EVは本当に災害に強いのか
日本は昔から地震や豪雨、台風などの災害が多い。それら災害が起きるたびに長期の停電に見舞われる地域が出る。電力インフラも、大規模災害では広範囲に影響を受けることがある。そんななか、自宅にEV(電気自動車)があれば「動く蓄電池」として使えるのではないか、という発想が広まってきた。EVは大容量のバッテリーを積んでいるため、災害時の頼れる味方として語られることが多い。一方で、「停電したら充電できないのだから、むしろEVは災害に弱いのではないか」という反論も根強い。果たして実際のところはどうなのか。現実的なケースを想定しながら考えてみたい。
<停電では充電できないが、大容量蓄電池として使えるEV>
EVは車種によって幅はあるが、おおむね40kWhから100kWh前後の駆動用バッテリーを搭載している。仮に60kWhのEVが満充電に近い状態だったとしよう。一般的な家庭の電力消費量は、季節や世帯人数で大きく変動するものの、環境省の家庭部門CO2排出実態統計から計算すると、年間約4322kWh、1日約11.8kWhとなり、単純計算では、60kWhのバッテリーで5日前後をまかなえる勘定になる。これは災害時の備えとして決して小さくない。
また、ガソリン車では燃料が半分程度で給油する人は必ずしも多くない。一方、自宅充電が可能なEVユーザーは一般的に航続距離を意識してこまめに充電する傾向があり、それが結果として非常時の備えになりやすい。

ただし、ここで重要なのは「クルマから家へ電力を取り出す手段があるか」という点だ。これがなければ、いくらバッテリーに電気が貯まっていても宝の持ち腐れになる。
EVから電力を取り出す方法は大きくふたつある。V2L(Vehicle to Load)とV2H(Vehicle to Home)の機能である。V2Lはクルマのバッテリーから家電や電動工具に直接給電する仕組みで、出力は機種によって異なるが100Vで最大1500W程度給電できる車種が多い。炊飯器、電気ケトル、スマートフォンの充電など、避難生活の必需品を稼働させるには十分な出力である。V2Hはさらに進化した仕組みで、EVを住宅の電力系統と双方向につなぎ、家全体への給電を可能にする。日産リーフ(2代目以降)、三菱 アウトランダーPHEV、トヨタ bZ4Xなど、現在ではV2H対応車種も増えつつある。

このV2Hこそが、EVを「動く蓄電池」に変える鍵である。V2H機器とそれに対応したEVをそろえておけば、停電時にも家庭の照明や冷蔵庫、通信機器をかなりの期間動かし続けられる。

















































