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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
三菱ふそう、小型EVトラック「eキャンター」を発売……デイリーEVヘッドライン[2023.03.13]

車体価格は最高2,005万800円 中国CATL製のバッテリーを搭載 【THE 視点】三菱ふそうトラック・バス(MFTBC)は、昨年モデルチェンジした小型トラック「キャンター」に量産の電気自動車(EV)モデル「eキャンター」を追加し、3月9日より受注を開始したと発表した。 2017年に国内初の量産型小型EVトラックとして発売した「eキャンター」は、今回シャシーラインナップの大幅な拡大に加え、多様なビジネスケースに対応可能な航続距離を持つ新型モデルへと進化した。 モーターを後軸に統合したMFTBC独自開発のモーター一体型駆動装置(イー・アクスル)を採用、ドライブトレインをコンパクトな構造にすることで、従来モデルの1型式から合計28型式のシャシーラインナップに展開が可能となった。 動力取り出し装置(ePTO)も新たに採用し、ダンプ/キャリアカー/脱着車/リアクレーン/ゴミ収集車といった架装にも対応する。またホイールベースの長さに応じてバッテリーを1個(41kWh)から最大3個(124kWh)まで搭載可能なモジュール式バッテリーを採用、車種に応じて99kmから最大324kmまでの航続距離を実現した。 価格も今回発表され、税込1,370万500円(41kWh)〜2,005万800円(124kWh)となる。先代の価格は発表されないままだったが、81kWhのバッテリーを搭載しおよそ2,000万円と伝えられていた。 今回、バッテリー販売数世界一の中国CATL社のバッテリーを採用したことは大きい。それゆえ車体の1/3がバッテリーのコストと言われるEVで、大幅なコストダウンが可能となったものと思われる。それでも価格はエンジン車のおよそ2倍と割高感はあり、補助金の設定額次第で販売台数に大きく影響しそうである。 先日発表の「いすゞエルフEV」の車両価格は発表されていない。ユーザーは、「エルフEV」の価格次第で、「eキャンター」とどちらにするか悩むことになるだろう。「eキャンター」は、これまでにグローバルで約450台、累計760万km以上を走行した実績を持ち強みになるかもしれない。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★三菱、今後5年間でEV9車種を含む16車種を投入と発表……2030年までに15GWhのバッテリーを調達 ★★ファルケン、欧州でEV専用タイヤ「e.ZIEX」を発売……転がり抵抗と騒音を低減[詳細はこちら<click>] ★コマツ、電動マイクロショベル「PC05E-1」をホンダと共同開発……着脱式バッテリー「ホンダ・モバイル・パワー・パック e:」を採用、「第13回 国際スマートグリッドEXPO」(東京ビッグサイト(東京都江東区)/2023年3月15日(水)~3月17日(金))のホンダブースに出展予定 ★京都大学、高温超伝導モーターの室温運転に成功……イムラ・ジャパンや三菱重工と共同開発、小型・軽量の高効率モーター実用化へ道筋 ★ブレンボ、「オートアフターエクスポ2023」にEV用ブレーキを出展[詳細はこちら<click>] ★ステランティス、「STLA ラージ」プラットフォームを使用するEVの組み立てを、伊カッシーノ工場に割り当て……アルファロメオ「ジュリア」「ステルヴィオ」の製造工場 ★旭化成傘下のセルガード、米リチウムイオン・バッテリー企業C4Vと提携……次世代の高性能・高電圧バッテリーセルを開発 ★BMW、2022年の純利益が前年比49.1%増の1万8,582ユーロを達成……EVの販売台数は107.7%増加、納入台数の9%を占める ★日産、岐阜県岐阜市と連携協定……日産電動化アクション「ブルー・スイッチ」施策で連携、災害時にEVを電源車として提供するなど ★フォーミュラEチームのDSペンスキー、FIAの三ツ星環境認定を取得 ★成田空港で関係者向けEV・PHEVの試乗会を実施……「三菱・ミニキャブ・ミーブ」など7車種の用意のほかEVトラックも展示、3月16日(木)〜17日(金)に成田空港敷地内施設にて ★三井物産、ノルウェー水素タンク企業ヘキサゴンプルスに出資……燃料電池車「FCEV」の需要増を見据え転換社債を引受け

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
日産、次世代型電動パワートレインのプロトタイプを公開……デイリーEVヘッドライン[2023.03.10]

