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TEXT:西川昇吾
日本導入も予定されている! 中国のライトウエイトEVスポーツ「SC-01」の全容とは

中国からまた新たなるEVスポーツカーが登場 大阪オートメッセでBEVのスポーツカーSC-01が日本初公開された。これまでに見たことがなかった新たなスポーツカーということで注目を集めていたが、このニューモデルはどんなメーカーがどんなコンセプトで作ったのか? 日本での販売はあるのか? 現段階でわかっていることを中心に紹介していく。 SC-01は中国のカスタムカーブランドである工匠派汽車科技(Tianjin Gongjiangpai Auto Technology)が初めて自社で開発と設計を手がけたモデルだ。工匠派汽車科技は「Feng Xiao Tong」という創設者が作り上げたブランドで、彼は中国の工業系大学である天津科技大学工学部で自動車工学を学んだ後に、工匠派汽車科技を立ち上げた。カスタムカーを手がけるだけでなく、現在ではラリーカーの開発なども行っているという。 そして、IoT機器大手企業である「Xiaomi」の出資を受け、自社開発のモデルを作ることとなった工匠派汽車科技。カスタムカーを手がけているブランドなだけに、SC-01は操る歓びやデザインを重視したスポーツカーとなっている。 高性能を予感させるデザインはデザイナーで共同創設者である「Hou Wen」氏によるもの。彼はドイツのシュツットガルト大学にて自動車デザインを専攻し、卒業後はヨーロッパのメーカーにてスポーツモデルの開発などに携わってきた。ヨーロッパの高性能モデルを思わせるようなデザインは、ドイツでの経験が生きているからこそといえるだろう。 インテリアは非常にシンプル。可能な限り運転に必要なもののみを設置したといった印象だ。また、重量配分を気にしてか、センター寄りにオフセットしたシートも特徴的。スイッチ類はルーフ部分に集約されているのはレーシングカーを彷彿とさせる。 シャシーフレームは「He Jingming」氏が手がけた。彼は世界基準のツーリングカーレースであるWTCRR(現TCR)の開発にエンジニアとして携わった経験があるほか、日本向けのエアロパーツキットの技術責任者も務めた経験がある。モータースポーツの考え方が取り入れられたシャシーとなっているのだ。 モータースポーツの考え方が取り入れられていると述べたが、特徴的なのはスポーツカーでオーソドックスなモノコックやバスタブフレームを用いているのではなく、パイプフレームを採用している点だ。また、水平式プッシュロッドサスペンションを採用しているのもプロトタイプマシンを彷彿とさせる。 バッテリーはBEVによく見られる床下レイアウトではなく、シートとリヤモーターの間にレイアウトされる。これは、前後重量配分48:52やリヤトラクションにこだわったことによる部分もあるようだ。 また、BEVとして気になるのがバッテリー性能だ。バッテリー容量は60kWhとなっていて、航続距離はテスラなどと同じ測定方法で約500kmとなっている。ハイスペックをアピールするBEVと比べて、あまり大きくないバッテリー容量ながら、ある程度の航続距離が確保されているのは、1370kgという軽量な車両重量も影響していることだろう。 モーターは前後に配置され、総出力320kW、最大トルク560Nm。0‐100加速は2.95秒という俊足を誇る。 日本での販売は2025年度中を予定しているとのこと。販売元は興和産業だ。すでにヨーロッパでは認可の最終段階に入っているそうで、今年の春の発売を予定している。

TAG: #スポーツカー #中国車 #輸入車
TEXT:TET 編集部
0-100㎞/h驚愕の2.4秒! 80%までの充電は18分! 驚異的進化を遂げた新型ポルシェ・タイカンの受注予約開始

