ワンペダル走行は良いです」(群馬県:日産・サクラ) 「加減速の操作感は圧倒的に電気が秀でる」(東京都:BMW・i4) 古典的なクルママニアの一部にはEVを毛嫌いする風潮が根強く残るが、リニアな加減速フィールはドライビングの悦びに直結することは間違いない。加減速をアクセルだけで済ます「ワンペダル」も、ICE時代にはなかったにもかかわらず好評を持って迎えられているようだ。 僅差の次点は静粛性だが、こちらも動力性能と合わせて言及されることが多かった。 「トルクフルな走りで静粛性の高いところ」(神奈川県:ヒョンデ・アイオニック5) 「速い・スムーズ・静か」(群馬県:テスラ・モデル3) たしかに大型のEVに乗ると、V12エンジンを積んだ超高級ICEサルーンのような静粛性と大トルクを味わうことができる。重量物であるバッテリーは床下にあり低重心にも寄与するから乗り心地も良い。 3位は「自宅で充電できること」。ICE時代は当たり前だった「ガソリンスタンドに寄る」という行為は、言われてみればたしかに無駄骨である。地域によっては燃料補給のためだけに往復数十kmも走らねばならないことだってある。 「ガソリンスタンドに行かなくていいのが凄く便利」(奈良県:テスラ・モデル3) しかし思わぬ罠もある。 「オイル交換やガソリンスタンドに行かなくて良いので楽。その分空気圧など日常点検を自分で行う必要がある」(千葉県:テスラ・モデルX) ガソリンスタンドがタダで貸してくれるあのエアポンプ、公共充電施設にも必要かもしれない。 「その他」では、どっしりとした乗り心地など快適性に関する記述が目立ったが、ガソリン臭くない、エンジンをかけなくても冷暖房が使える、メインテナンスがラクなどの声もあった。オイル交換と無縁なEVは、家電のように「使いっぱなし」が当たり前なのだ。 悪いところ 上の表は「ご自身が所有するEVについて、改善してほしいところを教えてください」の結果である(選択式/複数回答可)。最多得票は「気温が低いと航続距離が短くなる」であった。そもそもの「航続距離が短い」と合わせると、1充電の走行可能距離については多くの方から指摘されていることになる。 「強いて言えば冬の長距離は航続距離が落ちるところが気に入らないところです」(神奈川県:BMW・i4) 「厳寒時の電費が不満。急速充電もバッテリー温度が低いと15kw/hくらいしかでない。バッテリーコンディショナー欲しい」(群馬県:日産・サクラ) ICE時代は季節的なエンジン性能差など事実上なかったが、EVは外気温によるバッテリーの性能劣化を多分に意識させられる。加えてEVではヒーターの熱源も電気だ。陽が短ければヘッドライトなど灯火類の使用時間も増える。冬が辛いのはEVにとって運命的なものといえる。一方で、 「冬季充電施設の除雪をキチンとしてほしい」(宮城県:ボルボ・C40 Recharge) という意見もあった。充電施設は基本的に無人だから、小さそうで大きな問題である。なお、充電関連については第6回でも取り上げているのでそちらも参照されたい。 「車両価格が高い」「購入できる車種の選択肢が少ない」は、現時点ではどうしようもない。ただしメーカー各社はICEよりEVの開発に多く投資しているようだから、こちらは時が解決してくれるのではないか。 「その他」では、バッテリーの経年劣化について心配する声が多かった。 「SDGs的には長期保有が望ましいが、バッテリーの劣化という致命的な問題が付き纏う。調べれば調べるほどバッテリー劣化は避けられない運命です。短期所有で乗り換えを繰り返す人は気にしていないだろうが、長期保有する人ほどリスクを負う構造は知っておいた方がいい」(神奈川県:ヒョンデ・アイオニック5) この方は「買い替えは10年以上先」とお考えで、そうした時間軸ではEVはまだ重大な問題を抱えているといえる。 「まだわからないが、電池が劣化した時の電池交換の値段、もしくは下取り価格が不安」(埼玉県:日産・サクラ) 「走行用バッテリー交換のサポートの拡充。リーフは結局ディーラーが断り続けて交換出来ませんでした。北国では全くおすすめ出来ません」(宮城県:ボルボ・C40 Recharge) バッテリーの劣化で早々に車両そのものを買い替える、というのではちっとも環境に優しくない。バッテリー劣化度合いの公的基準(ボディ修復歴のような)と、中古車市場における表示義務の確立が急がれる。一方のメーカーはリーズナブルなバッテリー交換を目指さねばならない。 以上、掲載しきれないコメントもまだたくさんいただいているが、EVオーナーアンケート結果報告は今回で終了となる。基本的にアーリーアダプターならではの悦びに溢れていて我々も嬉しかったが、充電関連を中心に哀しみも少なくなかった。ただ、いまや自動車メーカーの開発資源はEVに多く振り向けられているし、関係諸官庁もEV時代に向けた環境整備に本腰を入れている。EVが当たり前の時代はもうすぐそこまで来ている、というのが集計作業を経た今の実感だ。

