田中 誠司 記事一覧

TEXT:田中 誠司
EV市場はブルーオーシャン! フォロフライ×丸紅×太陽インキ製造が合同セミナー[前編]

商用EVを日本で開発し中国で生産して輸入するファブレス・メーカー、日本屈指の大手総合商社、そして電子部品基盤用絶縁材料を供給する化学メーカー。それぞれの関係性がつかみにくい3つの企業が合同で報道セミナーを東京・大手町で実施するという。 テーマは「急拡大するEV市場と、需要高まる注目セクション」ということで、一般的なB to Bのマーケティング・イベントならよくあるミックスかもしれないが、自動車分野では珍しい取り組みと言っていいであろうこのセミナーについて本誌編集者がリポートする。 毎年、およそ5兆円の半導体が自動車に消える 冒頭では現在のEVをめぐるスケール感と電子部品について、フォーマルハウト・テクノ・ソリューションズ代表の柏尾南壮氏がゲストスピーカーとして登壇した。 現在、世界の半導体は全体で50兆円市場だという。そのうちスマートフォン用が35%を占め、次にPC用が15〜20%、自動車用は10%でそれらに続くという。 現在、年間に市場に送り出される普通乗用車の数は約1億台。平均的にそれらは1万5000点、ノートパソコンにして5台分の半導体を消費する。 柏尾氏が率いる会社は、電気自動車を購入して細かく分解して研究する事業を手掛けており、講演ではテスラ・モデル3、フォルクスワーゲンID.3、トヨタ・ミライのメイン・コンピューターの比較が示された。 テスラは自動運転機能などに用いるAIに関連するチップが多いのが特徴。VWは多くのメーカーがベンチマークとするだけあり、構成部品を可能な限り少なくした伝統的な考え方の配置だった。メインのチップには日本のルネサスが利用されていた。いっぽう、FCEVのトヨタ・ミライは信頼性を何よりも重視しており、島のような構造部であるメインコンピューターを2系統配置し、片方が故障してももう一方が機能を果たせる回路を採用している。 今後は自動運転がレベル3へ進化するにあたり、ソフトウェアの書き換えに対応する高速な無線機能が必須になり、半導体に求められる能力はさらに高まることが予想される。

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TEXT:陶木 友治
オンとオフをシームレスに繋ぐ「フィジタル」とは? :EVでも色褪せない「駆けぬける歓び」BMW Tokyo 成田 仁社長に訊く その5

エンジン車とBEVの両方を選択できる環境を整えている輸入車ブランドの雄、BMW。国内においてBMW正規ディーラーの中核ディーラーに位置づけられるBMW東京の成田 仁社長に、BEVの現状から国内マーケット動向に対する雑感、近未来の戦略まで幅広く話を訊いた。 (プロフィール) BMW東京代表取締役社長 成田 仁 いすゞ自動車にてキャリアをスタートし、2002年にBMW Japanに入社、ディーラー開発の多くのプロジェクトを完遂。2004~2005年にBMW AG(独本社)でアジア・東ヨーロッパのディーラー開発チームでの国際業務を経験。2008年にアウディジャパンへ転職し、ディーラー開発部門にてマネジャーおよびゼネラルマネジャー、2013年にハーレーダビッドソンジャパンにてディーラー開発部門のダイレクターを経て、2015年にBMW Japanに復帰。2020年に常務取締役就任。2021年に、BMW Tokyo代表取締役社長に就任。 ──聞けば、BMWは「フィジタル」というコンセプトを導入しているそうですが、これはどのようなものでしょうか? フィジタルは、「フィジカル」と「デジタル」を組み合わせた造語で、オンラインとオフラインの顧客体験をシームレスに繋げていこうというコンセプトですね。お客様と私たちの接点にはオンラインの部分とオフラインの部分がありますが、BMWはその継ぎ目をできるだけなくし、お客様がどこでも好きな方法でBMWと接点が持てるようにしています。お客様によっては、ディーラーを訪問しなくてもクルマを注文することができますし、「BMWコネクテッド・ドライブ」というオンラインのサービスを使えば、サービスの入庫予約や車検の予約もできるようになっています。 ──「フィジタル」のコンセプトはまだ完成形ではなく、発展途上にあるという話を聞いたことがあるのですが、今後についてどのような将来像を描いているのでしょうか? おっしゃるように完成形には至っていないものの、順調に前に進んでいると思います。構想のうち、実現できているのはまだ数分の1程度に過ぎませんが、BMWグループは、以前からビジネスモデルの変革に取り組んでおり、明確なロードマップにしたがって前に進んでいます。我々は一ディーラーに過ぎませんが、好きな「時と場所と方法」でお客様がBMWと接することができるように努力を重ねていくつもりです。 ──先ほどお話に出た「BMWコネクテッド・ドライブ」について、もう少し詳しく教えてください。 様々な機能を付与したサービスですから一言で説明することは難しいのですが、端的に言うと、車両の状況をリアルタイムで把握し、ユーザーをサポートするサービスということになるでしょうか。 例えば、車両位置の特定やドアのロックとロック解除、搭載カメラによる車両周囲の確認のほか、クルマの充電状態や航続可能距離の常時表示など、EVに関する幅広い有益な機能も提供します。加えて、スマートフォンをデジタル・キーに変えることもできます。スマートフォンを持ってクルマに近づけば自動的にドアロックが解除され、クルマから離れれば自動でクルマがロックされるという仕組みです。 ──ちゃんとロックされたのかがわからず、不安に駆られるユーザーも多くなりそうです(笑)。 それは「ステータスチェック」できちんと確認できるようになっています。クルマの世界は日進月歩で進化していて、私自身もクルマを運転するときにキーを持ち歩かなくなりました。以前までは、このサービスは使用を希望するお客様だけに機能を提供していましたが、現在では、原則的にはすべてのお客様にご利用いただくことにしています。納車時にこちらですべて設定したうえで、クルマをお渡ししています。実際に体験したお客様からは「すごく便利」と好評ですね。 ──他ブランドも同様のサービスを提供していますが、BMWが一歩先を行っている印象を持ちました。 私たちもそう自負しています。 ──貴重なお話、ありがとうございました。 <完>

