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TEXT:高橋 優
BYDの強みはEVだけじゃなくバッテリーメーカーという点! 世界規模でシェアを伸ばすバッテリー供給戦略の次なる一手

BYDが全固体電池に関するスケジュールを発表 中国BYDが全固体電池の見通しについて、2027年中に全固体電池搭載EVの量産をスタートしながら、2030年までに普及モデルに対しての導入を行うと発表しました。EVのリーダーであるBYDの全固体電池開発に対する期待と懸念を解説します。 まず、BYDは現在、世界最大のEVメーカーでありながら世界で2番目のバッテリーサプライヤーです。このグラフは世界の主要バッテリーサプライヤーのBEVに搭載された電池量の変遷を示したものです。CATLのあとにつけるのがBYDであり、2024年シーズンは153GWhを納入しています。 BYDについて注目するべきは生産能力の拡張のスピードです。2021年シーズンは26.4GWhという納入量だったことから、たったの3年間で6倍も成長したことになります。これまでは自社EV分のバッテリーを生産していたものの、2024年シーズン以降、外販にも本格的に注力。すでにテスラやトヨタ、シャオミなどにバッテリーを供給しており、今後はさらに中国メーカー勢やスズキ、ステランティスなどへも供給する見込みです。 その一方で、シェア拡大という観点で苦戦が続いているのが日韓勢の存在です。韓国最大手のLGエナジーソリューションは2024年シーズンに96.3GWhと、2023年シーズンと比較して納入量をほとんど増やすことができていません。さらにパナソニックは、前年比マイナス18%という結果に落ち込んでいます。 また、このグラフはバッテリーサプライヤーのマーケットシェア率の変遷を示したものです。トップのCATLは2024年に37.9%、BYDも17.2%を実現。上位2社で世界のEV用バッテリーの過半数を抑えてしまっている状況です。とくに3位以下のLGやSK、パナソニックなどが軒並み前年比で成長することができていないという点を踏まえると、2025年もCATLとBYDのシェア拡大が続くものと見られます。 そして、この世界のEV向けバッテリーで存在感を高めるBYDは、2030年に向けてバッテリー技術革新でふたつのアプローチを採用しようとしています。まずは独自開発のLFPブレードバッテリーの改良、コストダウン、そして生産拡大です。 すでに生産中の第一世代のブレードバッテリーのエネルギー密度は、LFPとして業界最高水準を実現済みです。たとえばATTO 3のエネルギー密度はパックレベルで150Wh/kgを実現。これは、三元系のトヨタbZ4Xや日産アリアと同等水準のエネルギー密度です。まさに一部メーカーの三元系バッテリーと同等のエネルギー密度を実現することで同等のEV性能を担保しながら、その上でLFPの強みである安さによって生産コストを大幅に削減することに成功しています。BYDのEVが高いコストパフォーマンスを実現できている最大の理由が、このバッテリーなのです。 また、BYDは3月中にも長らく待望されていたブレードバッテリーの第二世代を発表する見通しです。第二世代に関するリーク情報では、おもに超急速充電にフォーカスするショートブレードと、エネルギー密度のさらなる向上にフォーカスするロングブレードの2種類に分割する見通しです。 まず主力車種に搭載されるロングブレードでは、セルあたりのエネルギー密度を概ね200Wh/kg級にまで高めることでセルの搭載数を最適化し、車両重量の軽量化などを実現する模様です。 そして、フラグシップに搭載されるショートブレードでは、エネルギー密度は第一世代とさほど変わらない見込みながら、超急速充電に対応。Han Lには83.212kWhバッテリーが搭載されることが判明済みで、少なくともCレートで6Cとなる500kW級の超急速充電出力に対応し、充電時間は10分程度を実現する見通しです。 さらにBYDは、既存のLFPバッテリーの改善と同時並行で、トヨタ、ホンダ、日産という日本勢も研究開発を進める全固体電池の開発にも注力しています。BYDの全固体電池の研究開発は2016年から基礎研究がスタート。2023年までに基礎研究段階を終了して、2024年中に20Ahと60Ahの全固体電池セルの試作品の生産をスタート済みです。

TAG: #全固体電池 #普及
TEXT:山本晋也
モーターの「空回し」はムダな抵抗! メルセデスが採用する電費向上技術「DCU」ってなに?

