アウディ 記事一覧

TEXT:中谷明彦
【試乗】速さはスーパースポーツ並! AWD技術も完成の域! アウディS6スポーツバックe-tronに望むのは「感性に訴えかける走り」のみ

「S」の称号を冠したアウディの新EV アウディが新たに投入したS6スポーツバックe-tronは、同社の電動化戦略の頂点に位置づけられるモデルである。「S」の称号は従来より、アウディが高性能と精密な走りを象徴するために与えてきたもの。その名をBEV(バッテリー電気自動車)が冠することは、単なるEV化ではなく、電動化時代における「スポーツ」の定義を再構築する意図の表れともいえる。 外観はアウディ伝統の美しいプロポーションに、極めて高い空力性能を融合させたものとなっている。空気抵抗係数(Cd値)は0.21という好数値を実現。これは市販車としてトップクラスの数値であり、電費性能の向上や風切音の低減に直結している。 フロントグリルは段差の少ない面構成で整流効果を高め、起伏の少ないサイドラインは滑らかにリヤへと流れる。ハッチバック形状のテールゲートは、ルーフから緩やかに傾斜し、後方の気流分離を最小限に抑えている。 ボディサイズは全長4930mm、全幅1925mm、全高1470mm。ワイド&ローのスタンスが生み出す低重心感は、視覚的にも高性能モデルとしての存在感を強調しているようだ。 S6スポーツバックe-tronの駆動系は、前後に独立したモーターを配するデュアルモーター4WDとして構成されている。前軸に140kW/275Nm、後軸に280kW/580Nmを発生させ、システム総出力は405kW(約550馬力/ロンチコントロール起動時)に達する。0-100km/h加速は3.9秒、最高速度は240km/hと公表され、ガソリンエンジン車のSシリーズに匹敵する動力性能が与えられている。 動力源となるバッテリーは、フロア下に搭載される100kWhの大容量ユニットで、航続距離はWLTCモードで726km。CHAdeMO方式による135kW急速充電に対応し、一般家庭での200V充電環境でも満充電にでき、十分な実用性を備える。 発進からの加速は極めて滑らかで、モーター駆動特有の即応性と静粛性が際立つ。トルクの立ち上がりにタイムラグがなく、どの速度域からでも力強い加速を示す。 一方で、走行フィールには明確な特徴がある。高出力モーターと重量級バッテリーを支えるため、サスペンションは全体的に硬質な設定となっている。路面の段差を明確に伝える傾向があり、スポーツモデルとしての車両姿勢安定性を優先したチューニングとしているのだ。

TAG: #スポーツバック #輸入車
TEXT:桃田健史
4つ輪エンブレムじゃなく「AUDI」! VWは「ID.UNYX」! ワーゲングループが中国のZ世代獲得に動く!!

フォルクスワーゲングループが中国で大変身 フォルクスワーゲングループが中国市場で新しいアプローチを始める。VWブランドとしては「ID.UNYX」、アウディでは従来のロゴとは違う新生「AUDI」とした。狙いは若者層であり、革新的、先進的、ファッショナブルといった切り口だ。 そう聞いて、ある意味でオーソドックスな戦略とも受け取れるし、またなぜこのタイミングなのかという疑問を持つ日本のユーザーもいるだろう。 そもそも、フォルクスワーゲングループが中国市場への進出が本格化したのは、海外メーカーのなかではかなり早い1990年代からだ。当時の中国は、欧米や日本の自動車産業界にとっては未開の地であり、共産党政府での統制が厳しいなかでいわゆるカントリーリスクが高いといわれた時代だ。 そんなリスクを背負ってのフォルクスワーゲングループ中国進出は大成功する。2000年代半ば以降にBRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ)と米系証券会社が名付けた新興国のひとつとして中国が世界的な注目を集めるようになったが、ひと足早く中国社会に浸透したVWブランド(上海VW)は、市場から高い信頼を得るに至ったといえる。 当時、中国各地を取材した際、一般ユーザーの憧れのクルマは黒塗りのアウディ・リムジンだといわれていた。中央政府や地方政府のエリート高官らが使用していたからだ。ここでいうリムジンとは、アフターマーケットで改造されたものではなく、自動車メーカーが中国市場向けに専用設計したロングホイールベース車を指す。 その時代、中国国内でのクルマのトレンドは、アメリカン・ライフを感じさせるものや、富の象徴として大きなエンジンをもつことを強調するためにフロントグリルをデフォルメすることがメーカー各社のデザイナーに課せられた宿題であった。 そんな中国市場の急成長初期から20年弱が経過したいま、中国は世界最大の自動車製造・販売国であり、EVやレンジエクステンダーなど、最新電動車の販売台数でも世界を牽引する位置にある。また、2010年代後半以降には、中国ベンチャーや中国地場大手、さらにはHuaweiやXiaomiなど他業種を含めた多様な新ブランドが続々と立ち上がっては消えていく⋯⋯といった厳しい市場環境にある。 そうしたなか、中国では老舗海外ブランドを率いるフォルクスワーゲングループとしては、2030年代を見据えた中期経営計画のなかで、若い世代に焦点をあてたブランド戦略を実行に移したのだ。 急成長と急展開を繰り返す中国市場で、新たなるリスクを覚悟の上でフォルクスワーゲングループのチャレンジが始まった。

