レクサス 記事一覧

TEXT:小川フミオ
UX300eの唯一の弱点とは? パッケージングを観察する[レクサスUX300e試乗記]

年次改良でクルマとしての基本性能を上げているレクサスのラインナップの中で、BEV専用車種ではないUX300eの唯一の弱点とは?前回(その1をリンクさせる)に引き続き、自動車ジャーナリスト・小川フミオさんによるレポートです。 着実な進化を遂げているレクサス レクサスUXシリーズの発売は2018年。当初はガソリンのUX200と、ハイブリッドのUX250hが出て、20年にBEVのUX300eが追加された。 さいきんのレクサスで感心するのは、年次改良で、確実にクルマがよくなっていくこと。 内装や外装の色使いが派手派手しくなるとか、豪華装備が増えるとかでない。クルマの基本である“走り”の性能が向上しているのだ。 UX300eも例外でない。2023年3月30日のマイナーチェンジで、バッテリー性能が見直されたのも一例だ。 従来の54.4kWhから72.8kWhに容量が増え、満充電での航続距離は512kmに。従来比、約40%増しなので、かなりの性能アップだ。 たしかに、市街地をドライブしているぐらいでは、バッテリー残量計の減りはかなりゆるやか。結局、私の試乗では、バッテリーを空にすることはできなかった。

TAG: #UX300e #レクサス
TEXT:小川フミオ
「生活のなかに溶け込む電気自動車」と呼べる理由[レクサスUX300e試乗記]

レクサスRZ450eの試乗記に続き、自動車ジャーナリスト・小川フミオ氏によるUX300eの試乗記をお届けする。RZ450eの発売と同時にUX300eはマイナーチェンジが施された。大幅な航続距離の伸長以外にはどんな内容があるのだろうか。 ナチュラルな操縦感覚 レクサスが2023年3月30日に実施した、UX300eのマイナーチェンジ。結論からいって、たいへんナチュラルな操縦感覚に仕上がって、私のなかの好感度は大幅に上昇している。 ご存知のように、UX300eはレクサス初のBEV。ベースになったUXシリーズは、トヨタRAV4とを基本的にシャシーを共用。それをベースにピュアEVに仕立てたのはたいへんだったろう。 レクサスがやったのは、各部の徹底的な補強。そもそも、従来型でも大きめの駆動用バッテリーを床下に収めるため、車両は低重心。相乗効果で、印象的な操縦性能をもっていた。 2022年にはUXシリーズは、「F SPORT」にヤマハ発動機が開発したパフォーマンスダンパーを装着。 UX300eに「F SPORT」の設定はないけれど、ハンドリングと快適性ともに追求できるパフォーマンスダンパーは、おごられていた。それは、今回も継続される。 今回のUX300e、レクサスによる、マイナーチェンジの眼目は下記のとおり。 ・実用性の高いバッテリーEVモデルの更なる進化 ・新開発の電池パックにより航続距離512km、従来型比約40%向上 ・クルマの体幹を鍛え、UXの上質ですっきりと奥深い走りをさらに深化 ・予防安全技術の機能拡充とマルチメディアシステムなどの先進装備の進化 バッテリー容量が、従来の54.4kWhから、72.8kWhに拡大。モーターの150kWの最高出力と300Nmの最大トルクの値は変わらないが、満充電での走行距離が367kmから512kmへと伸びている。

TAG: #UX300e #レクサス
TEXT:小川 フミオ
[レクサスRZ450e]EV激戦区のライバルを探る[試乗記:その5]

