TET 編集部 記事一覧

FCフォークリフトと水素発生装置「シンプルフューエル」(photo=トヨタ自動車)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
東京都、FCフォークリフトの導入を推進、導入検討事業者に一定期間の利用を無償支援[2026.06.27]

一定期間内に無償利用できるよう東京都が支援 事業用EVにFCを導入する流れが加速 【THE 視点】東京都は6月22日、燃料電池(FC)フォークリフトのマッチング導入支援事業への参加事業者を募集すると発表した。 FCは、水素を化学反応させ発電後に水を排出することは広く知られていると思う。そんなFCは、大型トラックなど商用車への導入事例が加速している。理由のひとつに、水素の充填時間が短く長時間の運転が可能という点が挙げられる。それはフォークリフトにおいても有用な点となる。物流業界等の脱炭素化と水素利用の拡大のために重要な特徴であり、都は、燃料電池フォークリフト(FCFL)の実装を加速する。 今回の事業は、FCFLの導入を検討している民間事業者を対象に、都の負担により無償(上限あり)にて一定期間、FCFLをトライアル利用できるというもの。都内においてのFCFLの導入拡大を図るのが狙いだ。 公募対象者は、「FCFLのトライアル利用を希望する事業者」と「トライアル利用者にFCFLを提供する事業者及びトライアル利用者に水素充填設備を提供する事業者」となる。トライアル期間は、1事業者あたり最大2ヵ月とし、2事業者を募集する。また、FCFL提供者・水素充填設備提供者については、各1〜2事業者としている。 FCFL提供事業者や水素充填設備を提供できる事業者は、現状トヨタ自動車や豊田自動織機(L&F)など限られたメーカーだ。 特にトヨタは、再生可能なエネルギーである太陽光発電を活用し、水素を製造・貯蔵・供給できる小型の水電解式水素発生充填装置「SimpleFuel(シンプルフューエル)」を、愛知県豊田市の元町工場に導入した事例(2019年)もある。現在は数十台のFCFLが稼働している。稼働から4年が経ち、運用ノウハウは相当なものになっているはずだ。 トヨタおよび豊田自動織機は、今回の東京都のFCFL事業にも協力すると思われる。やはりFCは、その充填の速さがウリのはずだが、導入には水素の供給も含めたパッケージとして検討しないと、肝心なFCが稼働できない。 今回のFCFL導入支援事業は、導入を検討している事業者には非常にありがたい取り組みと言える。やはり時間が問題の商用のEVには、FCを組み合わせる方がメリットが多いとの認識が進みつつあるようだ。 FCFLの導入を検討している事業者には是非ともこの機会に応募して頂きたいものである。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★東京都、都営バスの営業所内に水素ステーションを設置・運営する事業者を公募……FCEVバスの運行用に ★★ヒョンデ、年間販売目標を2030年までに200万台へ引き上げ……中長期的な事業計画「ヒョンデ・モーター・ウェイ」を発表、今後10年間で109.4兆ウォン(約12兆円)を投資 ★★トヨタなど、タイでバイオガス由来の水素を製造……専用装置を年内に稼働、タイのカーボンニュートラル実現の手助けに ★★IHI、燃料電池(FC)用の電動ターボを開発……FC航空機の実現に向けて、空気の薄い高度でも圧縮空気により燃料電池の反応を促進 ★経済産業省、「第1回アジア・ゼロエミッション共同体高級実務者会合(AZEC SOM)」を開催……インドネシア・ジャカルタにて、水素およびアンモニアのマスタープラン策定などを確認 ★オペル、ブランドのロゴ・マークを変更……電動化を見据え、旧来のイメージを残しつつも稲妻らしさを強調 ★IHI、「プラスチック磁石ローター」を使用したモーターの開発に成功……モーターの小型・大出力化・コスト削減に寄与、電動航空機・自動車への搭載を見込む ★テラモーターズ、総額40億円を「シリーズCラウンド」(※)により調達……大阪ガスなどが出資、国内シェア1位を目指す (※)スタートアップに対する投資ラウンド、シリーズCは黒字経営が安定し始めた段階 ★三菱ケミカルグループ、リチウムイオン・バッテリーの負極材事業を強化……韓国の正極材メーカーL&Fと協業、2024年の量産化を予定 ★KDDIグループのエナリス、家庭用蓄電池・EV等を群管理し仮想発電所化……電力需給調整に活用可能か検証、群管理で大規模なエネルギーソースに ★日産、福井県越前市とゼロカーボンシティ実現に向け共創……災害時のEV電力の活用なども ★「EVの次もEVを選ぶが充電設備が足りない」……エネチェンジがEVユーザーに行ったアンケートを公表、EVからEVへの乗り換え検討者は87%も、集合住宅に設備がないとの声が91.7% デイリーEVヘッドライン[2023.06.27]

