コラム 記事一覧

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TEXT:岡崎 宏司
岡崎宏司の「EVは楽しい!」第10回:e-208GTは、身のこなしがいい!

プジョーe-208GTの立ち振る舞いに、岡崎さんは日々感心しているそう。ルックスも、身のこなしも良いから、毎日連れ出したくなっています。 馴染みのお店に行くのには、ぴったりのサイズ感 プジョー e-208GTのルックスが気に入っていることは繰り返し書いた。だが、同時に、Bセグメントの5ドア HBという「サイズ感と使い勝手のよさ」も気に入っている。 わが家は昔からコンパクト系が好きで、数多い車歴の9割以上をコンパクト系が占める。 かつては2ドア/3ドアを好んだのだが、高齢になると、家内と共に4ドア/5ドアを好むようになった。理由は簡単。その方が、ドア幅は小さく重量も軽いので、乗り降りが楽だからだ。 男の僕は、それなりに筋力はあるが、家内の筋力はかなり落ちている。日常的なあれこれをみていても、ときに「えーっ!?」と思うくらい落ちている。 若い時はなにも感じなかったことが、年齢を重ねると重荷になってくる……、残念ながら、最近、そう感じることが多い。 もちろん駐車も楽。老舗のホテルや百貨店等には、昔ながらの幅の狭い駐車場も少なくない。旧いタワーパーキングも同様だ。そんなところに、昔から通っている馴染みの店がけっこうある。 ステアリングとメーターのレイアウト、そして身のこなしは具合がいい e-208GTのステアリングは異形小径で、少し低めに位置する。ステアリングの上からメーターを見る独特のレイアウトに、初めは違和感を覚えた。でも、慣れるととても具合がいい。 また、ステアリングは軽くて、応答が良くて、正確。e-208GTの身のこなしはキビキビしている。それでいて、滑らかだし、軽々しいところはない。というか、腰が座っている。 重いバッテリーを適正にフロアに配置したことで、低い重心と優れた前後重量配分を獲得しているからだろう。 楽しくて気持ちがよくて……、それでいて安心感もある。走り込むほどに好きになる身のこなし……といっていい。 四つ角を曲がった時などの、ステアリングが手の中を滑る感触を含めた戻り感……スルスル感?の気持ちよさもお気に入りだ。 不満なのは、ロードノイズが高めなことと、強めの不整でのリアのリアクションがイマイチなことだが、「まぁ、我慢できるレベルだろ?」と自らに言い聞かせている。

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TEXT:福田 雅敏
日本の新興ブランド「エイム」も新型スポーツEVを公開……写真で見るオートモビルカウンシルのEV時代[THE視点]

4月14日(金)〜16日(日)まで幕張メッセ(千葉県千葉市)にて開催された「オートモビルカウンシル2023」。ヘリテイジカーを中心に展示する本イベントだが、今回はEVの出展も目立っていた。 今回の目玉はマツダの「MX-30 e-SKYACTIV R-EV」の日本初公開だが、それ以外にも多数のEVの出展が見られたので、写真とともにイベントの雰囲気をお伝えしたい。 元日産のエンジニアによるスポーツEV「エイム EV SPORTS 01 コンセプト」が初公開 「MX-30 e-SKYACTIV R-EV」以外にもEVの出展が目立った。AIM(エイム)社が開発した「EV SPORTS 01 コンセプト」は本イベントが初公開の舞台となった。 車両デザインは、元日産のデザイナー中村史郎氏によるもの。自社製の駆動モーター「APM200」をリアに2基搭載する後輪駆動だ。このクルマはイベント後に英国に送られ、7月に開催される「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」で走らせるという。 BYDのブースには、1月に発売されたばかりの「ATTO3」(アット3)と今年の末頃発売予定の「SEAL」(シール)の2台が展示されていたほか、さらに試乗車として「ATTO3」が2台用意されていた。今回試乗車を用意していたのはBYDだけだった。オートモービルカウンシルで試乗が出来るのは、筆者が知る限りBYDが初めて。BYDの意気込みが感じられた。 開発に携わった三菱のパイクスピークマシンに再会 三菱自動車のブースには、EV・PHEV合わせて5台が展示されていた。中でも注目を集めていたのは、2014年にアメリカの「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム・レース」に参戦し電気自動車改造クラスで優勝した「ミーブ・エボリューションⅢ」だ。 この「ミーブ・エボリューションⅢ」は、実は筆者も開発に参加した。そのおかげで、実際にパイクスピークにも行くことが出来たのだ。筆者にとって久し振りのご対面だった。EVではこのほか、量産EVの「eKクロスEV」が展示されていた。 日産自動車のブースには、中央に桜色の「サクラ」が展示されており、その横には、昨年レストアで話題となった俳優伊藤かずえさん所有の「シーマ」が提示されていた。トークショーも賑わっていた。 新旧のクルマの展示会となったオートモービルカウンシル、今回も2台のEVの発表の場となっただけに、今後もEVの展示は増えるのではないだろうか。新旧のクルマと触れ合う場所として大変興味深いイベントに感じた。