TAG: #C40 #i4 #ID4 #アイオニック5 #サクラ #モデル3
TEXT:加納亨介
EVオーナー114人の本音と実態。「フリーコメント集(前編)」アンケート 結果発表(第6回)

THE EV TIMESで行ったEVオーナーアンケート。選択式項目の集計結果は別ページにまとめられているが、ここでは記述式項目のコメントを集めてみた。前編のテーマは「充電事情」。予想通り、オーナーの不満は小さくなかった。 【アンケート概要】 調査対象:EVオーナー 調査方法:インターネット 調査実施期間:2023年1月12日〜2023年2月28日 アンケート回収状況:114件 EV普及への最大のネックは、言わずもがなの充電事情である。質問16「充電環境にご意見があれば教えてください」に何らかの記述をくださった91名のうち、はっきりと「不満なし」を表明しているのは3名のみだった。 公共的な充電設備がガソリンスタンドに比べて著しく少ない現状では、自宅に充電設備がないとICE(内燃機関、ガソリン車やディーゼル車)のようには使えないと思われ、実際、約8割の方がその設備を備えていた。自宅充電の出来ない2割の方のうち約8割は集合住宅にお住まいで、つまり自らの意思で充電設備を設置できないと想像できる方々であった。「充電環境にご意見があれば教えてください」「EV購入を検討している人にアドバイス」といった記述式項目からコメントを拾っていく。 「商業施設や集合住宅に普通充電器を普及させるのが急務だと思う。自宅充電可能で1日の走行距離が100km以下だと迷わず購入して問題無いと思います」(大阪府:テスラ・モデル3) 「いまのところZESP3(編集部注:日産の充電サービス)でまかなっていますが、やはり自宅充電環境がほしい。集合住宅でも導入できるようなソリューションが広がることを期待しています」(静岡県:ヒョンデ・アイオニック5) 「現状は自宅充電が必須です」(北海道:テスラ・モデルX) 「自宅で充電環境を整えられる人は買って問題ないです。逆に無理なら積極的にお勧めしません。でも急速充電器だけでも運用は可能です」(福岡県:ヒョンデ・アイオニック5) 「既設マンションへの6kW充電器普及を法律・条例で推めてほしい」(愛知県:テスラ・モデル3) など、充電拠点増加への期待が窺われる。むろん国や自治体のバックアップも必要になるだろう。 充電設備そのものへの意見としては、 「現状のチャデモの低性能さやUX(ユーザー・エクスペリエンス)の低さをなんとかして欲しい」(神奈川県:テスラ・モデル3) 「チャデモ充電器が使い辛い。20kWは実用的ではない、50kWは必要」(兵庫県:テスラ・モデル3) 「UI/UXはテスラが最も優れていると思うので真似して欲しい」(神奈川県:フォルクスワーゲン・ID4) など、急速充電への意見が目立つ一方で 「日常の行動範囲に普通充電器が普及すれば急速充電はそれほど必要なくなる」(神奈川県:テスラ・モデルY) と、普通充電への期待もあった。