EVとe-POWERの主要駆動部品を共通化 市販化後はコスト削減分をEVの車両価格に還元 【THE 視点】日産自動車は3月9日、EVとシリーズハイブリッド「e-POWER」の主要駆動部品を共用化しモジュール化した新開発のモーター一体型駆動装置(イー・アクスル)「X-in-1」の試作ユニットを公開した。 2026年までに2019年比でコストを30%削減した本パワートレインを採用し、EVと「e-POWER」の競争力をさらに向上させるという。モーター/インバーター/減速機の3つの部品をモジュール化したEV用の「3-in-1」を開発し、2030年にはEVをエンジン車並みのコストにしていくとのこと。 日産は、2010年に初代リーフを世界に先駆けて、量産EVとして販売を始めた会社である。それから十数年、世界ではどんどんと新型EVが発売されてきた。リーフも第2世代にはなったものの、パワートレイン等は旧型に近い構成で、特に海外の最新EVには後れを取っている。 今回EV用「3-in-1」のパワートレイン、いわゆる「イー・アクスル」を開発したことで、ようやく追いつく見通しだ。また2030年には車両価格もエンジン車並みとすることなので、2028年には量産予定とされる「全固体電池」の搭載を見込んでの話だろう。 まずは今回発表のイー・アクスルを搭載したモデルが出れば、テスラやラムのピックアップトラックのように、フランク(フロントのトランク)のスペースも確保出来るかもしれない。しかしそういった利便性の改善が可能かどうか明らかになるのはもう数年待たなけれならない。日産はもう少し早く出せないものだろうか? (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★フォルクスワーゲン、EV版「ワーゲンバス」の「ID.Buzz」の日本導入を決定……2024年末以降[詳細はこちら<click>] ★★エネチェンジ、マンションの専用駐車区画へのEV用充電器導入を支援……導入費用・電気料金を全額負担する「マンション専用車室ゼロプラン」を開始[詳細はこちら<click>] ★アイダ設計、EVを非常用電源として使えるオプションパックを販売開始……EVから電源を供給する「住宅用安心給電キット」とEV用200Vコンセントをセットに[詳細はこちら<click>] ★災害対策用の発電機をEV充電向けに活用するビジネスが開始……東西商事が内燃エンジンのポータブル発電機「ベクター」の日常活用を提案、導入団体が充電利用者に課金[詳細はこちら<click>] ★充放電の電流を配電部品(バスバー)の磁界で検知……サンコールが「磁器式電流センサー」を新開発、高精度なセンシングで航続距離の延伸などが可能に ★ブレイズ、自社製電動モビリティの第2回試乗会を開催……3月16日(木)〜18日(土)、東京ショールーム(東京都千代田区)にて ★ボルボグループの米マック・トラックス、同社初の中型EVトラック「マック MD エレクトリック」を発売……最高出力194kW(264ps)/最大トルク2,509Nm(255.3kgm)、バッテリー容量は150kWhおよび240kWh ★トヨタ、デンソー福島工場に水素発生用水電解装置を設置……「ミライ」や「ソラ」のFCスタックを流用

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
電気で走れいすゞのトラック、「エルフ」刷新でEVモデルを市販化……デイリーEVヘッドライン[2023.03.09]