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TEXT:福田 雅敏
「マツダ MX-30 e-SKYACTIV R-EV」日本初公開……現役EV開発エンジニアが「オートモビルカウンシル2023」で見た旧技術と新技術の行き先[THE視点]

「クルマを超えて、クルマを愉しむ」展示会、「AUTOMOBILE COUNCIL 2023(オートモビル カウンシル 2023)」 (主催:AUTOMOBILE COUNCIL 実行委員会)が4月14日~16日に幕張メッセ(千葉県千葉市)で開催された。 今回はその中でも、異色と思われるEVにフォーカスしレポートをお届けする。オートモービルカウンシルと言うと、ヘリテイジカーなどがメインのイベントに思えるが、今年は少し様子が異なっていた。EVの展示も多かったのだ。 旧世代技術の内燃機と新世代技術の電機を融合したロータリーエンジン車の未来型 その中でひときわ目立っていたのが、日本初公開となった新開発のロータリーエンジン搭載のマツダ「MX-30 e-SKYACTIV R-EV」だ。展示車は、1月13日のブリュッセルモーターショー(ベルギー)で初公開された欧州仕様(左ハンドル)の特別限定車「MX-30 e-SKYACTIV R-EV Edition R」である。 先に発売されている「MX-30 EV」との違いについてマツダは、「MX-30の基本的な提供価値はそのままに、バッテリーEVとしての使い方を拡張した」と説明した。

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TEXT:栁 蒼太
日本IBM、自動車業界のエグゼクティブに対するEV意識調査を発表

