ポルシェ 記事一覧

TEXT:田中誠司
ピュアスポーツの伝統を受け継ぐ4シーター[ポルシェ・タイカン・ターボS試乗記]

タイカン最新ラインナップの概要 ポルシェ初の量産BEVである「タイカン」は2019年にワールドプレミア、日本では2020年に発売された。スペック表の通りなかなかの大型セダンだが、乗車定員は4名と割り切っている。ただしオプションで5人乗りを選ぶこともできる。 パワートレーンは大きく2種類に分けられる。1モーター後輪駆動と2モーター4輪駆動だ。前者を用いるのは素の「タイカン」のみで、最大出力300kW/408ps。これがエントリーモデル的な扱いになっている。後者は最高出力の違いで390kW/530psの「4S」、440kW/598psの「GTS」、500kW/680psの「ターボ」、560kW/761psの「ターボS」の4機種を揃える。 今回乗ったのはパワーレベルの最も高い「ターボS」。ポルシェジャパンの駐車場で対面すると、ポルシェの市販車ラインナップ中で最も高価かつパワフルなものに与えられてきたグレード名だけあって、外観もとても引き締まって見える。素のタイカンのホイールは19インチだがターボSは21インチ。オプションのボディ同色リムから覗く巨大なブレーキディスクは、標準でPCCB(ポルシェ・セラミック・コンポジット・ブレーキ)となる。 インテリアは、タイプ997以降のポルシェの流儀に従って整然としたレイアウトだ。ダッシュボードの中央にはクロノグラフが備わり、助手席前のパネルにはタッチスクリーン(いずれもオプション)が配置されるなど、テクノロジーを前面に打ち出している。一方で、センターコンソールにはカップホルダーとして丸い2つの穴が開いており、そこだけがあまりにもアナログな光景でユーモラスであった。     スリムなシートはターボSの場合、標準で18way調節機構付きで、実はポルシェのシートが苦手な筆者でも、長時間のドライブでどこも痛くならなかった。リアシートは2名分と割り切っているおかげで、フロントシートに劣らないパーソナライズ感がある。 ラゲッジスペースは、位置は高いが床はフラットだ。ボディ形状からはあまり期待できそうもないと想像してしまうが、ヒンジの形状がよく考えられており、有効に使える体積は思ったより大きい。メジャーで計測してみると幅x奥行きx高さは90〜148x104x45cmだった。BEVだけにフロントにも“フランク”と呼ばれるラゲッジスペースがあり、こちらは55x30x36cmだった。 ターボSの車両本体価格は2468万円。これにボディ色アイスグレーメタリック39万6000円をはじめとする有償オプション28種544万4000円が加わり、試乗車は総額3012万4000円である。素のタイカン1286万円が破格にすら感じる。 強烈な加速 筆者は「タイカン4S」がデビューまもない頃に走らせたことがある。率直に言ってこの世のものとは思えないほど強烈な発進加速性能を持っていた。言い換えれば「これ以上もう何もいらない」という印象だったわけで、今回さらにハイパワーなターボSに乗っても、正直なところ公道上では加速性能に関してさほどの違いは感じられなかった。 カタログ上の0-100km/h加速は4Sの4秒フラットに対しターボSは2.8秒とかなり開きがあるが、いずれにしろ凄い領域なので胸のすくひまもない。テスラ・モデルSもそうだが0-100km/h加速2秒台というのは、もはやパワーユニットの性能というより路面の性能、つまり摩擦係数の問題になってくるのではないかと思える。 フィーリングとしては、かつて4Sを走らせた時に感じたような生々しい、電気自動車ならではのトルクの強烈さみたいなものを、むしろ最新モデルでは敢えて抑えているような印象を受けた。このことも、前述の格別な加速感を感じないことに一役買っているのかもしれない。 Porsche Taycan Turbo S 全長:4,963mm 全幅:1,966mm 全高:1,378mm ホイールベース:2,900mm 車両重量:2,380kg 前後重量配分:前1,170kg、後1,210kg 乗車定員:4名 交流電力量消費率:234-219Wh/km 一充電走行距離:454km 最高出力:560kW(761ps) 最大トルク:1050Nm(107.1kgm) バッテリー総電力量:93.4kWh モーター数:前1基、後1基 トランスミッション:2速 駆動方式:4WD フロントサスペンション:3チャンバーアダプティブエアサスペンション リアサスペンション:3チャンバーアダプティブエアサスペンション フロントブレーキ:ディスク(PCCB) リアブレーキ:ディスク(PCCB) タイヤサイズ:前265/35R21、後305/30R21 最小回転半径:5.6m 荷室容量:後366L 前84L 車体本体価格:24,680,000円