DCUは「Disconnect Unit」の略称 メルセデス・ベンツのEV(電気自動車)といえば、EQというアルファベットで区別できるようになっているが、そのEQファミリーにおいて「DCU」という独自のメカニズムが拡大しているのにお気づきだろうか。 EQE SUVを皮切りに、EVフラッグシップのEQSシリーズにも採用されている「DCU」は、航続距離を伸ばすことが期待できる革新的かつメルセデス・ベンツのようなプレミアムモデルでないと実装が難しいといえるテクノロジーといえる。 あらためて、DCUとは「Disconnect Unit」の略称。直訳すると「断ち切る装置」といったとこだろうか。特徴としては、前後に駆動モーターを持つ4WDのEVだけが備えるメカニズムとなっている。 EQシリーズにおいても、上級グレードに採用されている印象の強い2モーター式の4WDは、ハイパフォーマンスかつ走行安定性アップを実現するだけではない。EVの場合は4輪で回生ブレーキを利かせることで減速エネルギーを回収できる能力が高まるメリットもある。 唯一といえるウィークポイントは、1モーター駆動で十分に走行できるような状況において、もうひとつのモーターが走行抵抗となってしまうことだ。いわゆるコースティングと呼ばれる惰性で走るような状況において、片方のモーターは“ジャマ”になってしまう。 メルセデス・ベンツの開発した「DCU」は、そうしたウィークポイントを解決するソリューションといえる。このメカニズムを搭載しているモデル(EQEやEQS)はリヤ駆動を基本としているので、低負荷でコースティング的な走行をする際にはリヤモーターだけが駆動していればいいことになる。

TAG: #DCU #EQ #メカニズム
TEXT:桃田健史
今度は韓国から「キア」のEVが日本にやってくる! タクシー需要も見込める「PV5」にかかる期待

EVバンのラインアップを日本に導入 韓国キアのEVが2026年春ごろ、日本で正規発売される。大手商社の双日が日本国内での販売総代理店契約を締結したことで実現する運びとなった。 キア(起亜)は、グローバルでの韓国自動車ブランドとしてヒョンデに次ぐ第2位の規模を誇るメーカー。会社組織としてはヒョンデ傘下であるため、EVに限らず乗用車・商用車の全般で研究開発や部品調達でヒョンデブランドと協業している。 今回、双日が日本に導入するのは、EVバンのラインアップ「PBV(プラットフォーム・ビヨンド・ビークル)」だ。 2024年1月に、米ネバダ州ラスベガスで開催されたITと家電の世界最大級見本市「CES(コンシューマ・エレクトロニクス・ショー)2024」でコンセプトモデルを世界初公開した。 PBVの特徴は、専用プラットフォームの採用により用途に合わせてレイアウトや荷室形状などをフレキシブルに設計できること。 キアとしては、2025年から中型ラインアップの「PV5」を皮切りに、大型モデル「PV7」、さらに小型モデル「PV1」を開発し販売する予定だ。 PV5には、乗用向けにも使えるパッセンジャータイプと商用重視のカーゴタイプの2通りがある。ボディ寸法は、全長4700mmx全幅1900mmx全高1900mmで、ホイールベースは3000mm。

TAG: #PBV #新型車
TEXT:渡辺陽一郎
国内EV市場はサクラと輸入車で8割にも達する偏りっぷり! EVが売れないというより「売っていない」に等しい国産メーカーの状況