17年ぶりのフルモデルチェンジで量産EVを追加 改造型EVエルフ時代からバッテリー容量が大幅増加 【THE 視点】いすゞ自動車株式会社は3月7日、小型トラック「エルフ」シリーズをフルモデルチェンジし、同社初の量産バッテリーEV(BEV)である「エルフEV」を発売した。 17年前ぶりにモデルチェンジした「エルフ」は、「デザイン」「ホスピタリティ」「エコノミー」「セーフティ」「コネクテッド」「ラインアップ」の6つのポイントを中心に進化した。 シリーズ初のラインナップである「エルフEV」については、標準キャブのGVW(車両総重量)3.5トン未満車からワイドキャブのGVW7.5トン車まで幅広い車種構成を実現。車両の操作系やレイアウトをディーゼル車と可能な限り共通化。一般的な「エルフ」に慣れたユーザーも自然に運転でき、様々な架装にも対応できるよう、そしてEV導入の敷居を下げるような工夫がなされている。 バッテリーは、コンパクトなバッテリーパック(最大容量20kWh/個)を開発。車格や使われ方に応じて、高電圧バッテリーを2パック(40kWh)から最大5パック(100kWh)搭載するモジュール方式を採用し、普通充電と急速充電に対応しているほか、専用の機器を通して外部へ電力供給を行うことが可能となっている。 筆者もこれまでに、「エルフ」をベースにEVトラックを何台も製作してきた経験がある。1995年ごろはまだ鉛バッテリーだったが、2012年に製作した際にはリチウムイオン・バッテリーに進化した。 それでも、当時のリチウムイオン・バッテリーの性能では、GVW7.5トンクラスに48kWh分を搭載するのがやっとだった。今回いすゞから発表されたエルフEVは、最大100kWhまでラインナップがあることに大きな進化を感じる。 日野自動車からはヤマト運輸向けに「デュトロEV」500台の納車が始まり、三菱ふそうからは第2世代の新型「eキャンター」がこの春発売される。日本にもようやくEVトラックの時代がやってきた。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★「グランドプリンスホテル新高輪 国際パミール館駐車場」(東京都品川区)にてEV向け月極駐車場の実証実験開始……ユビ電/エネオス/ハッチ・ワークが協業、EV充電サービス「ウィー・チャージ」と連動[詳細はこちら<click>] ★★ヤマハ、小型低速EVのコンセプトモデルにホンダのバッテリー交換式ユニット「ホンダ・モバイル・パワー・パック e:」を採用……「スマートグリッドEXPO」(東京ビッグサイト(東京都江東区)/3月15日(水)〜17日(金))にてホンダブース内に展示 ★★ホンダ、「スマートグリッドEXPO」に出展……「エヌバン」のコンバージョンEVなどを展示[詳細はこちら<click>] ★ホンダ、GMとの共同開発品をベースとした「燃料電池モジュール」を「第19回 FC EXPO水素・燃料電池展」(東京ビッグサイト(東京都江東区)/3月15日(水)〜17日(金))を展示……「クラリティ・フューエル・セル」に対してコストが3分の1・耐久性2倍 ★ニチガス、LPガスの配送車に「三菱ミニキャブ・ミーブ」を採用……住友三井オートサービスとともに共同実証実験 ★NTT西日本やフォムなど、バッテリー交換式EVコンバージョンカー(CEV)を活用した実証事業を実施……太陽光発電を用いた再生可能エネルギーとエネルギー・マネジメント・システム(EMS)を用いてCEVを運行、2023年2月20日(月)〜2024年3月31日(日)まで名古屋市内にて[詳細はこちら<click>] ★NTTコノキュー、みなとみらい21地区(神奈川県横浜市)での自動運転EVバスによる「5G×自動運転MaaS」共同実証実験に協力……「ナビヤ・アルマ」内にてスマートグラスを活用した観光体験 ★フォード、商用EVの「E-トランジット・バン」を全米に6,500台販売(2022年12月末時点)……EVバン市場の60%以上を占める[詳細はこちら<click>] ★ブレイズ、「ブレイズ・スマートEV」をはじめとした全車種試乗会を開催……ブレイズ本社(愛知県名古屋市)にて3月10日(金)〜12日、要予約 ★NTT東日本、介護事業者向けにEVの試乗会を開催……千歳市防災学習交流センター「そなえーる」(北海道千歳市)にて3月15日(水)、電力供給のデモンストレーションも

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
スカニア、ノルウェーの石灰石採石場にEVトラックを納入……デイリーEVヘッドライン[2023.03.08]