TAG: #アウディ #フォルクスワーゲン #中国
TEXT:TET 編集部
一充電走行可能距離はついに1000km超え! 日本でもっとも長く走れる新型EV「Audi A6 e-tron/S6 e-tron」シリーズが登場

PPE採用第2弾モデルのA6 e-tronとS6 e-tron ボディは2タイプ用意 2024年9月にドイツでデビューを飾ったアウディの電気自動車(EV)「A6 e-tron」シリーズが、日本でも7月24日から発売された。 A6 e-tronシリーズは、アウディとポルシェが共同開発した新しいBEV専用プラットフォーム「PPE(Premium Platform Electric)」を採用した第2弾モデル。このプラットフォームにより、優れた走行性能、一充電走行距離、効率、充電、そしてアッパークラスに匹敵する広い居住空間が可能になったとアウディは主張している。 ボディタイプは、4ドアクーペの「スポーツバック」とステーションワゴンの「アバント」という2タイプ。それぞれ正式名称を「A6 スポーツバックe-tronパフォーマンス」、「A6 Avant e-tronパフォーマンス」と呼ぶ。 アウディ伝統のラインアップに則って、四輪駆動「クアトロ」を採用したスポーツグレードの「S6 スポーツバックe-tronクアトロ」および「 S6アバントe-tron」も設定され、全部で4グレードの構成とされた。 内外装にアウディの先進技術が盛りだくさん 車両の詳細については発表時の関連記事に譲るが、低く力強い空力性能に優れたスポーティなエクステリアをまとったAudi A6 e-tronは、A6 Sportsback e-tron performanceがアウディ史上でもっとも優れたCd値0.21(A6アバントe-tronパフォーマンスのCd値は0.24)をマーク。ボディの上面、下面、そして側面に徹底した空力処理を施しながらも、筋肉質で魅力あふれるエクステリア処理を行い「テクノロジーの可視化」を図っている。 それは近年のアウディらしさを構成する重要な要素「ライティングテクノロジー」にも現れている。マトリクスLEDヘッドライト、ならびにデジタルOLEDリヤランプは、車内の「MMI(Multi Media Interface)」を介して8パターンのライティングが可能。リヤに関しては毎秒数回の画像生成が行なえるという。 これらは見栄えだけでなく、危険を察知した際には周囲へ注意を促す仕組みが内包されており、自車および周辺を走行する他車への安全な走行環境づくりに貢献する機能が含まれている。 インテリアのデジタル化も一層進み、独自のMMIパノラマディスプレイは局面デザインとOLED技術を備えた11.9インチのAudiバーチャルコクピットに加え、14.5インチのMMIタッチディスプレイで構成される。オプションのテクノロジーパッケージを選択すると、助手席用の10.9インチMMIフロントパッセンジャーディスプレイが装備され、運転席から助手席まで続く巨大なディスプレイ空間が完成する。 運転に必要な情報をフロントガラスに仮想表示するARヘッドアップディスプレイや、第2世代のバーチャルエクステリアミラーがオプションメニューにラインアップされるなど、アウディの先進的なデジタル技術が余すことなく用意されている。

TAG: #A6 e-tron #S6 e-tron #アウディ #輸入車
TEXT:すぎもと たかよし
EVシフト全開のアウディ! Q6 e-tronの新たなデザイン表現をプロが斬る!!

