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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
フォード、EVトラック製造用の巨大工場を建設……デイリーEVヘッドライン[2023.03.28]

「T」を冠するEVトラックを計画 バッテリー製造機能も持つ巨大工場 【THE 視点】フォードは、米テネシー州スタントンに巨大なEVトラック用新工場を建設し、次世代のEVトラックを製造する計画を発表した。 「ブルーオーバルシティ」は第2世代のEVトラック製造の本拠地となるメガキャンパスで、バッテリーの製造工場も兼ねる。生産能力は年間50万台。フォードは2035年までに世界中のすべての自社工場に、再生可能エネルギーを利用したカーボンフリーの電力を供給することを目指している。同工場はフォード初のカーボンニュートラルな車両製造・バッテリーキャンパスになるという。 この計画のプロジェクトコードは「T3」と冠され、2025年に完成するという。T3とは、「Trust The Truck」の略だが、「T3」の「T」の文字はいにしえの「T型」フォードをも思い起こさせてくれる。フォードの強い意気込みが感じられる巨大工場である。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★リチウムイオン電池開発のAPB、サウジアラビアのエネルギー企業サウジアラムコと連携協定……全樹脂電池素材の共同開発で協業 ★武蔵精密工業(ムサシ)、タイのストローム社と協業……ムサシ製EV駆動ユニットを採用した二輪の製造・販売を目指す ★岩崎電気、クラウド型EV充電システム「ピーエムアイチャージ」を開発……スマホで充電予約から課金・決済までを管理、福岡市内駐車場にて実証実験 ★エネチェンジ、ホテルチェーン「ホテルウィングインターナショナル」にEV用充電器を導入……全国12店舗に最高出力6kWの普通充電器を設置 ★EVモーターズ・ジャパン、追加の資金調達を実施……シリーズCラウンドにて累計総額47億2,500万円を調達 ★トヨタ、中部圏で水素・アンモニアの社会実装を推進……FCEVトラックの導入や水素ステーションの整備の促進を含む

TAG: #EVトラック #THE視点 #海外ニュース
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
京都大学、高温超伝導モーターの開発に成功……デイリーEVヘッドライン[2023.03.27]

室温で超伝導状態での運転に成功 EVに革命を起こす技術に成就するか 【THE 視点】京都大学電気工学専攻の中村武恒特定教授らのグループは「高温超伝導モーター」の室温運転に成功した。 「高温超伝導誘導同期モーター」の巻線を高温超伝導体と常伝導体のハイブリッド構造にすることで、室温状態でも出力を低下させて連続駆動できた。本開発は、イムラ・ジャパン株式会社ならびに三菱重工業株式会社により共同研究された。 日本の電力は発電機から供給されるが、その消費の55%は電気モーターによる。発電機とモーターは同じ仕組みの回転機であり、それらすべての効率を平均1%でも改善できれば、極めて大きな省エネ効果や低炭素効果を実現できる。この効果の実現に超伝導材料が期待されている。 超伝導材料は極めて大きな電流を抵抗ゼロで流すことが可能で、さらに高い磁界を発生させることができることから、回転機の効率を大きく改善しながら小型軽量化が可能となる。 しかし通常の超伝導回転機はー200℃域以下の極低温状態を保つ必要がある。機器の故障などで温度が上昇してしまうと超伝導状態ではなくなるため抵抗が発生する。そこから爆発・焼損事故につながるため、超伝導回転機の実用化への大きなさまたげとなっていた。 今回の開発で、常温下でも超伝導状態モーターが回るようになったことで、将来的にはEVへの活用も可能になると考えられる。EVの航続距離や重量問題を解決できる糸口となりそうだ。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ランチア、バーチャルのイベント「2023 メタバース・ファッション・ウィーク」(3月28〜31日)に出展……EVの新型「イプシロン」公開の可能性[詳細はこちら<click>] ★★LGエナジーソリューション、アメリカ・アリゾナ州にバッテリー工場建設へ……EV用の円筒形電池などを製造、年間43GWhの生産能力[詳細はこちら<click>] ★フォード、米国で新型EVトラック「コードネーム:プロジェクトT3」製造を計画……アメリカ・テネシー州に建設中の工場「ブルーオーバル」にて2025年より ★ステランティス、米国エネルギー省(DOE)と官民一体・産学連携の施策「バッテリー・ワークフォース・チャレンジ」を発表……北栄全土の大学などと協力しバッテリーの開発エンジニアを養成 ★ステランティス、アメリカ・インディアナ州のバッテリー工場建設を開始……サムスンとの合弁事業、2025年第1四半期に稼働予定 ★フォーミュラE第6戦サンパウロ、ミッチ・エヴァンス選手(ジャガーTCSレーシング)が優勝……3番手スタートから荒れたレースを制す ★EU、エンジン車の販売継続を条件付きで容認へ……フランス・ティメルマンスEU上級副委員長がTwitterに投稿「e-フューエル(合成燃料)の使用についてドイツと合意を見出した」 ★「第44回 ウィーン国際モーターシンポジウム」開催(4月26〜28日)……電動モーターを含めた駆動システム・燃料電池などテーマ ★正和工業、事業継続計画(BCP)対策パッケージを提供開始……太陽光発電やEVを活用し、自然災害や停電に備えた「カーボンマネージメントパック」を総合提案