TAG: #THE視点 #商用EV #燃料電池(FC)
岩谷産業の水素戦略「PLAN27」の概要(出典=岩谷産業)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
岩谷産業が水素事業に1,780億円投資……「セルフ水素スタンド」なども推進[2023.06.26]

水素価格が上昇しているが岩谷産業は価格を据え置き トラック・バスのFCEV向け水素ステーションの設置も推進 【THE 視点】岩谷産業は6月21日、水素事業の強化を発表した。同日公開した「2023年~2027年度中期経営計画(PLAN27)」には、脱炭素関連の需要拡大を捉えた液化水素ビジネスの拡大、CO2フリー水素サプライチェーンの構築などが盛り込まれている。投資規模として1,780億円を計上している。 また本戦略では、水素から生成されるアンモニア・合成メタン・合成燃料等についても、その課題や開発等の時間軸も踏まえつつ、導入を戦略的に進めていくとしている。 今月に入り、国・水素製造関連企業・自動車メーカーなどが今後の水素事業について相次いで発表を行なったが、岩谷産業は具体的な投資規模を提示した格好だ。 トヨタは、先日開催した「トヨタテクニカルワークショップ2023」において、水素事業の強化を発表した。乗用・商用のFCEV(燃料電池車)の開発を進めるだけではなく、FCを活用した定置式発電機の開発と実証運転・水素内燃エンジン車の開発など、水素を「つくる/はこぶ/ためる/つかう」の各領域において、様々な業界のパートナーとの取り組みを進めているという。 岩谷産業もそれに対応する形で、水素の「つくる/はこぶ/つかう」の各領域を強化するが、今回の発表で注目したのは「つかう」面の「水素ステーションの増設および収益化」である。具体的には、トラック・バスなどに対応した水素ステーション整備と、セルフ化の推進などによる運営コストの削減だという。 現実に岩谷産業が運営する水素ステーションのセルフ化は始まっており、筆者も利用している。国内で水素ステーションを運営するエネルギー各社は、今年に入ってから水素価格を約1.5倍に値上げしている。しかし岩谷産業のステーションは、実は価格を据え置いているのだ。 この取り組みは、岩谷産業の水素事業の強化にかける意気込みを実感できる例ではないだろうか。水素普及に向けた取り組みは具体的に始まっている。なお、このセルフ式の水素ステーションは非常にユニークなので、その利用方法などは別途レポートしたい。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★東京都、ZEV(ゼロ・エミッション・ヴィークル)がテーマのイベントを開催<丸の内行幸通り(東京都千代田区/7月2日(日))>……「フォーミュラE」を展示、脇阪寿一選手と小池都知事のトークショーも ★★東京都、FCEVフォークリフトの導入支援事業を開始……トライアルに車両と水素充填設備を提供する事業者とトライアル事業者を募集しマッチング支援、6月30日(金)〜7月13日(水)まで募集 ★「アバルト500e」が俳優のトム・クルーズとともにレッドカーペット上に……映画「ミッションインポッシブル/デッドレコニング・パート1」の公開イベント<イタリア・ローマ>にて、劇中車の初代「アバルト500」とともに展示 ★EVモーターズ・ジャパン、北九州市に小型EVバスを納車……「F8 シリーズ4-ミニバス」を使用し、島郷庁舎・若松病院などのルートをコミュニティバスとして運行 ★東京都、臨海副都心エリアにて自動運転プロジェクトを実施……自動運転による移動サービスモデルを構築、「ナビヤ・アルマ」「BYD J6」などのEVバスも使用 ★ボッシュ、電動車用のバッテリーのオンライン診断ソフト「Esitronic 2.0 Online」を公開……テスラの「モデルS」「モデルX」にも対応 ★ベントレー、英国本社工場に次世代型のソーラーパネルを導入……10MWの発電能力(2,370世帯/年に相当)、工場の電力を100%賄うことが可能 ★フォーミュラE第12戦ポートランド、ニック・キャシディ(エンヴィジョン)が優勝……10番手スタートからトップに、日産はノーマン・ナトーの9位が最高 ★MotoE第4戦オランダ、マッテオ・フェラーリ(フェロ・グレシーニ)がレース1・2ともに優勝……日本人の大久保 光(テック3)は14位(レース1)と12位(レース2) デイリーEVヘッドライン[2023.06.26]

TAG: #THE視点 #岩谷産業 #水素
「白馬EVラリー」2022年の様子
TEXT:福田 雅敏
全国のEV乗りよ白馬へ集え…「ジャパンEVラリー 白馬 2023」の記念すべき10回目が開催