日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は、EVに関する最新の調査レポートの日本語版、「持続可能なモビリティー社会の実現を目指して:EVシフトが加速する」を発表した。本調査は、IBMのシンクタンクであるIBM Institute for Business Value (IBV)が、世界9カ国1,501人の自動車業界のエグゼクティブへの調査と7カ国12,663人を対象とした消費者調査とを並行して実施された。 エグゼクティブの厳しい予想 本調査によると、調査対象の消費者の50%が今後3年以内にEVの購入を検討していることが明らかになった。一方で、消費者のEVの需要は高まっているものの、2030年までに自国のEV充電インフラが整うと予想したエグゼクティブはわずか13%で、EVへの移行にはまだ障壁があることも明らかになった。充電設備の利用可能性、信頼性、EVとエネルギーのコストといった主要な要因が、EV導入に影響を与えている。消費者の需要の高まりとインフラの必要性に応えるため、企業や政府は早急な対応が求められているようだ。 エグゼクティブ視点でのEV業界の展望 調査の主な要点は以下の通りだ。 【EVとICE車の逆転】 エグゼクティブは、2030年までにEVへの支出は61%増加し、販売シェアは40%になると予測している。また、2030年までに内燃機関(ICE: Internal Combustion Engine)車への支出は半減し、2041年までにその販売が終了するだろうと予測している。 【開発者と利用者の意識のギャップ】 EV購入の意思決定に関わる要因について、エグゼクティブと消費者の間では見解に相違がある。エグゼクティブは、顧客のEV購入の動機として、充電設備への容易なアクセス(67%)、環境に対する配慮(66%)、自宅で充電が可能(63%)などを想定している一方、消費者は自宅で充電が可能(63%)、維持費が少なくて済む(62%)、燃料費が少なくて済む(60%)を挙げた。 【充電設備不足が最大の懸念】 関心と需要が高まる一方で、消費者の57%が、公共の充電設備の不足を最大の懸念事項として挙げている。家庭での充電が主な充電手段になると予測する消費者は約半数(53%)に過ぎないため、EVの普及に伴い、職場や買い物先、旅行先などの目的地の充電スポット、自宅近くの共有型充電設備、走行途中に急速充電できる設備などバランスよく整備される必要がある。消費者の意欲と、政府や企業がより持続可能な交通手段を整備する力との間には、大きなギャップがある。 【止まる開発者のEVに対する意識】 EVプラットフォームなどの車両ITシステムが、EV事業で新たなコア領域だと考える従来の自動車メーカーのエグゼクティブの割合は30%に満たない。バッテリーをコア事業と捉える回答者も約40%にとどまったが、自動車バリュー・チェーン全体にわたる事業モデルの刷新は進行中。 結果から導く、これからの道筋 調査結果から、EVシフトに向けた自動車メーカーの短期プランニングに向けた具体的なステップを以下のように提示している。 EVに対する顧客のニーズを把握し、現在と今後のニーズとをどうすれば満たせるかを検討する。例えば、ターゲットとする市場のインサイトを検証し、ヒアリングなどを行い、顧客を理解する。 EV化へスムーズに移行できるよう、ターゲット経営モデルを精緻化し、ロードマップを詳細に描く。ロードマップに応じてリソースの配分を計画し、コストを管理しながらパートナーのリソースも活用する。 エコシステムのプレーヤーと協力して電動化に取り組む。例えば、消費者や業界の利害関係者に対し革新的な価値提案を行い、各関係者が充電ネットワークで果たすべき役割を明確にする。 やや抽象度の高いネクストアクションがまとめられているが、エグゼクティブの視点は、自動車業界を支える人のみならず、公共の充電スポットを設営する自治体や各種団体などの数多くのステイクホルダーにも重要な道標を示していると言えるだろう。

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TEXT:加納亨介
EVオーナー114人の本音と実態を探る。どこに住み、何に乗っているのか。アンケート 結果発表(第1回)