EV化で156トンのCO2を削減 海外では大型トラックのEV化が進む 【THE 視点】スカニアは、ノルウェー最大のEVトラックを「ヴェルダルスカルク石灰石採石場」(ノルウェー・ヴェルダルスカルク)に納入したと発表した。 総重量は66トンで、年間約120万トンの石灰を採石場から港に輸送して出荷する。このルートでの以前の化石燃料の消費量は5万8,000Lで、EV化により156トンのCO2が削減される。 このEVトラックのパワートレインは、最高出力450kW(612ps)・最大トルク3,500Nm(356.9kgm)のモーターと6速のトランスミッションからなる。9つのバッテリーパックの総容量は300kWhで、充電は最大130kWの容量を持つ。 これ以外にもノルウェーでは、100台以上のスカニア製EVトラックが走っているという。 先日のヘッドラインでも紹介したとおり、海外では新車運搬用のEVトレーラーも登場するなど、大型車両のEV化が進んでいる[詳細はこちら<click>]。日本の商用EVでは「三菱ふそう e-キャンター」の8トン・クラスが稼働しているが、海外では20トンまたはそれ以上の大型化が目立つ。テスラも大型EVトラック「セミ」が、すでに量産車として納車が始まっている。 筆者のところにも、これまでに日本で発電所向けの石炭輸送用の大型EVトラックや、港湾車両用の大型EVトレーラーの引き合いはあったが、いずれも実現はしなかった。大型トラックをEV化しようとする動きはあるものの、遅々として進まない日本が心配である。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ヒョンデ、新型EV「コナ」をワールドプレミア……BセグメントのSUV、年内に日本導入予定[詳細はこちら<click>] ★★いすゞ、小型トラック「エルフ」を刷新しEVをラインナップ……導入をサポートするプログラム「EVision」も開始[詳細はこちら<click>] ★日本EVクラブ、「電気カート組み立て教室」を開催[詳細はこちら<click>] ★ニオ、2月の販売台数は前月比42.9%増の1万2,157台……前年比98%増の大幅成長 ★テラモーターズ、電源のない月極駐車場へのEV用充電器導入をサポート……電気の引き込みから充電設備の設置まで無料で[詳細はこちら<click>] ★中国ジーリー、プレミアムシリーズ「Geely Yinhe」を発表……2023年第4四半期にEVモデルも投入 ★マップボックス・ジャパン、エンドツーエンドソリューション「マップボックス・フォーEV」をリリース……車載アプリに搭載することで正確な航続距離と最適な充電場所の検索が可能に[詳細はこちら<click>] ★双日、日本国内供給向けに電気モーター向けのレアアースを確保……豪ライナス社との共同設立会社を通じライナス生産の「ジスプロシウム」および「テルビウム」の最大65%を日本向けに供給[詳細はこちら<click>] ★ホンダ、米ラスベガスで開催の建設機械展「CONEXPO-CON/AGG 2023」(3月14日(火)〜18日(土))にて、電動の自律移動モビリティ「Honda Autonomous Work Vehicle」のプロトタイプを公開 ★EVバイクのジーム、EVバイクの試乗・即売会を開催……原付一種から軽二輪クラスのモデルを6台用意、3月12日(日)に「名鉄百貨店一宮店」(愛知県一宮市)にて

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
メルセデス・ベンツ、独クッペンハイムにバッテリー・リサイクル工場を起工……デイリーEVヘッドライン[2023.03.07]

バッテリーのリサイクルを内製化 新たなバッテリーは「EQ」に搭載可能 【THE 視点】メルセデス・ベンツ・グループは3月3日、ドイツのクッペンハイムにて新たなバッテリー・リサイクル工場の起工式を行ったと発表した。全電動車化を目指すメルセデス・ベンツにとって、持続可能な車両開発を支える重要な拠点となる。 同工場では、モジュールレベルでの解体からバッテリーの材料の細断・乾燥・処理までリサイクルに必要なすべての工程をカバーする。将来的に回収率が96%を超える予定で、電池材料の循環型経済を可能にする。ちなみにこの事業でメルセデス・ベンツは、リチウムイオン・バッテリーのリサイクル事業を手がける独プリモビウス社の協力も得ている。 工場の概要は面積7,000m2で、年産能力は2,500トン。リサイクルするバッテリーは、プラグインハイブリッド車および電気自動車(EV)用のリチウムイオン・バッテリーで、5万個以上の新たなバッテリー・モジュールが生まれるという。新たに生成されたバッテリーはメルセデスのEV「EQ」モデルに積むことが可能になる。 メーカーが自前の工場を持つことで、ディーラーでの車両回収からバッテリーの取り出し、そしてリサイクルまでメーカー内で一貫してできる。様々な種類のバッテリーを処理している一般のリサイクル業者を通すよりもシンプルで効率的だ。 原材料が高騰している中、一度精錬されたバッテリーは都市鉱山と同様に適切なプロセスを踏めば原材料依存度が低く抑えられ、バッテリーの価格高騰を防ぐことにも貢献できる。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ボルボ、ポーランド・クラクフにテックハブを新設……2030年の完全電化見据えEV開発の中核に ★ボードリー、北海道東川町で自動運転EVバス「ナビヤ・アルマ」を運行……東川町役場や道の駅ひがしかわ「道草館」などを通る2.6km、3月6日(月)〜10日(金)まで ★フォルクスワーゲンのEVバン「ID.バズ」がポルシェのサービスカーに……オランダの「ポルシェセンター」8箇所に導入 ★フォルクスワーゲン、米サウスカロライナ州にEV向け新工場を建設……傘下のスカウト・モーターズ用の工場、ピックアップ・トラックなどを生産 ★スカニア、ノルウェー・ヴェルダルの石灰岩採石場にEVトラックを納入……最高出力450kW(612ps)/総重量66トンのフルトレーラー ★ボルボ、北ヨーロッパの物流企業DFDSからEVトラックを受注……125台のうち20台を納入済み ★ホンダ、米国現地法人のアメリカン・ホンダ・モーターの敷地内に燃料電池(FC)の定置電源を設置……燃料電池車(FCEV)「クラリティ」のユニットを再利用、データセンター向けの非常用電源に ★豊田合成、商用車向け大型高圧水素タンクを市販化……FCEV「トヨタ・ミライ」の約8倍の容量

