#テスラ
TEXT:斎藤充生
東京オートサロンのテスラ全部撮る! 台数増加のカスタムテスラが激旬だった

緊急企画「サロンのテスラ全部撮る」 それは突然のことでした。1月10~12日まで開催されたカスタムカーショー「東京オートサロン2025」を取材中、ちょっと休憩のつもりで報道関係者が集まるプレスルームに戻り、THE EV TIMESのF氏と会場内の展示車両について情報交換をしていた時のことです。 斎藤「いや~、今年はEVの展示が増えましたね~」 F「増えた、増えた。とくにテスラが目立つよね」 斎藤「確かにいわれてみればチラホラ見かけた気がします。各車でテイストも違っていて面白いです」 F「ならさ~、斎藤君まだ取材続けるでしょ? 移動している最中に見つけたテスラ全部撮影してさ、それで記事でも作ってよ!」 斎藤「(!!!! えぇぇぇぇ) は、はい、かしこまりました。やらせていただきます(大汗)」 簡単にいうな~! と心のなかで叫びつつ、笑顔は崩さず最敬礼。下っ端フリーライターの悲しい性で、来るもの拒まず折角のご発注に対してはありがたく頂戴いたします。 とはいえ、出展社数389社、会場のあちこちに点在する展示車両の合計は857台。出展社の名前と展示位置は会場マップを見ればわかるものの、その389社がどんなクルマを展示しているのかまでは、細かく情報が掲示されていません。そうです、広い会場を歩いて探すしかありません。 ほかにも取材すべきクルマやブースはあるのですが、残りの取材可能時間は約4時間、立ち止まっている暇はありません。会話から生まれた思いつき企画、題して「サロンのテスラ全部撮る」実行です。 オートバックス:A PIT EV MODEL Y オートバックスの旗艦店「A PIT AUTOBACS SHINONOME」が製作したモデルYは、EVでもカスタマイズする楽しさは健在であることを証明するための1台になっています。 EVというとカスタムやチューニングはできないんじゃないか、と構えてしまうところがありますが、A PITの手にかかればそんなことはありません。むしろA PITととしては、どうやったらお客さんがEVでもカスタムを愉しんでもらえるか、ユーザーに先行してEVカスタムの可能性を探っているわけです。そのため、ラッピングすることでセンサー類に異常が発生しないかもテストしているといいます。 カスタムというと、外見の変化に目が行きがちですが、車内の快適性向上も立派なカスタムのひとつです。モデルYはそのキャラクターから長距離移動の需要が高いと考え、レカロシートを導入するうえではセンターコンソールに肘が置きやすくなるように、シートレールを独自開発し最適な高さになるよう調整が施されています。 また、車内の音楽視聴環境にも注目。ビーウィズとフォーカルのテスラY、モデル3専用スピーカーキットをラインアップするほか、静音キットを開発して両者を組み合わせることで、静粛な車内を創り出し、クリアな音質を響かせることに成功しています。 走りの面でも、A PITオリジナルのサスペンションキットとアンプラグドの調整式スタビライザーで質感を高める工夫がされていますし、BBSのLMホイールも前後異なるサイズをスマートに装着してみせています。もちろんエアロも車検対応品で、Maxton Designのものが採用されています。 YOKOHAMA&YOKOHAMA WHEEL:リバティーウォークEV向けエアロ装着 モデル3 横浜ゴムのADVANブランドをPRするブースで光り輝いていたのは、リバティーウォークのEV向けエアロシリーズ「LB-E-WORKS」をまとったテスラ・モデル3。迫力のワイドフェンダースタイルは誰が見てもリバティーウォークのそれで、米国を中心に海外でウケること間違いなしのルックスです。 足もとは「走りのホイール」として絶対的な人気を誇るADVAN Racing GTの進化型ホイール、ADVAN Racing GT Beyondの19×11Jを前後に装着。深くコンケープしたスポークが、凄みを感じさせます。もちろんここは横浜ゴムのブースなので、タイヤも275/35R19のADVAN Sport V107を履かせてビシッときめてます。 リヤも存在感のあるダックテールウィングとディフューザーで完全武装。王道のリバティーウォークスタイルでありながら、上質さを感じるのはそのデザインが完成の域に達しているからでしょうか。 黒基調のブースに真っ白なド迫力ボディとレーシングチタニウムブラックのADVANホイールの組み合わせは、オートサロンのEV関連展示では間違いなくもっとも「映え」ていた1台です。 MID WHEELS:EV専用ホイール「TW025」装着 モデルY アルミホイールの老舗メーカー「マルカサービス」が展開する「MID」ブランドは、モデルYにEV用ホイールとして開発されたTW025を装着して展示。車両の左右で装着ホイールの色を変え、オプションパーツの有無でも違いを表現していました。 マルカのMIDといえば軽量かつ高強度なホイールを生み出す「フローフォーミング製法」が有名ですが、このホイールの場合はEV特有の静かな走りを阻害しないよう、ホイールのインナーリムの厚さをあえて厚くするEV専用チューニングが施されています。 厚みを増やすことで重量は多少重くなる反面、バネ下から発する共鳴音を抑え、車内に侵入する不快なノイズを低減できるそうです。とくに後部座席は後方に大きなラゲッジスペースを抱えていることから、その効果を顕著に感じられるとのことです。 また、このホイールには「エアロコンセプトプレート」と呼ばれるリムに沿って装着するプレートがオプションで設定されています。 見た目の印象が大きく変化するだけでなく、空力的な洗練さを感じさせることから、メカ好き男子には堪らないアイテムではないでしょうか。