急速充電はバッテリー保護のため“満タン”には事実上できないため、ショッピングや宿泊など出先での時間を使って普通充電できれば、その方がむしろ便利とも言える。 「充電器の使用順を決めるシステムが必要。整理券を出して欲しい。終わっても帰ってこない場合テスラのような罰金を」(不明:日産・リーフ) 「充電量に応じた金額にして欲しい。2口の急速充電は課題の解決にはならない」(福岡県:プジョー・e-2008) 「24H使用できる普通充電がほぼない」(神奈川県:日産・サクラ) 「支払い方式の互換性の完全確立」(大阪府:プジョー・e-2008) あたりは、EVの周辺環境がまだまだ過渡期の混乱の中にあることを示している。 ちなみに、自宅充電設備を持たない方の中で、その必要性を感じないという意見は「集合住宅でも都内は十分に運用可能です」(東京都:テスラ・モデルY)の1名のみであった。都内も23区内に限れば使用範囲も広くなく、走行距離も伸びないはずだから、ICEと同レベルの運用をしやすいかもしれない。 わずかだが充電設備の故障についての言及もあった。確かに「ガソリンスタンドが故障して給油できなかった」という話は聞かない。たとえ故障していたとしても、ある程度人口のまとまった地域ならさほど走らずとも別のガソリンスタンドがあるだろう。 「急速充電器の故障が事前に分かる仕組みが必要」(兵庫県:テスラ・モデル3) 充電器故障情報は、今のところWEB上の口コミに頼るしかないようだ。機器に内包された故障検知システムが必要と思われる。また、新規で設置時は補助金が出るが、修理には補助金がでないことも充電器の故障を修理しづらい原因となっているようなので、修理やメインテナンスにも補助金が出るといいのかもしれない。 充電環境に関するまとめとして、フォルクスワーゲン・ID4オーナーのコメントを紹介させていただく。 「経路充電(急速充電器)の充実と目的地充電(普通充電器)の充実を希望」(神奈川県:フォルクスワーゲン・ID4) この方は自宅に3kWの普通充電設備をお持ちだ。自宅で満充電して出発、目的地での滞在時間中に普通充電、足りなければルート上で急速充電、というのが理想であろう。というよりこれがEV社会の当たり前の姿だと思われる。果たしていつ頃実現されるだろうか。今のところ、日本は他の先進国から大きく後れを取りそうな気配だ。 フリーコメント集(前編)は以上です。後編では「EVの良いところ/悪いところ」についてお伝えします。

TAG: #アイオニック5 #モデル3 #リーフ #読者アンケート
TEXT:烏山 大輔
フォルクスワーゲンとPowerCo(パワーコー)、カナダに過去最大規模のバッテリーセル工場を建設へ