より速く! より遠くまで! 圧倒的パフォーマンスの進化ポイント ポルシェジャパンは、数多くの改良を施した新型タイカンおよび新型タイカンクロスツーリスモの受注予約を、全国のポルシェ正規販売店で、2024年2月7日から開始した。 ポルシェ初のフル電動スポーツカーであるタイカンは、これまで約15万台が生産された人気モデルであり、今回の改良では、「より高い出力」、「長い航続距離」、「速い加速」、「迅速な充電」、「優れた安定性」をキーワードに、広範囲におよぶアップグレードが施された。 市販化に向けたテストでは、開発エンジニアとテストドライバーがカモフラージュされたテストカーに乗り込み、世界中を360万km以上走行したという。 アップグレードされたすべての改良モデルは、先代モデルよりも出力を増し、より素早い加速を実現している。スポーツセダンのベーシックモデルにあたるタイカンは、先代モデルから出力を60kW向上させ、静止状態から時速100km/hに到達するまでのタイムは4.8秒とし、0.6秒の短縮に成功している。トップグレードのタイカンターボSに至っては140kWのローンチコントロールが追加され、システム出力は700kWにもなる。その結果、先代を0.4秒上まわる、わずか2.4秒で時速100km/hに達してしまうほどの驚異的な加速力を手に入れた。 また、スポーツクロノパッケージの新しい「プッシュトゥパス」機能を使用すると、ボタンに触れるだけでモデルに応じて最大70kWのブーストを10秒間利用することができる。 ボディタイプとエンジンに応じて、航続距離は先代比で35%増加し、最大678km(WLTPモード)まで足が伸びた。高出力、高加速を実現しつつ航続距離を延ばすために、ポルシェはすべての仕様で先代モデルの出力を最大80kW上まわる新しいリヤアクスルモーターを備えたパワートレインの採用や、改良型パルスインバーター、より強力で容量を増やしながら軽量化されたバッテリーの搭載、次世代ヒートポンプの投入、サーマルマネージメントの改良、ホイールの空力見直しとタイヤ転がり抵抗の低減化などといった多岐にわたる改良を施した。 とくに高速からの減速時の最大回生性能は、290kWから400kWへと30%以上の向上を果たしたことで、長距離走行時の充電回数を減らし、航続距離を延ばすことに大きく貢献している。充電性能は50kW増の320kW。電池残量10%から80%までの充電は18分で可能だ。なお、タイカン4Sにはパフォーマンスバッテリープラスが標準搭載される。 改良型タイカンシリーズにはアダプティブエアサスペンションが標準装備されている。サスペンションはダイナミックなブレーキングやステアリング操作、加速操作中であっても、ボディを常に水平に保つようにコントロールする一方で、なめらかな乗り心地で段差をほぼ完全に吸収するという。 4WD仕様車ではホイールの荷重をバランスよく配分することで、路面とのほぼ完璧な接続性を実現する新たなポルシェアクティブライドサスペンションを選択することができる。適切なモードが稼働状態になっている場合には、サスペンションがピッチとロールを補正して乗員に作用するGを低減してくれる。

TAG: #スポーツ #タイカン #ポルシェ #新型
TEXT:TET 編集部
ひとり乗りだけど「これでいいのだ!」 KGモーターズが開発中の超小型EV「ミニマムモビリティ」試作1台目の完成を発表

レトロだけど未来的なデザインはインパクト抜群! 「今日より明日が良くなる未来」をミッションのテーマとし、超小型モビリティの開発を進める広島県のベンチャー企業、KGモーターズが、2024年1月31日にひとり乗り超小型EV「ミニマムモビリティ」の試作1台目が完成したことを発表した。今後、この車両を用いて各試験の評価項目を検証・設定していき、2025年には車両価格100万円を目標に300台の量産販売を目指すという。 ミニマムモビリティは全長わずか2450mm、全幅も1090mmという原付ミニカー規格のひとり乗り超小型EVだ。運転席は車体中央に設定され、走る楽しさと気軽さに加え、エコを追求した「次世代のチョイ乗りモビリティ」をコンセプトに開発されている。 車体デザインのモチーフとなっているのは1980年代のポラロイドカメラ。レトロでありながら、近未来を感じさせる前後対称の独特なデザインを採用している。2023年の東京オートサロンと大阪オートメッセでコンセプトモデルが展示されていたので、そのファニーな姿をご記憶の読者もおられるのではないだろうか。 小型で軽量なため環境性能に優れ、原付ミニカー規格だから車検が不要で自動車税も安く収まる。乗車定員は1名だが、ドアとエアコンが付いているので快適な走行環境が得られる。 充電はAC100Vの家庭用コンセントで行い、5時間で満充電となる。航続距離は100kmだ。また、ソフトウェアはOTAによってアップデートすることができ、進化するモビリティを目指していると同社からアナウンスがあった。

