一定期間内に無償利用できるよう東京都が支援
事業用EVにFCを導入する流れが加速
【THE 視点】東京都は6月22日、燃料電池(FC)フォークリフトのマッチング導入支援事業への参加事業者を募集すると発表した。
FCは、水素を化学反応させ発電後に水を排出することは広く知られていると思う。そんなFCは、大型トラックなど商用車への導入事例が加速している。理由のひとつに、水素の充填時間が短く長時間の運転が可能という点が挙げられる。それはフォークリフトにおいても有用な点となる。物流業界等の脱炭素化と水素利用の拡大のために重要な特徴であり、都は、燃料電池フォークリフト(FCFL)の実装を加速する。
今回の事業は、FCFLの導入を検討している民間事業者を対象に、都の負担により無償(上限あり)にて一定期間、FCFLをトライアル利用できるというもの。都内においてのFCFLの導入拡大を図るのが狙いだ。
公募対象者は、「FCFLのトライアル利用を希望する事業者」と「トライアル利用者にFCFLを提供する事業者及びトライアル利用者に水素充填設備を提供する事業者」となる。トライアル期間は、1事業者あたり最大2ヵ月とし、2事業者を募集する。また、FCFL提供者・水素充填設備提供者については、各1〜2事業者としている。
FCFL提供事業者や水素充填設備を提供できる事業者は、現状トヨタ自動車や豊田自動織機(L&F)など限られたメーカーだ。
特にトヨタは、再生可能なエネルギーである太陽光発電を活用し、水素を製造・貯蔵・供給できる小型の水電解式水素発生充填装置「SimpleFuel(シンプルフューエル)」を、愛知県豊田市の元町工場に導入した事例(2019年)もある。現在は数十台のFCFLが稼働している。稼働から4年が経ち、運用ノウハウは相当なものになっているはずだ。
トヨタおよび豊田自動織機は、今回の東京都のFCFL事業にも協力すると思われる。やはりFCは、その充填の速さがウリのはずだが、導入には水素の供給も含めたパッケージとして検討しないと、肝心なFCが稼働できない。
今回のFCFL導入支援事業は、導入を検討している事業者には非常にありがたい取り組みと言える。やはり時間が問題の商用のEVには、FCを組み合わせる方がメリットが多いとの認識が進みつつあるようだ。
FCFLの導入を検討している事業者には是非ともこの機会に応募して頂きたいものである。
(福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー)
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デイリーEVヘッドライン[2023.06.27]