RZ450eはミドルクラスのSUVで、現在のBEVの主流に属する。ゆえに数々の競合車が待ち構える。 まさに群雄割拠 RZ450eバージョンLの価格は880万円。どんなライバルが市場にあるだろう。 シャシーを共用するトヨタ「bZ4X」(FWD600万円/AWD650万円)は、モーターの出力がやや低くなるいっぽう、満充電からの走行距離はFWDモデルで559kmと、449kmのRZを大きく上回る。 スバル「ソルテラ」(FWD594万円〜/AWD638万円〜)も、FWD仕様はフロントに150kWのモーター(のみ)。AWDは前後80kW1基ずつ、とbZ4Xと同様のスペックだ。 日産には、全長4,595mm、ホイールベース2,775mmで、470km走る「アリア」(FWD539万円、AWDは近いうちに発売)がある。 ただし、レクサスのユーザーは、トヨタや日産でなく、輸入車のほうが気になるかもしれない。 BEV(バッテリーEV)に熱心なBMWだと「i4」(848万円〜)。全長4,785mm、ホイールベース2,855mmと、全長では4,805mmのRZより短く、ホイールベースは2,850mmなのでi4が長い。 満充電からの走行距離は、604kmを謳うi4が、494kmのRZをはるかにしのいでいる。部分的なパートナーとしてトヨタ/レクサスといい関係にあるBMWだが、ここでは見習うべきお手本か。 アウディでは、「Q4 e-tron」(638万円)と「Q4 Sportback e-tron」(730万円)が価格面で近い。全長は4,590mm、ホイールベースは2,765mmなので、Q4 e-tronのほうがコンパクト。そのせいか、航続距離は594kmと長い。 メルセデス・ベンツでは「EQA」(782万円)と「EQB」(822万円)という2台のSUVが価格的に、RZ450eと重なってくる。 EQBでは全長4,685mm、ホイールベース2,830mm。寸法はRZに近く、走行距離もEQBの520kmなので、やはりRZ450eとだいぶ重なってくる。 こうやって比較してみると、だいぶ市場がにぎやかになっているのが、あらためて分かる。

TAG: #BMW i4 #bZ4X #EQA #EQB #Q4 e-tron #RZ450e #SUV #アリア #ソルテラ
TEXT:小川 フミオ
[レクサスRZ450e]痛快なサイドビュー、「顔」のデザインは少し残念な点も[試乗記:その4]

レクサスはBEV(バッテリー電気自動車)のRZ450eにスピンドル“ボディ”を初めて採用、それまでのスピンドルグリルから大胆な変更となった。しかし、自動車ジャーナリスト・小川フミオ氏は、もう一歩BEVならではのデザインに踏み出して欲しかったと考える。その真意とは。 スピンドルボディのデビュー作 レクサスRZ450eは、あたらしいボディスタイリングをもっている。「BEVならではのシームレスな加速感とトルクフルな躍動感を表現」(プレスリリース)と説明される。 ちょっと情緒がかった表現なので、的確に解釈できるか自信はないけれど、たしかに前後のフェンダーのふくらみが力強さを表すいっぽう、傾斜の強いリアウインドウなどがスポーティだ。 プレミアムサイズのセダンとは表現がことなる。 キャビンは、リアウインドウがあえて強めに寝かされるとともに、Aピラーだけボディ同色の、自動車デザイン用語でいう逆カンチレバールーフを採用。 後輪あたりのリアクォーターパネルへとキャラクターラインがキックアップしてきて、車体にまとわりついた風などがばっと上に抜けていくようなデザインも、よく出来たスポーツクーペ、レクサスLCに通じる表現で痛快。 加えて、従来のICE車やハイブリッド車などとも一線を画している。 レクサス車のシンボルでもあった「スピンドルグリル」を廃し、ボディぜんたいの“かたまり感”でもって「スピンドルボディ」を作りあげたとされる。 スピンドルグリルを設定した2012年あたりで、すでにその先の電動化は視野に入っていたはず。ここがむずかしいところで、BMWはうまくやっているけれど、メルセデス・ベンツはグリルへのこだわりは捨て、エンブレムに集中している。 かつてのデザイン部長は「スピンドルグリルはシルエットを使えば、ピュアEVのフロントグリルにもじゅうぶん使える考え抜かれたものです」と私に説明してくれたことがある。 たしかに、レクサスといえばスピンドルグリル。10年で完全に定着したといえる。RZではそれを捨ててしまったのか。執拗に過去の実績にこだわる必要はないけれど、トヨタもそこはあんまりこだわっていないな。 フロントにエンジンがないのでキャビンとのあいだの隔壁をもっと前に出して、Aピラーをさらに前進させるデザインも出来たように思うけれど、レクサスでは、冒険的な手法は採らなかったようだ。 個人的にはサイドビューは好きだけれど、壁感というか、グリル開口部をなくしてそのままのっぺりしたパネルにしてしまったフロントグリルには、いまひとつ審美性を見出しにくい。そこは惜しい点である。 レクサスRZ450e version L 全長:4,805mm 全幅:1,895mm 全高:1,635mm ホイールベース:2,850mm 車両重量:2,110kg 前後重量配分:前1,130kg、後980kg 乗車定員:5名 交流電力量消費率:147Wh/km(WLTCモード) 一充電走行距離:494km(WLTCモード) 最高出力:前150kW(203.9ps)、後80kW(109ps) 最大トルク:266Nm(27.1kgm)、後169Nm(17.2kgm) バッテリー総電力量:71.4kWh モーター数:前1基、後1基 トランスミッション:eAxle(1速固定) 駆動方式:AWD フロントサスペンション:マクファーソン・ストラット式 リアサスペンション:ダブルウィッシュボーン式 フロントブレーキ:ベンチレーテッドディスク リアブレーキ:ベンチレーテッドディスク タイヤサイズ:前235/50R20、後255/45R20 最小回転半径:5.6m 荷室容量:522L 車両本体価格:880万円