TAG: #KGモータース #ベンチャー #超小型EV #超小型モビリティ
TEXT:TET 編集部
本田技術研究所が「ホンダCI」を搭載したマイクロモビリティの自動走行技術実証実験を開始

「CiKoMa」&「WaPOCHI」を体感できる! ホンダの研究開発子会社である本田技術研究所は、人と分かり合える独自のAIである協調人工知能「ホンダ CI(Cooperative Intelligence)」を搭載したホンダCIマイクロモビリティの技術実証実験の一環として、一般向け自動走行技術実証実験を開始する。CIマイクロモビリティを一般の顧客に体験してもらい、フィードバックを得ることで、CIの進化、モビリティとしての使い勝手の向上を目指すとともに、2030年頃の実用化を見据えた社会受容性の醸成を図っていく。 本田技術研究所は2022年11月に茨城県常総市にて技術実証実験を開始し、搭乗型マイクロモビリティ「CiKoMa(サイコマ)」および、マイクロモビリティロボット「WaPOCHI(ワポチ)」を使用し、地図レス協調運転技術と意図理解・コミュニケーション技術を用いた自動走行技術やユーザー追従・先導走行機能の検証に取り組んできた。 今回の実証実験では2024年2月より、アグリサイエンスバレー常総内の「道の駅常総」から観光農園「グランベリー大地」までの約850メートルの区間を使い、来場者を対象としたCiKoMaによる自動走行の乗車体験機会を提供する。 また、2024年春には、コミュニケーション機能を搭載したCiKoMaの乗車体験も開始。専用携帯デバイスを通じてCiKoMaを呼び寄せ、自動走行で迎えにきたCiKoMaにジェスチャーで乗車位置を指定して乗車。乗車後は設定した目的地まで自動走行で移動し、さらに走行中に停止位置を指示することで任意の場所に立ち寄ることも可能だ。 WaPOCHIについては、2月にグランベリー大地の屋外敷地内にて、いちご狩りの利用者を対象に移動体験を開始。WaPOCHIが受付からビニールハウスまで荷物を積んで来場者を先導もしくは追従し、徒歩移動をサポートする。いちご狩りの体験中はWaPOCHIに荷物を預けたままにできるため、手ぶらでいちご狩りを楽しむことが可能。また、従業員向けの実証も2024年春に開始し、追従するWaPOCHIを使用した移動販売を予定している。

TAG: #CiKoMa #Honda CI #WaPOCHI #本田技術研究所
TEXT:TET 編集部
もっとも効率良い充放電を勝手にマネージメントしてくれる「ニッサン シェアエナジー」の提供開始