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
水を使わずEV火災を鎮火できる「ファイヤーブランケット」が発売……デイリーEVヘッドライン[2023.03.06]

消防車両132台分の消火能力 有害物質のまん延も防止 【THE 視点】ヨネ株式会社は、Bridgehill AS(本社:ノルウェー)と代理店契約を結び、同社製の消火用品「ファイヤーブランケット」を4月1日より発売する。Bridgehill AS社との代理店契約は日本初となる。 「ファイヤーブランケット」は、1,500℃の燃焼温度にも耐える炭素系素材「グラファイト」を採用。ガソリン・ディーゼル車の火災はもちろん、1,000℃を超える高熱を発しながら長時間燃え続けるEV火災やリチウムイオン・バッテリー火災にも十分耐えられる性能を持つという。 使用方法は、「ファイヤーブランケット」で火災車両を覆うだけ。これにより火や煙、有毒ガスをブランケットの内側に閉じ込めることができ、エンジン車の火災であれば、20分ほどで鎮火に至るという。 従来の水・泡消火薬剤による消火方法では、放水中に有害物質を含む煙と消火に要した汚染水が大量に発生する。しかしこの製品は水を一切使わず煙も発生させないため、従来と比較して非常に環境にやさしい消火方法となる。しかも何台もの消防車を稼働させずに済むので、消防活動の大幅な効率化が実現できる。 何よりリチウムイオン・バッテリーへの対応品であることが大きなトピック。筆者の理解では、リチウムイオン・バッテリーは酸素を遮断しても電池の熱暴走により酸素が発生し、バッテリーのエネルギーを使い切るまで消えないと認識している。 そのため、消火するには熱を下げるために水をかける方法しかない(実現は難しいが水の中に沈めるのが最良)と思っていた。しかしこのブランケットがあれば、水を使わず鎮火までの時間短縮も期待でき、まわりへの延焼も防ぐことができる。 アメリカでの例だが、2021年4月テキサス州で発生した「テスラ・モデルS」の車両火災の消火に要した水量は約10万6,000L。消防車(1台あたりの水タンク容量800L)に換算すると、132台分に匹敵する計算だ。この台数分をブランケット1枚でカバーすることが可能になる。 今後EVが普及したら、各消防署やロードサービスなどにもこのブランケットを常備することをお勧めしたい。価格は70万円とのことだが、繰り返し使用できるため費用削減にも貢献するだろう。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★新東名「浜松SA」「駿河湾沼津SA」にて最高出力150kW級のEV用急速充電器が稼働開始……e-モビリティ・パワーが設置、国内の高速道路では初[詳細はこちら<click>] ★★フォード、米国内でのEV生産を増強……「マスタング・マッハ-E」の生産を時間あたりほぼ2倍に[詳細はこちら<click>] ★シダックスグループ、スクールバスと送迎バスに燃料電池バス(FCEVバス)を導入……都内にて「トヨタ・ソラ」を5台を追加導入、スクールバスにFCEVバスは日本初 ★フォルクスワーゲン、2022年のEVの納入数が57万2,100台……前年比26%増[詳細はこちら<click>] ★ビンファスト、SUV「VF8 シティ・エディション」を米国に納入……北米市場に正式に参入 ★テスラ、メキシコに次世代車両用の大規模工場を新設 ★日立グローバルライフソリューションズ、BYD製のEVフォークリフトを導入……3月から多賀事業所で稼働、ほぼ全台のフォークリフトをEVに ★パワー半導体開発のフロスフィア、次世代EVの省エネ・小型化に寄与する「アンペア級・1700V耐圧のGaO®SBD(※)」の開発に成功……世界初、パワーエレクトロニクスの高性能化に期待 ※SBD:ショットキー・バリア・ダイオード ★スイスのEV系企業が「水素・燃料電池展」(東京ビッグサイト(東京都江東区)/3月15日(水)〜17日(金))に出展……ABBなど9企業 ★レクシヴ、EVシェアリング「eemo」のフランチャイズ店を拡大……入間ガス(埼玉県入間市)など全国に5ヵ所、日産「リーフ」「サクラ」を使用 ★電動オフロードバイクのサーロン、「ストーム・ビー」&「ウルトラ・ビー」の早期予約が日本で開始……公道走行が可能な本格オフロードバイク、正規輸入代理店のコハクジャパンから