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
米ピータービルト、EVのトレーラーヘッド「579EV」をダラスの業者に納入……デイリーEVヘッドライン[2023.03.24]

大型EVトレーラーヘッド2台をダラスの業者に納入 伝統的なアメリカントラックスタイルのEV 【THE 視点】アメリカのピータービルトは3月22日、パッカー・リーシング・カンパニー(PacLease)と提携して、トレーラーヘッドのEVモデル「579EV」2台を、トラック・キングに納入したと発表した。 ピータービルト(Peterbilt Motors Company)はテキサス州に拠点を置く老舗のトラックメーカー。トラック・キング(Truck King)は同州ダラスの運送企業である。 トラック・キングは、ダラスとフォートワースのメトロプレックスで 65台のトラックを運用し、地元企業向けに運送サービスを展開している。今回納入された「579EV」は、テキサス州マッキニーにあるパッカーのダイナクラフト施設と、同州内ピータービルトのデントン製造工場間の配送ルートに使用される。 「579EV」は、トラック版のモーター一体型駆動装置(イー・アクスル)を、後輪それぞれの軸に1基ずつ計2基搭載した4輪駆動方式を採用。最高出力は500kW(680ps)。バッテリーの容量は400kWhで、航続距離は320km。最高出力150kWの急速充電に対応しているのも特徴だ。自動車連結車両総重量(GCWR)は37トン(8万2,000lbs)と、日本車のそれが可愛く見えるほどの大きさを持つトレーラーヘッドである。 アメリカではテスラやニコラにも見られるように、既に大型EVトラックの量産が始まっている。「579EV」は、EVコンポーネントなどの多くはキャビン下に配置される構造を採るが、電動化されてもボンネット付きのスタイルを残すところにアメリカの伝統を感じる。このクラスに搭載されるイーアクスルも一度見てみたいものである。しかしこのクラスまでEV化されるとは、環境問題が待ったなしの状況なのだと感じる。 ちなみに、映画「トランスフォーマー」に登場した機械生命体軍団の長「オプティマス・プライム(和名:コンボイ総司令)のベースとなった車両はピータービルト製である。日本では馴染みのないメーカーだが、スクリーンの上ではさにあらず。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★大日本印刷(DNP)、EV用ワイヤレス給電の実証実験装置を開発……島田理化工業製の「PWMインバータ」にDNP製の「シート型コイルユニット」を組み合わせ[詳細はこちら<click>] ★★ステランティス、ドイツ・アイゼナハ工場に1億3,000万ユーロを投資……「STLAミディアム・プラットフォーム」採用のEVを生産、2024年後半発売予定 ★スズキ、「四輪電気電子電動技術本部」を設置……「四輪EV設計部」「四輪EV/HEV駆動設計部」などを新設、4月1日付の組織改革で ★BYD、半導体大手のエヌビディアと提携……次世代の「ダイナスティ」および「オーシャン」シリーズに「NVIDIA DRIVE Orin」の使用を拡大 ★パワー・コー、バレンシアに第2セル工場を建設……2026年に「ユニファイド・セル」を生産 ※パワー・コー:フォルクスワーゲン傘下のバッテリー企業 ★三菱製鋼、技術開発センター(千葉県市原市)でEVを重要課題に……新事業の創出課題でEV化に対応 ★プラゴ、追分宿駐車場(長野県軽井沢町)に事前予約可能な急速充電器「プラゴ・ラピッド」を設置……スマホ向け専用アプリ「Myプラゴ」にて予約・支払い ★宮古島に「日産リーフ」のレンタルをパッケージ化したオフグリッド型ホテル「ズミテラス」がオープン……うちみやリゾートが運営、建物備え付けの太陽光発電設備で充電 ★折りたたみEVバイクのシェアロ、荒川区の交通安全教室に協力……安全講習ならびに体験走行会を実施