EV乗りのツーリングイベントが7月22日(土)・23日(日)に開催 EV乗りのツーリングイベント「ジャパンEVラリー 白馬 2023」(白馬EVラリー/主催:日本EVクラブ)が、7月22日〜23日に開催される。 全国のEV乗りが集まるこのイベントは、今年で10回目を数えるそこそこの歴史を持つ。現在、参加者を募集中だ(EV1台につき6,000円/日本EVクラブ会員は5,000円)。筆者も参加経験があり、特に昨年はスタッフとしてイベントを手伝った。 EV乗りはもちろん、EVに興味のある方もぜひ訪れてほしいイベントなので、この場を借りて、昨年の内容を振り返りつつ紹介したい。 今年で10回目の開催、遠くは屋久島からの参加者も 「白馬EVラリー」は、今年で10回目を数えるそこそこ歴史のあるイベントである。昨年の参加台数は79台で、最も遠くは岡山県井原市からの参加者がいた(会場まで約650km)。ちなみに記録は、鹿児島県の屋久島からの参加である(約1,450km)。最も遠方からの参加者には、白馬村長賞が用意されているので「我こそは」というEVユーザーはぜひ挑んでほしい。 イベントは2日間行われ、もちろん片方の曜日の参加でもOKだ。しかし2日間にわたって行われる「ミッションラリー」というコンテンツが用意されているので、せっかくであれば宿泊の上での参加をお勧めする。 2日間にわたる賞典ありのコンテンツ 「ミッションラリー」は以下の内容となる。 1.白馬村の宿に泊まる(充電設備のある施設) 2.試乗会に参加する(22日に開催) 3.パレードに参加する(23日に開催) 4.SNSに投稿する(「#EVラリー白馬2023」のハッシュタグをつけてTwitter/Facebook/Instagramのいずれかに投稿) 5.白馬村内にてランチをとる(22日中に) 参加者には「ミッションシート」が配布され、これらのミッションをクリアするごとにスタンプがもらえる。 また、「デジタルスタンプラリー」というコンテンツもある(1日の参加でもOK)。白馬村内に設定されたスポットを巡ることで、専用アプリ内にポイントが集計される。「ミッションラリー」と「デジタルスタンプラリー」のポイントは合算され、両方をクリアした上位入賞者には、白馬村宿泊補助券や白馬村特産物などの賞品が授与される。

TAG: #イベント #オフ会 #ジャパンEVラリー
グリーンチャージが発売した「次世代型EV充電器」(photo=グリーンチャージ)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
「不公平にならない充電器」が初稼働、グリーンチャージが従量課金型充電器を発売[2023.06.23]

ガソリンスタンドでの給油感覚でEVを充電 kWh単位の完全従量課金で公平な料金支払いが可能 【THE 視点】グリーンチャージは6月21日、会員登録なしで利用できる従量課金型のEV用充電器が、「花川運動公園」<静岡県浜松市>にて稼動したことを発表した。合わせて同充電器の販売も開始した。車種を問わず公平に課金することが可能な次世代型のEV用充電器だ。 この充電器の最大の特徴は「kWh単位の従量課金方式」を採用していることだ。時間単位で課金している従来型は以下の課題を抱えている。 ・充電に時間がかかり、遅い充電器ほど利用料金が割高となる ・速く充電できる高出力充電器を設置する事業者ほど収入が少ない ・短時間でハイパワー充電できる大型EVと、充電パワーが小さい軽EVの利用料金が同じとなってしまうため、公平な料金負担とならない 今回オープンした充電器は、充電のために消費した電力量に基づき課金される。これにより、上記の課題を解消することができるため、公平な価格にてサービスを提供できることになる。 会員カードや専用アプリが不要であることもメリットだ。利用者はクレジットカードやPayPayで決済が可能。従来の充電器は、事前に会員カードを発行したり、ビジター登録などが必要で、利用開始までに手間がかかることがあった。この従量課金型の充電器であれば、すぐに利用することができるので、出先で急な充電が必要になった場合などに重宝するはずだ。簡単に言えば、慣れ親しんでいるガソリンスタンドの決済と同様になったということだ。 従量課金方式の充電器については、デイリーEVヘッドラインでも何度かお伝えしている。アサヒ衛陶(2月)や出光(4月)も、従量課金方式の採用を表明している。従量課金方式は、今後増えていくと予想する。 ちなみに筆者はFCEVを愛用し水素を充填するが、水素は会員登録なしの従量課金方式である。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★マツダ、「MX-30 e-スカイアクティブ R-EV」の量産を開始……ロータリーエンジンのレンジエクステンダーを搭載したSUV型のEV ★★フォード、チューニングEVで「パイクスピーク・ヒルクライム」に参戦……ワンボックスの「スーパーバン4.2」を公開、2モーター式のAWD、総合出力1,050kW(1,428ps) ★★自動運転EVのティアフォーと架装メーカーのトノックスが協業……レベル4の自動運転EVを平塚工場で量産へ ★シトロエン、新型の小型EV「マイ・アミ・バギー」が売り切れ……6月20日の発売開始から10時間で800台を完売 ★ランチア、ルカ・ナポリターノCEOが「ピューラHPE」をドライブ……新生ランチアのスポーツEVコンセプト ★ヒョンデ、ツタヤを運営するCCCと協業……「代官山T-SITE」<東京都渋谷区>にて、ヒョンデのカーシェア「モーシャン」を展開、「アイオニック5」「アイオニック6」の展示イベントも6月22日(木)〜30日(金)まで開催 [詳細はこちら<click>] ★サンコール、EV用のバスバーの生産を拡大……大電力を通す“EVの血管”、800V化された高電圧EVの需要拡大を見込む ★独バスメーカーのエボバス、社名を「ダイムラー・バス」に変更……ダイムラー・トラック・グループ傘下のポジションはそのまま ★リマック、オランダに進出……オランダの販売会社大手Ponと協力し「リマック・ロッテルダム」を開設 ★住友金属鉱山、リチウムイオン・バッテリーのリサイクル実験に成功……再利用した正極活物質の性能が新品同様の結果 ★ブレイズ、「タイヤ館 スズカ」<三重県鈴鹿市>の感謝祭イベントにて展示・即売会を実施……EVバイク等を出展、6月24日(土)・25日(日)に開催 ★テラモーターズ、パチンコ事業のダイナムにEV用充電器を導入……全国300店舗以上に順次 ★フォーミュラE第12戦ポートランド(アメリカ)、今週末25日に予選・決勝……現在のランキング1位はパスカル・ウェーレイン(タグホイヤー・ポルシェ) ★EVバイクのレース「Moto E」、今週末に第4戦オランダ大会を開催……23日(金)予選、24日(土)決勝 デイリーEVヘッドライン[2023.06.23]