フォルクスワーゲンと同社のバッテリー事業を担う子会社であるパワーコーが、カナダのオンタリオ州、セント・トーマスに、同社にとって過去最大規模のバッテリーセル工場を建設すると発表した。 パワーコーが欧州以外で初めて建設する工場で、年間最大90GWhのセル生産を目指す。 3ヵ所目、かつ最大規模のギガファクトリー セント・トーマス工場はフォルクスワーゲンとパワーコーにとって、ドイツ・ザルツギッター(生産能力40GWh、2025年稼働予定)、スペイン・バレンシア(同60GWh、2026年完成予定)に次いで、欧州以外では初のセル生産用ギガファクトリーだ。 最先端のユニファイドセル(どのVWのBEVでも使える統一規格のバッテリーセル)技術を採用し、北米におけるグループのBEVに使用される予定だ。工場の起工は2024年、生産開始は2027年を見込んでいる。 最終拡張段階で最大90GWh(1台当たり80kWhで112.5万台分、同60kWhで150万台分)の年間生産能力を持つこの工場は、昨年8月にフォルクスワーゲン、パワーコー、カナダ政府が合意した大規模計画の一環で、カナダにおけるeモビリティの推進に向けて、バッテリー生産の価値創造と原材料の確保に重点を置いている。 新工場では最大3,000人の高度技術者の雇用を創出し、さらにこの地域で数万人の間接雇用を生み出す可能性がある。今回の発表は、カナダのジャスティン・トルドー首相、イノベーション・科学・産業大臣のフランソワ・フィリップ・シャンパーニュ氏、オンタリオ州のダグ・フォード首相、オンタリオ州の経済開発・雇用創出・貿易大臣のビクター・フェデリ氏、セント・トーマス市長のジョー・プレストン氏が出席する中で行われた。 フォルクスワーゲン・グループのトマス・シュマル技術担当取締役は、「北米は、当社のグローバルバッテリー戦略において重要な役割を担っています。この地域は、ヨーロッパに次ぐパワーコーの第2の柱となり、北米で製造されたバッテリーセルを北米市場向けに提供します」と述べている。 パワーコーは2030年までに200億ユーロ(約2兆9,600億円)を超える年間収益を上げることが期待されている。 米自動車業界の中心で電池を生産する パワーコーがカナダにセル生産ネットワークを拡大することを決定したことは、フォルクスワーゲン・グループの北米における野心的な成長戦略をさらに実証する。 この戦略には、2030年までに米国とカナダで最も幅広いフルエレクトリックカーのポートフォリオを導入すること、米国とカナダでエレクトリファイ・アメリカ(※)の東海岸から西海岸までの充電ネットワークを拡大すること、2026年にSUVの元祖ともいわれる「スカウト」ブランドの最初のフルエレクトリックバージョン(サウスカロライナ工場で生産する計画)を導入することが含まれている。 ※エレクトリファイ・アメリカ。フォルクスワーゲン傘下の企業で、米国とカナダに充電ステーションを展開している。その一部にはコーヒーバーなどを備えた待合スペースのある「チャージング・ラウンジ」も含まれる。 ギガファクトリーが五大湖自動車回廊地帯の中心に位置する戦略的立地も注目に値する。オンタリオ州ロンドンから南へ約30kmに位置し、トロントやデトロイトなどの大都市からのアクセスも良好だ。工場は、サッカー場210面分に相当する約370エーカー(150ヘクタール)の敷地を有し、1,500エーカー(600ヘクタール)に及ぶ産業・サプライヤーパークの一部となる予定だ。さらにこの工場は100%CO2フリーのエネルギーが供給される予定である。

TAG: #ギガファクトリー #バッテリー #工場
TEXT:嶋田 智之
自動車ライター嶋田智之さんのイベントリポート、EV:LIFE FUTAKOTAMAGAWA 2023、その1

