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大阪・関西万博の建設現場に「電源いらずのコンビニ」出現! どうやって運営しているの?


TEXT:TET 編集部 PHOTO:日立ハイテク
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自立電源システム搭載の移動型無人トレーラーのファミマが登場

2025年4月13日の開幕まで1年を切り、急ピッチでパビリオンの建設が進む大阪・関西万博の建設現場に、大手コンビニチェーンのファミリマートが新たな店舗をオープンした。建設現場で働く労働者向けの店舗ではあるのだが、この店舗が目新しいのは20フィートサイズのコンテナをベースに、自立電源システムを搭載した移動型無人トレーラー店舗である点だ。

開発したのは日立ハイテク、竹中工務店、クロコアートファクトリーの3社。この移動型無人トレーラーは「スマートトレーラーハウス」と呼ばれ、コンテナの屋根に設置された3.2kWのフレキシブル太陽光パネルで発電を行い、床下に設置された13.8kWhのリン酸鉄リチウム蓄電池に電気を充電。同じく床下にある最大出力5kWのインバーターを介して、トレーラーハウス内の空調設備や事務機器などに必要な電気を供給する「自立電源システム」を搭載していることが特徴として挙げられる。この自立電源システムは日立ハイテクが開発し、インフラが整っていない環境下での店舗運営実現に貢献している。

コンテナは長さ約6m、幅2.5m、高さ2.8mの20フィートサイズ。フレームはクロコアートファクトリーが開発した木製フレーム「MOKUJIKU」を採用することで軽量化を実現。総重量を3.5トン以下とすることで普通自動車での牽引が可能になっている。また、敷地内の近距離移動であれば、車載の駆動装置をリモコンで操作することで、牽引車がなくてもトレーラーハウスを移動させることが可能だ。

日立ハイテクの自立発電システムを搭載するスマートトレーラーハウス 太陽光パネルで発電し、蓄電池とインバーターを介して搭載機器を作動させる 普通車での牽引も可能

この自立電源システムと軽量なコンテナフレームの組み合わせにより、電気や水道などの供給インフラが整っていない広大な建設現場でも、店舗運営が可能となるほか、工事の進捗に応じてフレキシブルに店舗の設置場所を移動させることができる。また、労働者が必要な食料品や物品を購入するために、わざわざ敷地外の店舗まで買い物に行く手間が省け、労働環境の改善が期待できる。

それらのメリットを検証するため、実証導入という形で大阪・関西万博の建設現場に、コンビニ初となる移動型無人トレーラー店舗(ファミリーマート舞洲/N店)としてオープンさせた、というのが今回の設置背景。決して大きな店舗というわけではないが、現場敷地内にコンビニがあるのはさぞかし便利なことだろう。

大阪・関西万博の建設現場に設置されたスマートトレーラーハウスのファミリーマ―ト舞洲/N店

日立ハイテクは、今回のスマートトレーラーハウスの実証導入を通して、最適な自立電源システムの開発を進めるとともに、将来的には蓄電池にEVのリユースバッテリーを活用するなど、循環型社会への貢献をめざすとしている。

さらに、今回開発したスマートトレーラーハウスは、室内仕様を変更することで建設現場だけでなく、停電や災害が発生した際の利活用も見込んでいる。具体的には電源確保に課題がある地域での店舗、休憩所、トイレなどへの利用をめざすという。

今後はスマートトレーラーハウスを日常時だけでなく、非常時にも役立つものとしてさらなる活躍が期待される。

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