TAG: #EVトラック #THE視点 #商用EV
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
「ポールスター2」に230台限定のスポーツモデル「BSTエディション230」登場……デイリーEVヘッドライン[2023.03.23]

「野獣」を意味する「BST」の冠 レーシングストライプがマッスルカーを想起 【THE 視点】ボルボグループのポールスターは3月21日、EVセダン「ポールスター2」の高性能モデル「BSTエディション230」を欧州で発表した。欧州と北米向けに合計230台が限定販売される。 「BSTエディション230」は、最高出力350kW(476ps)・最大トルク680Nm(69.3kgm)に強化されたロングレンジ・デュアルモーターの4輪駆動モデルであり、0–100km/hは4.4秒の性能を持つ。 ボディカラーには、グリーンの専用色「ヌベッラ」やスペースブラックが用意され、オプションでマットブラックのボディストライプが選択できる。内装は、シートとステアリングホイールが「マイクロスウェード」で仕上げられている。 足回りも手が入れられ、特別に開発されたオーリンズのダンパー/20%剛性が高いスプリング/フロントストラットバー/ブレンボ製ブレーキ/ピレリ・Pゼロ(245/35R21)のタイヤを装備。車高は標準車より25mmローダウンとなった。出力や専用ボディカラーだけではなく装備面でも特別なものが与えられ、スポーティな印象が高まっている。 「BST」とは「野獣」を意味し、性能も装備もハイスペックで、一流のアフターパーツブランドを装備したカスタムカーのようだ。日本で販売されないのが残念である。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★フォード、EVの新型SUV「エクスプローラー」を欧州で発表……設計も生産も欧州で実施した事実上の欧州車 ★★燃料給油とEV急速充電ができるマルチなサービス・ステーション「ネクストフォート」がオープン(愛知県春日井市)……春日井燃料が運営 ★BMW、フロントガラスの全幅に広がるヘッド・アップ・ディスプレイを量産化……2025年よりEVへの搭載を見据える[詳細はこちら<click>] ★ボードリー、石川県小松市で自動運転EVバスを実証実験(3月20日に終了)……北陸新幹線小松駅開業を見据えて実施 ★日産、カーシェアサービス「NISSAN e-シェアモビ」を北海道檜山振興局(北海道檜山郡江差町)に設置……「リーフ」を2台、ソーラーカーポートから直接充電 ★日産、三重県四日市市と「ブルー・スイッチ」施策で連携……災害時にEVを電源車として提供するなど

TAG: #THE視点 #ニューモデル #ポールスター2
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
HWエレクトロ、中型EVバン「エレモ-K」の先行予約を開始……デイリーEVヘッドライン[2023.03.22]