TAG: #THE視点 #充電インフラ #急速充電器
フォーミュラE(photo=日産自動車)
TEXT:福田 雅俊、ABT werke
東京の街で「フォーミュラE」が公式戦、東京ラウンドが2024年3月30日に開催決定[2023.06.22]

手に汗握る展開の「残電力サバイバルレース」がいよいよ東京にて開催 再生可能エネルギーを活用しながら電力の安定供給体制の構築を 【THE 視点】フォーミュラEと国際自動車連盟(以下、FIA)は、「ABB FIA フォーミュラE ワールド・チャンピオンシップ」の来年度のカレンダーを発表した。東京ラウンドが正式決定し、3月30日(土)に第7戦として組み込まれている。コースは、「東京ビッグサイト」<東京都江東区>周辺の一般道を使用する。 東京の市街地を使用したFIA管轄のレースとしては、日本初の開催となる。日本勢唯一のチームである日産をはじめ、強豪のポルシェやマセラティ/ジャガー/マクラーレン/マヒンドラ/ニオ/DSなど11チーム・22台が参戦予定だ。 東京都は、カーボンフリーの「環境先進都市ゼロエミッション東京」の実現に向け、ZEVの普及を拡大すべく、東京での大会実現に向けた協議をフォーミュラEと重ねてきた。 開催にあたり、小池百合子東京都知事は、「フォーミュラEは、エンジン音や排気ガスがない電気自動車の市街地レースとして、世界の主要都市で開催されています。この国内初、世界最高峰のレースの迫力を間近で見て、応援しましょう。大会は、ゼロエミッションビークルの普及に弾みをつけると同時に、東京の魅力を世界に発信し、国際的なプレゼンスを高める絶好の機会ともなります」とコメントを寄せている。 今回の開催決定は喜ばしいことだが、充電インフラをどう構築するか心配が残る。22台ものマシンを、フリー走行・予選・決勝などに間に合わせるために一気に充電するとなると相当の電力設備の増強が必要となるはずだ。 これは提案なのだが、100%は無理にしろ是非とも再生可能エネルギーの活用も検討してほしい。そうすれば「環境都市」としての良いアピールになる。電力が足りず、コースの近くでディーゼル発電機を回すようでは本末転倒なので、開催までの残りの期間で、電力の供給体制をしっかりと設計してほしい。 フォーミュラEは、今シーズンから「GEN3」と呼称する第3世代のマシンを使用している。これによりマシンのスピードが上がり、毎回のレースが見応えのある展開になっている。 特に面白く感じるのは、バッテリー残量を見ながらの接戦である。レースの展開としては、序盤から中盤は電費を抑えるために、おとなしく走行してポジション取り。そして終盤の残り10周ほどで、事実上のスプリント・レースをするのが毎回のパターンとなっている。予選トップがそのまま逃げ切りという展開は少ない。ラスト1周は、バッテリー残量が1%前後という電欠寸前の中で攻め合うという痺れる戦いを繰り広げている。EVレースというユニークさではなく、ひとつのモータースポーツとして非常に面白くなっている。 いずれにせよ、このレースが東京で開催されることを非常に嬉しく思っている。成功を願う。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ケータハム、EVの新型コンセプト「プロジェクトV」を発表……7月12日に実車を公開予定 ★★カワサキ、3輪の自転車型EV「ノスリスe」を6月30日に発売……前輪2輪のトライク型、EVモードと自転車モードを選択可能 ★★キャデラック、ラグジュアリーSUVの新型EV「エスカレードIQ」のティザー映像を公開……8月9日に正式発表予定 ★オペル、小型EV「ロックス・エレクトリック」をカスタマイズ……ラリーマシンのテイストを盛り込んだ「ザ・ロックス・e-エクストリーム」を公開 ★パナソニックエナジーとマツダ、車載用リチウムイオン・バッテリーの長期供給について協議開始……2020年代後半に発表予定のEVへの搭載を視野 ★アウディ、オーストラリアに充電拠点「アウディ・チャージング・ハブ」を開設……豪州初の設置、最高出力320kWの急速充電で4口を用意 ★ティアフォー、EV用の自動運転ソリューション「ファンファーレ」を開発……完成車メーカーにOEM供給が可能な「レベル4」水準のシステム、2024年までに9車種の商用EVに設定予定 ★テスラ、「おおたかの森」<千葉県流山市>にポップアップストア「テスラ おおたかの森」をオープン……ショールーム機能を持ち試乗車も用意 ★アイシン、「固体酸化物形電解セル(SOEC)による水素製造技術開発」がNEDO(※)の研究開発事業に採択……NGK・九州大学と連携、太陽光等再生可能エネルギー由来の電力で水素を製造 ※国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 ★折りたたみEVバイクシェアのシェアロ、「安全運転講習会」を「東京プリンスホテル」<東京都港区>にて6月10日(土)に実施……原付一種としての交通ルールを再確認、今後も継続して実施予定 ★東京湾アクアラインに時間帯別料金制が導入……普通車の木更津→川崎方面が1,200円(土日祝日・13時〜20時)に、2023年7月23日(土)〜2024年3月31日(日)まで実施 デイリーEVヘッドライン[2023.06.22]