THE EV TIMESのオープンに合わせ本年2月末まで実施していたEVオーナーアンケートには、114通の回答を頂きました。ありがとうございました。 実際にEVを購入し使っていらっしゃるオーナーの皆様からの意見には、我々も新たな気づきや勉強させられることも多く、大変参考になりました。皆様からの声に応えるべく、お役に立てるようなニュース情報の発信や試乗記制作に繋げて参ります。 頂いた貴重なご回答を極力余すことなくお伝えしたく、複数回に渡るアンケートレポートとなりますが、どうかお付き合いください。第1回目は主に選択式の設問を集計し、回答者の基本的な属性をご報告します。 【アンケート概要】 調査対象:EVオーナー 調査方法:インターネット 調査実施期間:2023年1月12日〜2023年2月28日 アンケート回収状況:114件   第1回テーマ:車種とお住まいの形態 「現在お乗りのEVの車種を教えてください」 ・テスラ強し。ただし“クルマ好き”バイアスも? 回答者がお乗りのEV全114台のうち、メーカー別ではテスラが43台と4割近くを占めた。テスラは販売台数を公表していないが、日本においても大きな勢力であることが窺われる。次点は日産の31台。ただし、販売台数が圧倒的に多いと思われる日産リーフに対し昨年発売されたばかりのヒョンデIONIQ5が肉薄しているあたり、上記台数は自動車媒体に熱心にアクセスする層に偏っているだろうことが想像できる。 「ご職業を教えてください」 ・経営者比率高め。 EVオーナーに限定した今回のアンケート回答者を職業別にみてみると、55.3%が会社員、16.7%が経営者・役員、12.3%が自営業・自由業という結果となった。日本全体では経営者・役員は4%ほどだから、EVオーナーでは飛び抜けて多いことになる。 「お住まいの都道府県を教えてください」 ・首都圏および主要都市に在住 東京都が17.3%、神奈川県は11.8%、埼玉県9.1%、千葉県8.2%と、首都圏の1都3県で全体の約半数を占める結果となった。大阪府、愛知県においても8.2%、6.4%の結果が出ており、EVオーナーは主要都市に多いことがわかる。逆に東北地方など寒冷な地域では少ない傾向がみられる。EVのバッテリーの特性上、気温が低い条件下ではエネルギー効率が低下してしまうことが課題となるからだろう。 「お住まいの世帯の人数を教えてください」 ・単身世帯は少ない   世帯人数についても尋ねたところ、9割以上が一般世帯(複数人同居)で利用されていることがわかる。2020年の国勢調査によれば、日本の総世帯に占める単身世帯の割合は38%と、多くの単身者がいるにも関わらず、EVオーナーはそれらの傾向とは異なる傾向があるようだ。 「利用の本拠の形態を教えてください」 ・一戸建てが多い 総務省の調査によれば、住宅の一戸建て比率は54%程度なので、EVユーザーは一戸建てに住む比率が有意に高いことがわかる。公共充電施設の少ない現状では自宅充電の重要度がまだ高く、マンションなど集合住宅における充電器設置の難しさを表しているといえるだろう。   「ご自宅に充電器はありますか」 ・住居形態に符号 一戸建てか集合住宅か、の質問とほぼ符号する結果となった。一戸建てだが自宅充電器はなしが4名、集合住宅だが充電設備のある方は6名であった。加えて、自宅充電器のスペックもフリーコメントで聞いた。書き方にムラがあり正確にはわからないが、おおむね7割ほどの方が3kWのようだ。テスラユーザー43名のうち「テスラ・ウォールコネクター」(純正充電器)と明記していたのは6名であった。   第1回目は以上です。次回は「補助金と利用シーン」についてお伝えします。  

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TEXT:生方 聡
新東名で150kW級急速充電器を巡る旅 [ID.4をチャージせよ!:その11]

愛車のID.4で150kW急速充電を初体験! 30分でどのくらい充電できたでしょうか? 目指すは新東名・駿河湾沼津サービスエリア 「マルチタイプ急速充電器は運まかせ [ID.4をチャージせよ!:その9]」で、最近高速道路でよく見かけるようになったマルチタイプ急速充電器の体験記を書きましたが、それ以上に気になっていたのが、この3月から高速道路で運用が始まった150kW級の急速充電器です。その概要は「高速道路初、新東名のSAで150kW級急速充電器が運用開始」をご一読いただくとして、150kW級の急速充電器を初体験するために、4月のある日、愛車のID.4で新東名・駿河湾沼津サービスエリアへと向かいました。 駿河湾沼津サービスエリアには、上下線ともに、1口の最大出力が150kW、2口同時では90kWという、ABB社製の「Terra 184 JJ-X」が1基ずつ設置されていて、まずは下りのサービスエリアを目指しました。到着予想時刻の1時間くらい前から、高速道路上の急速充電器情報がリアルタイムでわかる「高速充電なび」で利用状況をチェック。到着の40分くらい前に1台充電を開始しましたが、もう1台分は空いたままで、私が到着するころには単独で150kWの急速充電ができそうです。 現地に到着すると、1台分は空いていましたが、もう1台の場所はエンジン車で塞がれている状況。貴重な超急速充電器の利用スペースなのに……。マルチタイプ急速充電器のスペースにも一般車が駐車しており、EVだけが停められるような工夫がほしいところです。 気を取り直して、さっそく150kW級急速充電器で初充電! この日の気温は20℃と暖かく、バッテリー充電率も23%まで減らしてきていて、急速充電にはおあつらえ向きです。ID.4の急速充電ポートにコネクターを挿し、フォルクスワーゲン充電カードで認証すると、すぐに充電が始まりました。 ID.4の場合、急速充電の最高値は94kWです。150kW器で最高値が見られるかと、期待に胸を膨らませて充電器のディスプレイを見つめていると……えっ、71kW!? これは90kW級急速充電器のときとほぼ同じ数字です。その後、74kWまで上昇しますが、楽しみにしていた90kWオーバーの数字はついに見ることができませんでした。