TAG: #カスタム #テスラ #東京オートサロン2025
TEXT:琴條孝詩
テスラが日本を変える可能性! ヤマダデンキで「パワーウォール」を販売する裏にある壮大な計画

全国のヤマダデンキでパワーウォールを販売 <家電量販店進出で始まるテスラの新たな挑戦> EV(電気自動車)メーカーとして知られるテスラが、その革新的なバッテリー技術を活かした家庭用蓄電システム「パワーウォール」の販売を、沖縄を除く全国のヤマダデンキで取り扱うことが発表された。テスラが日本の家電量販店で蓄電池販売を開始するこの動きは、エネルギー市場における新たな展開として注目を集めている。 これはテスラにとって単なる販売チャネルの拡大ではなく、日本市場における戦略的な布石といえるだろう。 まず、テスラの「パワーウォール」をご存じない方に簡単に説明しておこう。これは家庭用の大容量リチウムイオンバッテリーシステムで、太陽光発電システムと組み合わせて使用することで、昼間に発電した電力を夜間や停電時に利用することができる。 最新の「パワーウォール」では、1台につき13.5kWhの容量をもち、5kWの電力を供給できる。さらに、最大10台まで連結できるので、それらを組み合わせることで、より大きな容量のシステムを構築することもできる。 「パワーウォール」の特徴は、その高い効率性と柔軟性にある。充放電効率は90%以上で、家庭のエネルギー使用を最適化するための高度な制御システムを備えている。また、テスラの専用アプリケーションを通じて、リアルタイムでエネルギー使用状況をモニタリングし、管理することができる。

TAG: #テスラ #パワーウォール #ヤマダ電機
TEXT:斎藤充生
東京オートサロン2025はICE車ばかりでなくEVも増殖中! 「テスラの痒いところにも手が届く」そんなイベントになっていた