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TEXT:陶木 友治
スクリーンに映し出される好みの仕様の一台:EVでも色褪せない「駆けぬける歓び」BMW Tokyo 成田 仁社長に訊く その4

エンジン車とBEVの両方を選択できる環境を整えている輸入車ブランドの雄、BMW。国内においてBMW正規ディーラーの中核ディーラーに位置づけられるBMW東京の成田 仁社長に、BEVの現状から国内マーケット動向に対する雑感、近未来の戦略まで幅広く話を訊いた。 (プロフィール) BMW東京代表取締役社長 成田 仁 いすゞ自動車にてキャリアをスタートし、2002年にBMW Japanに入社、ディーラー開発の多くのプロジェクトを完遂。2004~2005年にBMW AG(独本社)でアジア・東ヨーロッパのディーラー開発チームでの国際業務を経験。2008年にアウディジャパンへ転職し、ディーラー開発部門にてマネジャーおよびゼネラルマネジャー、2013年にハーレーダビッドソンジャパンにてディーラー開発部門のダイレクターを経て、2015年にBMW Japanに復帰。2020年に常務取締役就任。2021年に、BMW Tokyo代表取締役社長に就任。 ──前回もおっしゃっていましたが、BMWの魅力のひとつは、EVからディーゼル車、ガソリン車まで豊富な選択肢の中から最適なパワートレインを選ぶことができるところですよね。顧客から見ると、それぞれのクルマを乗り比べて充分に吟味してからモデルを選べるからありがたいと思います。 そうですね。弊社の場合、「BMW  Tokyo Bay」という日本最大規模のショールームがあり、そこに全ラインナップの試乗車を常時配備し、試乗専用カウンターも設置しています。最大で1時間の試乗が可能で、高速道路を走るプランや30分ごとに乗り換えるプランなど複数のプランを用意しているのですが、2022年の実績で言えば、試乗は約8000件でした。1日平均にすれば21件ですが、週末に来店されるお客様が大半ですから、土日はそれこそ50件、60件の試乗申し込みがありました。それもBMW東京のお客様だけではなく、関東一円からお客様が来店して試乗していただいています。「BMW  Tokyo Bay」規模のショールームは他にないことから、他ディーラーのセールスがお客様を伴って訪れることも頻繁です。「うちにこんなセールスいたっけな?」と怪訝に思っていたら、他ディーラーのセールスだったということもよくありますよ。 ──展示、試乗に関して卓越した制度とノウハウを持っていらっしゃることはわかりましたが、商談、アフターセールスの部分において、BMW東京ならではの特徴はありますか。リアル体験である試乗とは対照的に、商談はデジタル化がかなり進んでいると思いますが。 確かに最近はデジタル化が急速に進んでいて、商談スタイルが大きく変わってきました。以前は紙ベースで商談を行なうことが多かったのですが、今はデジタルツールを使って商談をすることが増えています。 例えば、iPadと連動した「モバイルカスタマイザー」では、パソコンの画面上で外板や内装のカラー、ホイールなどを変更することができます。そうしたツールは以前から活用していますが、最近はより高精細な画面で見ることができるようになっています。 さらに、2022年秋から新しいシステムを導入しています。それは、車のVINコード(車両識別番号)がわかれば、そのクルマの仕様を確認できるというものです。これによって、海外から輸送中のクルマでも、外装や内装、オプションなどをコンピュータグラフィックで再現することができます。 ──システムを導入してから、商談がスムーズに進むようになったということはありますか? そうですね。以前は、実車を見てからボディやシートのカラーサンプルを見せたり、組み合わせを説明したりすることが多かったのですが、今ではコンピュータグラフィックで見せることができるため、お客様はより具体的なイメージを持ちやすくなりました。また、在庫車の仕様も確認できることで、たとえその場に実車がなかったとしても、以前より正確な車両情報をお客様に提供できるようになっています。最新版のシステムでは、実際に街中や森林地帯、峠を走っているグラフィックが映し出せるようになっています。しかもその映像をショールーム内の大スクリーンに映してお客様といっしょに観ることもできます。こういった取り組みは、BMWが最も先進的だと確信していますね。 >Vol.5に続く    