販売価格450万円(税別) 中型商用EVの選択肢広がる 【THE 視点】HWエレクトロは3月20日、2023年3月21日より、中型EVバン「エレモ-L」の先行予約を開始すると発表した。このモデルは、「東京オートサロン2023」で発表されたモデルで、発売は6月を予定している。目標販売台数は年間500台。 大きさは、全長5,450×全幅1,850×全高2,050mmで最大積載量1,250kg、約7㎥の荷室容積を持つ。徹底した軽量化を図るべく、アルミボディによる基本骨格を持ち、樹脂パネルを多用しているのも特徴だ。バッテリー容量は43.5kWhで航続距離は210km(WLTCモード予測値)。価格は450万円(税抜)となっている。ただし、最初に販売されるモデルは左ハンドルとなる。 筆者もオートサロン2023で実車を見たが、大きさはトヨタ・ハイエースの「スーパーロング・ワイドボディ・ハイルーフ」と同程度にみえた。また、アルミと樹脂を多用した構造が特徴的だったが、積載量がEVとしては1,250kgと多く、その効果が表れているものと推測。これなら荷物配送用車としてはもちろん、救急車等の公共サービス車両のほか、趣味用にキャンピングカーとしても使えそうだ。 これまで同社の「エレモ」や「日産e-NV200」など小型が多かった商用EVだが、つい先日に「いすゞ・エルフ EV」「三菱eキャンター」などが発売され、中型以降のサイズも目立ってきた。このセグメントは配送事業用など多くの需要が見込まれると予想される。商用EVにもようやく選択肢が出てきた感じである。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★横浜ゴム、EVにも最適化したハイ・ロード・キャパシティ(HLC)タイヤの生産・販売を開始……大容量バッテリーを備えた重量級EVに対応[詳細はこちら<click>] ★★ランチア、新型車を4月15日に発表と予告……コンセプトモデル「Pu+Ra」に関係するEVか[詳細はこちら<click>] ★日本精工、モーター一体型駆動装置(イー・アクスル)向けベアリングを拡充……低コストで電食対策に成功 ★オペル、EVバンの「Vivaro-e」およびFCEV「Vivaro-e HYDROGEN」で医薬品を輸送……ドイツ・リュッセルスハイムにて実施、積載スペースの温度を一定に保てる特装仕様 ★北海道釧路市、EVを公用車に導入……「日産リーフ」を1台 ★トヨタ、小型EV「C+pod」を改良……ブレーキ・フィールの見直しなど ★トヨタ、小型パーソナルモビリティ「C+walk」シリーズを発表……高齢者支援の「S」を発売、立ち乗りで歩道(公道)走行可能な「T」は5月に発売 ★チューリング、国産LLM(大規模言語モデル)の開発に着手……複雑な言語関係を理解できる自動運転システムの実現を目指す ★日産、山口県柳井市と「ブルー・スイッチ」施策で連携……災害時にEVを電源車として活用するなどの協定

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
テスラ、次世代パワートレインの開発を発表……デイリーEVヘッドライン[2023.03.20]

1,000ドル以下のパワートレイン 登場予定の「モデル2」から採用か 【THE 視点】テスラは3月1日に開催した投資家向けの説明会「2023 Investor Day」で、次世代のモーター一体型駆動装置(イー・アクスル)」のコストが1,000ドル以下になると発表した。 「イー・アクスル」は、モーター/インバーター/減速機が一体となった駆動装置だが、次世代型のコストが1,000ドル(約13万円)とは驚きだ。ちなみに今のモデルでは、モーターとインバーターだけで15万円程と予想している。それに減速機を入れて約13万円とは大幅なコストダウンだ。 確かにテスラは、生産台数も多く量産効果も出ていると思うが、その秘密は次の通り。「モーターに使われる磁石にレアアース(希土類)を全く使わない」という。レアアースを使わない永久磁石式モーターとしたことでコストも低減するが、中国依存が高いレアアースを避けることで脱中国化も考えてのことではないだろうか。 また、ようやくインバーターに使われるようになった半導体のっひとつであるSIC(炭化ケイ素)は、従来のシステムから75%も減らすとのこと。SICは半導体の中でもかなり高価だ。 テスラは、車体部品も大型のキャスティング(鋳物)をフレームに使うなどして、部品点数を減らしコストダウンを図ってきた。さらにパワートレインのコストも削減できれば、テスラはさらに安くなる。これは、登場が待たれるエントリーモデル「モデル2」から採用されるのではないだろうか。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★アウディ、「Q6 e-tron」のプロトタイプを極寒地でテスト……2023年後半に発売予定[詳細はこちら<click>] ★★アウディ、2022年のEV販売台数が44%増加の11万8,978台……2025年までにEV10モデル以上を投入 ★ZF、電動ドライブの受注額が300億ユーロ(約4兆2,500億円)超え……乗用車と商用車を合わせて ★アルファバスジャパン、自社EVバス製品の「六価クロム」使用状況を調査……ボルト・ナット系の2種類部品が該当、部品交換を完了し問題なし ★「第21回学生フォーミュラ日本大会2023」開催決定……EVクラスには国内20チーム・海外10チームが参加、8月28日(月)~9月2日(土)にエコパ(静岡県袋井市・掛川市)にて ★Luup、電動キックボード事故の調査研究を開始……交通事故総合分析センター(ITARDA)・東京海上ホールディングスと共同で ★ボルボ、韓国でEVトラックを販売開始……3モデルを用意 ★ボルボ、南アフリカにEVトラックを初納入……ゴミ収集仕様車として ★日産、プレステージ・インターナショナル(PI)と「ブルー・スイッチ」施策で提携……EVを活用した災害対策など、PIも社有車を順次EVに置き換え