TAG: #RZ450e #SUV #デザイン
TEXT:小川 フミオ
[レクサスRZ450e]尖っていないナチュラルなデザインが魅力[試乗記:その3]

開発陣の言う通りの「ナチュラル」なクルマに仕上がっているRZ450eに、あえて自動車ジャーナリスト・小川フミオ氏が指摘した点とは。 凝ったデザインをみたい 「クルマの機能をひけらかすのでなく、(運転する)ひとに寄り添うように走ることを目指しました」 レクサスRZシリーズの開発を指揮した渡辺 剛・製品企画主幹の言葉だ。 たしかにRZ450eの走りっぷりは、「ドライバーの意図に沿った気持ちよい走り」とか「操作に対して車両が素直に応える乗り味」とレクサスの開発者が言うとおりのものだ。 さきの渡辺主幹は「ナチュラル」と、RZでめざす走りを表現している。運転してみると、その言葉どおりに仕上がっていると思う。 ステアリングホイールの操舵感をはじめ、車両の反応、乗り心地、ブレーキのフィール、それに減速時のコントロール性、さらに音や振動など、クルマの印象を左右する要素どれをとっても、ザラついたところがない。 ドライバーズシートに腰をおちつけても、やはり、すっと落ち着く。意匠(デザイン)的には驚くような要素は少ない。 強いていえば、円筒形のシフターとか、エアコンなどほぼすべてのコントローラーがタッチ式になったことぐらいか。メーターナセルの意匠は、姉妹車ともいえるトヨタbZ4Xのほうがトンガっている。 ただし、ゆるやかな驚き(へんな表現だけれど)としては、アニマルフリー化を進めているレクサスによる、スエード調の人工皮革の雰囲気や、黄みがかったベージュとブルーグレイの組合せによる内装色などがあげられる。 平板な言葉を使うと、いいかんじ、なのだ。デザインがとんがっていないぶん、抵抗感なく落ち着ける。 それでも、もうすこしレンジローバー的に、意匠に凝るのもいいんじゃないかなーと思うのも事実。あちらは、すでに早くからウールや天然繊維を使ったシート地を採用しているのである。 クルマを全体として「ナチュラル」に仕上げていこうという開発陣の考えかたには、賛同できる余地がおおいにある。なので、あえて上記のようなことも書いてみたくなってしまうのだ。 BEVを、地球環境保全という意味でサステナブルな道具ととらえるなら、さまざまな部分で、レクサスのデザインチームのこだわりを見てみたい。 レクサスRZ450e version L 全長:4,805mm 全幅:1,895mm 全高:1,635mm ホイールベース:2,850mm 車両重量:2,110kg 前後重量配分:前1,130kg、後980kg 乗車定員:5名 交流電力量消費率:147Wh/km(WLTCモード) 一充電走行距離:494km(WLTCモード) 最高出力:前150kW(203.9ps)、後80kW(109ps) 最大トルク:266Nm(27.1kgm)、後169Nm(17.2kgm) バッテリー総電力量:71.4kWh モーター数:前1基、後1基 トランスミッション:eAxle(1速固定) 駆動方式:AWD フロントサスペンション:マクファーソン・ストラット式 リアサスペンション:ダブルウィッシュボーン式 フロントブレーキ:ベンチレーテッドディスク リアブレーキ:ベンチレーテッドディスク タイヤサイズ:前235/50R20、後255/45R20 最小回転半径:5.6m 荷室容量:522L 車両本体価格:880万円