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TEXT:陶木 友治
運転していて愉しい、それがBMWのBEV :EVでも色褪せない「駆けぬける歓び」BMW Tokyo 成田 仁社長に訊く その3

エンジン車とBEVの両方を選択できる環境を整えている輸入車ブランドの雄、BMW。国内においてBMW正規ディーラーの中核ディーラーに位置づけられるBMW東京の成田 仁社長に、BEVの現状から国内マーケット動向に対する雑感、近未来の戦略まで幅広く話を訊いた。 (プロフィール) BMW東京代表取締役社長 成田 仁 いすゞ自動車にてキャリアをスタートし、2002年にBMW Japanに入社、ディーラー開発の多くのプロジェクトを完遂。2004~2005年にBMW AG(独本社)でアジア・東ヨーロッパのディーラー開発チームでの国際業務を経験。2008年にアウディジャパンへ転職し、ディーラー開発部門にてマネジャーおよびゼネラルマネジャー、2013年にハーレーダビッドソンジャパンにてディーラー開発部門のダイレクターを経て、2015年にBMW Japanに復帰。2020年に常務取締役就任。2021年に、BMW Tokyo代表取締役社長に就任。 ──BMWは2013年に初の量産EVである「i3(2022年に販売終了)」を発売するなど、EVの先駆者としてマーケットを引っ張ってきました。パイオニアとしてのメリットを感じることはありますか。 黎明期から「i3」を扱っていたその延長線上に、より本格的なBEVが発表されて販売から整備までを手がけてきた経緯があるため、私たちだけでなく国内のBMWディーラーネットワークは新しいBEVを抵抗なく受け入れることができ、お客様に対して自信を持って販売できる体制やサービスをいち早く整えることができたというメリットがあったように思いますね。 ──なるほど。あえて「BMWの」EVを購入する顧客は、どのような動機を持っていらっしゃるのでしょうか。数年前と現在を比べて、顧客の志向に変化は見られますか? BMWのEVは大衆車のEVではなく、プレミアムカーのEVということになります。そのため軽自動車や小型車のEVとは異なり、富裕層や時代を先取りしたい方、いわゆる「アーリーアダプター(新しい商品を早期に受け入れ、消費者に大きな影響を与える人)」が購入を望まれる傾向があります。初期の頃は特にその傾向が顕著で、そうしたお客様は充電環境や航続距離をあまり気にせず、「新しいモノが出たからすぐにでも手に入れたい」という方がほとんどでした。エンジン車との並行保有者が大半で、BEVを毎日乗るわけではないため、充電についてはあまり気にされなかったお客様が大半でしたね。 一方で最近では、日常的なBEVの使用を想定し、慎重に購入を見極めようとするお客様が増えてきたと感じています。例えば、「自分にはBEVは時期尚早だから、今回はPHEVにしておこう」とか「長距離ドライブやアウトドアでの使用を考えると、やっぱりディーゼル車がベストかな」というように具体的なシーンをイメージして選ぶお客様が増えています。BEVを比較対象として真剣に検討するお客様が増えていますよね。BMWの強みとして、BEV、PHEV、ガソリン、ディーゼルなど様々なパワートレインを揃えており、使用用途に合わせたクルマを選べるという点が挙げられます。これをBMWは「パワー・オブ・チョイス」という言葉を使って、お客様に多くの選択肢を提供していることを強調しています。 ──BMWは伝統的にそうですよね。 BEVを選ぶかどうかはお客様自身のチョイスであることはもちろんですが、納得して選んでいただけるように、様々な選択肢を用意しています。 BMWのEVに関して、社長という立場を無視して一ファンとしての私見を述べさせていただくと、BMWのBEVは大衆車のBEVとは異なり「走っていて面白い」という特徴がありますね。BEVになっても、『駆けぬける歓び』は失われていないと感じています。エンジン音や振動がなくなって寂しさを感じる人もいるようですけど、私はむしろBEVのほうが加速時のリニア感や低重心がもたらすハンドリングなど、ドライビングの楽しさがより際立つようになったと感じています。そうした魅力をご納得いただいて購入されるお客様も、最近は増えていますね。 >Vol.4に続く  