TAG: #THE視点 #フォーミュラE #モータースポーツ
TEXT:TET 編集部
905馬力のモンスターSUV降臨。ロータス、ブランド初の電動SUV「エレトレ」の国内受注を開始

ロータスの日本における代理店エルシーアイは、ブランド初となるSUVのバッテリー電気自動車(BEV)、「エレトレ」の予約販売を6月17日に開始した。エルシーアイによると日本へ導入されるのは、「エレトレS」および「エレトレR」の2モデルとなる。 速さを取るか、航続距離を選ぶか 公表された日本仕様のスペックを確認すると、まずシングルモーターのエレトレSは、603hp/710Nm、0-100km/h加速4.5秒、最高速度258km/h、航続距離600km(WLTP)。一方ツインモーターのエレトレRは、905hp/985Nm、0-100km/h加速2.95秒、最高速度265km/h、航続距離490km(同)となる。 つまり、エレトレSは航続距離を重視したロングレンジグレード。エレトレRは走行性能を追求したパフォーマンスグレードという位置付けだ。とはいえ、エレトレSでもメルセデス「EQS SUV」のトップグレードを凌ぐ馬力なので、ロータスがアピールするハイパーSUVであることに疑いはない。 充電時間の早さもエレトレの特徴で、800VのEVアーキテクチャーはDC350kWまでの急速充電に対応。最速わずか20分で充電量10%から80%までチャージでき、その電力で400kmの走行が可能という。充電中にリアコンビネーションライトが緑色に光り、バッテリー残量をリアルタイム表示するのも所有欲を掻き立てるギミックだ。 また、高度な自動運転へ対応した装備も充実している。エレトレのLiDAR(レーザー光を使った計測システム)は車両の周囲200mを全方位スキャンし、高度な3Dマップを生成可能。前方の環境検知には500m先まで撮影できる望遠カメラを装備し、4つのサイドカメラやリアセンサーも合わせ、360度あらゆる方向をカバーする。もちろん、フロントにはミリ波レーダーも備え、歩行者等も正確に発見可能だ。これらは、将来的な完全自律走行も視野に入れた装備で、オーナーはソフトのアップデートだけで最新の運転支援システムを享受できるという。 >>>次ページ インテリアはスポーティかつ高級

