レクサスUX300eのソフトウェアもマイナーチェンジの範囲にとどまらないような大幅なアップデートとなったが、自動車ジャーナリスト・小川フミオ氏のデザイン面での唯一の指摘とは。
ユーザーの声にもこたえるレクサスの真摯な姿勢
2023年3月30日にマイナーチェンジを受けたレクサスUX300e。予防安全技術の機能拡充とマルチメディアシステムなどの先進装備の進化も、大きな眼目とされている。
内容的には「Lexus Safety System +(レクサス・セイフティシステム・プラス)」の機能拡充がひとつ。
今回、単眼カメラとミリ波レーダーの性能を向上。「プリクラッシュセーフティ」の対応領域を拡大し、交差点右折前の対向直進車や、右左折時の横断歩行者も検知可能になったとされる。
ドライバーがなにかをよけようとステアリングホイールを操舵した際、(おそらく安全な危機回避の範囲内で)車線からはみださないよう操舵をアシストする緊急時操舵支援も追加された。
「レーダークルーズコントロール」に、カーブの大きさに合わせてあらかじめ減速するカーブ速度抑制機能も追加された。
さらに、車両の前後左右に搭載したカメラの映像を合成してセンターディスプレイに表示する「パノラミックビューモニター」における「床下表示機能」を追加。
路面の映像を車両直下に合成表示するこの機能は、他社(たとえばランドローバー)では、クリアサイト・グラウンドビューなどと呼ばれるもの。
モニタースクリーンにおいて、車両の下の路面状況や、自車のタイヤ位置などの把握が出来る。オフロードでもっともありがたい機能だけれど、狭い市街地の車庫入れなどでも使えるのだ。
12.3インチの横型タッチディスプレイを採用したマルチメディアシステムはスクリーンタッチでの操作が可能になった。
使ってみて印象的だったのは、音声認識機能。私のばあい「ヘイ、レクサス」と(日本語っぽく)呼びかけることで起動。
ナビゲーションシステムの目的地設定と、音楽再生のコマンドを試してみた。以前よりずっと感度が向上して、使いやすくなっている。
なんでも、これまでのシステムには“使い勝手がよくない”というユーザーの声がわりと多くメーカーに寄せられていたようで、至急に改善しなくてはいけない項目と認識されていたようだ。
「ディスプレイのタッチスクリーン化に伴い、インパネ及びコンソール周辺の形状やスイッチレイアウトを最適化」したとレクサスでは謳う。
たしかにそのとおりで、直感的に使えるし、いちぶの欧州車と違いエアコンなどの操作のための物理的スイッチが残されているのもありがたい。
ただあえて言えば、ダッシュボードとシートまわりのデザインは、やや退屈。ここは、たとえばフォルスクワーゲンのID.4やメルセデス・ベンツEQAなどの意欲的なデザインに負けていないか。
保守的なデザインを好むユーザーの嗜好性を考慮したり、使い勝手と先進性のバランスをとっていくのはムズカシイ作業とよーく承知のうえで、あえての注文です。