3月18日〜19日に開催されたBEVとPHEVのみの展示イベントを訪れた、自動車ジャーナリストの嶋田智之さんが抱いた実感とは。 徐々に浸透してきたBEVの存在 日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会のデータを基に日本自動車会議所が取りまとめた数値によると、2022年に新車として販売された乗用車の中でマイルドハイブリッドやFCEVを含めた電動化モデルが占めた割合は、45.4%だった。ところがモーター駆動もしくはモーター駆動がメインとなるBEVやPHEVは合わせても、その中の2.8%を担っているに過ぎない。販売面ではまだまだ少数派なのだ。 けれど、あくまでも感覚的なものではあるものの、近頃では電気自動車という乗り物が普通に受け入れられるようになってきている。まだ購入には至っていないし、ためらいもあれば迷いもあるのかもしれないが、展示されているクルマたちを眺める人々の視線がうがった感じではなく、何だかとっても自然だったのだ。3月18日〜19日に開催された『EV:LIFE FUTAKOTAMAGAWA 2023』の会場で、僕はそんなふうに感じていた。 このイベントは自動車雑誌『LE VOLANT』が2021年から開催している、BEVにPHEVというモーター駆動もしくはモーター駆動をメインとして走行するクルマのみを集めて展示する催しだ。東京・世田谷区の二子玉川ライズショッピングセンターの真ん中を貫く通路や広場に国内外の17ブランドのクルマがズラリと並べられて、買い物に来たり映画を見に来たりした人たちも、間近でクルマを見たり実車に触れたりすることができるのが、まず素晴らしい。 発売前のプロトタイプや導入が期待されている国内未導入のクルマなどもいくつか並べられ、事情通のクルマ好きたちの期待にも応えていた。 また古いフィアット500やフォルクスワーゲン・ビートルなどの歴史的名車をBEVにコンバートしたクルマが並ぶコーナーが用意されていたり、給電機能のあるBEVのバッテリーを利用して電子ピアノのライヴが行われたり、会場に面した蔦屋家電の協力で家電製品を使ったキャンプを提案するコーナーが作られていたりと見どころも多かった。 ただ環境意識に訴えかけるのではなく、EVがある暮らしはこんなふうに明るく楽しいという提案がそこここにあって、EVという古くて新しい乗り物に対する精神的な距離感を上手に縮めてくれていた。一般の人にとってはショールームにEVを見に行く、試乗しに行くというのは、ちょっとばかり特別なこと。その敷居を上手に下げていた印象だ。 特に人気のあったステランティスの3台 会場のどのブランドのブースでもお客さんが楽しそうな笑顔でクルマのそばにいるのを見ることができた中で、最も印象的だったひとつがステランティスのブースだった。 なかなか手に入れることがむずかしいノベルティがもらえるキャンペーンを展開していたこともあるのだけど、やっぱり大きいのは展示されていたクルマたちだろう。 キャラクターがはっきりとしていて人目を引くモデルが3台、それらを前にクルマの説明を受けている人や室内に乗り込んで細かなところをチェックしたりする人が後を絶たなかったのだ。 女性やお子さん、それに意外や40〜50代の男性などに人気が高かったのが、「フィアット500e」。ブランド初の量産BEVモデルで、1957年に誕生した歴史的な名車、ヌォーヴァ500が持つ独特の世界観を、電動化時代を前に新たに解釈しなおしてゼロから設計・開発したモデルだ。 古くから知られた500ならではの明るさと楽しさ、それにEVならではのメリットや味わいが無理なく融合したクルマである。ちなみに展示されていたのは目下のところBEVでは世界で唯一のオープントップモデルだ。 20代から50代と幅広い年齢層の男性が取り囲んでいたのは、「ジープ・ラングラー・ルビコン4×e」。こちらはBEVではなくPHEVの4WDモデルだが、モーターだけで42kmの距離を走行することができる。 ルビコンのネーミングが与えられていることからも想像できるとおり、緻密な電子制御と相性が抜群なモーター駆動を武器に、シリーズ最強=ジープ・ブランド最強の悪路走破性を誇っている。大自然が生み出す美しい音と静寂を耳で楽しみながら道なき道を走ることもできる、というわけだ。 お洒落なカップルやファッショニスタたちに注目されていたのは、「プジョーe-208」。パリジャン&パリジェンヌそのものといった小粋な雰囲気を醸し出すルックスは、ディテールを除くと内燃エンジン搭載モデルとほぼ一緒。その埋もれることはないけれど決して悪目立ちもしないさりげなさこそが、大きな魅力といえる小粋な5ドアハッチバックだ。とはいえ乗り味は非凡で、スポーティなハンドリングも上質な乗り心地も、もちろん力強さも、BEVモデルの方が一枚上手と評価する人も少なくない。