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TEXT:岡崎 宏司
岡崎宏司の「EVは楽しい!」第9回:e-208GTがもたらしてくれた、新しく楽しい生活

プジョーe-208GTに岡崎さんはすっかり魅了され、その心のままの生活も行く所、見るものが、新鮮なものになってきました。EVがもたらした新生活です。 納車され、新生活がはじまった! プジョーe-208GTが納車されたその日から、わが家には、新しい生活パターンが加わった。 外でランチをすること、週に2〜3回だった食糧品中心の買い物……このふたつがほぼ毎日の決まりごとになった。 その理由は、「e-208GTに乗りたいから!」。少なくとも1日に1度はe-208GTに乗って出かけないと気が済まない……家内共々、そんな感覚に変わってしまったのだ。 僕も家内も16歳でクルマを運転し始めた。それから66年経っている。その間、多くのクルマを乗り継いできた。 中には、仕事がらみで仕方なく買ったクルマもあるが、9割は「好きだから」「欲しいから」買ったクルマだ。 好きなクルマを買えば、とくに買ってしばらくの間は毎日乗りたくなる。でも、ひと月もすれば、テンションは下がってくる。 ところが、e-208GTは違う。納車されてから26ヵ月経っているが、今でも「毎日乗りたい症候群」は治らない。 会いたい、乗りたい、出掛けたい……毎日の症候群 天気が悪かったりすると「今日は止めようか」となることもある。……が、そうでない限り、11時半頃家を出てランチに向かうのが完全にわが家の日常になってしまっている。 で、ランチが終わったら、ショッピングモールで夜のものを買って帰る……のが、基本的パターンだ。 「毎日乗りたい症候群」の症状だが、大きく二つある。「プジョーブルーの姿を見たくなる!」のと、「e-208GTのEV感覚を楽しみたくなる!」の二つ。 「姿を見たくなる……」、の重症ぶりはすでに話したが、「EV感覚を楽しみたくなる……」のもまたけっこうな重症。 なので、「ランチと日々の食料品買い出し」を理由に、e-208GTをガレージから引き出すのが、いつの間にか、「わが家の決まりごと」になってしまったのだ。 よく行くランチポイントは6ヵ所ほどある。 往復3kmほどのショピングモール、往復6kmほどの老舗蕎麦屋、往復15kmほどの二子玉川のデパート、往復30kmほどの横浜の老舗ホテル、往復40kmほどの代官山のカフェ、往復50kmほどの銀座のしゃぶしゃぶ屋。 ランチポイントは、e-208GTが愛車になる以前から変わってはいない。でも、行く頻度はグンと上がった。上記したように、ほとんど毎日、このどこかに行くようになったのだ。 e-208GTからの贈り物 加えて、e-208GTが愛車にならなければあり得なかったところにも出かけるようになった。 第3京浜高速道路上り、都筑IC PA内にあるスターバックス。わが家から往復15kmほどの距離にある。 往きは港北ICから入り、帰りは都筑ICで出る。高速道路区間はわずかでしかないが、わが家から港北ICまでの道路は幅広く、周りの景色もいい。トラックも少ない。 そんな道路を淡々と流してから、港北ICのループでの旋回をちょっぴり楽しみ、さらには、高速道路への流入で、EVならではの加速感をこれまたちょっぴり楽しむ。 そして、PA内にあるスターバックスのオープンテラスでランチを……。 スターバックスのテラスの前には、バイクの駐輪場があり、そこには名車、珍車をも含めたスーパーバイクの類が並ぶ。 とくに週末は多く、駐められないバイクが駐車場にまで溢れる状態になった。なので、現在駐輪場の増設工事が行われている。 つまり、都筑ICへのドライブは、e-208GTを楽しむだけでは終わらない。大好きなバイクを眺めながら、オーナーたちとのおしゃべりでも盛り上がる……そんな楽しみまでくれる。 加えて、時にはカウンタックがズラリと並ぶといった、楽しい「スペシャルイベント!」に出会うこともある。 e-208GTがもたらしてくれたこうした楽しみは、他愛のないことではあろう。 でも……艶やかなプジョーブルーと心地よいEVの走りに誘われ、以前よりも日々をアクティブに楽しく過ごすようになった。 これって、高齢の僕らにとっては、なによりの贈り物だろう。 次回は、e-208GTの走り味/乗り味を綴ろうと思っている。 第10回はこちら