TAG: #スポーツカー #セダン #ポルシェ
TEXT:TET 編集部
ポルシェ、オープンスポーツのコンセプトEV、ビジョン357スピードスターを発表。356にオマージュ

独ポルシェは7月13日、イギリスで開催されたグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードにおいて、新しい電動スポーツカーのコンセプトモデル「ビジョン357スピードスター」をお披露目した。 ビジョン357クーペに対してパワートレーンをEV化 今回ポルシェが製作したビジョン357スピードスターは、その名が示すとおり、今年1月に公開されたコンセプトカー「ビジョン357」(クーペ)のオープントップバージョンだ。ビジョン357はポルシェ初のスポーツカーとして1948年に登場した「356」にオマージュを捧げる2ドアクーペコンセプトで、現行ポルシェの中でも特別スパルタンな「718ケイマンGT4 RS」をベースとしていた。 ポルシェでは、ビジョン357をオープントップ化するあたり、パワートレーンも大胆に換装。ミッドシップレイアウトされた500psを発生する4.0リッター直6ガソリンエンジンは、モーターとバッテリーに置き換えられ、ビジョン357スピードスターは完全なバッテリー電気自動車(BEV)となっている。 詳しいスペックは公開されていないが、モーターとバッテリーのテクノロジーは2021年に公開された電動レーシングカーコンセプト「ミッションR」に、シャシーは「718 GT4クラブスポーツ」に、それぞれ由来するという。参考までミッションRはツインモーターで全輪を駆動し、そのパワーは最大で1,088psに達するモンスターマシンだったから、ビジョン357スピードスターもほぼ同等のスペックを備えている可能性がある。 そして、ポルシェ伝統のスピードスタースタイルを採用したことも、このコンセプトカーの大きなトピック。というのも、低いウインドウシールドに簡素な幌を持つスピードスターは、ポルシェの元祖たる356にも設定されたスポーツカーならではのボディスタイルで、ブランドのルーツを表現するビジョン357としてこれほどふさわしいバリエーションはないからだ。 >>>次ページ ケイマン/ボクスターのEV版を示唆か

TAG: #スーパースポーツ #テクノロジー #海外ニュース
TEXT:TET 編集部
充電中にゆったりまったり。ポルシェの急速充電器がヒルトン東京お台場に設置……充電出力は150kW

ポルシェジャパンとヒルトン東京お台場(東京都港区)は、7月1日より、「ヒルトン東京お台場」地下駐車場内で、ポルシェジャパンの急速充電器「ポルシェターボチャージングステーション」の運用を開始したことを発表した。国内のポルシェターボチャージングステーションとしては10拠点目となる。 ホテル利用時に駐車料金が2時間無料 このたびヒルトン東京お台場に設置されたのは、国内でもっともパワフルな150kWの出力を持つ「ポルシェターボチャージャー」2基。ポルシェターボチャージャーは、ポルシェジャパンがスイスの充電メーカーABB社と共同開発したCHAdeMO対応の急速充電器。液冷方式の採用により出力150kWを誇り、30分ほどの充電で80%(走行距離300km相当)の充電が可能だ。また、ポルシェターボチャージングステーションの利用特典として、ホテル利用時に駐車料金が2時間無料になる特典もある。なお、ポルシェターボチャージングステーションの設置は、国内で10拠点18基目。 ポルシェでは現在、バッテリー電気自動車(BEV)の「タイカン」を販売しており、BEVのラインナップは今後の拡大していく見通し。こうした電動モデルのためにポルシェジャパンでは「プレミアムチャージングアライアンス」を発足した。ポルシェターボチャージングステーションのほか、全国のポルシェセンターで同規格のポルシェターボチャージャーを52拠点48基設置しており、ポルシェのほかプレミアムチャージングアライアンス加盟のアウディ、フォルクスワーゲンのEVオーナーも利用が可能だ。 プレミアムチャージングアライアンスのプランには、月額1,800円の基本料金が発生する代わりに都度料金を低く抑えた月額会員プラン(150kW:75円/分、90kW:45円/分)と、基本料金がない都度会員プラン(150kW:200円/分、90kW:120円/分)が存在し、アウディ、フォルクスワーゲンも参画することで、昨年末時点で全国218基の急速充電器が稼働中。設置場所の多くは3ブランドのディーラーとなるが、別途都市型充電インフラとして地域のランドマーク的な施設に順次配備されているのがポルシェターボチャージャーだ。 >>>次ページ 首都圏を中心に拡大する急速充電ネットワーク 