TAG: #EVイベント
TEXT:栁 蒼太
VWグループのElli、欧州での充電ポイントが50万カ所に

欧州の大手充電ネットワークプロバイダーであるElliは、その管轄下にある充電ステーションが50万基に到達したことを発表した。Elliは、自動車ブランドに関係なく、欧州28ヵ国の約950のプロバイダーでEVの充電が可能だ。 魅力あふれる急拡大 充電ステーション数が50万基を達成したのは、2022年12月に発表した40万ポイントの達成からわずか約4ヵ月後のことだ。現に「ヨーロッパ最大かつ最も急速に成長している充電ネットワーク」を提供するとフォルクスワーゲン(以下、VW)は声明の中で述べている。 なお、50万台の充電ポイントのうち、大半は普通充電ステーションだが、正確な数はプレスリリースに明記されていない。一方、Elliは、33,000のHPC(high power charging stationと呼ばれる急速充電ステーション)へのアクセスが、独自の充電ネットワークを通じて可能になったとしている。また、約5,000の充電ポイントでは、充電カードやアプリ、RFIDチップ(情報の読み取りや書き換えをするシステムのためのチップ)を使わずに充電プロセスを自動的に開始・決済するPlug&Chargeをすでに導入している。 充電ネットワークの拡大にあたって、Elliは、エネル(Enel)やイベルドローラ(Iberdrola)などのエネルギー事業者、鉱物油会社のBP、イオニティ(Ionity)など、数多くの協力関係やパートナーシップを活用している。 ただ、12月以降急速的に10万台を拡大したものの、VWはどのパートナーとどの地域に10万台の充電ポイントが追加統合されたかは明らかにしていない。 巨大グループならではの盤石なネットワーク Elliの充電ネットワークは、主に多数のVWブランドの充電サービスの基盤となっている。VWの「We Charge」、スペインのセアト(Seat)とクプラ(Cupra)の「Easy Charging」、チェコのシュコダ(Skoda)の「Powerpass」、そして「Audi Charging」も、1月からElli充電ネットワークを使用している。この50万基の充電ポイントは、現在、これらすべてのサービスで利用することができる。 今回は、ドイツ内での取り組みを取り上げたが、日本国内でもアウディ、ポルシェ、VWがプレミアム チャージング アライアンス(PCA)を拡大している。これによって、オーナーは各ブランドの展開する急速充電器を利用できるようになる。ブランド独自の充電ステーションの拡大は、該当するブランドにとっては非常に有効になるだろう。一方、社会インフラとしての、どの車でも歓迎という姿勢ではないため、どのようにネットワークが広がり、ユーザーに受け入れられるのか、今後の展開が気になる。

TEXT:生方 聡
新東名で150kW級急速充電器を巡る旅 [ID.4をチャージせよ!:その11]

愛車のID.4で150kW急速充電を初体験! 30分でどのくらい充電できたでしょうか? 目指すは新東名・駿河湾沼津サービスエリア 「マルチタイプ急速充電器は運まかせ [ID.4をチャージせよ!:その9]」で、最近高速道路でよく見かけるようになったマルチタイプ急速充電器の体験記を書きましたが、それ以上に気になっていたのが、この3月から高速道路で運用が始まった150kW級の急速充電器です。その概要は「高速道路初、新東名のSAで150kW級急速充電器が運用開始」をご一読いただくとして、150kW級の急速充電器を初体験するために、4月のある日、愛車のID.4で新東名・駿河湾沼津サービスエリアへと向かいました。 駿河湾沼津サービスエリアには、上下線ともに、1口の最大出力が150kW、2口同時では90kWという、ABB社製の「Terra 184 JJ-X」が1基ずつ設置されていて、まずは下りのサービスエリアを目指しました。到着予想時刻の1時間くらい前から、高速道路上の急速充電器情報がリアルタイムでわかる「高速充電なび」で利用状況をチェック。到着の40分くらい前に1台充電を開始しましたが、もう1台分は空いたままで、私が到着するころには単独で150kWの急速充電ができそうです。 現地に到着すると、1台分は空いていましたが、もう1台の場所はエンジン車で塞がれている状況。貴重な超急速充電器の利用スペースなのに……。マルチタイプ急速充電器のスペースにも一般車が駐車しており、EVだけが停められるような工夫がほしいところです。 気を取り直して、さっそく150kW級急速充電器で初充電! この日の気温は20℃と暖かく、バッテリー充電率も23%まで減らしてきていて、急速充電にはおあつらえ向きです。ID.4の急速充電ポートにコネクターを挿し、フォルクスワーゲン充電カードで認証すると、すぐに充電が始まりました。 ID.4の場合、急速充電の最高値は94kWです。150kW器で最高値が見られるかと、期待に胸を膨らませて充電器のディスプレイを見つめていると……えっ、71kW!? これは90kW級急速充電器のときとほぼ同じ数字です。その後、74kWまで上昇しますが、楽しみにしていた90kWオーバーの数字はついに見ることができませんでした。