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
VW、コンパクトEV「ID.3」を改良し欧州で発売……デイリーEVヘッドライン[2023.03.03]

電費を改善する空力デザインを採用 【THE 視点】VW(フォルクスワーゲン)は3月1日、コンパクトクラスの電気自動車(EV)「ID.3」の改良型を欧州で発表した。 「ID.3」は、「ID」シリーズ初のモデルとして、2020年の発売以来30万台を販売している人気モデル。今回の改良で、エクステリアとインテリアのデザインに手が入れられ質感が向上、インターフェースなども一新された。 エクステリアはフロントデザインを一新し、エアロダイナミクスの向上とバンパーの開口部の最適化によって冷却性能を向上。前輪周辺の空力性能を改善し電費を向上させる「エアカーテン」を採用した。リアまわりもテールランプのデザインが一新された。 インテリアでは、ドライバー正面に5.3インチのディスプレイが配置され、ダッシュボード中央には、ナビ・電話・メディア・充電メニューが表示される12インチのタッチディスプレイが標準装備されている。 そのほか性能的な発表はなかったが、VWの小型EVのラインナップが日本にないだけに、今回は日本への導入も期待したい。なお、VWのIDシリーズは、すでに世界で600万台以上が販売されているという。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★米国の郵政公社(USPS)が9,250台の商用EVを導入……フォードから「E-TRANSIT VAN (イー・トランジット・バン)」を購入、2024年までに導入し米全土の配送車の電動化を目指す ★★日本電気硝子、世界初「全固体ナトリウムイオン二次電池」を開発……主要部材に結晶化ガラスを使用した「全固体電池」、「第14回 国際二次電池展」(東京ビッグサイト(東京都江東区)/3月15日(水)〜17日(金))にも出展[関連記事はこちら<click>] ★MINI(ミニ)、「Concept Aceman(コンセプト・エースマン)」を日本初公開……「The Iceberg(ジ・アイスバーグ)」(東京都渋谷区)にて5日まで一般公開[詳細はこちら<cllick>] ★EV充電インフラのTerra Motors(テラ・モーターズ)、スーパーマーケットの「Olympic(オリンピック)」にEV用充電器「テラチャージ」を導入……東京都内はじめ首都圏28店舗に[詳細はこちら<click>] ★FIAT(フィアット)、「アバルト 500e(チンクエチェントe)」の予約注文が1,500台超え……初回デリバリーは6月予定 ★LANCIA(ランチア)、「ミラノデザインウィーク」(4月開催)に「ランチア・コンセプト」を公開予定……2028年にEVの新型「デルタ」発売 ★電動バイク(EVバイク)開発のグッドシェイプ、ペットが乗車できる公道走行可能な小型バイク「PONY(ポニー)」を発売……航続距離約40km[詳細はこちら<click>] ★BMW Motorrad(BMWモトラッド)、EVスクーター「CE 04 Vagabund Moto Concept(CE 04 バガボンド・コンセプト)」を公開……オーストリアのカスタムビルダー「Vagabund Moto GmbH」が製作 ★ブレイズ、「第20回 国際オートアフターマーケットEXPO 2023」(東京ビッグサイト(東京都江東区)/3月7日(火)〜9日(木))に出展……小型のEVバイク「ブレイズ スマートEV」など展示 ★シャープ、「PV EXPO 2023」(東京ビッグサイト(東京都江東区)/3月15日(水)〜17日(金))に出展……EVに搭載可能な太陽電池などを展示 ★東京ガスなど、埼玉県狭山市でEV充電マネジメントを検証……公用車を使用し車両稼働状況や充電タイミングの制御などを実施 ★エネチェンジ、「北六甲カントリー倶楽部 東コース」(兵庫県神戸市)と「ゴルフ5カントリーみずなみコース」(岐阜県瑞浪市)のEV用充電器を自社の最高出力6kWタイプの機器に更新

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TEXT:福田雅敏、ABT werke
アウディ、クロスオーバーEV 「Q8 e-tron」を日本で発表……デイリーEVヘッドライン[2023.03.02]