TAG: #RZ450e #インテリア
TEXT:小川 フミオ
[レクサスRZ450e]あえて重め、かつしっかりとした操舵感[試乗記:その2]

開発中のRZ450eに乗っているからこそ気付いた市販バージョンに施された味付けとは。自動車ジャーナリスト・小川フミオ氏によるレポートです。 操舵感と車体の動きのマッチング RZ450eバージョンLを公道で乗ったとき、まず驚いたのは、操舵感。しっかりとしているが、重い。 さいきんのレクサス車やトヨタ車(の一部)に共通する“味つけ”で、ダイレクトな操縦感覚を重視するレクサス(トヨタ)ゆえの選択と聞く。 もう1台のBEVであるUX300eではデビューのときから何度も乗っていただけに、23年3月のマイナーチェンジでは、操舵感がうんと重くなったように感じられて、びっくりした。 RZ450eも、テストコースで乗っていたときより、あきらかに操舵感がしっかりした。操舵感をあえて軽くしているクルマもあるので、そういうのに馴れているひとはとまどうかもしれない。 私はこの感覚が嫌いでない。というか、すぐ馴れて、これはいいって思うようになる。 なぜかというと、クルマとドライバーの一体感のために、全体としてよく作りこまれていて、ステアリングホイールを操作する腕の動きに対する車体の反応が、感覚的にうまくマッチしているからだ。 準備中(のはず)の「ステアバイワイヤ」(航空機を思わせるハンドルを左右150度動かすだけで操舵できるシステム)採用モデルでは、もっとスポーティに振ってくることを期待するが、バージョンLなら、これでいいと納得の仕上がりだ。

TAG: #BEV #RZ450e #UX300e
TEXT:小川フミオ
[レクサスRZ450e]e-TNGAとDIRECT4による「走り」[試乗記:その1]

2035年にラインナップ全てをBEV(バッテリー電気自動車)にするとの目標を掲げるレクサスより、ブランド初のBEV専用モデルのRZ450eがデビューした。公道でのテストドライブがかなった自動車ジャーナリスト・小川フミオ氏による試乗記をお届けする。 待ちに待ったRZ450eの発売 ゼロからBEV専用モデルとして設計された、レクサスRZ450eが2023年3月30日に発売された。 じつは私、何度かテストコースで乗る機会に恵まれていたので、本心、“ようやくか”という思いが強かった。 東京都内で乗れたのは、「version L」。発売とともに設定された特別仕様車「First Edition」は限定モデルで、ほんらいのRZは、RZ450eバージョンLのモノグレード(いまのところ)。 全長4805mmの車体を、2850mmのホイールベースをもつシャシーに載せている。トヨタbZ4Xとホイールベースは同一で、全長は115mm長く、全幅も35mm広い。全高だけは15mm低い。 タイヤは前が235/50R20、後ろが255/50R20。偏平率が低くなるいっぽうの昨今ではめずらしい厚めのタイヤだ。 そのせいか、路面の凹凸を感じる場面は少ないようにかんじられたし、いっぽう、タイヤのふんばり感はしっかりある。 バッテリー駆動のピュアEV専用の「e-TNGA」なるプラットフォームを用い、「軽量かつ高剛性なボディにより基本性能を大幅に進化させた」とレクサスは謳う。 大きな特徴は、「DIRECT4(ダイレクトフォー)」なる4輪の駆動力制御。減速、加速、操舵をシームレスにつなげる技術だ。 車輪速度センサー、加速度センサー、舵角センサーなどを用いて、前後輪の駆動力を制御する。これに、前後のモーター出力を制御する「eAxle(イーアクスル)」の組み合わせだ。 たとえば、カーブを曲がるとき、「DIRECT4」システムが働く。ステアリングホイールを切り始めたときは前モーターを重視した駆動力配分(割合ではフロント75対リア25から50対50のあいだ)。 カーブを抜けたときは、駆動力配分は50対50から20対80まで変化。これで、車両を後ろから押しだすような加速感を与えてくれるという。運転すると、じっさい、そのとおりの印象だ。