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TEXT:陶木 友治
増え続けるEV。変わり始めたユーザーの意識:EVでも色褪せない「駆けぬける歓び」BMW Tokyo 成田 仁社長に訊く その2

エンジン車とBEVの両方を選択できる環境を整えている輸入車ブランドの雄、BMW。国内においてBMW正規ディーラーの中核ディーラーに位置づけられるBMW東京の成田 仁社長に、BEVの現状から国内マーケット動向に対する雑感、近未来の戦略まで幅広く話を訊いた。 (プロフィール) BMW東京代表取締役社長 成田 仁 いすゞ自動車にてキャリアをスタートし、2002年にBMW Japanに入社、ディーラー開発の多くのプロジェクトを完遂。2004~2005年にBMW AG(独本社)でアジア・東ヨーロッパのディーラー開発チームでの国際業務を経験。2008年にアウディジャパンへ転職し、ディーラー開発部門にてマネジャーおよびゼネラルマネジャー、2013年にハーレーダビッドソンジャパンにてディーラー開発部門のダイレクターを経て、2015年にBMW Japanに復帰。2020年に常務取締役就任。2021年に、BMW Tokyo代表取締役社長に就任。 ──昨年2022年は『EV元年』と言われました。BMW東京に限らず、BMWグループジャパン全体において、新車販売数に占めるEVの割合は高まってきていますか? 確実に高まってきていますね。昨年の実績で言うと、新車販売に占める「BEV(バッテリー電気自動車)」の割合は8%程度でした。今年に入ってからその割合が拡大傾向にあり、倍増とまではいかないかもしれませんが、最終的には販売比率が10%を超えると見込んでいます。あと数年も経てば、それが20%あるいは30%に拡大する日が確実に到来するという実感を持っています。 「i4」「iX3」「iX」「i7」という従来のラインナップにようやく「iX1」が加わり、さらに「i5」や「iX2」など次々に新しいBEVが登場することでBMWのEVに対する認知も上がってきていますし、BEVを試乗で体験したお客様の中に「これいいね」「未来の新しい乗り物だね」と評価していただける方が明らかに増えてきています。今後、BEVやPHEVなど電動車の販売構成比率が下がることは考えられず、どの程度のスピードで普及が進んでいくかというフェーズに移行しつつあると感じています。 ──BEVの販売増に対応するためには、ディーラーの設備を整えたり、顧客宅における充電器の設置をサポートしたりするなどの環境整備が必要だと思います。サポート面において、BMWならではの特徴はあるのでしょうか? EV購入時に、お客さまが最も心配しているのは充電環境です。航続距離に対する不安ももちろんありますが、航続距離は充電環境さえ整っていればさほど気にする必要はありませんからね。 充電環境につきましては、全国のBMWディーラーで急速充電器の設置がほぼ完了しています。そのほとんどが、高出力の100kw急速充電器です。ディーラーにご来店いただければ、ストレスなく充電できる環境が整ってきています。 加えて、お客様のご自宅に普通充電器を設置する『BMW eインストレーション』というサービスを提供しておりまして、これは、EV専用コンセントを設置するための調査からその工事までをセットで提供するパッケージサービスです。これらの取り組みを通じて、EV購入にまつわるお客様の不安の解消に努めています。BEVにしろPHEVにしろ、身近に充電環境があるかないかで使い勝手も意識も大きく変わってきますから、お客様の充電環境を積極的にサポートする体制を整えています。BEVに特化した専門スタッフを置いているわけではありませんが、エンジニア全員が十分な商品知識とコンサルテーション能力を備えていると自負しています。 サービスに関して言えば、特に高電圧バッテリーを扱える人材の養成、我々は『ハイボルテージエキスパート』と呼んでいるのですが、BMW東京だけではなく、BMWグループジャパン全体でその養成を急ピッチで進めているところです。 ──話を転じて、MINIの状況についても教えてください。 MINIは来年2024年に、まったく新しいBEVモデルを投入する等、次世代に移行します。それに伴い、BMW以上のペースで電動化を進めていく旨が表明されています。現行型では「MINI COOPER S E CROSSOVER ALL4」のみがPHEVですが、来年以降はEVモデルが次々に発売される予定です。それを受け、MINIのディーラーネットワークにおいて充電インフラの整備およびセールスとテクニシャンの教育を進めることが2023年中の大きな課題だと認識しています。 弊社のように、BMWとMINIを両方扱っているディーラーはEVに関する知識とノウハウが積み上がり、インフラも整っていますが、MINI専業ディーラーの場合は、設備の構築から人員の養成まで一から始めなければなりません。来年になってから慌てる必要がないように、年内で対応を完了させる必要があるディーラーも少なくないのではないでしょうか。 >Vol.3に続く      

