トヨタ 記事一覧

TEXT:TET 編集部
デイリーEVヘッドライン[2022.12.16]

  ・トヨタ、EVのピックアップ「ハイラックスRevo BEVコンセプト」を初公開 【THE 視点】トヨタは「ハイラックス Revo BEV コンセプト」をトヨタ・モーター・タイランドの設立60周年記念式典で初公開した。 「ハイラックスRevo」とは、日本でも販売されている「ハイラックス」そのものでタイでの呼び名である。現行のハイラックスは実はタイ製である。 ピックアップトラックのEVは、アメリカではフォードやGM、新興メーカーのリビアン、そしてテスラなどが発売を表明している。アメリカでは一定の人気があるカテゴリーだが、それらと比較してハイラックスはひと回り小さい。 性能、販売時期などは明らかになっていないが、昨年12月の「バッテリーEV戦略に関する説明会」でもピックアップトラックのEVを披露していた。 今回の発表によればトヨタは、セダン、SUVに続きピックアップトラックと徐々にEVのバリエーションを増やしていくようだ。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ・オペル、「モッカ-e」を改良し「モッカ・エレクトリック」に改名……154ps(115kW)のモーター、54kWhのバッテリーを搭載し航続距離406km(WLTPモード) ・ジャガー、「F-PACE」のPHEV「P400e」の改良版を本国で発表……EVのみで最大65kmの航続が可能 ・アウディ、「Q8 e-tron」の生産をブリュッセル工場で開始……カーボンニュートラルに配慮した生産を実施 ・Yanekara、北九州市と公用車管理システムの導入を契約……EVの使用状況もシステムで把握 ・大東建託、EVの社有車でカーシェアサービス……大東建託パートナーズ管理の物件入居者が対象 ・二輪用品のナップス、バッテリー交換式EVバイク用の交換設備を設置……ナップス練馬店にGachacoステーション、今後設置店を拡大 ・充電スポット周辺のグルメ情報を共有するメディア「EVごはん」と駐車場検索アプリ「VEEMO(ビーモ)」がコラボ……「VEEMO」アプリ内で充電スポット近辺のグルメが検索可能に[詳細はこちら<click>] ・フォーミュラE、バレンシアテスト始まる……マセラティのマキシミリアン・ギュンター選手が初日総合トップ

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TEXT:TET 編集部
デイリーEVヘッドライン[2022.12.07]

  ・トヨタ、次期「C-HR」のコンセプトモデル「C-HR プロローグ」を欧州で公開……モデル初のPHEVを用意 【THE 視点】2016年に登場したトヨタのコンパクトSUV「C-HR」は、未来的なデザインを取り入れたことで若者の心も掴み大ヒットモデルとなった。 その「C-HR」の次期型と目されたのは、2021年12月に「BEVに関する説明会」で披露された「スモールSU EV」だが、それから1年経った12月5日、トヨタヨーロッパが「C-HRプロローグ」というスタディモデルを発表した。「スモールSU EV」と現行型をかけ合わせた「ハンマーヘッド」というサメをモチーフとする。斬新なデザイン性は、現行型から続く「C-HR」らしい特徴だ。 パワートレインは、ハイブリッドに加えて、C-HRとしては初のPHEVを展開するという。パワートレインを共有するであろう最新型の「プリウス」は、欧州ではPHEVのみ設定されるようだが、PHEVに加えてハイブリッドも展開するC-HRの狙いは何か。日本での発表時期などは不明だが、現行が発売されてからはや6年が経つ。そろそろモデルチェンジを迎えても良い時期だ。来年2023年は「東京モーターショー」改め「ジャパンモビリティショー」が控えている。次期型C-HRの発表を期待したい。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ・トヨタ、欧州で新型「プリウス PHEV」を発表……最大69kmのEV走行が可能 ・トヨタ、コンパクトSUVのEV「bZコンセプト」を欧州で公開……ボディサイズを公表(全長4538×全幅1888×全高1560mm)、2026年までに6機種の「bZ」モデルを投入 ・レクサス、EV用マニュアル・トランスミッションを開発中と欧州で発表……「UX300e」ベースの試験車両にシフトレバーとクラッチペダルを装備して開発中 ・メルセデス・ベンツ、「メルセデスEQ 横浜」をオープン……「EQ」シリーズ専売店、試乗車やレンタカーも用意 ・メルセデスAMG、新型PHEVのハイパフォーマンスカー「S63」を欧州で発表……パワートレインは総合560kW(802ps)のAWD、140km/hでのEV走行が可能 ・ステランティス、新型EV「プジョー インセプション コンセプト」をCES 2023で公開……次世代のコクピットプラットフォームを使用しインテリアを新設計 ・ステランティス、内燃エンジン式の小型商用車をEVに改造するソリューションを開発へ ・GM、米電池大手のマイクロバストとバッテリーセパレーターを共同開発…米政府からの補助金2億ドルでバッテリー工場を建設 ・GM、カナダに同国初のフルスケールEV工場をオープン……ブライトドロップのEV商用車「Zevo」を生産 ・エアバス、燃料電池式ジェットエンジンの開発を発表……実験機に大型旅客機「エアバス A380」を使用 ・経済産業省、電気料金値上げに関する公聴会を2023年初頭に開催、並びに値上げ認可申請にかかる「国民の声」を募集……値上げが認可された東北、北陸、中国、四国、沖縄電力各社それぞれに

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TEXT:TET編集部
トヨタ、新型EV「TOYOTA bZ Compact SUV Concept」を公開……デイリーEVヘッドライン[2022.11.18]