EVを普及させるには車種を増やす必要がある 2024年におけるEV(エンジンを搭載しない純粋な電気自動車)の国内販売台数は、前年に比べると33%減って約6万台だった。2024年の国内販売総数は約442万台だから、EVの販売比率は1.4%に留まる。 そして、2024年に国内でもっとも多く販売されたEVはサクラで、2023年に比べると売れ行きを38%減らした。それでも約2万3000台を売ったから、国内で販売されたEVの38%を占める。 また、輸入車のEVは、2024年に約2万4200台が販売された。国内で新車として売られたEVの40%を占める。 つまり、いまの国内におけるEVは、38%を占めるサクラと40%の輸入で成り立ち、両方を合計すると78%に達する。きわめて偏った売れ方になっているのだ。 EVの新車販売で、輸入車の比率が40%に達した理由は、EVのラインアップが豊富にあるからだ。販売の主力となる輸入ブランドでは、ボディタイプ別に見ると、メルセデス・ベンツとBMWが各7車種、アウディは3車種を用意する。さらに、EVに特化したテスラ、BYD、ヒョンデも複数のEVを用意するから、価格帯は高めでも車種の選択肢は多い。 その一方で日本車は、EVの車種がもっとも多い日産でも、乗用車はサクラ/リーフ/アリアだけだ。トヨタは2024年における国内シェアが31%、小型/普通車に限れば47%に達するメーカーだが、エンジンを搭載しいない乗用EVは、bZ4XとレクサスRZ/UX300eに限られる。ホンダはHonda eの生産を終えたので、2024年1月時点で販売されているEVは、軽商用車のN-VAN e:のみだ。 このようなラインアップでは、日本のユーザーが日本のメーカーからEVを買いたいと思っても、購入するのは困難だ。日本では「EVが売れない」といわれるが、実際には「売っていない」に等しい。 その結果、サクラと輸入車だけで、新車EV市場の約8割に達してしまう。輸入車については、1車種当たりの販売台数はわずかだが、車種の数が多いから40%に達した。 EVの国内販売台数が前年に比べて33%減った理由も、車種の数が少ないからだ。サクラがほしい人達に行き渡って売れ行きを下げると、車種が少ないために、EV市場全体の販売不振を招いてしまう。EVは新しいカテゴリーだから、乗り替え需要も乏しく、新車の車種数を増やさないと売れ行きも伸びない。 今後の日本で必要なEVは、サクラのヒットからもわかるように、セカンドカーとして使える軽自動車やコンパクトカーだ。複数のクルマを所有する世帯には、一戸建てが多いから、充電設備を設置しやすい。EVをセカンドカーとして使えば、遠方への外出では乗らないから、1回の充電で走れる距離が短くても不満は生じにくい。 このような日本のEV事情を考えると、ホンダはHonda eを廃止すべきではなかった。価格の割安なグレードを加えるなど、改良を行って作り続けるべきだった。今後、ホンダはN-ONE e:を投入する予定で、他社についても、魅力的な軽自動車のEVが望まれている。

TAG: #日本 #普及
TEXT:高橋 優
BYDの脅威はBEVだけにあらず! PHEVミニバン「Xia」の豪華すぎる装備も燃費も驚きのレベルだった

BYD XiaはPHEVのみの設定 BYDがミニバンPHEVのXiaの正式発売をスタートしました。ますます需要の高まるミニバンセグメントの大本命として、トヨタ、ホンダ、GMなどという既存メーカーのシェアをさらに奪うポテンシャルを解説します。 ミニバンセグメントについては、BYDはすでに高級ブランドのDenzaから、2022年末にD9というミニバンEVを発売済みです。
D9は瞬く間に販売台数を伸ばして、2023年シーズン、ミニバンセグメントでトップの販売台数を達成しました。 DenzaはD9の大規模なモデルチェンジを2024年末に実施。とくに高級車セグメントにおいて重要性が高まっているハイエンドADASを搭載しながら、売れ筋のPHEVモデルに対しては第5世代のPHEVシステムを導入することで燃費性能を向上。その上で、装備内容などを充実させることによって12月単体の販売台数は、半年ぶりに月間1万台の大台に復活させています。 そして、BYDブランドから投入されたのがXiaと名付けられたミニバンの存在です。XiaはDenza D9とは異なり、BEVをラインアップせずにPHEVのみで一本化しています。Denza D9の販売内訳を見ると、約95%程度の販売がPHEVで成り立っており、現時点で中国人はBEVミニバンをチョイスすることはないと判断してきたものと思われます。 Xiaは全長5145mm、全幅1970 mm、全高1805 mm、ホイールベースが3045mmという中大型セグメントのミニバンです。兄弟車であるDenza D9はひとまわり大きく、さらに中国市場でDenza D9を上まわる高級ミニバンEVとしてスマッシュヒットを記録しているVoyah Dreamer EVは、全長5315 mm、全幅1985 mm、ホイールベースが3200 mmという大型ミニバンセグメントであり、中国市場でのミニバンはかなりの大きさが求められています。 今回のXiaの性能で注目するべきは、何といっても熱効率45.3%を実現する第5世代のPHEVシステムを搭載してきたことで、WLTCモードにおける燃費性能が6.4L/100kmと、ミニバンPHEVとして非常に優れた燃費性能を実現している点です。また、36.6kWhという大容量バッテリーを搭載することによって、EV航続距離もWLTCモードで145kmを確保しています。 たとえばトヨタ・アルファードのHEVモデルはWLTCモードで6.3L/100kmと、大容量バッテリーを搭載するPHEVであるという点、およびアルファードよりもひとまわり大きいというという点を考慮に入れると、トヨタのハイブリッドと同等以上の燃費性能を実現している様子が見て取れるでしょう。 また、Xiaは急速充電にも対応しており、PHEVとしては高性能な2C充電に対応。よって、SOC30%から80%まで18分間で充電を完了させることが可能です。さらに最大6kWのV2L機能にも対応しています。 また、全長5145 mmの中大型ミニバンであるにもかかわらず、最小回転半径は5.7mと取りまわしで優れており、これはアルファードの5.9mすらも凌駕しています。