TAG: #BEV #RZ450e
TEXT:烏山 大輔
レクサス「UX300e」がマイナーチェンジ、航続可能距離が512kmと約1.4倍に

レクサスは3月30日、バッテリー式電気自動車(BEV)のUX300eをマイナーチェンジした。価格は630〜685万円。新たに開発したバッテリーパックの導入により、電池容量を54.4kWhから72.8kWhに増強。これにより、航続距離を512km(従来型比約40%)伸長するなど、BEVとしての基本性能の進化を実現した。 さらに、上質ですっきりと奥深い走りの味の深化と、予防安全技術の機能拡充や最新のマルチメディアシステムを採用した先進装備の進化にも取り組んでいる。 走りの味の深化では、リアに標準装備の「パフォーマンスダンパー®」に加え、ボディのスポット溶接打点を20点追加することでボディ剛性を強化。バッテリーパックの床下配置によるBEV特有の低重心パッケージの基本性能の高さをさらに引き上げるべく、Toyota Technical Center Shimoyamaで徹底的に走り込み、EPSやダンパーの最適化を図り、すっきりと奥深い走りを実現した。 また、バッテリーパックに遮音壁としての機能を持たせたほか、エンジンやトランスミッションなど駆動系の音が少ないゆえに聞こえてしまう風切り音や小石・砂などの巻き上げ音にも配慮し、室内空間の静粛性を実現した。クルマから家へ電力を供給できるV2H(Vehicle to Home)にも対応している。 先進装備の進化では、より安全・安心に運転を楽しむことを目指し予防安全技術「Lexus Safety System +」を機能拡充。単眼カメラとミリ波レーダーの性能向上により、昼間の自転車運転者や夜間の歩行者も検知可能な「プリクラッシュセーフティ」の対応領域を拡大。交差点右折前に前方から来る対向直進車や、右左折時に前方から来る横断歩行者も検知可能になった。加えてドライバーの操舵をきっかけに車線内で操舵をアシストする緊急時操舵支援などの機能を追加した。 また、大型化/高解像度化したタッチディスプレイを搭載した最新のマルチメディアシステムを採用し、インストルメントパネルおよびコンソール周辺の形状やスイッチレイアウトを最適化。その他にも充電用USBコネクター(Type-C)をコンソール前方に2個新たに設定するなど、使い勝手を向上させた。 オーナーの使い勝手をよりよくする先進装備として、スマートフォンによりドアロック/アンロックやEVシステム始動などの操作を可能にするデジタルキーや、車両下方の路面状況やタイヤ位置などの把握を補助するパノラミックビューモニター床下透過表示機能を追加している。 レクサス UX300e version L スペック 全長:4,495mm 全幅:1,840mm 全高:1,540mm ホイールベース:2,640mm 車両重量:1,820kg 乗車定員:5名 交流電力量消費率:141Wh/km(WLTCモード) 一充電走行距離:512km(WLTCモード) 最高出力:150kW(203ps) 最大トルク:300Nm(30.5kgm) バッテリー総電力量:72.8kWh モーター数:前1基 トランスミッション:1段 駆動方式:FWD フロントサスペンション:マクファーソン・ストラット リアサスペンション:ダブルウィッシュボーン フロントブレーキ:ベンチレーテッドディスク リアブレーキ:ベンチレーテッドディスク タイヤサイズ:前後225/50R18 最小回転半径:5.2m 車両本体価格:685万円