テスラの利便性向上アイテムを会場で見つけた 1月10日からスタートした自動車ショー「東京オートサロン」は、チューニングやカスタムやドレスアップを施したクルマの祭典ではあるが、なかには便利グッズが展示されていたりするので、くまなく散策するとおもしろい。 会場は東西に長く、別棟にもうひとつホールがあるため、会場を隅々まで見てまわると足が棒のようになってしまうが、会場で見つけたテスラ向けの便利グッズをお届けしよう。 巨大ガラスルーフに電動シェードが付けられる テスラの代名詞ともいえるのがガラスルーフ。開放的な室内はリヤシートからも空を眺められ、とかく閉塞的な後席も快適に過ごすことができる。しかし、昨夏に代表されるように、近年の夏は暑く日差しが強い。ドライバーはもちろんのこと、同乗者の日焼け対策、熱中症対策はもはや不可欠だ。 そこでお勧めしたいのが、数々のテスラ向けパーツをリリースしているTBRのモデルY用電動式サンシェードだ。ボタンひとつで任意の位置で止めておくことができるため、前席は明るく、後席は日差しを遮ることができる。小さなお子さんや、ペットを同乗する方にお勧めなアイテムといえそうだ。 電動ゆえに取付作業は発生するが、それでもわずか13万円程度で購入取付が済んでしまう。手動シェードも世の中には存在するが、収納状態のシェードを腕を伸ばして引き抜くのは一筋縄にはいかない。電動でラクチン開閉、いかがでしょう? 同じTBRからは、テスラのフロント部分に備わるトランク(通称:フランク)を電動化する商品「パワーフランク」もリリースされていた。 操作はいたって簡単で、純正スマホアプリに開閉機能を割り込ませてスマホの遠隔操作で開閉する。もちろん純正のキーフォブと室内モニターからの操作にも対応している。片手が開いていれば至極便利なアイテムだ。 テスラ3用で税込み7万7000円、やや大型となるテスラY用は税込み8万2500円で取付工賃はどちらも税込み3万800円となっている。 なお、フランク用のLEDイルミネーションもラインアップされているので、併せて購入するのがお勧めだとか。 そして、TBRからの最後のアイテムとして紹介しておきたいのが、純正センターモニターの角度調整ができるアイテム「タッチスクリーンスイベルマウント」だ。同様の商品は他社にも存在するそうだが、モニター背面に位置する首振り部のクオリティーに不満を持つ方が多いようで、TBRはそこにこだわって製作したという。 この商品を使うことで、ドライバー側へモニターを首振りできるだけでなく、少しモニターの上端が下方に下がるため、華奢なドライバーは前方視界の改善にもつながるという副次的効果も得られる。体格差の大きいご家族にお勧めのアイテムといえそうだ。 オートバックスのPBブランドからも便利グッズが登場 幅広いカーユーザーに安くて高品質なものを届けるためにオートバックスが展開している「AQ」。洗車用品やクッション類のコーナーで目にしたことのある方もいると思うが、そのAQシリーズにテスラ用がラインアップされているのをご存知だろうか。 これまで車種専用グッズは輸入車用のフロントサンシェードが約20車種分用意されているにとどまり、基本的には汎用品としてラインアップを充実させてきた。しかし、このサンシェードでテスラ3、テスラY用を設定したのをきっかけに、テスラ用商品をラインアップするととなった。 実際にテスラ用商品の開発にあたったオートバックスセブンの能美氏は、テスラユーザーが集まるオフ会などに出向き、試作商品を見せてユーザーからダメ出しをもらいながら商品改良と選定を行ったという。 そこで、数あるラインアップからおすすめの逸品をうかがうと、スマートフォンホルダーがイチ押しだという。いやいや、エアコンルーバーかダッシュボードに張り付けるかクリップするスマホホルダーが人気だなんて、冗談もほどほどにしていただきたいと思ったのだが、聞けば納得の理由があった。 ご存知の通りテスラのフロントダッシュボードはやや特殊な形状。通常のクリップタイプのホルダーを挟む余地がない。そこで、ダッシュボードやセンターモニターの裏側に粘着テープ方式でホルダーを取り付けるのだが、見た目がスマートでないことや、取付位置を変更したくても粘着テープが剝がれない(そもそも剥がれないように作ってあるのだが)という不満が数多く聞こえてきたのだという。 そこで解決策として編み出されたのが、独特なダッシュボードの溝にはめる形のホルダーだ。本体裏面の取り付け部に秘密があるという。 これで取付の自由度が飛躍的に高まったうえ、着脱も可能に。モニター取付用も粘着方法を改良してラインアップされているので、ニーズに応じて選択ができる。 ここで、こぼれ話。AQ for TESLAにはテスラ専用マットがラインアップされているが、これも世の中に数多と存在する。しかし、オートバックスの専用マットの「当たり前な配慮」がじつは優れものだったというエピソード。テスラ専用マットを何気なく展示していたところ、手に取ったテスラユーザーからマットの裏面にズレ止め処理がされていることに驚かれたのだという。 これはオートバックス側が意図して加工したわけではなく、「ズレ止め処理して当然でしょ?」と常識的に商品化したのだが、通販サイトにいくつもあるマットは、大抵ズレ止め処理がされていないのだという。日本人の感覚からしても処理が施されていて当然だと思うが、どうも海外製品はまだまだお粗末なようだ。こういったあたりも日本のカー用品市場とユーザーニーズを熟知しているオートバックスの製品ならではといえそうだ。 海外ECサイトが幅を利かせるようになって久しいが、やはり日本人の細かな気配りと厳しい審美眼は良い商品を生み出すのだと、ド派手なカスタムカーの傍らで考えた次第だ。