TAG: #PHEV #Xia #ミニバン
TEXT:御堀直嗣
たしかに電気自動車は重い! だがその「重さ」が有利に働く点もけっこうある

重心が低くなることで走行安定性が高まる 電気自動車(EV)は、駆動用のバッテリーを車載するため、車両重量がエンジン車に比べ重くなる。軽自動車の日産サクラや三菱eKクロスEVでも、1トン以上となる1070~1080kgだ。対するエンジン車は、たとえば日産デイズのターボ車でも最大で940kgである。重量の差は、燃費性能に大きく影響し、デイズで最軽量の840kgの車種はWLTCで23.2km/Lであるのに対し、ターボ車は19.4 km/Lまで落ちる。ただしそれは、重量差だけでなく、過給による出力の高さもかかわっているかもしれない。 とはいえ、これまでの常識からすると、車両重量が重いほどエネルギー効率は落ちることになる。 しかしEVは、駆動用バッテリーがなければ走れない。 数百キログラムはするバッテリーを車載しながら軽量化を試みた例として、BMW i3がある。車体を炭素繊維で構成することにより、軽量化を目指した。しかし、一般的な乗用EVでそこまで手を加えるのは、原価の点で難しい。要は車両価格が上がってしまう。そのため、必要以上のバッテリー容量をもたないことが、最大の軽量化策だろう。 一方、駆動用バッテリーが重いことによる利点もある。 ひとつは、床下にバッテリーを車載するのが一般的なので、それによって重心位置が低くなり、走行安定性が高まる。 また、エンジンや燃料タンクといった個別の部品の配置を工夫しなくても、バッテリーケースが車体の前後方向へ長く車載されることから、前後重量配分が改善される。極端にいえば、ドイツのBMWなどがこだわり続けてきた50:50の前後重量配分に近い基本性能を、EVならほぼすべての車種で手に入れることができるのである。 EVの走行安定性の高さと操縦性(ハンドリング)のよさが評価される背景にあるのは、車体床下に敷き詰められた重い駆動用バッテリーのおかげだ。

TAG: #メリット #車重
TEXT:大内明彦
エンジンはなくともEVも冷却は必要! 結構難しいバッテリーやモーターの「温度管理」とは

EVにも発熱作用がある 二酸化炭素の排出を抑える目的で、自動車のパワーユニットは化石燃料と内燃機関の組み合わせから、充電池(主として)と電気モーターによるEVにシフトしつつあるのが現状だ。いうまでもなく、原動機が内燃機関から電気モーターに変わるのだから、自動車のメカニズムも大きく変わって当然、こう考えたくなる。 たしかにそのとおりなのだが、異なるようで似ている部分もある。冷却系の有無だ。エンジン内部で燃料を燃やして動力に変える内燃機関は、当然ながらその発熱量は相当なもので、エンジンを冷却しないで(冷却装置なし)使えば、過度の温度上昇となって各機関部が焼き付いてしまう。 もちろん、焼き付き防止、機関部潤滑のためエンジンオイルが使われているが、過度の温度上昇によって油膜が切れ、金属同士が焼き付いてしまうことになる。このため、冷却装置(ほとんどが液冷で冷却経路と放熱器=ラジエター)が設けられ、エンジンがもっとも効率よく作動する温度で保たれるよう作られている。 では、EVの場合はどうだろうか? 内燃機関と違って燃焼作用がないだけに、パワーユニットの冷却装置は不要だろう、と思い込みがちだが、じつはこれが違うのだ。EVにも発熱作用はあり、冷却(正確にいうと適性な範囲での温度管理)を怠ると大きなトラブルを招くことになる。 EVの発熱部分は電気モーターとバッテリー(現在、大半はリチウムイオン方式)、このふたつのパワーユニットが発熱源となっている。 まず、モーターだが、大きくわけて3つの要素が発熱源となっている。ある意味、捨ててしまう熱であることから、銅損(通電によるコイル電気抵抗による発熱、コイル材質が銅であることから)、鉄損(コアなど磁性材料特性による発熱、コア材質が鉄であることから)、機械損(摩擦など機械的要因による発熱)と識別している。 バッテリー(EVのバッテリーは動力用と制御用のふたつあるが、ここで取り上げるのは大容量で発熱が問題となる動力用)は、化学反応によって電気を生み出す装置と考えてよい。当然、自動車に積んで機能させるわけだから、軽量コンパクト化、大容量化は永遠の課題となっている。