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TEXT:御堀 直嗣
知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第7回:電気自動車を支える基本骨格

ボディ構造の変遷 現代のクルマの車体は、そのほとんどがモノコック構造を採用する。 モノコック構造とは、箱の形をした一体構造で、1枚の板や紙だけでは薄く弱くても、箱にすることでしっかりしたつくりになることから生まれた。クルマの車体も、箱状に組み立てることで全体をしっかりした強さにできる。 それが当たり前の現代だが、かつてはフレームと呼ぶ梯子状の土台構造があり、その上に客室などの車体を載せる手法でクルマはつくられていた。フレームには、エンジンを載せ、サスペンションなどを取り付け、クルマにかかるさまざまな力を受け止めていた。上屋となる客室や荷室などは、自由に形を設計できる。 エンジン自動車が誕生して以後、当時はコーチビルダーと呼ばれる職種があり、その職人たちはフレームに載せる客室を専門で製造していた。元の発想は、馬車の時代に遡る。 クルマの走行性能が馬車を超えて高まっていくと、それにあわせて頑丈なフレーム構造を採る必要が出てきた。だが単に頑丈につくったのではフレームが重くなる。そこで、頑丈さと軽さを両立したモノコック構造が生まれた。 モノコック構造でも、エンジンを載せたりサスペンションを取り付けたりと、さまざまな力がかかる床部分は、より頑丈にする必要がある。そこでモノコック構造とはいえ、基礎となる土台部分を頑丈にしたプラットフォームという考えが広がる。 プラットフォームには、構造をみるとあたかもかつてのフレームのように補強が入っている。補強があることでさまざまな入力に耐え、客室と一体となったモノコック構造全体の剛性も高め、同時に衝突した際の衝撃吸収や客室保護など総合的な性能も得られるようになる。 コンバートEVという考え方 プラットフォームは、日本語では車台といわれる。クルマの土台というわけだ。これまではエンジン車に最適なプラットフォーム設計がなされ、進化してきた。ところが電気自動車(EV)になると、車載する部品の形や大きさ、重さなどが変わってくる。エンジン車用のままでは不都合が出るようになった。 それでもエンジン車からEVへの転換が進む過渡期には、両方に使えるプラットフォームで生産効率を高めようとした。 EVといってもどれもが一様ではなく、エンジン車を改造した“コンバートEV”という考え方がある。 たとえば日本EVクラブは、創立した1990年代前半にまだ市販EVがなかったので、エンジン車を改造してEVをつくった。エンジン車からエンジンや燃料タンクを降ろし、排気管を外し、それらに替えて、モーターを積み、バッテリーや電気制御機器を車載する。こうすることで、EVはできあがる。 自動車メーカーも、同じように当初は量産車ベースのコンバートEVを立ち上げることが多かった。そのほうが、エンジン車もEVも両方売ることができるからだ。生産工場では混流製造ラインを工夫し、どちらの車種でも生産できるようにした。しかしそれは、EVをつくるうえで必ずしも合理的ではない。 ホンダはかつて、EVと燃料電池車(FCEV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)の3車種を、ひとつの車体でまかなおうと「クラリティ」というクルマを開発した。ひとつの設計による車体で、3車種を製造できれば合理的だと考えたのだ。しかし、出来上がった3車種をみると、いずれも無駄がみられた。EVではエンジンルームに隙間が多く、FCEVでは水素タンクを車載するため荷室が狭くなり、PHEVはもっとも車載部品点数が多いので、うまく収まった様子だった。3車種に適合できる車体を設計したが、部品点数の多いPHEVを優先せざるをえなかったようだ。 この試行錯誤で、専用設計の重要さをホンダは確認したのだろう。そして、ホンダ-eという専用設計のEVを市販した。 それでもなお、EV専用車とコンバートEVは混在する。EVの選択肢が豊富な日産を例にすれば、EV専用はリーフとアリアで、広義のコンバートEVは軽自動車のサクラだ。そのサクラも、エンジン車のデイズやルークスを開発する初期段階から、将来発売を目指したサクラを想定しての設計だったという。