車両と建物の電力使用状況に応じて受給電タイミングを最適化 日産自動車は2024年2月2日 、 電気自動車(EV)の魅力をさらに向上させる商品として、 EVのバッテリーを蓄電池として充放電制御を行う日産独自のエネルギーマネジメントを活用したサービス「ニッサン エナジーシェア」の提供を、同年3月1日より開始すると発表した。 日産はこれまで、福島県浪江町などにおいて、EVの充放電を自律的に行う独自の制御技術を用い、エネルギーの効率的な活用の検証を行ってきた。「ニッサン エナジーシェア」は、 これらの検証を通して培った技術や知見をもとに、ユーザーのニーズや状況に応じた最適なエネルギーマネジメントサービスを、企画から構築、保守運用までワンストップで提供する、主に法人や事業者、自治体に向けて行うサービスだ。 EVのバッテリーは、クルマの動力源としてだけでなく、移動可能な蓄電池として、建物や地域へ電力を供給することが可能だ。「ニッサン エナジーシェア」は日産独自のエネルギーマネジメント技術「インテリジェント・チャージング・マネージメントシステム」の採用により、充電器もしくは充放電器に接続した充放電制御システムが、クルマの使用予定やバッテリー残量、建物の電力使用状況をリアルタイムに把握しながら、最適な受給電タイミングを自律的にコントロールする。これによりクルマとしての利便性を損なうことなく、電力のピークシフトやピークカットを図っている。 また、太陽光パネルなどで作られた再生可能エネルギーと連携させることで、エネルギーの地産地消や脱炭素化にも貢献。クルマの使われ方を熟知した日産だからこそ可能な、EVの価値を最大限に引き出すエネルギーマネジメントの仕組みだ。 ニッサン エナジーシェアの主な特長とは? ・スマート充電による ピークシフト 建物の電力消費状況と、EVのバッテリー残量や使用状況を把握し、EVへの充電タイミングを賢く制御する。複数のEVを保有している場合でも、建物の電力使用に影響を与えることなく、安心してEVを使用することが可能。 ・放電マネジメントによるピークカット 建物の電力需要が高まる時間帯に、EVから建物へ電気を戻すことで施設電力のピークをカットし、電力使用量を抑えるとともに、電気料金の削減にも貢献。 ・ 再生可能エネルギーの有効活用 建物などに太陽光パネルが設置されている場合、太陽光発電との連携が可能。太陽光での発電量が多いときには積極的にEVへ充電し、その電力を夜間に建物へ給電するなど、太陽光の発電状況に応じた受給電を効果的に行う。これにより、企業が自らの事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標とする国際的イニシアチブ「RE100」への貢献にもつながる。 主なサービスは以下の3点だ。 1.コンサルテーション 要件定義、現状調査、ソリューションの提案や導入効果の試算など 2.システム構築 推奨機器の選定や施工業者の手配、システム初期設定や進捗管理など 3.保守運用 定期点検、トラブル対応や、稼働モニタリングによる効果分析、改善提案など 利用ユーザーの導入目的に応じた最適なソリューションの提案から、機器や施工業者の選定、補助金の申請など、スムーズな導入をサポート。導入後の保守運用や状況変化に応じた改善提案まで、ユーザーごとに異なる価値の実現をワンストップサービスで提供してくれる。 日産はエナジーシェアについて「EVのリーディングカンパニーとして、EVの開発・販売にとどまらず、世界で初めてとなるV2H(Vehicle to Home)の市場投入や、バッテリーの二次利用を行う4Rエナジーの設立など、持続可能な社会の実現を目指し、クルマのライフサイクル全体で、日産ならではの価値を提供してきました。引き続き、移動と社会の可能性を広げる、さまざま な取り組みや実証実験を通して、カーボンニュートラルの実現と、未来のまちづくりに貢献してまいります」とコメントしている。 また、日産は2024年3月から広島大学とともに、2030年までにキャンパスで使うエネルギーのカーボンニュートラル実現を目指す産学官民プロジェクト「広島大学スマートシティ共創コンソーシアム」の一環として、広島大学東広島キャンパス構内において「ニッサン エナジーシェア」を導入すると発表している。 企業・自治体でEVを複数の利用者でシェアする場合、保有者自身が充電タイミングと蓄電池としてのEV利用のバランスを適切に判断することは難しいが、こうして車両と建物側の利用状況に応じた充放電管理の仕組みをワンストップで組んでくれるのであれば、余計な手間をかけずにEV導入のメリットを最大化しつつ効率的な電力使用量の抑制が図れるのではないだろうか。EV導入企業は一度検討されることをおすすめしたい。

TAG: #V2H #エナジーシェア #充電インフラ #日産
TEXT:TET 編集部
HRC が電動オフロードバイクの世界戦「FIM E-Xplorer World Cup」に「CR ELECTRIC PROTO」で参戦

開幕戦は2月16日から! ホンダ・レーシング(HRC)は、電動オフロードバイクの世界戦である「FIM E-Xplorer World Cup」に、HRCが運営するワークスチーム「Team HRC」として、電動モトクロスバイク「CR ELECTRIC PROTO」で参戦する。 ライダーにはダカールラリー2024に参戦したトーシャ・シャレイナ選手(スペイン、28歳)とイタリア レディースエンデューロ選手権チャンピオンのフランチェスカ・ノチェラ選手(イタリア、30歳)の2名を起用。 「FIM E-Xplorer World Cup」は、2023年から始まった電動オフロードバイクの世界戦で、男女混合チームで戦う競技だ。今シーズンの競技は、男女別に予選、3ヒートのレースの後、対戦形式で1~3位のチームを決定する予定。レースは一部を土で造成し、アスファルト路面とミックスした特設コースで行われる。 2年目となる2024年は、2月16日(金)~17日(土)に大阪府吹田市の万博記念公園(お祭り広場)で開幕戦を行い、以降、ノルウェー、フランス、スイス、インドで行われ、全5戦が予定されている。 Hondaは2040年代にはすべての二輪製品でのカーボンニュートラルを実現することを目指し、今後の環境戦略の主軸として二輪車の電動化に取り組んでいる。モータースポーツでも2023年はCR ELECTRIC PROTOで全日本モトクロス選手権(JMX)にスポット参戦したが、新たな電動二輪車レースに挑戦することで技術の強化を進めていく。