TAG: #ID.4
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
VW、新型EVセダン「ID.7」を4月17日に初公開……デイリーEVヘッドライン[2023.04.11]

新世代プラットフォーム「MEB」を使用 EVリムジンとしてのポジションを狙う 【THE 視点】フォルクスワーゲン(VW)は4月5日、新世代EV「IDシリーズ」のフラッグシップモデル「ID.7」を4月17日にワールドプレミアすると発表した。VWの新世代プラットフォーム「MEB」が用いられたシリーズ初のセダンモデルで、販売は欧州・中国・北米の予定。 実車は現在スペインの山岳道路で最終段階の開発テスト中という。搭載されるパワーユニットも「ID.7」用により強力な新しいものが用意されるとのこと。 航続距離は、バッテリー容量に応じて最大700km(WLTC)で、最高出力200kWの急速充電に対応する。この航続距離には、高効率の新パワートレインと優れた空力性能が貢献している。 高い走行性能を保持するとともにインテリアの快適性も追求したという。VWは、革新的なテクノロジーと高品質の外観を備えた「ID.7」で、アッパーミッドサイズクラスの長距離旅行用のEVリムジンとしての地位を明確に位置付けていく。 日本での販売はアナウンスされなかった「ID.7」であるが、航続距離700kmという数値に見られるように高性能さは容易に想像できる。日本には「ID.7」はもちろんEVセダン自体が少ないだけに、導入を希望するユーザーは多いのではないだろうか。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★MINI、「上海モーターショー2023」にEVを出展……「MINIクーパーSEコンバーチブル」は世界初、「MINIコンセプト・エースマン」は中国で初公開予定 <関連記事> ・MINI初のオープンEV「クーパーSEコンバーチブル」製品詳報[詳細はこちら<click>] ・純正ホイールに変化。MINI(ミニ)が電気自動車に採用したホイールはエコなだけでなく、スタイリッシュで空力にも配慮[詳細はこちら<click>] ・MINI Concept Aceman(コンセプト エースマン)が日本初上陸、3月5日まで一般公開も実施[詳細はこちら<click>] ・次期MINIクロスオーバーEV版の詳細が公開。航続距離450kmでツアラーとしてのポテンシャルも[詳細はこちら<click>] ★テスラ、中国で大型蓄電システム「メガパック」を生産へ……年間1万個製造、「カリフォルニアでの生産量を補う」とマスク氏 ★横浜ゴム、「アドバンV61」が「レクサスRZ」の純正タイヤに採用……EVに求められる高い静粛性と転がり抵抗の大幅低減などを両立[詳細はこちら<click>] ★裏面でも発電可能なソーラーパネルを備えたカーポートが発売……三谷産業/三共立山/三共アルミの3社協業、路面からの反射光でも発電 ★V2Hのニチコンとオリコが包括的業務提携……V2Hの普及やオリコの決済サービスの活用などについて協業 ★台湾ホンハイグループのフォックスコン、米オハイオ州で農業用EVトラクターを生産……米モナークトラクターと提携、予定通りにEVトラクター「MK-V」シリーズの生産を開始 ★テスラ、2023年第1四半期は44万808台を生産……納入は42万2,875台