TAG: #TBR #オートバックス #テスラ #マルカサービス
TEXT:桃田健史
買い替えずとも乗ってるクルマの「自動運転レベル」が進化する! テスラが火を付けた「OTA」ってなに?

自動運転技術に対して積極的にOTAを導入 テスラに関して、自動運転技術のアップグレードについてのさまざまな情報をネット上で見かける。モデルによって、また販売時期や購入時期によって、テスラユーザーの想いは異なるようだ。また、いわゆる認定中古車ではない状態で中古車市場に出まわるテスラ車についても、状況は異なることが考えられる。 そのため、本稿では対象をテスラに限定するのではなく、テスラが自動車産業界に大きなインパクトを与えたOTA(オーバー・ジ・エアー)の観点で話を進めていきたい。 まずは、話の前提として、自動運転レベルについて触れておきたい。グローバルでの共通認識として、自動運転技術を示すレベルにはレベル1からレベル5の5段階があり、レベル1とレベル2では運転の主体はドライバーだ。そのため、この領域は先進運転者支援システム(ADAS)となる。レベル3、レベル4、そしてレベル5になると、運転の主体はクルマのシステムが担う。 このうち、レベル3では気象状況などにより、クルマのシステムが自動運転の継続が難しいと判断した場合、ドライバーに運転をリクエストする。それが、レベル4になると、ハンドル、アクセル、ブレーキなど車内操作類がなくなり、いわゆる自動運転という感じのクルマとなる。 さらに、レベル5になると、そのような走行環境でも完全な自動運転を行うとしているが、これはあくまでも理想論であり、実質的にはレベル4が最上位の自動運転という考え方が、自動車産業界での常識になってきている。 こうした自動運転レベルやそれに伴うODDと呼ばれる走行環境・条件を、通信によって車載システムのデータを書き換えることを、OTAと呼んでいる。 自動車メーカー各社は2010年代前半頃から、OTAを含むコネクテッド技術の研究開発を加速させてきた。2010年代半ばにはアメリカのハッカーが車載システムを遠隔操作する模様をネット上に広めるなどしたことがきっかけとなり、自動車産業界全体でサイバーセキュリティ強化の動きが強まった。 OTAについても慎重な姿勢を示す自動車メーカーが多かったなかで、テスラは自動運転技術に対して積極的にOTAを導入した。 その当時、アメリカのテスラ本社を取材したが、担当者はまずは先行して高性能なハードウェアを製造時に組み込み、その後にOTAによってアップグレードする計画を示した。 こうしたハードウェアの先行導入時期とその基本性能、OTAのソフトウェアのアップデートのタイミングについてのバランスをどう取るのかは、コネクテッド技術が急速に発達するなかで、コストと利便性の観点でとても難しいと思う。 こうしたコネクテッド技術の進化の過程で、OTA導入により先行したテスラが今後、どのような対応をするのか興味深いところだ。 テスラは10月、レベル4によるロボタクシーの社会実装計画に加えて、モデルYやモデル3などの乗用モデルについても自動運転レベル3相当の標準装備化を進めると発表している。

TAG: #OTA #オン・ザ・エアー #テスラ
TEXT:高橋 優
BYDの売り上げ鈍化に注目しても意味なし! むしろ心配すべきはテスラか? BYDは利益率も投資額も驚くべき水準だった