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TEXT:陶木 友治
日本は今もトップマーケットのひとつ:EVでも色褪せない「駆けぬける歓び」BMW Tokyo 成田 仁社長に訊く その1

エンジン車とBEVの両方を選択できる環境を整えている輸入車ブランドの雄、BMW。国内においてBMW正規ディーラーの中核ディーラーに位置づけられるBMW東京の成田 仁社長に、BEVの現状から国内マーケット動向に対する雑感、近未来の戦略まで幅広く話を訊いた。     (プロフィール) BMW Tokyo代表取締役社長 成田 仁 いすゞ自動車にてキャリアをスタートし、2002年にBMW Japanに入社、ディーラー開発の多くのプロジェクトを完遂。2004~2005年にBMW AG(独本社)でアジア・東ヨーロッパのディーラー開発チームでの国際業務を経験。2008年にアウディジャパンへ転職し、ディーラー開発部門にてマネジャーおよびゼネラルマネジャー、2013年にハーレーダビッドソンジャパンにてディーラー開発部門のダイレクターを経て、2015年にBMW Japanに復帰。2020年に常務取締役就任。2021年にBMW Tokyo代表取締役社長に就任。 ──日本の産業や経済の衰退が言われて久しいですが、BMWグループジャパンの中核ディーラーと認識されているBMW東京は、日本のマーケットの現状をどう捉えているのでしょうか。まずはそこからお聞かせください。 つい先日、来日した独BMW AGのオリバー・ツィプセ会長と話をする機会がありました。彼は「今も昔も日本市場が世界におけるトップクラスの市場の一つであることに変わりはない」と話し、さらに「日本のマーケットはこの数年冷え込んでいたが、日本の富裕層人口は世界2位であり、東京都内に限れば『東京駅前常盤橋プロジェクト』をはじめとする大規模なビルディングプロジェクトがいくつも進行していることを踏まえると、発展の余地がまだまだ残されている」と続けていました。 私もツィプセ会長の意見に同感です。実際、私の目から見ても明るい兆しが見え始めていると思っています。コロナ禍の影響は受けましたが、2021年を最後に「緊急事態宣言」、2022年を最後に「まん延防止等重点措置」が解除され、2023年に入ってからマスク着用が個人の判断に委ねられるようになり、外国人観光客の来日数も目立って増えてきています。マーケットがようやく元に戻ってきたというのが率直な感想ですね。 もちろんロシアによるウクライナ侵攻や半導体不足などの影響で、供給体制が元に戻ったとはとても言えない状況です。供給に制約がある中で市場に活気が戻ってきているので、供給が正常化しさえすれば、BMWとMINIのビジネスがいっきに活性化するのではと期待しています。 競合ブランドとの関係にも触れておきましょう。残念ながら販売実績においてメルセデス・ベンツに水をあけられてしまっている状況ですが、逆に言えば、そのぶんだけBMWには伸びる余地があるということを意味していますから、独BMW AGは日本市場に大きな期待を寄せているはずです。 なかでもBMW東京は、世界最大の都市のひとつである東京のど真ん中、潜在顧客数が最も多い場所に立地しており、今まで以上に販売を伸ばしていかなければならない使命を背負っています。BMW Tokyo Bay、BMW青山スクエア、MINI TOKYO BAY、MINI六本木などの拠点をフル活用して、シェアアップを図っていきたいと気持ちを新たにしています。 ──お話を聞いていて思いましたが、コロナ禍の影響はやはり大きかったのですね。 海外と日本では、影響の出方に違いがありましたね。海外はすぐに影響が出て、いっきに経済が減速しましたが、回復するスピードも速かったんです。 一方の日本は、減速するスピードは緩やかでしたが、回復が著しく遅れています。だから、「日本はいつまで『コロナ、コロナ』と騒いでいるのだろう」と歯がゆい思いを抱えている海外の人が多いと思いますよ。 >Vol.2に続く