TAG: #UX #充電
TEXT:烏山 大輔
レクサス初のBEV専用モデル「RZ450e」登場

レクサスが、バッテリーEV(BEV)専用モデルである新型「RZ」を発売した。発売を記念した特別仕様車“First Edition”は最初の500台限定だ。First Editionは940万円、version Lは880万円。 新型RZは、レクサス初のBEV専用モデルであり、電動化技術がもたらすレクサスらしいクルマを感性に訴えかける走りとデザインで体現し、BEVを軸とするブランドへの変革の起点となるモデルである。BEV専用プラットフォーム(e-TNGA)採用に加え、バッテリーやモーターの最適配置による理想的な慣性諸元や、軽量かつ高剛性なボディの実現により、車両の基本性能を大幅に進化させている。また、電動化技術を活用した四輪駆動力システム「DIRECT4」の採用などで、より人とクルマが一体となった気持ちの良いドライビングフィールを提供する。 新型RZのエクステリアデザインは、BEVならではのシームレスな加速感や躍動感を表現するとともに、スピンドルグリルをスピンドルボディと一体化することで、BEVの機能的な進化や空力性能の向上を図っている。また、インテリアデザインにおいては、SDGsやサステナブルなモビリティを中心に考え、洗練された空間づくりにこだわり、シンプルな設えの中にも上質さや細やかさを感じられる空間を実現。さらに、パノラマルーフや輻射熱ヒーターを含めた空調の協調制御による高効率な暖房システムなど、快適な室内空間を提供する機能も備えている。 発売にあわせ、「LEXUS Electrified Program」というサービスプログラムも提供される。このプログラムは、オーナーがRZとともに過ごす時間をより豊かにするために設けられたもの。商業施設などに設置された「レクサス充電ステーション」が同プログラム加入者は事前に予約が可能で待ち時間なく150kW以上の急速充電器が利用できるなどのサービスを受けられる。 レクサス RZ450e version L スペック 全長:4,805mm 全幅:1,895mm 全高:1.635mm ホイールベース:2,850mm 車両重量:2,100kg 乗車定員:5名 交流電力量消費率:147Wh/km(WLTCモード) 一充電走行距離:494km(WLTCモード) 最高出力:150kW(203.9ps) 最大トルク:266Nm(27.1kgm) バッテリー総電力量:71.4kWh モーター数:前1基、後1基 トランスミッション:eAxle 駆動方式:AWD フロントサスペンション:マクファーソン・ストラット リアサスペンション:ダブルウィッシュボーン フロントブレーキ:ベンチレーテッドディスク リアブレーキ:ベンチレーテッドディスク タイヤサイズ:前235/50R20、後255/45R20 最小回転半径:5.6m 車両本体価格:880万円

TAG: #RZ
TEXT:曽宮 岳大
レクサス、EVの楽しみの幅を広げるコンセプトカー「RZスポーツ・コンセプト」や、アウトドア向けコンセプトカー群を披露

脚光を浴びるバッテリーEVの高性能化 レクサスは「東京オートサロン2023」で、同ブランド初のバッテリーEV専用モデル「RZ」をベースにカスタマイズを施し、走りの楽しさや所有感を高めたコンセプトカー「RZスポーツ・コンセプト」を展示。このほか、“クルマ×アウトドア”の新たなコンセプトを訴求する出展も行なった。 レクサスは2020年に初のバッテリーEV「UX300e」を発売し、2021年12月には大規模なバッテリーEV戦略を発表。翌2022年4月にバッテリーEV専用モデルとなる「RZ」の導入を発表するなど、バッテリーEVのラインアップを強化中だ。またこれと並行して、バッテリーEVの楽しさを高めるモデルの企画・開発も進行している。今回の「RZスポーツ・コンセプト」も、カーボンニュートラルの実現を目指しつつ、走りやカスタマイズの楽しみを高め、クルマ本来の魅力を訴えるモデルに仕上がっている。 モーターは前後に150kWの高出力モーターを搭載する。ベースとなるRZではフロントが150kW、リアは80kWで、これに対してリアモーターの出力を大幅に強化したかたちだ。 さらに専用エアロパーツや35mmの車高ダウン、295/35R21というワイドタイヤの採用のほか、ボディ自体も全幅が90mmワイド化されるなど、レーシーな佇まいに仕上げられている。室内には4座バケットシートも採用している。開発にはSUPER GTやスーパー耐久で活躍し、RZの開発にも携わった佐々木雅弘選手が関わったとのことだ。

TAG: #アウトドア #レクサス
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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