2024年第一四半期決算報告から見えるBYDの戦略 中国BYDの2024年第一四半期の決算が発表され、前四半期比で、EV販売台数だけではなく営業利益率についても悪化が確認されました。その一方で、テスラの決算と比較することで浮かび上がってくるBYDの経営戦略について解説をします。 現在BYDは、バッテリーEVとPHEVのみをラインアップするというEV専業メーカーであり、中国国内だけではなく、日本市場をはじめとした海外展開を加速している状況です。他方で、BYDに対する逆風というのが、2023年冒頭にテスラが始めた、中国国内におけるEVの値下げ戦争です。しかも、その2023年初頭までは、バッテリーの原材料であるリチウムのコストが暴騰していたことによって、まさに値下げ圧力と原材料コストの高騰というダブルパンチを受けてしまっていたわけです。 そして、当初BYDに関しては、2023年シーズンにおける販売台数360万台を目標としていたものの、結局は、2023年シーズン通しで300万台をわずかに突破するというレベルで落ち着いていました。いずれにしても、2024年シーズン以降、BYDがどれほど販売台数と収益性を両立させることができるのか。とくにEV減速と世間でいわれながら、EVで利益を出すことも難しいといわれるなかにおいて、世界最大のEVメーカーが、どれほどのパフォーマンスを実現できるのかに世界が注目しているという背景が存在しました。 このような背景において公開されたBYDの2024年第一四半期における決算内容について、まず初めに、BYDの月間販売台数の変遷についてを確認してみると、2月については販売台数を大きく落としてしまっている様子が見て取れます。これは、春節が2月に丸々被ってしまったことによって、自動車マーケット全体が大きく落ち込んでしまっていたことが要因です。 実際に、四半期別の販売台数を見てみると、とくに紫のラインで示されたテスラについては、まさかの前年同四半期比でマイナス成長に留まってしまっていたものの、BYDについては着実に成長。とくにバッテリーEVに絞った販売台数については着実に成長していることが見て取れます。 一方、その売り上げに関しては1249.4億元、日本円でおよそ2.7兆円と、前年同四半期比でたったの4%程度しか成長することができていません。この販売台数の増加に対する売り上げの伸び悩みについては、間違いなく値下げ戦略が影響しています。 というのも、BYDは春節が明けた2月中旬から、2024年モデルとしてHonor Editionを全モデルに対して適用。内外装のアップデートを行いながら、全モデルの大幅値下げも断行しました。したがって、その全モデルに対する大幅値下げの影響もあって、販売台数が伸びているにもかかわらず、売り上げをほとんど伸ばすことができなかったわけです。 他方で、BYDの底力が見て取れるのが、その収益性という点です。とくに注目するべきは粗利益と売り上げに占める粗利益率であり、直近の2024年Q1については、前年同四半期と比較しても粗利益を増加させることに成功。その粗利益率に関しても21.88%と、過去最速水準を実現しています。 この数字の何がすごいのかといえば、大幅値下げによって台あたりの売り上げは低下してしまっているものの、その売り上げ低下以上に、台あたりの原価低減に成功しているという点です。これは間違いなく、バッテリーの原材料価格の低下とともに、そのバッテリー生産における垂直統合がさらに進んでいるということ、およびDenza、Fangchengbao、そしてYangwangといった高級車ブランドの販売比率が増加していることが要因として考えられます。 いずれにしても、BYDはEV値下げ戦争がさらに熾烈化する中国国内主体の販売構成であるにもかかわらず、むしろ収益性を改善してきているという驚愕するべきデータが明らかになったといえるでしょう。 その一方で、販管費や研究開発費などを差し引いた営業利益という観点では、かなり苦戦しているのではないかという指摘も存在します。 実際に、この営業利益と営業利益率を示したグラフでも明らかな通り、Q1の営業利益率は4.64%と、前年同四半期比でわずかに改善しているものの、史上最高水準に達していた粗利益率と比較すると、確かに伸び悩んでいるように見えます。 この営業利益の伸び悩みに関しては、大きくふたつの理由が存在します。 まずひとつ目が販売管理費が大幅に増加しているという点です。というのも、BYDは現在、Denza、Fangchengbao、そしてYangwangブランドという新規プレミアムブランドについて、その販売拠点やアフターサービス拠点を大幅に拡充している状況です。その上、BYDは2023年シーズン以降、日本をはじめとして海外展開を加速中であり、その分だけ販売管理費がさらに増大。いずれにしても、その販売ブランドの多角化、および海外展開の加速という両方を同時に推し進めていることで、販売管理費が大きく圧迫している状況が推測できます。 そして、それ以上に重要であるのが、ふたつ目の研究開発費という観点です。というのも、BYDは2022年以降、売り上げに占める研究開発費の比率を急拡大している状況です。 このグラフのとおり、2023年Q1については、その研究開発比率は5.19%とすでに過去最高水準の比率を実現していたものの、その後の研究開発費に対する投資額の伸びは凄まじく、2023年Q4では140億元以上、日本円でおよそ3000億円以上という、歴史上最高の研究開発費にすら到達。その研究開発比率についても驚異の8%オーバーです。 そして、直近の2024年Q1については、その研究開発比率はこれまた驚きの8.49%に到達し、歴史上最高の比率を更新。前年同四半期比でもなんと70%以上という研究開発費用の増加であり、いずれにしても、この研究開発に対する投資額の爆増も、営業利益を大きく圧迫している要因であり、もはや第二創業期とも呼ぶべき、EVスタートアップのような投資比率である様子も見て取れます。 このようにして、BYDに関しては、競合のテスラが販売台数を落とすなかにおいて、販売台数をむしろ増加させることに成功したものの、大幅値下げを行ったHonor Editionの導入によって、売り上げをほとんど伸ばすことができなかったわけです。