TAG: #プレミアムチャージングアライアンス #充電インフラ #急速充電器
ポルシェ・ミッションX(photo=ポルシェAG)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
ポルシェ、EVのハイパーカー「ミッションX」を発表[2023.06.12]

ポルシェのスーパースポーツの血統を受け継ぐスーパーEV 900V対応のエネルギー系統で充電時間は10分強で80%か 【THE 視点】ポルシェは6月8日、次世代のEVスーパースポーツ「ミッションX」を発表した。同社はこれまで、「959」をはじめ、「カレラGT」「918スパイダー」といった「911」シリーズとは別のスーパースポーツ・モデルを導入してきた。「ミッションX」はこれらのスペシャルカーの系譜を受け継ぐポジショニングだという。 公開されている諸元は、全長約4,500mm×全幅約2,000mm/ホイールベース2,730mm。現行型の「911」の頂点「911 GT3 RS」を上回るダウンフォースを発生。パワー・ウェイト・レシオは車重1kgに対し1psに相当する。 バッテリーを座席後部に配置し、ミッドシップ車同様の重量配分を目指した「eコアレイアウト」を採用することで、運動性能も見直しているという。一般的なEVはバッテリーを床下に配置するが、それとは違う配置なのだろう。どのような形状のバッテリーをどのようにレイアウトしているのか気になるところだ。 そして、今回発表された中で気を引いたのは、900Vの高電圧に対応したエネルギー系統を採用している点だ。「タイカン」は800Vであったが、それを100V超えている。それによる大きなメリットは充電速度の向上で、「タイカン」よりも2倍速での充電が可能だそうだ。 ポルシェが日本でも展開を始めている最高出力150kWの急速充電器「ポルシェターボチャージャー」は、「タイカン」の場合は24分で0〜80%の充電が可能だが、「ミッションX」の場合は、単純計算で12分で80%となる(※日本での150kW充電は2023年中に開始予定)。お手洗い休憩くらいの時間で十分な電力を蓄えることが可能ということだ。 これまでEVスーパースポーツは、「リマック」(実はポルシェも出資)といった新興メーカーの独壇場であったが、「ミッションX」にてようやく世界的メーカーがEVスーパースポーツ市場に参画となる。 ポルシェはこれまで、世の先端を行くスポーツモデルをいち早く市場に投入・牽引してきたメーカーだ。具体的な車両情報はほとんど未公開だが、きっとファンタスティックな仕様をもって、ファンを喜ばせてくれるだろう。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★トヨタ、車載バッテリーの研究所をアメリカに開設……ミシガン州の研究開発本部に設置、2025年から稼働予定 ★★GM、テスラの急速充電器「スーパーチャージャー」を利用可能に……2025年からテスラとともにアメリカの充電規格「NACS」に対応 ★メルセデス・ベンツ、「ドライブ・パイロット」が米カリフォルニア州で承認……「SAEレベル3」の条件付き自動運転機能、「EQSセダン」の2024年モデルにオプションで用意 ★ケータハム、EVのコンセプト「プロジェクトV」を発表……7月12日に詳細を公表 ★アウディ、ブリュッセルの工場がEV生産20万台を達成……「Q8スポーツバック e-tron」を生産、2024年後半から「Q4 e-tron」を生産予定 ★エネチェンジ、EV用の充電機器が保険の対象に……東京海上日動と業務提携、自然災害や車両衝突による機器の破損を保証 ★自動運転EV開発のチューリング、自動運転の特許を2件出願……「素早い車両制御と複雑な状況判断」と「言語モデルを用いた自動運転入出力システム」 ★ヒョンデ、映画「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーズ」(6月16日(金)公開)のPRにEVを提供……スパイダーマンのラッピングを施した「アイオニック5」などが渋谷を走行 ★EVトゥクトゥクレンタルのエモビ、「紫陽花フォト割」のキャンペーンを実施……レンタル拠点「えもび鎌倉」利用時にInstagramなどに写真を投稿で2,000円割引 ★ステランティス、空飛ぶクルマを「パリ航空ショー」(6月19日から)で公開……空飛ぶクルマのアーチャーとともに開発したeVTOL機(電動パワートレインを採用した垂直離陸型の航空機) デイリーEVヘッドライン[2023.06.12]