内外装を刷新するとともに航続距離を延長 最高出力150kWの急速充電にも対応 【THE 視点】アウディジャパン(Audi)は、クロスオーバー型EVの「Q8 e-tron(Q8 e-トロン)」および「Q8 e-tron Sportback(Q8 e-トロン・スポーツバック)」を発表した。 アウディ初のEV 「Audi e-tron(アウディ・イートロン)」および「e-tron Sportback(イートロン・スポーツバック)」を大幅にアップデート、モデル名にも電動SUV/クロスオーバーのフラッグシップの証である「Q8」を冠した。 今回の改良では、一充電あたりの走行距離と急速充電性能を向上させるとともに、フロントとリアのエクステリアデザインを刷新。本年夏以降に発売予定となる。 バッテリーの容量が最も大きいモデル「55 e-tron quattro S line(55 e-トロン・クワトロ・Sライン)」は、総容量114kWh(先代比19kWh増/正味エネルギー容量106kWh)の大容量バッテリーを搭載し、最大航続距離は501km (先代比78km増/WLTC)を達成。バッテリーの総容量に対して使用可能な正味エネルギー容量を増加させ、さらに空力性能やモーターの効率アップを図ることにより、航続距離を大幅に向上させている。 急速充電も最高出力150kWまで対応可能となった。アウディジャパンがポルシェジャパン、フォルクスワーゲンジャパンとともに事業展開している「プレミアム・チャージング・アライアンス(PCA)」のサービスや、e-tron店が設置を進めている150kW急速充電器を利用できる。 先代の「アウディe-tron」に試乗した経験があるが、その当時でも完成度の高さを感じていた。今回の改良によって、より魅力的なモデルとなっていることは間違いないだろう。 そしてこのクラスのEVはバッテリー搭載量100kWhが普通になってきたように感じる。性能面を考えるとこれぐらいは必要なのかもしれないが、価格面のユーザー負担が高いことに加えて、一昔前のEVを知る身としては、多すぎるように思うのは私だけだろうか? (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★BYDジャパン、乗用モデルに健康への影響はないと見解……日本導入の「ATTO 3(アット・スリー)」「DOLPHINE(ドルフィン)」「SEAL(シール)」が欧州の廃自動車基準「EU ELV指令」に適合 ★★ホンダと韓国LGの合弁企業「L-H Battery Company, Inc.」、米オハイオ州に建設の新工場が着工……北米四輪車工場生産のEV向けに、バッテリーを供給予定 ★自動運転開発のチューリング、東京アールアンドデーと提携……2025年発売予定の自動運転EVを共同開発 ★ステランティス、米インディアナ州で機電一体型駆動装置「e-AXLE(イー・アクスル)」生産へ……同州の3つの工場に1億5,500万ドルを投資 ★MINI(ミニ)、EV仕様を含むクロスオーバーモデル「MINI Countryman(ミニ・カントリーマン)」の生産を開始……BMWグループのライプツィヒ工場にて ★パナソニック・オートモーティブシステムズ、中国にオートモーティブ事業の統括法人を設立……中国で高成長する電気自動車(EV)市場に対応 ★ジェイテクト、「[国際]二次電池展」(東京ビッグサイト:東京都江東区/3月15日(水)〜17日(金))に出展……大電流に対応する「高耐熱リチウムイオンキャパシタ」などを出展

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TEXT:福田雅敏、ABT werke
北米日産がEVのトレーラーを用いた新車輸送を実施……デイリーEVヘッドライン[2023.03.01]