TAG: #BYD #テスラ #中国
TEXT:高橋 優
やっぱり日本でEVは需要薄か!? 国産で好調なのは軽EVだけという現実

サクラ以外のEVがぜんぜん売れていない日本 日本国内の最直近3月度の電気自動車の販売台数、および人気のEVの詳細が判明しました。とくに、EV販売台数が前年比で低下するという兆候が止まらないという厳しい流れのなか、テスラに対する厳しい見通し、中国BYDが販売台数を大きく伸ばすという最新動向も含めて解説します。 まず、最直近である2024年3月度のバッテリーEVとPHEVの販売台数の合計1万2793台と、2024年に突入してから最高の販売台数を更新しました。ところが前年同月と比較するとマイナス15.6%という販売台数の減少を記録しています。 通常のマーケットであれば、年末にかけて販売台数が最大化し、1月以降は販売台数が落ち込むものの、この日本に関しては、そのほかのマーケットとは異なり、年度末が3月に該当するということから、この3月こそ自動車販売が最大化するわけであり、残念ながら前年を超えることができなかったという点で、4月以降も幸先の悪い見通しとなる予感です。 次にこのグラフは、バッテリーEVとPHEVの合計が、自動車販売全体と比較してどれほどの割合を占めているのかの変遷を示した電動化率を示したものです。黄色のラインで示されているとおり、最直近の3月については3.33%と、歴史上最高の電動化率を達成したものの、2022年12月と比較しても後退している様子を確認可能です。 他方で、前年同月である2023年3月の電動化率は3.17%であったことから、EVの販売割合自体は若干の上昇トレンドです。いずれにしても、この4月以降、電動化率上昇のトレンドが続くのか、いつになったら歴史上最高の4.12%のバリアを突破することができるのかに注目です。 次に、そのEVのなかでも、とくにバッテリーEVの販売動向についてを詳細に確認していきたいと思います。 まずこのグラフは、バッテリーEVの販売台数を、乗用車と軽自動車それぞれで比較したものです。 注目すべきは、黄色で示されているバッテリーEVの販売比率であり、1.94%と、いまだに2%を突破することができていない状況です。 その一方で、前年同月に関しては2.01%であったことから、確かにPHEVも含めると販売比率は上昇しているかに見えていたものの、バッテリーEV単体で行くと、販売比率でも前年割れです。やはり明確に、日本国内のEVシフトが停滞、というよりもむしろ後退し始めている様子が見て取れるわけです。 他方で、日産サクラなどの軽EVを除いた、乗用車セグメントのEV単体の販売台数を示したピンクのラインを追ってみると、3月は4000台弱と、前年はおろか2年前と販売台数が変わっていません。つまり、2年前よりもバッテリーEVの販売台数が増えている理由というのは、シンプルに「日産サクラにより軽EVが売れただけ」であり、乗用車のバッテリーEVの販売台数は、2年前からまったく変化していないのです。 この2年前に関しては、環境省が主導して最大80万円という電気自動車購入に対する補助金が倍増された年であり、その後も経産省が主導する形で、同程度の補助金額が維持されていたものの、2024年3月末までは、基本的に同様の補助金額が維持されていたわけです。 つまり、何がいえるのかといえば、この2〜3年ほどのEV販売台数を追っていくと、日産サクラに対する55万円もの軽EV補助金というのは、そのサクラの販売台数を見る限り、かなりの効果を発揮している可能性があるものの、乗用車EVに対しては、少なくとも販売台数を増やすという有効な施策にはなり得ていないのではないか、ということなのです。 さらにこのグラフは、その乗用車セグメントのEVのなかでも、さらに日本車と輸入車でわけたものです。この通り白で示された輸入車のEVに関しては、前年同月を大きく上まわる販売台数を実現し、歴史上最高の販売規模にまで到達しています。 よって、より厳密にいえば、乗用車セグメントのEVの販売が伸びていないのではなく、「日本車のEVの販売がまったく伸びていない」というよりも、ピンクの販売台数の変遷を見る限り、むしろ販売台数が減少してしまっているという点こそ、この日本車天国である日本市場で、なぜEVが普及していかないのかの最大の理由であるということが見て取れるわけです。 いずれにしても、この日本メーカーのEVの販売台数が増えていかないことには、日本のEV普及が伸びていくことは絶対にあり得ないわけです。 ちなみに、この日本市場におけるEV、とくにバッテリーEVの普及率が、世界と比較してどれほどなのかを比較します。このグラフは、欧米中という主要先進国、およびタイという新興国、そして世界全体平均を日本と比較したものです。 このとおり、緑で示された日本については、世界と比較してもEV普及率で大きな差がついてしまっている様子を確認できます。まだ最新のデータが公開されていないものの、基本的にEV普及率がもっとも停滞する1月の、世界全体のシェア率が10%であったことを踏まえると、やはり日本が根本的にEV普及で遅れてしまっているという状況です。 それでは、この日本国内においてどのような電気自動車が人気となっているのかについてを確認しましょう。まずこのグラフは、主要な自動車メーカー別のバッテリーEVの販売台数の変遷を示したものです。 このとおり日産に関しては、月間で4000台を超えるバッテリーEVを発売することに成功しており、日本国内で売れたバッテリーEV全体のうちマジョリティを日産が占めているとイメージしてみると、それこそアメリカ国内における、テスラと同じようなポジションにいることが見て取れます。 また、その圧倒的シェアを誇る日産を除いてみると、やはり日産サクラの兄弟車であるekクロスEVであったり、ミニキャブミーブをラインアップしている三菱が第2位にランクイン。そしてそのあとを追うのがテスラの存在です。 ちなみに三菱に関しては、商用軽配送EVであるミニキャブEVがいまだに月間で400台近く売れているという点は重要です。つまり、古いEVであったとしても、いまだに一定数が売れ続けているということは、この商用軽EVセグメントの需要が大きいことを示しているわけです。よって、このセグメントに新型EVを投入するホンダのN-VAN e:に関しては、かなりの需要があるのではないかと期待することができるでしょう。