伸びやかで柔らかなスタイリングへの移行期? e-tronシリーズとしてBEVラインアップを着実に進めるアウディが送り出した新型Q6 e-tron。新型プラットフォームによる優れた総合性能と高い効率はもちろん、新しいデザイン哲学もまた注目ポイントとされています。そこで、今回はあらためてそのエクステリアデザインの特徴をチェックしてみましょう。 まず、全体を見渡すとポルシェと共同開発したBEVプラットフォームにより、非常に長いホイールベースと短いオーバーハングの伸びやかなボディに気付きます。また、キャビンフォワード気味に寝かされたAピラーによるキャビンは比較的スリムですが、緩やかに下るルーフラインに沿いつつ、リヤタイヤへ大きな荷重がかかって見えるのもポイント。 近年のアウディデザインは、2014年からデザインを統括してきたマーク・リヒテ氏による筋肉質でエッジの効いたスタイリングが特徴でした。ただ、昨年その後任に就いたマッシモ・フラセッラ氏の影響もあるのか、このQ6では意外にも全体の印象がソフトに変化していることに気付きます。 で、フロントの見所といえば、Q4 e-tronでも見られた開口のないシングルフレームですが、ブラックもしくはボディ色にすることでQ4ほど「浮いた」感じにはなっていません。もうひとつ、フロントではこれまた開口のないサイドエアインテーク部の広大さに目が止まります。 この部分、Q4では金属パーツを使った「ガソリン車風」でしたが、Q6では広く平面的な樹脂製のブラックパーツで覆われ、いかにもBEVであることを提示しているよう。ここは新型のA6 e-tronも同様の表現になっているので、BEVとしての新しい見せ方なのかもしれません。

TAG: #Q6 e-tron #デザイン
TEXT:TET 編集部
BEV用の新開発プラットフォーム「PPE」初採用! アウディQ6 e-tron/SQ6 e-tronがついに日本デビュー

新型電動SUV「Q6 e-tron」「SQ6 e-tron」を発表 アウディ ジャパンは、プレミアムミッドサイズ電動SUV「Q6 e-tron」およびスポーツグレード「SQ6 e-tron」を発表した。2024年4月15日から全国の正規ディーラーにて発売を開始する。 Q6 e-tronシリーズは、アウディがポルシェと共同開発した新しいBEVプラットフォーム「PPE(プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック)」を採用した初の市販モデルで、アウディのSUVシリーズ「Qモデル」らしいスタイルと、BEVシリーズ「e-tron」のデザイン言語を融合させ、高い走行性能と充電速度、さらに最長672km(SQ6 e-tron)という優れた一充電航続性能を高次元にバランスさせた次世代電動SUVだ。 テクノロジーを可視化したエクステリアとインテリア Q6 e-tronは、全長4770mm×全幅1940mm×全高1695mm、ホイールベース2895mmの堂々としたプロポーションを備える。全体的にはソフトな印象を与える流れるようなフォルムを持ちつつも、シャープなラインやエッジがコントラストを生み出し、静止しているときでもダイナミックな存在感を放つデザイン処理が施されている。とくにDピラー下部のquattro(クワトロ)ブリスターと呼ばれる部分は、アウディのデザインDNAである「テクノロジーの可視化」を表現しており、「e-tron GT」の流れを汲んだ力強さと安定感を視覚的に訴えかける。 インテリアは、立体的でハイコントラストな3Dデザインを採用し、奥行と洗練された美しさを実現したという。また、新開発された未来志向の電子アーキテクチャー「E³ 1.2」により、車両のデジタル化をこれまで以上に直接体験できるようにしている。これにより生み出されたコネクテッド機能を備えたデジタルインテリアが、特徴的な空間の演出に深く貢献している。 11.9インチのバーチャルコックピットプラスと14.5インチのMMIパノラマディスプレイで構成されたコクピットは、明るく広々としたスペース感覚を与える。また、助手席側にも10.9インチのMMIパッセンジャーディスプレイが装備され、デジタルコンテンツを楽しんだり、充電ステーションの検索をサポートしたりといった機能を有し、新たな移動体験を提供する。 室内空間はソフトラップと呼ばれるトリムが、ドアからコクピット全体、そしてセンターコンソールにまでシームレスに広がる。これにより、乗員を包み込むような調和の取れたスペースを生み出している。また、eモビリティにシフトするアウディの新しいラグジュアリーの在り方を、リサイクル素材を活用するなどして表現。レザーフリーマテリアルのオプションも提供され、サスティナビリティへの配慮も忘れない。 トランクは526リットルの容量を備え、3分割式のリヤシートを倒すことで最大1529リットルまで拡大する。さらに、64リットルのフロントトランク(フランク)を設け、高い実用性を誇る。 むろん新開発のPPEプラットフォームにより、広々とした室内空間と快適な居住性を手に入れていることはいうまでもない。 Audiならではのライティング技術がさらに進化 Q6 e-tronには、世界初の「アクティブデジタルライトシグネチャー」が装備されている。このフロントフェイスを引き立てるデジタルライトは、12のLEDセグメントとアルゴリズムの相互作用により、8パターンのライトシグネチャーの選択が可能だ。 リヤのデジタルOLEDライトは、従来の10倍にあたる合計360のセグメントを備えた6枚のOLEDパネルを装備している。これにより、リヤエンドのデザイン性を高めるだけでなく、周囲の状況に応じた警報シグナルを発する「コミュニケーションライト」機能を搭載し、安全性の向上に寄与する。