TAG: #冷却 #温度管理
TEXT:琴條孝詩
同じリチウムイオンでも「種類」によって「運用方法」を変えるべき! EVのバッテリーを劣化させない「充電方法」とは

2種類のリチウムイオン電池がEVに使われている 電気自動車(EV)の普及が進むなか、バッテリーの寿命がクルマの寿命に直結するという新たな課題が浮上している。EVを長く使い続けるためには、バッテリーの適切な管理が不可欠だ。本記事では、現在主流のEV駆動用バッテリータイプとEVバッテリーを長持ちさせるコツについて解説しよう。 <EVバッテリーの基本と種類> EVに使用される主流のバッテリーはリチウムイオン電池である。高エネルギー密度と長いサイクル寿命をもつリチウムイオン電池は、スマートフォンや家電製品向けに幅広く使用され、EV用途には最適化されたものが使用されている。 リチウムイオン電池のなかでも、主に2種類のタイプがEVに採用されている。電極にニッケル・マンガン・コバルトなどを使った「三元系(NMC)」と呼ばれるリチウム電池とリン酸鉄リチウム(LFP)電池だ。 LFP電池は、コバルトを使用せず安価に製造できて安全性が高く、長寿命で熱安定性に優れているため、多くの低価格EVに広く使用されている。ただ、エネルギー密度が低く、低温時の性能低下が課題だ。BYDやテスラなどの企業が、エントリーモデルにLFP電池を採用している。 “三元系”のニッケル・マンガン・コバルト(NMC)電池は、高エネルギー密度を誇り、テスラ・モデルSなどの長距離走行EVに使用されている。エネルギー密度、寿命、コストのバランスが取れているため、乗用車向けに人気が高い。 <バッテリー寿命を延ばす充電のコツ> EVのバッテリー寿命を延ばすためには、適切な充電習慣が重要だ。まず、継ぎ足し充電を心がけることが大切。とくに「三元系(NMC)」電池の場合、充電レベルを20%から80%の間に保つことが理想的とされている。EVオーナーとしては、いざというときのために毎晩フル充電したい気分になるが、これはバッテリーにとって好ましくない。80%以上の充電や20%以下の放電を繰り返すと、容量が少しずつ減少していく。そのため、たとえば25%まで使用したら75%まで充電するというサイクルを心がけるといいだろう。 LFP電池に関しては、低電圧による劣化が少なく、正確な充電残量把握のための満充電メリットがデメリットを上まわるともいわれている。テスラのマニュアルでは当初、搭載されているLFPについて次のように説明していた。 「LFPバッテリー搭載車両の場合、通常走行であっても充電制限を100%に維持し、少なくとも週1回はフル充電して100%にしておくことを、Teslaでは推奨しています」 急速充電の頻繁な使用も避けるべきだとされている。急速充電は通常の充電に比べて充電速度が速いためバッテリー内での化学反応が急速に進行し、これがバッテリーの熱を増加させて劣化を早める要因となる。また、長距離ドライブ後、すぐに充電するのではなく、バッテリーを少し冷ましてから充電を開始するのが望ましい。これもバッテリーの温度管理が寿命に大きく影響するためだ。

TAG: #バッテリー #充電
TEXT:渡辺陽一郎
「EVはメンテにお金がかからない=ディーラーは儲からない」は事実……だけどそれだけじゃない! EVをラインアップする多大なるメリットとは