TAG: #FIM E-Xplorer World Cup #HRC #電動オフロードバイク
TEXT:TET 編集部
軽商用EVバンに新たな選択肢! 新型「日産クリッパーEV」が登場

快適・安全装備充実の軽商用EVバンが登場 日産自動車は2024年1月30日に軽商用EVバンの「日産クリッパーEV」を、同年2月12日から発売すると発表した。 本モデルは、商用向け車両においても電気自動車(EV)の需要が高まっていることを受け、ラインアップの拡充を図ることで、いままで以上にユーザーへEVの魅力を届け、カーボンニュートラル社会の実現に貢献できるよう、三菱自動車からOEM供給を受けた車両をベースに日産が販売するモデル。軽商用バンとして必要な荷室性能と積載量を確保しながらも、モーター駆動のEVならではの力強い走りで、重い荷物も軽快に運ぶことが可能となっている。また、走行時や起動・停車時の静粛性も高く、早朝や深夜をはじめ、住宅街で使用する際にも安心して使えるとしている。 クリッパーEVの主な特徴は下記のとおり。 床下中央にバッテリーを搭載して低重心化が図られることで、軽商用バン特有の揺すられ感や段差における跳ね感を低減し、乗り心地のよさと操縦安定性の向上を実現。搭載されるバッテリーは20kWhの容量を持ち、航続距離は最大180km(WLTCモード)を確保する。普通充電では約7.5時間で満充電となるが、メーカーオプションの急速充電機能を使用すれば、80%までの充電が約42分で可能となる。これにより、業務終了後などに家や職場で普通充電すると、翌日には満充電状態で業務を開始でき、ちょっとした作業の合間の急速充電でも存分に走ることができる。 走行中の衝突回避を支援するインテリジェント エマージェンシーブレーキを始め、車線逸脱警報(LDW)、ハイビームアシスト、踏み間違い防止アシスト(前進のみ)など、多彩な安全装備を搭載し、全車がサポカーSワイドの対象となっているのもポイント。いざというときの危険回避や傷害の軽減をサポートしてくれる。 荷室は最大積載重量350kgを確保し、ホイールハウスの出っ張りや後席を倒した際の段差をなくすことで、荷物の出し入れのしやすさなど、軽商用バンのニーズを満たす荷室となっている。 グレードは2シーター、4シーターの2バリエーションを用意。2シーターには、スライドドアガラスとリヤクォーターガラスが両サイドともにパネル仕様となっているルートバンも設定される。 エクステリアカラーは全グレードにホワイトソリッドが設定されているほか、4シーターではスターリングシルバーを選択することができる。インテリアでは、デジタル表示のスピードメーターを採用し、インジケーターのサイズを大きくすることで視認性を高め流とともに、センターコンソール部のスイッチ類が、ひと目でわかりやすいレイアウトとなったことで操作性も優れる。 また、Type AおよびType Cの充電用USBポートを2シーターに標準装備、4シーターでもメーカーオプションで設定。キーレスエントリーシステムについているプレ空調スターター機能を使用することで、急速充電中、もしくは普通充電中に、乗車前に車外から車内の空調をオンにすることができる機能を2シーターに標準装備、4シーターにオプション設定する。排出ガスを出さずに室内を暑い日に荷下ろしを行っても、すぐに快適な車内空間で走行することができるのはうれしい。 日産クリッパーEVの価格は税込み286万5500円(定員2名/ルートバン)からで、2月12日に全国の日産ディーラーにて発売開始。 快適性に加え、安全装備が充実した新しい商用EVバンの「日産クリッパーEV」を自家用車として使う場合はクリーンエネルギー自動車導入促進補助金の対象となり、事業用として使う場合にも脱炭素成長型経済構造移行推進対策費補助金の対象となる。補助金を利用すればかなり購入代金を抑えて乗り出すことができるだろう。