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TEXT:田中 誠司
中庸からの脱却は難しい[ソルテラ試乗記:その2]

スバル・ソルテラの高速道路での振る舞いや室内空間を確認しつつ、小旅行を終えて抱いた感想とは。 FWDのガソリン車のような性格 加速のポテンシャルは高速道路に足を踏み入れても変わらない。それまでゆるりとおとなしく一定速を保っていても、合流側の車両の速度に応じてふとアクセルペダルを踏み込んでやると、想像以上に鋭い加速が生み出されて必要な速度に達することができるのだ。 いっぽう、ブレーキは浅く踏んだ瞬間のレスポンスが非常に緩やかで、ディスクによって速度を殺しているという感じをあまり受けない。 車検証上における前後重量配分は前が1,110kg、後が940kgである。モーターは前後それぞれに80kW(109ps)を配している。従来のトヨタ/スバル製SUVと操作性を極端に変えないように、コンポーネンツの配置をこれまでのFWDベースのSUVと大きく変更していないのが理由だ。ゆえにフロントのボンネットを開けてもいわゆる“フランク”と呼ばれるラゲッジスペースは存在しない。 とはいえ、全長が5ナンバーサイズに収まるソルテラにおいて、荷室容量と室内空間に苦情が出る心配はまずないだろう。カタログ掲載の荷室容量は441〜452L、実測値では幅の最大値が129cm、奥行きが98cm、トノカバーまでの高さが40cm。スクエアでとても使いやすそうだ。 身長172cmの筆者がドライビング・ポジションを決め、その背後に移動したシーンにおいて膝前には23cmの余裕がある。床面もプロペラシャフトがないため足の置き場に困ることはなく、前席と合わせて5人のおとなが長距離移動することになったとしても文句はないだろう。試乗車はスタッドレス・タイヤを装着していたが、ざわついた感じは本当にわずかで、これがノーマルタイヤだと言われても気づかない範囲でしかなかった。 車重が大きいEV、とりわけ積載量も大きいSUVはタイヤサイズが特別な意図をせずとも大きくなってしまうケースが多い。となれば乗り心地の突き上げ感もロードノイズも増大してしまうのが当たり前で、これをどのように抑えているのかがクルマ選びのポイントにもなるだろう。

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TEXT:田中 誠司
空飛ぶ絨毯のような加速フィールに驚く[ソルテラ試乗記:その1]