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フォルクスワーゲン ID.2all コンセプトのフロントマスク
TEXT:小川フミオ
フォルクスワーゲンID.2allはBEV時代のザ・ベーシックとなるか。最新コンセプトカーが示す「原点回帰」とは【後編】

フォルクスワーゲンは、2023年3月に電動FFコンパクトハッチのコンセプトカーとしてID.2allを発表。邦貨約300万円台の価格を実現する「小さくて買いやすいBEV」は、ビートルやゴルフのような大衆車になる可能性を秘めている。まさしく原点回帰ともいえる最新BEVについて、自動車ジャーナリスト・小川フミオが同社経営陣にインタビューを敢行。前回につづき、後編をお届けする。 ショーカー完成まで6週間! ヘッドオブデザインのアンドレアス・ミントは「いかなるクルマもコピーしていません」と言う   20インチのホイールを履くタイヤを四隅に配したプロポーションのよさが命だとされる   いま北半球のマーケットではSUVがメインストリームだけれど、ID.2allがハッチバックスタイルで登場したのは、SUVやクロスオーバーのトレンドへの押し戻し? そう問うと、フォルクスワーゲン・ブランド技術開発担当のカイ・グリューニッツ取締役は次のように答えた。 「うーん……このプラットフォームでSUVも作りますから。おそらく、数ヵ月後に。多くの顧客がSUVを求めているのは事実です。ここで言いたいのは、ID.2allは充分魅力的なクルマになったということです」 たしかに、スタイリングのアピール力は強い。ID.2allが次期ポロとして登場しても不思議ではない気がする。 「私たちは、アイコンモデルのDNAを未来へと移植しています。ID.2allはビートル、ゴルフ、ポロへのオマージュでもあります」 そう語るのは、ヘッドオブデザインのアンドレアス・ミント氏。2023年2月に現職に就いたばかりで、そのすぐあと、わずか6週間で、今回のショーカーを作りあげたそうだ。 「たしかに6週間は短かったですが、なにを作るかしっかり頭のなかに青写真があればいいんです。私はフォルクスワーゲンに15年いて、そのあと(VWグループのほかのブランドへ移籍して)離れたときに、外から眺めたことで、どうすればフォルクスワーゲンがいい方向にいくか、客観的に判断できたのだと思います」 BEVっぽさがないスタイリング 円筒形はドライブモードセレクター   前席のパセンジャーシートは倒せば最長2.2mの長尺物を搭載することも可能   Stability(安定感)、Likeability(好感度)、Excitement(感動)の3つの主要な要素に焦点を当ててデザインしている、というミント氏。ID.2allで重視したのが、フロントマスクの造形だそうだ。 「必要だと思ったのはフレンドリーな眼であり、笑顔です。それが私たちが向かっている方向ですね。ID.Buzzを見てみてください。スーパーフレンドリーでしょう。みんな好きになってくれます」 ID.2allで興味深いのは、いってみれば、BEVっぽさがないスタイリングだ。あたらしいポロと言われても、即座に納得できそう。 「私たちはフォクルスワーゲンのアイデンティティを大事にしようとしています。私たちはモンスターフェイスはいらないし、どこにでもあるような電気自動車のデザインも必要ではありません。私にとっては、ゴルフのモダンバージョンといってもいいかもしれません」 一連のインタビューからみえてきたのは、ID.2allは特別なBEVでなく、自然に市場に受け入れられることをめざして開発されたモデルということだ。 背景には、欧州委員会によるエンジンをもった新車の販売禁止への動きが、当然あるだろう。 超ハイスピードで今回のショーカーを作りあげたのは、市場がどうなっても、フォルクスワーゲンは充分対応可能という、投資家ヘのメッセージでもあるはずだ。