TAG: #Q6 e-tron #SQ6e-tron #アウディ #新型車情報
TEXT:TET 編集部
アウディの新プラットフォーム採用の期待の新EVに見て触れる! 「A6アヴァントe-tron」をブランド発信拠点「Audi City 銀座」で期間限定展示

日本国内での発表を前に欧州仕様のA6 アバント e-tronを展示 昨年7月に欧州で発表された新型アウディA6 e-tronシリーズ。アウディにとって最新の電気自動車であり、PPE(Premium Platform Electricの略)プラットフォームを採用した2番目のモデルでもある。 そのアウディA6 e-tronシリーズにラインアップされているステーションワゴンタイプの「A6 アバント e-tron」が、日本国内での発表・発売に先駆けて、東京・銀座七丁目に構えるアウディブランドの最先端情報発信拠点「Audi City 銀座」において、3月13日から4月15日までの期間限定で、欧州仕様車ながら展示されることが決まった。 アウディA6 e-tronはPPEプラットフォームの採用により、アウディの強みであるパフォーマンス、一充電航続距離、効率性、充電能力を受け継ぎながらも、エレガントでプログレッシブなプロポーションを確立したモデルだ。 とくにボディ全体の細部に至るまで空気抵抗の最適化が図られ、空気の流れをコントロールすることで効率性が高められているのが特徴。 視覚的な要素では、近年のアウディを象徴する特徴的なライティングや、人間工学の観点からユーザーのニーズを重視して設計されたというインテリア、MMIパノラマディスプレイやパノラマガラスといった革新的な装備を備えており、e-tronシリーズの新章を迎えている。 今回、グレイシアホワイト色をまとった欧州仕様のA6 アバント e-tronが先行展示される「Audi City 銀座」では、この展示期間以外でも国内導入予定の最新モデルや限定モデル、コンセプトモデルを展示し、アウディの世界観が体験できる機会を提供しているという。 これを機に一度足を運んでみてはいかがだろうか。

TAG: #A6 e-tron #アウディ #新型車情報
TEXT:TET 編集部
トルク増大でより俊敏なパフォーマンスを発揮! アウディ「Q4 e-tron」が大幅アップグレード