「スバル・ソルテラ」は「トヨタbZ4X」の兄弟モデルである。後者と違いサブスクリプションモデルを利用せず普通に購入できたり、リアシートヒーターがなぜかこちらだけ標準装備だったりはするものの、基本的にはbZ4Xと同一のモデルである。すでに生方 聡さんのbZ4Xの記事が掲載されているので、普段はまだICE(内燃機関)モデルを愛用している筆者なりの見解についてここでは書き記していきたい。 上品なインテリア、無骨なエクステリア 広報車両を受け取ったのは恵比寿のスバル本社ビル地下でのことだった。地下深くから螺旋状の細いスロープを登るにあたり、幅が結構広くて大きな車だという印象を受けた。Aピラーが前方に配置されていてかなり視界から遠いために、距離感が測りにくいのだと思う。コンパクトカーに乗り慣れた人だと戸惑うかもしれない。 インテリアにはダッシュボードの一部にファブリックをあしらっていたり、ダッシュボード中央の大ぶりなモニターがオーソドックスにスクエアな形状だったりする。それ自体は問題ないのだが、特別に高級感を感じさせるわけではないことから、約700万円のクルマとしては平凡すぎるという評価を受けるケースもある。 表面的なデザインの印象や、前述した取り回しの問題はさておき、横幅方向には非常にゆとりがある。運転席と助手席が完全に隔てられているので、パートナーとの関係がうまく保てるのだろうか、と要らぬ心配もしてしまうけれども。 そのようにどちらかというと上品さを強調したインテリアと異なり、エクステリア・デザインはがっしりした印象だ。フェンダーに使った樹脂パネルが多少傷ついても構いやしないといった、ラギッドな印象を与える。Aピラーの下やリアドアのあたりに深いキャラクターラインがあって、その仕上げも高品質だ。素直にカッコいいと言われるデザインであるだろう。 静かで十分に速いパワートレイン 電動パワーユニットから発せられるサウンドは、どんな速度から踏んでいったとしても、昨今の電気自動車の中でもとりわけ穏やかであるように思う。トヨタとスバルの共同開発であるソルテラにおいて、パワートレインはハイブリッド車の分野で実績のあるトヨタが主に担ったと聞いているが、「モーターはとにかく静かであることこそが、ICEと差別化できるセリングポイントなのだ」と、両社は現時点における経験上信じているのではないだろうか。 そのように静かなパワーユニットによって、滑り出しの加速は空飛ぶ絨毯のように軽い。車重とパワーユニットの最高出力から期待されるよりずっと逞しく加速する。ちょっと信号で出遅れたかなと思って深く右足を踏み込めば、優に隣のクルマを追い越してしまい、市街地における制限速度をうっかり超えそうになってしまうほどだ。この常用域におけるスピード感の希薄さはこれでいいのかな、と少し疑問にさえ思う。 加速に伴うノイズがきわめて少ない車内には、大径のタイヤ&ホイールが跳ねる音がたまに聞こえてくることもあるが、日本車ならではの組付け品質の高さもあり基本的にはとても静かで、ハーマンカードンの秀逸なオーディオ・システムに集中して耳を傾けることができる。 市街地における乗り心地については、硬めに作ったほうがいろいろな意味で安全と捉えたのか、基本的にボディの剛性感は高いものの、4輪に入力があるたびにボディがそっくり正直に揺すられる感覚はある。約700万円のクルマであれば、もう少し鷹揚に動いてくれたほうが高級車らしい雰囲気を感じやすい。フードが備わらないメーターは、不思議だけれど昼間でも夜でも一切見にくいとは思わせなかった。 スバル・ソルテラ ET-HS 全長:4,690mm 全幅:1,860mm 全高:1,650mm ホイールベース:2,850mm 車両重量:1,930kg 前後重量配分:前1,110kg、後940kg 乗車定員:5名 交流電力量消費率:148Wh/km(WLTCモード) 一充電走行距離:487km 最高出力:160kW(218ps) 最大トルク:338Nm(34.5kgm) バッテリー総電力量:71.40kWh モーター数:前1基、後1基 トランスミッション:1速固定 駆動方式:AWD フロントサスペンション:マクファーソン・ストラット式 リアサスペンション:ダブルウィッシュボーン式 フロントブレーキ:ベンチレーテッドディスク リアブレーキ:ベンチレーテッドディスク タイヤサイズ:235/50R20 最小回転半径:5.6m 荷室容量:441L 車体本体価格:6,820,000円    