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
フォルクスワーゲン、新型コンパクトEV「ID.2all」を本国で発表……デイリーEVヘッドライン[2023.03.17]

「ポロ」クラスのコンパクトEV 価格は 2万5,000ユーロ未満 【THE 視点】VW(フォルクスワーゲン)は3月15日、小型EV 「ID.2all」を発表した。2025年市販予定のコンセプトモデルで、新開発のプラットフォーム「MEB Entry」が採用されるという。 最高出力166kW(226ps)のモーターで前輪を駆動し、最大で450km(WLTP)の航続が可能と発表されている(電池容量未発表)。ボディサイズはエンジン車の「ポロ」に近く、長さ4,050mm×幅1,812mm。しかし室内は「ゴルフ」並みの空間を確保しているという。 最大の特徴は価格で、2万5,000ユーロ(約360万円)未満と発表されている。この価格で450kmの航続距離を確保とは驚きだ。価格も航続距離もガソリン車に近く、充電を気にしたり冷暖房を抑えたりなどの我慢をしないで乗れるEVだ。日本でも早期に発売されることを願うばかりである。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★フォルクスワーゲン、2026年までにEVモデル10車種を発売予定……価格2万5,000ユーロ(現在約360万円)以下を目指す ★★HWエレクトロ、塗装機器のアネスト岩田と業務提携……自動車納車前整備(PDI)について業務提携並びに資本提携[詳細はこちら<click>] ★ノルウェーのヘキサゴン・プルス、日野と提携し米国でEVトラックを販売……日野のシャシーをベースにEV化 ★テスラ、オートパイロットの体験会を実施……3月15日(水)〜4月28日(金)、「テスラセンター稲毛」「テスラサービスセンター東名川崎」「テスラ心斎橋」にて ★BYD、沖縄にショールームを開設……「BYD AUTO 沖縄」が国際通り入口にて3月16日(木)よりオープン ★音楽事業のヤマハ、多言語対応EVレンタルバイクサービスを開始……「代官山蔦屋書店」などにて3月16日(木)より ★ユアスタンド、マンション契約駐車区画へのEV充電器導入をサポート……導入費用・ランニングコストを全額支援、6月30日(金)受付分まで ★スズキ、公道用電動自動配送ロボット事業へ進出……自動配送ロボット開発のロンビーと共同開発、3月13日(月)〜23日(木)まで広島工業大学のキャンパスおよび周辺の公道(広島市佐伯区)にて配送実験を実施 ★日産、三重県木曽岬町と連携……「ブルー・スイッチ」施策213件目、災害時などにEVを電源車として活用 ★帝人、移動可能な小型燃料電池/圧力容器ユニットを開発……東急建設の渋谷駅周辺開発工事の現場で実証実験、2026年6月より

TAG: #ID.2all #THE視点 #ニューモデル
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
ホンダ、「N-VAN EV」のコンセプトモデルを初公開……デイリーEVヘッドライン[2023.03.16]