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TEXT:生方 聡
[最新版・補助金情報]令和4年度補正予算CEV補助金の申請受付が3月23日(木)に開始

一般社団法人 次世代自動車振興センターは、令和4年度補正「クリーンエネルギー自動車購入補助」(以下、CEV補助金)の受付を3月23日(木)に開始した。 クリーンエネルギー自動車補助とは EVを購入するうえでハードルになるのが、エンジン車に比べて価格が割高なこと。そこで、経済産業省ではEVを新車で買う人を対象としたCEV補助金によって、EVの普及促進を図ってきた。 CEV補助金がスタートしたのは、いまから25年も前の平成10年(1998年)のこと。当初は「同種の一般の自動車との差額」、すなわちベースとなるエンジン車から値上がりした価格の一部を補助していた(上限額あり)。 ただ、これだと差額を算定するベース車両・グレードを何にするかで補助金の額が変わるし、そもそもEV専用モデルでは差額を算出こと自体不可能。また、経済産業省としてはより電費性能が高いEVを普及させる意味から、平成28年(2016年)からは航続距離をもとに、さらに令和2年(2020年)度第3次補正予算分からは消費電力率を考慮して算出する方法に変更されている。 令和4年度の場合、補助金の額は次のように算出される(乗車定員10人以下の普通自動車)。 ・外部給電機能がない場合:3,000×(一充電走行距離−160)×176.2÷電力消費率+50,000 ・外部給電機能がある場合:4,000×(一充電走行距離−160)×176.2÷電力消費率+50,000 ここで「176.2」の数字は基準となる電力消費率で、この数値より電力消費率が良ければ(数値が小さければ)補助金額が高くなるという計算だ。また、外部給電機能(V2Lまたは、V2H、または、AC100V/1500Wのコンセントを搭載)があれば、それだけで補助金がアップするという計算である。ただし、補助金の額には上限があり、外部給電機能がない場合は65万円、ある場合は85万円になる。なお、小型自動車と軽自動車は算出方法が異なり、上限額は外部給電機能がない場合が45万円、ある場合が55万円になる。 試しに私が購入した「フォルクスワーゲン ID.4プロ・ローンチエディション」の場合で計算してみると、外部給電機能がないので、 3,000×(561−160)×176.2÷153+50,000=1,485,417円 という計算になるが、実際には上限があるので、ID.4プロ・ローンチエディションの補助金額は65万円になる。 他の例としては、「アウディQ4 e-tron」「ボルボC40リチャージ」「BMW iX」など輸入EVの多くが65万円であるのに対し、「トヨタbZ4X」や「ヒョンデ・アイオニック5」などは、外部給電機能を武器に85万円を獲得。「日産サクラ」や「三菱eKクロスEV」も軽自動車ながら55万円となる。 CEV補助金以外には、地方自治体が独自に給付する補助金がある。興味がある人は「次世代自動車振興センター」の解説ページをご一読いただきたい。 https://www.cev-pc.or.jp/local_supports/hokkaido.html

TAG: ##次世代自動車振興センター #補助金
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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