BEVの大型トレーラーで新車を輸送 米国初の取り組み 【THE 視点】日産は、北米において電気自動車(EV)のトレーラーを活用した新車の輸送を開始した。ロサンゼルス港(カリフォルニア州)から同地域内のディーラーに対して新車の輸送を試験的に行なっている。最初の輸送では「アリア」が運ばれたという。 大型EVトラックは、クラス8(15トン以上)に分類されるカテゴリーで、アメリカのEVトラックメーカーである「Nikola(ニコラ)」と老舗「Kenworth(ケンワース)」の車両が使用されている。 EVトラックなど商用車のEV化も進むアメリカだが、大型EVトラックを用いた新車の輸送では北米で初だという。 大型トラックを含め商用車は、その大きさやバッテリー搭載量が多いことから、充電インフラが課題となる。そのサポートは、日産の物流パートナーであるワレニウス・ウィルヘルムセン社が協力しているとのこと。 港湾の低炭素化も問題となっているなか、この取り組みはその問題解決にも貢献でき一石二鳥の成果が期待できるのではないだろうか。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ホンダ、リチウムイオン・バッテリー用リサイクル資源を北米で安定調達へ……バッテリーリサイクル企業の米アセンド・エレメンツと協業に合意 ★BMW、燃料電池車(FCEV)の「iX5 Hydrogen(ハイドロゲン)」のパイロットモデルを発売……トヨタ製燃料電池(FC)システムを搭載 ★ ホンダ、「大阪/東京/名古屋モーターサイクルショー2023」に電動スクーターを出展……コンセプトモデルの「EM1 e:」、バッテリー交換式「Honda Mobile Power Pack e:(モバイル・パワー・パック イー)」を採用した原付一種クラス ★鎌倉駅前に「電動トゥクトゥク」のレンタルステーション「えもび鎌倉」をオープン……スタートアップ企業「eMOBI(エモビ)」が展開、2023年夏までに20台を導入予定 ★羽田空港で自動運転バス「ARMA(アルマ)」を長期運行中……自動運転バス企業BORDLY(ボードリー)などが実証中、複合施設「HANEDA INNOVATION CITY(羽田・イノベーション・シティ)」と第3ターミナル間で3月31日まで ★MINI(ミニ)、特別モデル「MINI Cooper SE Resolute Edition(ミニ・クーパーSE・リゾルート・エディション)」を本国で発売……グリーンのボディカラーにボンネット・ストライプの採用など ★商用EVの普及を目指す一般社団法人「EV100ラストワンマイルを実現する会」が設立……商用EVのHW ELECTRO(HWエレクトロ)、花キューピットなど加盟 ★パナソニック、グループ企業が展開する住宅「テクノストラクチャー」にV2H蓄電システム「eneplat(エネプラット)」仕様を追加 ★豊田通商傘下のネクスティ・エレクトロニクス、電動車のリユースバッテリーを束ねた「大容量スイープ蓄電」システム向けの「基盤」を開発……リユースバッテリーの容量のばらつきを制御し各々を使い切るシステム ★コンチネンタルタイヤ、電気自動車(EV)に対応した「プレミアム・コンタクト7」を発売……コンフォートタイヤのフラッグシップ、重量のあるEVでも安全性と安定性を確保[詳細はこちら<click>]

TAG: #THE視点 #商用EV #福田雅敏
TEXT:福田雅敏、ABT werke
日産がEVを含む電動車を拡充、2030年の当初予定を増加……デイリーEVヘッドライン[2023.02.28]

「Nissan Ambition 2030」に向け電動化車種を大幅に増加 電気自動車(EV)19車種を含む27車種展開へ 【THE 視点】日産は、2022年に発表した長期ビジョン「Nissan Ambition 2030(ニッサン・アンビション2030)」を見直し、電動化戦略をさらに加速させると発表した。 電動化をより一層推進していくため「Nissan Ambition 2030」で公表した2030年までに投入する電動車両のモデル数を拡充。従来の「15車種のEVを含む23車種」との発表を「19車種のEVを含む27車種」とした。 これはインフィニティを含むグローバルでの車種展開であるが19車種のEVとはかなり多い。2030年までにということはあと6年余り。毎年3〜4車種の電動モデルが発売される計算となる。 日本でどれだけ販売されるか不明だが、ここのところは日本での販売車種が絞られてきた傾向にある日産自動車なので、海外同様にラインナップを拡充してほしい。 展開車種を想像すると、次期「GT-R」がいきなりEVとなるとは考えられないので、ハイブリッド車(HV)になるのではと想像する。しかし次期「スカイライン」などは、EV化されるのではないだろうか。 同様に「シルビア」や「ブルーバード」クラスの小型車(5ナンバーサイズ)のほか、「ステージア」以降はステーションワゴンもラインナップにない。「マーチ」も消えたままだ。これらのモデルをはじめ、ついでにピックアップトラックやオープンカーも、これを機にEVとして見直しても良いのではないだろうか。 ここのところ値上げと納期遅延が相次いでいる日産のEV。補助金に頼らず購入できるような魅力的なEVをリーズナブルな価格で早く出してほしいものだが、いずれにせよ今後の日産から目が離せなくなってきた。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★HW ELECTRO(HWエレクトロ)とENEOS WING(エネオス・ウイング)が業務提携……小型商用EV「ELEMO」シリーズを全国に販売しメインテナンス体制も拡充 ★★トヨタ、燃料電池モジュールの供給先を新たに決定……フランスのトラック企業「Hiliko」向けに ★プロテリアル(旧日立金属)、「窒化ケイ素基盤」を増産……EV向けパワー半導体に使う重要部材 ★水素・燃料電池の展示会「FC EXPO 春 2023」が開催……3月15日(水)〜17日(金)の間「東京ビッグサイト(東京都江東区)」にて

TAG: #THE視点 #日本メーカー #福田雅敏
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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