  ・トヨタ、新型EV「TOYOTA bZ Compact SUV Concept」を公開……コンパクトSUV型のEV、LAモーターショー2022に出展 【THE 視点】本車両は、EV専用ブランドであるTOYOTA bZシリーズの中で、日常生活で扱いやすい小型サイズのSUVとして開発されているモデル。2022年11月19日から開催されたLAモーターショーにコンセプトカーとして出展された。  ホイールを四隅に配置したアグレッシブなスタイリングと環境負荷の少ないサステナブルな素材を積極的に採用したインテリアが特徴。bZ4Xに比べコンパクトかつ軽量なエントリーSUVとして、より幅広い層をユーザーに取り込むことが想定されている。   動力性能、航続距離、価格等は不明だが、bZ4Xの弟分となるモデルとして、若い顧客層に受け入れられるだろう。更なる情報は、2023年以降に発表予定とされ、少し待たなければならない。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ・総務省、EVの税制を見直し出力別課税を検討……自動車業界と経産省は反発 ・フィアット、LAモーターショー2022で米国向けEVを発表……ティザーサイトに「500e」のヘッドライト公開 ・損保ジャパンと日本総研、中古EV電池の品質保証へ……事業化検討に向け実証を開始 ・テスラ、上海での累計生産が昨年を上まわる……1〜10月累計55万4778台、上海の生産工場「ギガファクトリー」で ・中国電池大手のCATL、ベトナム振興のビンファストと提携……スケートボード型フラットフォームを採用したEVを共同開発 ・「AKIRA」のようなバイクを発表……電動モビリティブランド「Horwin」がイタリアのEICMA2022で ・地方財政審議会、経年HVへの課税強化求める……総務省に意見書 ・11月19、20日にフォーミュラEがお台場でデモラン……ZEV-Tokyo Festivalで「日産リーフNISMO RC」も走行 ・ABB、 来季のフォーミュラEの新充電システムを発表……最大160kWで2台の同時充電 ・米ルッシード、新型電動SUV「グラビティ」を2024年に発売……3列7人乗りでBMW・iX、テスラ・モデルXなどに勝負 ・リマック、EVスーパーカー「ネヴェーラ」が412km/hを達成……世界最速の量産EVへ ・メルセデス・ベンツ、中国でのEV価格を値下げ……「EQE」と「EQS」の一部モデルに適用 ・福島楢葉町に国内初の水酸化リチウム工場完成……豊通リチウムがバッテリーの原料を国産化 ・MINI「クーパーS Eレゾリュートエディション」に新色……欧州用にホワイトを追加 ・ヒョンデ、「アイオニック6」を2023年に北米導入……LAモーターショーに出展

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TEXT:TET編集部
トヨタ「プリウス」をフルモデルチェンジ……デイリーEVヘッドライン[2022.11.17]

  ・トヨタ、「プリウス」をフルモデルチェンジ……デザインを一新、PHEVは2023年春頃発売 【THE視点】環境に優しい車の代名詞とされた「プリウス」の5代目が発表された。同時にPHEVも発表され発売は来春となる。  新型では、PHEV用エンジンの排気量をこれまでの1.8ℓからトヨタ初となる2.0ℓに変更、モーター出力もアップされシステム最高出力は164kW(223PS)となり従来型に比べ圧倒的な動力性能を得た。  バッテリーも新型に変わり従来型のおよそ2倍のEV走行が可能とされ、呼称もPHVからPHEVとなり大きく変わった印象がある。  プリウスは97年の発売以来、全世界で計約505万台が販売されたトヨタの旗艦車種だが、先代の4代目は販売面で苦戦を強いられていた。5代目ではデザイン性や走りの楽しさを強くアピールして巻き返しを図ると思われ、PHEVの販売も大きく伸びるであろう。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ・豊田通商、電動バス事業をケニアに展開……グループ会社のCFAOとともに現地の電動バスリース事業者に約1億5000万円を出資 ・豊田通商、リチウム製造工場が福島県楢葉町に竣工……リチウムイオンバッテリーの原料「水酸化リチウム」を国産化し安定供給へ ・東光高岳、新開発のEV用急速充電器第1号を設置……ホテルニューオータニに120kWの設備を1台 ・カールツァイス、EVへ進出……バッテリージャパン2022に出展 ・ヒョンデ、「アイオニック6」のファーストエディションが完売……11月9日の予約受注開始から24時間で2500台 ・日産「サクラ」が「日本自動車殿堂カーオブザイヤー」受賞……三菱eKクロスEVとともにクラスを超えた力強い走りと質感が評価 ・ボルボ傘下のEVブランド「ポールスター」、売上高倍増……2022年1〜9月決算で前年同月比およそ2倍 ・テスラ、米国で低評価……米消費者情報誌「コンシューマー・リポート」発表、EVよりもPHEVに関心 ・BYD、半導体部門の国内上場計画を中止……投資と生産能力の拡大に注力 ・BMW、「i7」を含む7シリーズを値上げ……2023年3月生産分より、「i7 xDrive60 エクセレンス」は1710万円に ・DS、新型フラッグシップ電動SUVを2024年末までに発売……ベアトリス・フーシェCEO明かす ・経産省、エコカー減税を1年に限り延長する方針……現行基準を据え置き ・テスラ、中国での納期を短縮…「モデル3」と「モデルY」の納車待ちを最低1週間に ・兵庫県三田市、小型EVでの移動サービスの実証実験を開始…運転手含む4人乗り20km/h以下で地域内を細かく周回

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連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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