TAG: #SUV #ロータス #高性能車
TEXT:TET編集部
スズキ、空飛ぶクルマ事業へ前進:24年春生産開始を目指しスカイドライブと基本合意書を締結

スズキの工場で「空飛ぶクルマ」を作る スズキ株式会社(以下、「スズキ」)は、「空飛ぶクルマ」の製造に向けた協力について、株式会社SkyDrive(本社:愛知県豊田市、代表取締役CEO福澤知浩、以下「スカイドライブ」)と基本合意書を締結。調印式にはスズキの神代英俊 常務役員、スカイドライブの福澤知浩 代表取締役CEOが出席した。 スカイドライブは「空飛ぶクルマ」の製造を目的とした100%出資の子会社を設立する。スズキとスカイドライブは、スズキグループが静岡県内に保有する工場を活用し、2024年春ごろから製造開始を目指す。スズキは、スカイドライブ製造子会社の人材確保など、製造開始に向けた準備についても協力する。より具体的な条件については協議を継続し、別途取り決める予定。 2022年3月には 両社が「空飛ぶクルマ」の事業・技術連携に関する協定を締結した。さらに同年9月には、スズキがスカイドライブへの出資を明らかにしている。今回の基本合意書締結は、こうした協力関係をさらに強固にするものだ。 2社の連携協定には、機体開発及び要素技術の研究開発、製造・量産体制および計画、スズキの四輪・二輪・マリンに「空飛ぶクルマ」を加えた新しいモビリティの具体化、インドを中心とした本件対象の海外市場開拓など、「空飛ぶクルマ」の社会実装実現を目指した幅広いターゲットが盛り込まれている。

TAG: #スカイドライブ #スズキ #モビリティ #空飛ぶクルマ
小型実証設備第1プラント(photo=出光興産)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
出光、全固体電池用電解質の生産を増強……自動車メーカーへの安定供給を目指す[2023.06.21]

「小型実証設備第2プラント」を7月より稼働し安定生産体制を強化 脱炭素のなか生き残りをかけて事業を再構築する石油企業 【THE 視点】出光興産(以下、出光)は6月19日、全固体リチウムイオン二次電池(以下、全固体電池)の普及・拡大へ向け、固体電解質の「小型実証設備第1プラント」の生産能力を増強すると発表した。2024年度内の完工を計画している。 加えて本年7月より、「小型実証設備第2プラント」の稼働も開始し、自動車メーカーやバッテリー・メーカーなどへの供給体制を強化する。全固体電池およびそれを搭載したEVの実用化に必要不可欠な固体電解質の性能向上と、量産技術の開発を加速させ、全固体電池の普及・拡大に貢献する構えだ。 全固体電池は、EVの航続距離の拡大・充電時間の短縮・安全性向上が期待されている。自動車メーカーやバッテリー・メーカーは、全固体電池を次世代型バッテリーの主力と位置付けて開発を加速しており、材料のニーズが一層高まっている。 先日トヨタが、全固体電池搭載型EVを2027年頃に実用化するとアナウンスした。日産も同時期に全固体電池EVの実用化を目指している。両社の開発競争は熾烈な状況であろう。 ということは、今が全固体電池の固体電解質の開発が一番活発な時期のはずだ。そのニーズを逃がさないために、出光は供給能力の増強を決定したのではないだろうか。安定供給体制が構築できれば、出光製の材料のニーズが安定するので、供給体制の構築を急いだのだと考えられる。もちろん、今後縮小するであろう化石燃料事業の穴埋めを見込んでの決定と思われる。 出光は、EV事業においてもタジマモーターコーポレーションと超小型EV「イデタ」の試作車を開発し、系列サービスステーションを通じ7月1日から実証走行に入るとも発表している。全固体電池材料や自社製EVの開発・展開することで、生き残りをかけるものと思われる。他の石油会社も他人事ではない。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★スズキ、空飛ぶクルマ事業に参画……スカイドライブと基本合意書を締結、スズキの工場を活用し、2024年春からeVTOL機(垂直離陸式EV航空機)を生産[詳細はこちら<click>] ★★九州電力とヤナセ、EVの普及に向けて業務提携……集合住宅向けのEVインフラ構築などを目指す ★★グリーンチャージ、無会員登録・従量課金型の急速充電器(最高出力50kW)を6月19日に国内初稼働……花川運動公園<静岡県浜松市中区>にて、クレジットカードまたはQRコードで決済 ★自動運転EVバスのボードリー、運行管理システムに安全管理の新機能を搭載……走行中の乗客の立ち歩きを検知し、遠隔監視者に通知 ★テスラ、「イオンモール幕張新都心」<千葉市美浜区>にて特別展示を開催……「モデル Y」「モデル 3」を展示、6月24日(土)・25日(日)の2日間 ★半導体のローム、ヴィテスコ・テクノロジーズと協業契約……SiC(炭化ケイ素)パワーデバイスの長期供給契約、EV関連の開発パートナーシップの一環 ★スギノマシン、EV用部品加工に適した工作機械「ギガフィーダ」を開発……比較的小型の機械ながらも、EVに多用される大型アルミダイカスト部品の切削加工が可能 ★リマック、EVスーパースポーツ「ネヴェーラ」の納車を継続……米国の顧客へ2台目を引き渡し、淡いブルーのカラーリングが特徴 ★ボルボ、建材の世界大手ハイデルベルク・マテリアルと提携……積載や運搬などにEVを活用、CO2の排出量削減を目指す デイリーEVヘッドライン[2023.06.21]

TAG: #THE視点 #全固体電池 #出光興産
EVモーターズ・ジャパン「F8 Series2-City Bus」(photo=福田 雅敏)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
「大阪・関西万博」用にEVバスを100台納入契約 EVモーターズジャパン[2023.06.20]