Q4 45 e-tronは40と比較して何が変わった? アウディの電気自動車(EV)は、車名に「e-tron」の名を冠する。大型SUVのQ8 e-tronを手始めに、クーペのような流麗なボディフォルムをもつ4ドアグランツーリスモのe-tron GTがその後デビューし、そしてここで取り上げるプレミアムコンパクトSUVのQ4 e-tronが、アウディのEV第3弾として登場した。 それから月日を経て、このたびQ4 e-tronに大幅なアップグレードが施され、それまでのQ4 40 e-tronおよびQ4 スポーツバック 40 e-tronから、それぞれ数字を5つずつアップさせ、Q4 45 e-tron/Q4 スポーツバック 45 e-tronとしてデビューした。今回のアップデート注目ポイントを項目ごとに見ていこう。 ボディ形状が異なるふたつの「Q4 e-tron」 Q4 e-tronと一概にいってもボディタイプはふたつ存在し、「Q4 45 e-tron」はSUVらしい存在感のあるマッシブなボディ形状を持つ。 一方の「Q4 スポーツバック 45 e-tron」は、リヤハッチをスラントさせたクーペスタイルのフォルムをまとい、パーソナル感を強めたSUVとなっている。 全長4590mm、全幅1865mmというサイズは両モデルに共通しているが、荷室容量は意外にもリヤハッチを傾斜させたQ4 スポーツバックの方が15リッター多く、535リットルになるという。 アップデートの目玉は+235Nmの大トルク 今回のアップデートは動力性能の向上に重点が置かれ、両モデルとも従来型に比べ出力が60kW強化され、最高出力が210kWに増強された。さらにトルクは235Nmも増え、最大トルク545Nmを発揮するまでに至った。 システム電圧400V、総電力量82kWh(正味容量77kWh)の駆動用バッテリーが前後アクスル間の床下に搭載され、リヤアクスルに搭載された1基の電気モーターが後輪を駆動する。これにより0-100km/h加速は6.7秒をマークする。 回生ブレーキの効きはパドルシフトで3段階に調整が可能で、最大レベルの3はいわゆるBモードに該当し、アクセルペダルだけで速度調整ができるワンペダルドライブの間隔を味わうことができる。 最高出力が大幅にアップしたにもかかわらず、より綿密な制御を行うことで一充電走行距離は従来比+19kmの613kmに達するという。なお、200Vの普通充電は3kWを標準とし、オプションで最大8kWまで対応。急速充電はCHAdeMO規格の125kWに対応しており、理論値ではあるが残量5%から80%までの充電が38分で可能な受け入れ能力を持つ。

TAG: #e-tron #Q4 #SUV #輸入車
TEXT:TET 編集部
東京都に住むEVオーナーは注目!  最新設備の「アウディ・チャージング・ハブ 紀尾井町」の150kWh超急速充電を30分無料開放

パワーエックスの充電アプリをダウンロードすれば利用可能に EV1台につき最大150kWという高出力で急速充電が可能な、パワーエックス社のハイパーチャージャーを2基4口備えた充電施設「アウディ・チャージング・ハブ 紀尾井町」では、現在すべての電気自動車ユーザーを対象として、2025年1月10日までの期間限定で「ウィンターホリデーキャンペーン」を実施している。 このキャンペーンは、アウディが世界で7拠点目、欧州外では初の設置となる急速充電施設「アウディ・チャージング・ハブ 紀尾井町」が誇る150kWhクラスの急速充電を、年末年始の帰省や行楽などを中心としたウインターホリデーシーズンに、すべての電気自動車ユーザーに対し30分間の超急速充電を無料で体験してもらおうとアウディが開放するものだ。 この施設は普段からすべての電気自動車ユーザーに対して門戸を開いているが、それはあくまでも有償サービスとしての話。それが今回は無料、かつ150kWh級の超急速充電なのだからお得度はかなり高い。 また、この「ウィンターホリデーキャンペーン」の利用後に、隣接するAudi City 紀尾井町を訪れると、「Audi Charging hub オリジナルミント」が数量限定でプレゼントされるという。 利用にあたっては充電に使用するパワーエックスの専用アプリをダウンロードし、Audi Charging hubの会員登録を事前に行う必要がある。また、普段からこの施設で優待が受けられるアウディ、フォルクスワーゲン、ポルシェの電気自動車オーナーを対象としたPCA(プレミアム チャージング アライアンス)のメンバーであっても、今回の超急速充電30分無料体験を利用するにあたっては、パワーエックスのアプリに登録する必要があるので注意してほしい。 なお、設置されている充電器は「CHAdeMO 2.0.1」に対応しているが、CHAdeMOアダプターを介した充電はできないので注意いただきたい。 年末年始の長期休暇にEVで東京から出発する人も、東京に向かって走ってきた人も、24時間稼働している充電施設なので、自身のスケジュールに合わせてこのお得な超急速充電を体験してみてはいかがだろうか。