着脱式可搬バッテリー「ホンダ・モバイル・パワー・パック e:」に本気 初公開「N-VAN EV」の電源にも活用 【THE 視点】「第13回 スマートグリッドエネルギーWeek」が3月15日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開幕した。筆者は本イベントに足を運び、併催されている「国際スマートグリッドEXPO」「二次電池展(バッテリージャパン)」「FC EXPO 国際水素・燃料電池展」などを見学した。 なかでも、国際スマートグリッドEXPOに出展しているホンダのブースは異彩を放っていた。 先日紹介した、コマツとの提携で開発された「電動マイクロショベル」[詳細はこちら<click>]をはじめ、ヤマハ発動機と協業して開発されたパーソナル低速モビリティの汎用プラットフォーム・コンセプト「ヤマハ・モーター・プラットフォーム・コンセプト」に加え、何と今回初公開の「N-BOX EV」など自社商品を含む他社との協業で生まれた電動モビリティが勢ぞろいしていた。 ちなみにこれら全てが、ホンダの着脱式可搬バッテリー「ホンダ・モバイル・パワーパック e:」で動くものだ。 そのほか、ソリッドバッテリーブースでは最新の全固体電池。FC-EXPOでは「ホンダ・クラリティ FUEL CELL」に搭載されていたFCスタック。そして汎用「水素燃料電池のパワーユニット」として、東京アールアンドデーのブースにも「トヨタ・ミライ」に搭載されているFCモジュールが、「小型FCEVバス プレゼンテーション用」として展示されている。 協業などが目立つ今回の展示会は見どころが満載である。3月17日(金)まで開催されているので、是非会場に足を運んで欲しい。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★BMW、新型「i5」を年内発表……ブランド初のツーリングモデル登場も予告[詳細はこちら<click>] ★★MINI、完全新型EVモデルを年内発表……「コンセプト・エースマン」に関係するモデルか ★★ホンダ、米オハイオ州内の工場をEV生産のハブ拠点化……州内既存の3工場をEV本格生産に向けてライン等を見直し ★アウディ、「Q4 e-tron」のソフトウェアアップデートを実施(本国発表)……充電の上限を80%に制限するバッテリー保護機能などを装備 ★リコール発表……「テスラ・モデルS」、フロント・トランク・フードが意図せず開放されるおそれ ★三菱電気、熊本県菊池市にSiCパワー半導体の新工場を建設……EV需要の急拡大に対応、1000億円を投資 ★チューリング、「完全自動運転EV」のコンセプトカーをYouTubeで公開……ミニバンに近いデザインが特徴 ★BYD製EVバスの運行が再開……岩手県交通所属の車両が部品交換を終え3月14日(火)より運行 ★EVモーターズ・ジャパン、宮城交通に小型コミュニティEVバス2台を納入……3月21日(火)より仙台都心循環バス「まちのり『チョコット』withラプラス」にて運行 ★ホンダ、KPITテクノロジーズと提携……電動・自動化に向けたソフトウェア開発を強化 ★フォルクスワーゲン・グループ、2022年のEVの納入数は26%増加……米国での納入数は18.8%増の4万4,200台 ★GX支援企業のサステックがEV充電インフラの新企業「エリック・チャージ」を設立……複数のEV同時充電が可能な大規模ステーションの設置を目指す[詳細はこちら<click>] ★アークエルテクノロジーズ、EVの充電と運行を遠隔管理・自動化するシステム「アークエル・イーフリート」を製品化……PC・スマホから運行状況などを把握加納

TAG: #N-VAN EV #THE視点 #コンセプトモデル
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
双日/ダイヘン/DNP、商用EVを用いた公道ワイヤレス充電の実証実験を開始……デイリーEVヘッドライン[2023.03.15]

商用形電気自動車で国内初の登録認可を取得 ワイヤレス充電はEV普及のカギとなるか 【THE 視点】双日、ダイヘン、大日本印刷(DNP)の3社は14日、ワイヤレス充電機能を搭載した商用軽EVを実用化に向けて共同開発すると発表した。ワイヤレス充電機能を搭載した商用軽EVは国内初の登録で、公道での実証も開始したという。 EVへのシフトを加速する技術として、非接触でEVに充電するワイヤレス充電技術が注目を集めている。充電器と車体をケーブルで接続する必要がないため、充電作業の効率化と利便性の向上が期待されている。 「グリーンEVインフラ事業」に取り組んでいる双日は、「ワイヤレス充電システム」の開発を推進してきたダイヘンと、充電時の漏洩磁界を低減させた薄型・軽量な「ワイヤレス充電用シート型コイル」を開発するDNPとともに、同コイルを使用した車両側受電コイルおよび地上側送電コイル設備の開発・システム化に成功。この充電システムを双日が提供する商用軽EVに搭載し、公道試験車両が完成した。 ワイヤレス充電は、ケーブル類に触る必要がないため駐車するだけで充電することが可能となる。EVは欲しいけど充電作業が面倒という声をよく聞く。特に女性は、雨の日に荷物を一旦置いた上で泥汚れのついた機器に触れることに抵抗があるようだ。 この開発によってワイヤレス充電システム導入のコストが下がり、軽EVに採用できるようになれば、EVの普及も加速するのではないだろうか。 今回の発表で驚いたのは、印刷業であるDNPがその技術を持っていたことである。TVCMでも携帯のシート型アンテナを手掛けているのは見たことがある。EVのワイヤレス充電技術まで持っていたということは、シート型コイルに印刷の技術が応用されたということだろうか。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ポルシェ、「カイエン」のEV化を発表……EV「マカン」は2024年発売、「718」シリーズのEV化も[詳細はこちら<click>] ★★ZF、新型車載用ソフトウェア「cubiX」の生産を開始……ロータスの新型EV「エレトレ」に採用、ドライビングダイナミクスを統合制御 ★JRバス東北、燃料電池バス「トヨタ・ソラ」を導入……福島川俣線(福島駅東口〜川俣高校前)にて4月25日(火)から運行開始 ★フォルクスワーゲン、北米でバッテリーの生産を強化……グループ企業のパワーコーがカナダにギガファクトリーを建設 ★テラモーターズ、山口県柳井市に「テラチャージ」を100基設置へ……行政と連携しゼロカーボンシティ実現を目指す[詳細はこちら<click>] ★日本リビング保証、「テラチャージ」の充電機器を保証……テラモーターズと連携、急速/普通充電器を最長10年保証 ★オムロン、山王の東北事業部(福島県郡山市)にV2Xを組み合わせた太陽光発電システムを設置……EV5台を蓄電池としても活用 ★ブリヂストン、FIA競技「エコラリーカップ」のタイトルスポンサーに……電気自動車(EV)と燃料電池車(FCEV)のみ参加可能なラリー競技、2023年シーズンは8ヵ国9回の開催予定