大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)に納入 導入予定の大型路線バスは高い静粛性が特徴 【THE 視点】EVモーターズ・ジャパンは6月15日、大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)とEVバスの大口契約を結んだことを発表した。2025年に開催予定の「大阪・関西万博」向けに、EVバスを計100台納入する。 導入が発表されたEVバスと契約台数は以下となる。 「F8 Series4-Mini Bus」(35台)……小型コミュニティバス/全長7m/定員29名/バッテリー容量114kWh/航続距離290km 「F8 Series2-City Bus」(65台)……大型路線バス/全長10.5m/定員77名/バッテリー容量210kWh/航続距離280km この2機種を7月より順次納入するとのこと。 小型コミュニティバスは、今年3月に東京都渋谷区に2台納入され、「ハチ公バス」として運行されている実績を持つ。 大型路線EVバスは、先日開催された「バステクフォーラム」にて試乗車として用意された車両で、筆者も乗ることができた。当日は試乗車として3台のEVバスが用意されていたが、そのうち最も静かに感じたのが、このEVモーターズ製のバスであった。 EVモーターズ・ジャパンは、現在北九州に工場を建設中。しかしこのタイミングでの納車となると、いずれのEVバスも中国生産車となる。 日本では現在EVバスが百数十台が走っていると言われその多くがBYD製のようだ。しかし、今回の100台の導入で一気にEVモーターズ・ジャパンのシェアが高くなる。日本のEVバス保有台数も一気に増加することになる。 北九州工場が完成すれば事実上の国産となるわけで、渋谷での運用実績に加えて、国産化されるという信頼性が、今回の大型受注に繋がったのだろう。 このほか大阪メトロは、「大阪・関西万博」にて、自動運転バスや走行中給電(ワイヤレス充電)バスなども走らせる計画だ。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★出光興産、全固体電池向けの固体電解質の供給能力を増強……次世代バッテリーEVの普及に貢献、「小型実証設備第2プラント」を7月より稼働 ★★e-モビリティ・パワー、公道上のEV用充電ステーションを新設……JR信濃町駅南口付近(東京都新宿区)に50kWタイプを1基 ★BYD、九州エリアに初出店……「BYD AUTO 福岡西」<福岡県西区/アウトレットモール「マリノアシティ福岡」内>が7月1日(土)にオープン ★出光興産、リチウムの安定生産・供給体制を構築……オーストラリアでリチウム鉱山を所有する企業「DLI」に出資、株式保有率が15%に ★e-モビリティ・パワー、ABB製の急速充電器のソフトウェアをアップデート……充電器1口の最高出力が最大150kWに ★ミシュラン、EVにも効果のある低燃費タイヤ「e・プライマシー」に新サイズを追加……14〜16インチの3サイズ ★メルセデス・ベンツ、EVバス「eシターロ」のライン・オフが1,000台を達成……欧州のジャーナリストなどからも高評価 ★武蔵精密工業のEVユニットを搭載したインド製EVバイクが完成へ……インドの新興BNCが12月より販売開始、125ccに匹敵する性能のクラシカルなEVスクーター ★ヤマハ、原付二種のEVスクーター「E01」のリースを募集……実証実験の第3弾、月額2万円で3ヵ月間の契約 ★ヒョンデ、「アイオニック5」の試乗キャンペーンを実施……映画「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」のペアチケットを、各拠点にて20組40名に ★ステランティス、空飛ぶクルマ開発の「アーチャー」の株式保有数を増加……米ジョージア州のeVTOL(垂直離陸型EV航空機)機製造工場の建設も順調 デイリーEVヘッドライン[2023.06.20]

TAG: #EVバス #EVモーターズ・ジャパン #THE視点
ローゼンバウワーRT(photo=福田雅敏)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
最新鋭のEV消防車「ローゼンバウアーRT」が「東京国際消防防災展2023」にて日本公開[2023.06.19]