TAG: #ソルテラ #パワートレイン
TEXT:田中 誠司
「サステナビリティ」に取り組むボルボの特徴。部門責任者インタビュー

ボルボ・カーのサステナビリティ責任者のステュアート・テンプラー(Stuart Templer)氏インタビューの続編。ボルボのクルマ作り、そしてアフターセールスの考え方を尋ねる。 全部門にサステナビリティ担当者を配置 THE EV TIMES(TET):自動車業界の内外で参考にされている企業や団体があれば教えてください スチュアート・テンプラー(ST):たとえばスウェーデンのブランドであるイケアは、企業のサステナビリティにおける世界的リーダーとして知られています。サステナビリティが企業の血流として文化として根付いているからです。私のようにサステナビリティにかかわる肩書きを持つ人たちだけでなく、全社員がそれを貫いているのです。 サステナビリティの中心的なチームには15人ほどの社員がいます。しかし私たちはサステナビリティ戦略をまとめているだけで、事実上、会社のすべての担当者が参加しているといえます。私たちのサステナビリティの目標を実現するためには、社内のさまざまな分野に焦点を当てた人材が必要です。例えば、研究開発部門にはサステナビリティ・センターと呼ばれるものがあります。これは、世界的に有名なセーフティ・センターと同じ位置づけです。また、調達、設計、人事、財務の各部門にサステナビリティ担当者を配置しています。小売店ネットワークにおける排出量を削減するチームを社内のすべての部署に置いています。 私たちの使命は、全従業員が気候変動対策、循環型経済、倫理的で責任あるビジネスのそれぞれに関する非常に高い目標について、どのようにすれば達成できるかを考えるようにすることだと思います。 最もよく知られているのは、2030年までに完全な電気自動車メーカーになるというものです。気候の面では、先ほど申し上げた40%削減という目標がありますが、これは企業のトップレベルの目標である循環型経済が必要です。例えば、私たちのクルマにはリサイクル素材を使用するという目標があります。例えば、2025年までに再生プラスチックを25%、再生鉄を25%、再生アルミニウムを40%使用するというものです。これらは業界においてトップレベルの目標です。そして新しいEX 90は、プラスチックの15%を再生プラスチックまたはバイオベース材料とし、スチールの15%をリサイクル、アルミニウムの25%をリサイクルするという循環経済目標に向けて順調に前進しています。EX 90は、私たちのサステナビリティへの意欲を反映したものですが、私たちの旅の終わりではなく次のステップなのです。

TAG: #SDGs
TEXT:田中 誠司
ボルボの部門責任者が語る「サステナビリティ」のあり方とは

ボルボは2023年第4四半期に、7人乗りの大型電動SUV「EX90」を生産開始すると発表した。システム最高出力380kW(517ps)、最大トルク910Nmという圧倒的な出力に、111kWhの大容量バッテリーが電力を供給し、航続距離は最長600km。LiDAR(ライダー)、レーダーセンサー、カメラ、超音波センサー等を多数配置し安全性や自動運転支援機能でも世界のトップを目指す。この新型電動SUVの生産計画が明らかになったのを機会に、サステナビリティ責任者のステュアート・テンプラー(Stuart Templer)氏に話を聞くことができた。 ボルボの目標設定の方法とは? THE EV TIMES(TET):ボルボは自動車産業全体のサステナビリティをリードしていると思いますが、どのように目標を定義しているのでしょうか。 スチュアート・テンプラー(ST):ボルボはサステナビリティが安全性と同じくらい重要だと考えています。道路輸送は世界の温室効果ガス排出量の約10%を占めており、私たちはその解決策の一翼を担う必要があります。私たちの目標はパーソナルで持続可能かつ安全な方法で移動する「自由」です。企業戦略全体の中で重要かつ、将来の成功に不可欠なものです。 消費者はあらゆる面で持続可能な製品を求めるようになっています。自動車でいえば、排出ガスゼロだけでなく、その製造方法や、持続可能で責任を持って調達された素材が含まれているかどうかも含まれます。 特に、カーボンフットプリントの削減という点でより持続可能であろうとする企業に、投資家はますます注目するようになっています。そして若い人たちは、人と地球の両方にポジティブな影響を与えるという価値観を持つ企業で働きたいと考えています。 各国政府は排ガスに関する規制を強化しつつあります。例えば、EUでは2035年までに従来の化石燃料車の販売を制限することを決定しています。リサイクルについても、例えば、工場が責任を持って鉱物を調達していることを確認する必要があります。私たちや他の企業が世界の多くの国で事業を展開しようとするならば、サステナビリティ・パフォーマンスを向上させなければならないでしょう。

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連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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