TAG: #商用EV #商用車 #日産 #軽EV
TEXT:TET 編集部
欧州でも好調な日産の「e-POWER」! 累計販売台数が10万台を突破

10万台突破の立役者は「キャッシュカイ」と「エクストレイル」 欧州日産は2024年1月29日に、欧州市場でのe-POWER搭載車の販売が10万台を突破したことを発表した。 e-POWERは発電専用の高効率エンジンで電気を発電し、その電気を使いモーターのみで走行するいわゆるシリーズハイブリッドシステム。日本ではすでに定着した感のある日産の代名詞的な技術だが、欧州には2022年9月から市場投入され、これまでに「キャッシュカイ e-POWER」が6万5367台、「エクストレイル e-POWER」が3万4663台販売されている。 なお、「キャッシュカイ」の初代モデルは日本名「デュアリス」として国内でも販売され、欧州仕込みのハンドリングの良さとパッケージングからスマッシュヒットしたモデルだ。3代目にあたる現行モデルは、2021年にガソリンモデルの販売が開始され、2022年9月にe-POWER搭載モデルが追加された。初代、2代目と同様にロンドン中心部にある日産デザイン・ヨーロッパでデザインされ、同じく英国にある日産テクニカルセンター・ヨーロッパ社で開発されたキャッシュカイは、生産も英国内のサンダーランド工場というまさに欧州日産を代表するモデルだ。 「エクストレイル」は説明するまでもなく、激戦のDセグメントSUVのなかにあって「タフギア」を標榜し、アクティビティ層から高い支持を得るベストセラーカーだ。4代目となる現行型ではe-POWERに加え、前後ふたつの高出力モーターとブレーキの統合制御により、駆動力を自在にコントロールする電動駆動4輪制御システム「e-4ORCE」の組み合わせで、走りに上質さが加わったモデルになっている。 e-POWERの特徴とは? e-POWERの特徴は、普段はエンジンが発電し、モーターに動力を供給しながらバッテリーを充電するが、最大出力が必要なときには、エンジンとバッテリーの両方からモーターに電力を供給することだ。そのほかシーンに合わせて最適な発電を行い、道路状況に応じてエンジンの発電を制御していることが特徴として挙げられる。静粛性の面でも路面の状態や車速をセンシングし、走行音が静かな時は極力エンジンを稼働せず、走行音が発生しているときのみエンジンが発電する制御を行うなど、じつにきめ細やかな制御が行われている。 今回の10万台突破にあたって日産AMIEO(アフリカ、中東、インド、欧州、オセアニア)の商品戦略およびプライシング担当VPである、アーノルド・シャルペンティエ氏は以下のようにコメントしている。 「私たちは、日産独自の技術であるe-POWERのすばらしさを、効率性と優れた運転体験の両方を通じて、『キャシュカイ』と『エクストレイル』をお選びいただいたお客さまに認識していただけたことを誇りに思います。2022年9月のe-POWER導入以来、このようなマイルストーンを達成できたことは、大胆かつ革新的な我々の商品企画やエンジニアリングの功績です」 また、欧州日産のリージョナルSVPで研究開発を担当するデイビッド・モス氏は、「e-POWERは当社の電動化戦略の重要な鍵を握っています。完全に電気自動車へとシフトするにはもう少し時間がかかると思いますが、電気自動車と同じ100%モーター駆動のクルマならではの、快適で優れた走行性能を楽しみたいお客さまにとってe-POWERは最適な選択肢です」とコメントしている。 日本ではノートに搭載されて発売されるや否や、空前のヒットとなった日産の電動化技術のシンボル「e-POWER」が、欧州でも同様に受け入れられているのだ。

TAG: #e-POWER #エクストレイル #キャッシュカイ #日産 #海外ニュース
TEXT:TET 編集部
ヒョンデが豊橋市にアイオニック5を寄贈! 災害時にはEVを派遣する「電動車災害時派遣協定」にも同意