総合出力490psの2モーター式AWDに4WS機構を搭載 世界で導入実績のあるEV消防車の日本導入に期待 【THE 視点】6月15日(木)~18日(日)まで「東京国際消防防災展2023」が東京ビッグサイト<東京都江東区>にて開催された。本年はEVの防災車両が展示されると聞いて訪れた。そこでひときわ存在感があったのが、オーストリアの「Rosenbauer(ローゼンバウアー)」(輸入元:帝国繊維)のEV消防車「RT」だ。ユニークな機構を備えていたので、この場にて紹介する。 「RT」のデザインは、ローゼンバウアーが手がけたオリジナルもので、無駄のない直線的なデザインは特殊車両ならではのものだが、日本のデザインにはない雰囲気がある。 ボディサイズは全長7,600×全幅2,350×全高2,900mm。最高出力180kW(245ps)のモーターを前後に搭載した全輪駆動で、電圧650V・最大容量132kWh(66kWh×2)のバッテリーを装備する。ちなみにパワーユニットはボルボ製だ。 車体は大柄だが、4WS(四輪操舵)機構を持つため小回りが効く。デジタルミラーも採用され先進的。ノンステップのドアのため、スピーディな乗降が可能だ。 なお、本車両はEVと発表されているが、実はバックアップ用として、最高出力225kW(306ps)のディーゼルエンジンの発電機を持つプラグイン式のシリーズ型HV(PHEV)である。緊急作業は長時間に及ぶこともあり、この巨体が電欠になってしまってはどうしようもない。他車からのバックアップを要するようでも、現場では混乱が生じるだろう。このパワートレインの採用は、むしろ必然と考える。 消火能力も十分で、水タンクの容量は 1,000L〜4,000L、泡タンクの容量は50L〜400L。通常ポンプと、常圧・高圧併用ポンプの両方が使用可能となっている。利用可能なすべてのポンプは、電気モーターを介してバッテリー電源のみで動作するのだが、特に長時間の動作の場合は、エネルギーバックアップシステムを介してディーゼルエンジンで動作することもできる。 メーカーの本国オーストリアのウイーンをはじめ世界各国で11台以上が稼働しているという「RT」。輸入元の帝国繊維では、日本への導入は検討中とのこと。ひときわ存在感のあるEV消防車だが、その力強い見た目通りの活躍を、日本でもしてくれるだろう。導入先があることを期待したい。 なお、「東京国際消防防災展2023」にはこの他にもEVの緊急車両の展示が多数あった。別途レポートを展開するので、ぜひご覧いただきたい。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ロータス、SUVの新型EV「エレトレ」を日本で予約開始……0〜100km/h加速は2.95秒(エレトレR)、最大航続距離は600km(エレトレS/WLTP値)[詳細はこちら<click>] ★★横浜ゴム、「三菱ふそう・eキャンター」に「RY01C」が純正採用……高い耐摩耗性と転がり抵抗の低減を両立した小型トラック向けタイヤ ★★メルセデス・ベンツ、EVスーパースポーツのコンセプト・マシン「ヴィジョン・ワン・イレブン」を公開……古のコンセプト・カー「C111」をオマージュ ★みずほリース、EV関連事業を強化……EVの管理・運用ソリューション企業の「モーション」と連携 ★小澤征悦(俳優)が「BMW i7 M50 xDrive」に試乗……J-WAVEの番組「BMW FREUDE FOR LIFE」にて感想を放送<6月17日(土)・24日(土)> ★横浜ゴム、「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」に出場する「テスラ・モデルS」に「アドバンA005」を供給……サステナブル素材を33%使用しながらグリップは従来と同等 ★アウディ、「Audi RS e-tron GT Tyrol Alps Tour」を開催……8月07日〜11日でドイツとオーストラリアをツーリング、6月16日(金)〜25日(日)まで参加受付 ★ニデック(旧日本電産)、空飛ぶクルマ事業へ参入……ブラジルの航空機メーカー「エンブラエル」と合弁会社を設立へ デイリーEVヘッドライン[2023.06.19]

TAG: #THE視点 #はたらくEV #東京国際消防防災展
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
ブレーキダストを封じ込めて環境対策! メルセデス・ベンツが開発したEVならではの技術「インドライブ・ブレーキ」ってどんなもの?
ヒョンデの魅力を日本に伝える新たな拠点! 「ヒョンデ みなとみらい 本社ショールーム」がグランドオープン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
more
ニュース
ロングホイールベース化で後席が7シリーズ並! BMW 5シリーズ 「i5 eDrive35L」と「525Li」に「Exclusive M Sport」を追加
中国専売EV第2弾はクロスオーバーSUV! スポーティなクーペ風スタイリングがマツダらしい「EZ-60」を上海モータショーで発表
上海モーターショーで見えたトヨタのマルチパスウェイ! フラッグシップEV「bZ7」とレクサス新型「ES」を同時発表
more
コラム
EVの電欠ってどのぐらい発生してる? JAFの出動要請ランキングを調べてみた
BYDの最新車種シーライオン7で1000km走行チャレンジ! 雨でもキチンと働く「ADASの進化」が凄い
EVって最高速度が低いのはなぜ? 答えは「できないじゃなくあえて低く設定している」だった
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
ボルボEX30で11時間超えの1000km走行チャレンジ! 課題は90kWまでしか受け入れない充電性能
more
イベント
災害に備えて未来を楽しむ! 「AWAJI EV MEET 2025」の参加はまだまだ受付中
災害時にも活躍できるEVの可能性を淡路島で体験! 「AWAJI EV MEET 2025 from OUTDOOR FEELS」開催決定
売り物ではなく概念を展示するモデリスタ! 正体不明なトヨタbZ4Xはブランドの「新化」という概念を示すスタディモデルだった【大阪オートメッセ2025】
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択