EVが新しい需要を生み出している EV(エンジンを搭載しない電気自動車)は、ハイブリッドなどと異なり、エンジンオイルやオイルフィルターの交換を必要としない。そのため、ユーザーから受け取るメンテナンス費用も下がる。 首都圏の日産ディーラーに尋ねると以下のように返答があった。 「メンテプロパックの価格は、初回車検までをサポートするコースの場合、エクストレイルは約25万円だ。それがEVのアリアになると18万円少々に下がる。アリアはエクストレイルと違って、6カ月ごとのエンジンオイル交換と、1年ごとのオイルフィルター交換を必要としないためだ。その代わりアリアでは、6カ月ごとのEV診断、1年ごとのタイヤローテーションを実施するが、それでもアリアのメンテプロパック価格は、エクストレイルに比べて約30%安くなる」。 それならEVは、販売会社にとってラインアップしたくない商品なのか。 「そのようなことはない。たとえばサクラは、いままでデイズなどの軽自動車を所有していないお客さまが、2台目のクルマとして購入されている。サクラがなければ、単数所有のままだったから、EVのサクラは新たな日産車の需要を開拓している」。 単純にメンテナンスの売り上げだけを考えれば、オイル交換などを必要としないEVは儲かりにくいカテゴリーだろう。しかし実際には、EVがセカンドカーの新しい需要を生み出している。ガソリン車を下取りに出してEVを買うのではなく、ガソリン車と併せて複数のクルマを使うようになっている。そうなれば日産車の保有台数も増えるから、EVを扱うメリットは大きい。 日産のブランドイメージに与える影響も見逃せない。リーフやサクラがあるから、日産は「環境性能の優れた電動車のメーカー」と判断され、e-POWERを搭載するノートやセレナの売れ行きも高めている。日産に限らず、EVを扱うことには、さまざまなメリットや相乗効果があるのだ。

TAG: #ディーラー #普及
TEXT:小鮒康一
結局EV普及のネックは「価格」! 補助金を抜きにした価格が下がらないと売れない

「価格」がEV購入のハードルになっている ここのところ街なかで見かける機会も増えてきた電気自動車。航続距離の問題や充電設備の有無などでオススメできるユーザーは限られてしまうものの、そういった諸問題がクリアになっている人にとっては、モーター駆動の俊敏なレスポンシブな走りや高い静粛性、そして先進性などが魅力的に映っているのではないだろうか。 電気自動車の出始めのころは駆動用のバッテリーの耐久性も難点のひとつとなっており、数年運用するだけで劣化が進み、航続距離が一気に減少してしまうということもあったが、技術の進歩は目覚しく近年のモデルであればそこまで極端な劣化もしにくくなっているというのも嬉しいところだ。 また、一時期に比べれば大容量バッテリーを搭載するモデルも増え、満充電での航続距離も長くなるなど、電気自動車にまつわる問題は徐々に解決しつつあるのだが、いまだに高いハードルとなっているものがある。それが「価格」である。 たとえば日産の電気自動車であるサクラは、ユーザーのほとんどが近距離移動を中心としているというデータのある軽自動車規格でリリースされ、電気自動車の特性とマッチしたことでスマッシュヒットを記録したモデルだ。 このサクラ、クルマに詳しい人であればご存じのとおり、ガソリンエンジンを搭載するデイズと基本骨格を共有しており、いわば兄弟車の関係となっているのだが、サクラのエントリーグレードである「X」の価格が259万9300円なのに対し、デイズの同じ「X」では147万8400円と100万円以上の価格差があるのだ。 仮にデイズの最上級グレードである「ハイウェイスターGターボ アーバンクロム プロパイロットエディション」と比較しても200万6400円とこれでも60万円近くサクラが高いことになってしまう。 一応、サクラには国からの補助金が55万円出ることになっているが(令和6年度の場合)、補助金は未来永劫出る類のものではないし、補助金に頼った販売というのも健全ではない。 ではなぜ電気自動車が内燃機関を搭載した車両よりも高額となってしまうのかというと、それは駆動用バッテリーが高額であるからにほかならない。 ただ、駆動用バッテリーの価格も電気自動車が出始めのころに比べるとかなり下がってきている。これはバッテリーを開発、生産する企業の努力ももちろんだが、電気自動車が広く普及したことも確実に影響していることは間違いない。 そのため、今後も順調に電気自動車の需要が伸び続け、開発がより進んでコストダウンが可能となれば、電気自動車もより買いやすい価格となっていくことだろう。

TAG: #普及 #購入
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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