TAG: #THE視点 #コンセプトモデル #ミッションX
TEXT:烏山 大輔
ポルシェ、BEVのマカンを2024年に販売開始 さらに718、カイエン、「第3のSUV」のBEVも投入予定

2030年のBEV 80%を目指して 3月14日、ポルシェはプレスリリースで将来のBEVモデル投入予定を発表した。直近の予定では来年、マカンのBEVをリリースする。そして2020年代半ばには718のBEVが登場予定。718は中期的にはBEVモデルのみになるとのこと。それに続くのがBEVのカイエンだ。ポルシェは2030年までに新車の80%以上をBEVにするという目標を掲げている。 カイエン、マカンに続くSUV さらにカイエンの上位に位置するBEV SUVによって、ポルシェは製品ポートフォリオを上方に拡大することを計画している。この新しい車両コンセプトは、「車内でのまったく新しい体験とともに、ポルシェ特有のフライラインを備えた強力なパフォーマンスと自動運転機能を提供するように設計されている」という。 プラットフォームはポルシェが開発したSSP Sportがベースとなる。「これによって我々のスポーティーラグジュアリーのポジショニングを明確に示しながら強化します。特に中国と米国において、このセグメントのプロフィットプール(このセグメントに参入するすべてのプレイヤーの利益額の総和)の増大に注目しています」とはオリバー・ブルーメCEOの弁だ。 業績好調のポルシェ このプレスリリースの中では、2022年の販売台数が2021年(301,915台)と比較して2.6%増加し、309,884台と過去最高を記録したこと。さらにはグループの営業利益率も16.0%から18.0%に上昇したこと。「Road to 20プログラム」と銘打ち、長期的には20.0%以上を目指す目標も発表された。

TEXT:岩尾 信哉
ポルシェ・マカンEV仕様の開発進行中。基本仕様はこうなる!

ポルシェは1月11日、EV仕様の新型マカンの開発状況を、雪上でのテスト風景などとともに明らかにした。ポルシェは2025年までに販売モデルの半数以上をEVもしくはプラグインハイブリッド・モデルとし、2030年までに80%以上の販売車種をEVとする目標を掲げている。ポルシェでは初めて新たなEV用プラットフォームを採用車種として現れる次期型マカンについて、限られた情報を確認しておく。 新プラットフォームが生み出す「電動マカン」 フォルクスワーゲン・グループ内で、アウディとポルシェはBEV(バッテリー電気自動車)用プラットフォームの開発を共同で進めており、新プラットフォームはPPE(Premium Platform Electric :プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック)と呼ばれている。  フォルクスワーゲン・グループのEV用プラットフォームを確認しておくと、現状ではフォルクスワーゲンでは「ID.シリーズ」やアウディのコンパクトモデルである「Q4 e-tron」などには、中小型車用のMEB(モジュラー・エレクトリックドライブ・マトリックス)が使われている。「アウディe-tron GT」や「ポルシェ・タイカン」といったラージクラス用としては「J1パフォーマンスプラットフォーム」が存在する。グループ内のランボルギーニやベントレーといったプレミアム・ブランドへの採用も視野に入れたものだ。これらに加わるのが「PPE」となる。将来はフォルクスワーゲン・グループ内において、J1に代わって上級モデルの主力プラットフォームとして利用される予定だ。 新型マカンのEV仕様について明らかにされた内容を、電動パワートレインから追っていこう。永久磁石同期モーターを利用する駆動システムは、ポルシェが採用する800V高電圧システムと組み合わされ、約450kW(約610ps)の出力と、1,000Nmを超えるトルクに対応すべく開発されている。充電時間に関しては、80%を5~25分以下で充電可能という。フロア下部に搭載される総容量100kWhのリチウムイオン・バッテリーは12個のモジュールで構成。充電施設が400V対応の場合にも、バッテリー機能を2分割して切り替え可能とするなど、利便性に配慮した仕様となる予定だ。

TAG: #ポルシェ #マカン
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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