TAG: #アウディ #アウディ・チャージング・ハブ #超急速充電器
TEXT:TET 編集部
小型バッテリーのRWDと大型バッテリーのクワトロを追加! アウディがA6 e-tronに新グレード設定

A6 e-tronがラインアップを拡大 2024年7月、アウディはシステム出力270kW、後輪駆動のAudi A6 e-tron performanceと、システム出力370kW、四輪駆動のAudi S6 e-tron quattroをワールドプレミア。 そして今回、A6 e-tronシリーズに追加されたのは、後輪駆動で総電力量83 kWhの小型バッテリーを搭載したモデルと、四輪駆動で総電力容量100 kWhの大容量バッテリーを搭載したモデルだ。 新たな後輪駆動のA6 e-tronは、システム出力210kWで、0から100 km/hを6秒で加速。800Vで最大225kWを出力するDC急速充電により、Audi A6 e-tronの充電は短時間で済む。最適な充電ステーション(ハイパワー充電、HPC)を使用すると、Sportbackは10分で最大260km、Avantは最大245km相当の充電が可能。充電レベル(SoC)は21分で10%から80%まで増加する。A6 Sportback e-tronの一充電走行距離は最長627km、A6 Avant e-tronの一充電走行距離は最長598km。A6 Sportback e-tronはA6 e-tronファミリーのなかで、もっとも経済的なモデルだ。 一方、quattroモデルはシステム出力315kWで、0から100 km/hまで4.5秒で加速。A6 e-tron quattroは、最大270kWの充電容量を持つHPCでは、Sportbackの航続距離は10分で最大290km、Avantは最大280km相当の充電が可能だ。充電レベルは21分で10%から80%に達する。一充電航続距離はA6 Sportback e-tron quattroで最長716km、A6 Avant e-tron quattroで最長685km。 今回設定された新たなモデルは、ドイツですでにオーダー可能となっている。

TAG: #A6 e-tron #エントリーモデル
TEXT:TET 編集部
アウディ以外のEVオーナーもどうぞ! 最大150kWの「急速充電30分無料体験キャンペーン」をAudi charging hub紀尾井町で実施中