TAG: #ID.7 #THE視点 #ニューモデル
フォルクスワーゲン ID.2all コンセプトのフロントマスク
TEXT:小川フミオ
フォルクスワーゲンID.2allはBEV時代のザ・ベーシックとなるか。最新コンセプトカーが示す「原点回帰」とは【後編】

フォルクスワーゲンは、2023年3月に電動FFコンパクトハッチのコンセプトカーとしてID.2allを発表。邦貨約300万円台の価格を実現する「小さくて買いやすいBEV」は、ビートルやゴルフのような大衆車になる可能性を秘めている。まさしく原点回帰ともいえる最新BEVについて、自動車ジャーナリスト・小川フミオが同社経営陣にインタビューを敢行。前回につづき、後編をお届けする。 ショーカー完成まで6週間! ヘッドオブデザインのアンドレアス・ミントは「いかなるクルマもコピーしていません」と言う   20インチのホイールを履くタイヤを四隅に配したプロポーションのよさが命だとされる   いま北半球のマーケットではSUVがメインストリームだけれど、ID.2allがハッチバックスタイルで登場したのは、SUVやクロスオーバーのトレンドへの押し戻し? そう問うと、フォルクスワーゲン・ブランド技術開発担当のカイ・グリューニッツ取締役は次のように答えた。 「うーん……このプラットフォームでSUVも作りますから。おそらく、数ヵ月後に。多くの顧客がSUVを求めているのは事実です。ここで言いたいのは、ID.2allは充分魅力的なクルマになったということです」 たしかに、スタイリングのアピール力は強い。ID.2allが次期ポロとして登場しても不思議ではない気がする。 「私たちは、アイコンモデルのDNAを未来へと移植しています。ID.2allはビートル、ゴルフ、ポロへのオマージュでもあります」 そう語るのは、ヘッドオブデザインのアンドレアス・ミント氏。2023年2月に現職に就いたばかりで、そのすぐあと、わずか6週間で、今回のショーカーを作りあげたそうだ。 「たしかに6週間は短かったですが、なにを作るかしっかり頭のなかに青写真があればいいんです。私はフォルクスワーゲンに15年いて、そのあと(VWグループのほかのブランドへ移籍して)離れたときに、外から眺めたことで、どうすればフォルクスワーゲンがいい方向にいくか、客観的に判断できたのだと思います」 BEVっぽさがないスタイリング 円筒形はドライブモードセレクター   前席のパセンジャーシートは倒せば最長2.2mの長尺物を搭載することも可能   Stability(安定感)、Likeability(好感度)、Excitement(感動)の3つの主要な要素に焦点を当ててデザインしている、というミント氏。ID.2allで重視したのが、フロントマスクの造形だそうだ。 「必要だと思ったのはフレンドリーな眼であり、笑顔です。それが私たちが向かっている方向ですね。ID.Buzzを見てみてください。スーパーフレンドリーでしょう。みんな好きになってくれます」 ID.2allで興味深いのは、いってみれば、BEVっぽさがないスタイリングだ。あたらしいポロと言われても、即座に納得できそう。 「私たちはフォクルスワーゲンのアイデンティティを大事にしようとしています。私たちはモンスターフェイスはいらないし、どこにでもあるような電気自動車のデザインも必要ではありません。私にとっては、ゴルフのモダンバージョンといってもいいかもしれません」 一連のインタビューからみえてきたのは、ID.2allは特別なBEVでなく、自然に市場に受け入れられることをめざして開発されたモデルということだ。 背景には、欧州委員会によるエンジンをもった新車の販売禁止への動きが、当然あるだろう。 超ハイスピードで今回のショーカーを作りあげたのは、市場がどうなっても、フォルクスワーゲンは充分対応可能という、投資家ヘのメッセージでもあるはずだ。

TAG: #ID.2all #コンパクトカー
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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