ヒョンデと豊橋市が協定を結んだ理由とは? Hyundai Mobility Japan(以下、ヒョンデ)は、2024年1月29日に同社の主力EV「IONIQ 5(アイオニック ファイブ)」を1台、公用車として愛知県豊橋市に寄贈するとともに、災害時に『移動式電源』として同社のアイオニック 5とコナを提供する『電動車災害時派遣協定』を豊橋市と締結したと発表しました。 数多とある市町村のなかで、なぜヒョンデと豊橋市が協定を結んだのでしょうか。 ヒョンデは2023年4月に豊橋市にPDIセンターを設置しています。PDIセンターとは、Pre-Delivery Inspectionの略。日本語では出荷前点検を意味します。船積みされて日本へとやってきた車両は、品質チェックや日本独自の保安基準に適合しているかなどの点検を実施する必要があり、インポーター各社は陸揚げ港の近くに専用施設を有しています。 ヒョンデの場合はそのPDIセンターを愛知県豊橋市の三河港に隣接したエリアに設置していて、より効率の良い新車整備と、今後の輸入台数増加を見据えた新車の安定供給を実現しているのだそうです。そのようなセンターを設置する流れのなかで豊橋市との縁を深めたことから、公用車の寄贈と災害時の派遣協定について協議を進めてきたということです。 今回公用車として寄贈されたアイオニック5は、日本カー・オブ・ザ・イヤー「2022-2023 インポート・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した実力の持ち主。加えて2022ワールドカーアワードではデザイン性が高く評価され「ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー」をはじめ、その年の新型車の最高峰に与えられる「ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー」に輝くなど3冠を達成。EVの枠に留まらず国内外で高い評価を受けている1台です。 アイオニック5を公用車に導入するメリットとは? アイオニック5を公用車として導入するメリットは、災害時などには車載の家庭用コンセントから直接家電を動かせるというV2L (Vehicle to Load)機能をはじめ、建物などに電力を供給することができるV2H (Vehicle to Home)機能の活用を期待できることが挙げられます。 なお、V2Lの使用時には、車両標準装備のアダプターを挿すだけで1600Wまでの家電製品が使用できることから、実際の災害時には大きな別の機器を用意する必要なく、容易にたくさんの電源供給が可能だということです。 豊橋市はアイオニック5をEV公用車として採用することで、豊橋市の市役所職員によるEVの新しい使い方を市民の方々へ広めていくと同時に、市内で開催されるイベントの電源としてV2L機能を使用することで、EVの持つサステナビリティ性を生かした使い方を豊橋市民に提供していく予定とのことです。 万一のときにはPDIセンターからEVを派遣 また、今回ヒョンデと豊橋市の間では、「電動車災害時派遣協定」が結ばれています。これは地震や台風などの災害によって大規模停電が発生した場合には、ヒョンデのPDIセンターにあるEVを豊橋市内の災害対策本部や避難所などに派遣し、非常電源として活用することが可能となる協定です。 今後もヒョンデと豊橋市は、PDIセンターの設置と災害時派遣協定だけでなく、さらに幅広い提携関係を構築して行きたいと意欲を示しています。 日常だけでなく災害時にも生活をサポートしてくれるEVの有効性と、市内に拠点を置く企業と行政が手を取り合って、いざというときに備える取り組み。災害大国の日本にあって、今後もこうした動きが広がることを期待したいものです。

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TEXT:TET 編集部
2023年に世界でもっとも売れたクルマであるテスラ・モデルYが期間限定でさらにお買い求めやすくなる

テスラがモデルYを期間限定値引き販売 より多くの人にテスラの魅力を知ってもらい、持続可能なエネルギーへの移行を早速させることを目的としているテスラ。そんなテスラがゼロからデザインしたギガファクトリーでは、車両生産体制が大幅に向上し、2023年はグローバル累計で180万台生産を達成している。 そしてこの度、モデルYに対し、ギガファクトリーからのロジスティックスを最大限に活用したインベントリー販売(在庫販売)の強化を行う。 モデルYは、2023年の納車台数が120万台を超え、あらゆる量産車のなかで「世界でもっとも売れている自動車」となったが、テスラではこれをさらに加速させるべく、通常のカスタムオーダーでは約3〜4ヶ月かかる納期を約1ヶ月へと短縮し、さらに期間限定価格を設定。これまで以上に早くお求めやすい価格でモデルYをカスタマーの元へと届ける。 テスラ・モデルYのインベントリー価格(期間限定価格)は529万9000円〜、カスタムオーダーに関しては、563万7000円〜となる(モデルYはCEV補助金65万円対象車両)。 この機会に、テスラ・モデルYの購入を検討してみてはいかがだろうか。

TAG: #TESLA #期間限定 #輸入車
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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