TAG: #THE視点 #充電インフラ #商用EV
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
コマツとホンダが共同開発、着脱式可搬バッテリー採用の電動マイクロショベルを発表……デイリーEVヘッドライン[2023.03.14]

「ホンダ・モバイル・パワー・パック e:」を活用 ホンダの施策がメーカーの垣根を越え始める 【THE 視点】小松製作所は、本田技研工業と電動マイクロショベル「PC05E-1」を共同開発し、2023年度に国内市場への早期導入を目指すと発表した。このショベルのコンセプトモデルは「第13回 国際スマートグリッドEXPO」(東京ビッグサイト[東京都江東区]/3月15日[水]~3月17日[金])のホンダブース内にて参考展示される。 「PC05E-1」は、コマツの建設機械の中でも、小規模な土木/建築工事やガス/電気/宅内配管工事などの現場で利用されることの多いマイクロショベルに、ホンダが開発した着脱式バッテリー「ホンダ・モバイル・パワー・パック e:」と電動パワーユニット「eGX」を搭載することで実現した。 電動マイクロショベルは、従来のエンジン搭載型の難点である、騒音や排熱の大幅な低減を実現しており、環境に優しく、屋内外問わずどのような環境でも快適に作業が可能となる。 プロトタイプの主な仕様は、バケット容量:0.011m3、機械質量:550kg、モーター出力:3.3kWとかなり小型だ。 ホンダのモバイル・パワー・パックは採用車両等が拡大しており、EVスクーターからEVカート、そして今回は建機にまで及んだことになる。同時に供給先もヤマハ発動機に続き今回はコマツと業界の垣根を超えた取り組みとなっている。 建機の電動化は中型でも行われているが、いずれも充電式だ。今回のバッテリー脱着型を小型車両に採用したことにより、比較的軽量な電動マイクロショベルとその充電装置を合わせても総重量は1トンにはならないだろう。 移動も容易なうえ、充電時間を待たずに充電済みのバッテリーに交換することで、効率的に作業が行えるのもメリットだ。今後、屋内を中心に活躍することだろう。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★テラモーターズ、日東工業製の普通充電器「Pit-2G」を採用……「テラチャージ」専用アプリ経由で充電時間設定/料金決済が遠隔で可能に ★★BMW、「iX3 M Sport」等をリコール……バッテリーマネジメントエレクトロニクス(SME)の誤診でモーター出力低下のおそれ[詳細はこちら<click>] ★アウディ、インフォテイメントシステムでサードパーティ製アプリを利用可能に……専用「アプリストア」をガソリンモデルのほか「Q8 e-tron」「e-tron GT」に対応し6月以降欧州などで開始 ★エネチェンジ、最高出力6kWの普通充電器が受注3000台を達成……2021年11月のサービス開始以降1年4ヵ月で[詳細はこちら<click>] ★FDK、ニッケル亜鉛電池を開発……ニッケル水素電池の負極材を亜鉛化合物に置き換え、電動モビリティでの使用も視野 ★「フォロフライ EV F1 VAN」に試乗[詳細はこちら<click>] ★チューニングメーカーのキャロッセが「テスラ・モデルS」をカスタマイズ[詳細はこちら<click>] ★ファルケンからEV専用タイヤ「e.ZIEX」登場[詳細はこちら<click>]

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連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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