まずはスマホに「PowerX」のアプリをダウンロード アウディが2024年4月26日から運用を開始した超急速充電施設「Audi charging hub(アウディ・チャージング・ハブ)紀尾井町」で、11月17日までの期間限定で、1台あたり最大150kWというハイスペックな急速充電体験をすべてのEVオーナーが無料で体験できる「急速充電30分無料体験キャンペーン」が開催中だ。 アウディ・チャージング・ハブ紀尾井町は、アウディがパワーエックス社との事業提携に基づき運用する、パワーエックス社製の蓄電池を備えた超急速EV充電器「ハイパーチャージャー」を備えた充電施設。こうしたアウディ自らが運営する充電施設は欧州圏内で整備を進められており、紀尾井町は欧州外で初となる世界7拠点目の施設として今年4月にオープンした。 アウディ・チャージング・ハブ紀尾井町は、1基につきふたつの充電ポートを備えたハイパーチャージャーを2基設置しており、最大で4台に同時充電することが可能。1台充電時の最大出力は150kW、2台同時の場合は1台あたり最大120kWの高出力でスピーディな充電が行える。 蓄電池を備えることで、充電需要の低い時間帯にカーボンニュートラルの電気を蓄えておき、充電需要が高まる時間帯でも急速充電の提供が可能になっている。また、施設の屋上には太陽光パネルを設置している。これにより運営に必要な電気を補い、脱炭素に貢献しながらEVユーザーにより高い利便性を提供しているのが特徴だ。 あらゆる電気自動車ユーザーを対象にした施設ではあるが、アウディ、フォルクスワーゲン、ポルシェのEVオーナーを対象としたPCA(プレミアム・チャージング・アライアンス)のメンバーならば、ほかのPCAメンバー向けの最大150kWの急速充電ネットワーク施設(年内に全国400基へと拡充予定)と変わらないメンバー価格で充電が可能だ。また、2基4口あるハイパーチャージャーのうち、1基2口についてはPCAメンバー専用の充電器となっており、メンバーは優先的に利用することができるのでメリットは大きい。 4月のオープンからこれまで約5か月間での延べ利用回数は1200回を超え、多くのユーザーに150kW充電ならではの快適な充電体験を提供してきたアウディ・チャージング・ハブ紀尾井町。今回のキャンペーンの狙いは、その急速充電体験をこれまでよりもさらに幅広いEVユーザーへ対象を広げ、「PowerXアプリ」を使った快適な超急速充電体験をしてもらうことが目的だとアウディは説明している。 利用にあたってはPowerXのアプリをダウンロードし、 アウディ・チャージング・ハブの会員登録をする必要があるので、気になる方は以下の手順を参考に利用してみてほしい。 1.スマートフォンに「PowerX」のアプリをダウンロード 2.ユーザー情報、車両識別番号(VIN)、クレジットカード情報などを登録 3.Audi charging hubを検索し、空いている時間を選択のうえ予約 4.アプリで充電スタート/ストップ。支払いはアプリで完了させる すでにPCAのメンバーで、従量課金制での利用、および「急速充電30分無料体験キャンペーン」を利用希望の方は、本アプリへの登録が必要になる。ただし、キャンペーン期間中も従来通りPCAアプリを利用し、PCA料金で利用することも可能だ。 また、アウディ・チャージング・ハブ紀尾井町の充電器は、充電規格「CHAdeMO 2.0.1」に対応しているものの、CHAdeMOアダプターは使用することができないため、利用にあたっては注意が必要だ。 「急速充電30分無料体験キャンペーン」は11月17日までの期間限定なので、快適な最大150kWの超急速充電を体験できる好機を逃さないでほしい。 ■ 「Audi charging hub 紀尾井町」概要 所在地:東京都千代田区麹町5-7-15 24時間利用可能・年中無休 ■ 通常時(キャンペーン除く)料金プラン(従量課金制) Premium (再生エネルギー100%) :105円 / kWh Regular (再生エネルギー70%) :95円 / kWh Economy (系統電力/従来の発電方法) :85円 / kWh

TAG: #EV充電器 #アウディ
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
日本は3年連続「日産サクラ」がトップ! じゃあ中国・欧州・アメリカで一番売れてるEVってなにか調べてみた
電気自動車って「お金的に」得? エンジン車と諸々の費用を比べてみた
リーフのバッテリーパックをバラして積むって意外に大変! 初代フィアット・パンダのEV化に挑戦してみた【その5】
more
ニュース
新型エルグランドがいよいよe-POWERで登場!? 「EVの雄」日産のジャパンモビリティショー2025は電動モデルが盛り盛り
トヨタの新型モビリティでお台場周辺が一気に便利になる! 「eパレット」と「C+walk」が街全体の活性化にも貢献
ホンダがカーボンニュートラル実現に向け二輪の電動化を加速中! 欧州でネイキッドモデル「WN7」を発表
more
コラム
モニターもなきゃ急速充電もない……がなんの問題もない! N-ONE e:のエントリーグレードは「EVの本質」を追求したクルマだった
再生中の日産が早くもヒット作を生み出した! あえて日産らしさを封印した「N7」のデザインに天晴れ!!
なぜBYDは軽EVを日本に導入するのか? 現在じゃなく未来を見据えた周到な戦略とは
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】いい意味で「EVを強調しない」乗り味! 本格4WDモデルも用意される期待のニューモデル「スズキeビターラ」に最速試乗
【試乗】5台の輸入EVに一気乗り! エンジン車に勝るとも劣らない「個性」が爆発していた
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
more
イベント
ホットハッチ大好き英国人も唸らせたホンダ「スーパーワン」! 2026年の発売を前にプロトタイプを日本初公開【ジャパンモビリティショー2025】
2026年春発表予定のSUBARU「トレイルシーカー」 BEVであってもお客様第一主義と安全性へのこだわりは健在!【ジャパンモビリティショー2025】
ダイハツ「ミゼットX」はただの軽貨物車じゃない! ママチャリに代わる大発明モビリティだ【ジャパンモビリティショー2025】
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択