TAG: #BYD #テスラ #新車販売
TEXT:高橋 優
テスラ・モデルYに600km走れるRWD登場も日本導入はナシの予想! 日本は「ジュニパー」の登場に期待

航続距離600kmを実現するロングレンジRWDが欧州に登場 テスラが売れ筋のモデルYに対して、最長航続距離を実現するロングレンジRWDグレードを欧州で設定。販売台数のさらなるテコ入れを目指しながら、さらに2024年末導入が噂されているモデルチェンジバージョンの「ジュニパー」について、現在までに判明している情報をまとめます。 まず、モデルYの日本仕様における最新動向について、いくつか紹介していきたいと思います。4月から19インチのジェミニホイールがブラックに変更されていたり、エクステリアデザインに新色のクイックシルバーが採用されていたりと、いわゆるマイナーチェンジを行っています。 その一方で、航続距離や充電性能などのEV性能のアップグレードであったり、さらには生産国である中国市場で適用されているインテリアのアンビエントライトなどの採用が見送られてしまっているために、これら点については残念な部分であると思います。   また、テスラジャパンが追加で行ってきた販売促進戦略というのが、モデルYの全グレードに対して、注文から2カ月以内に納車を完了させることを条件として、追加で20万円分の一律値引きを実施するというものです。 やはり2023年シーズンについては、新型モデルS/モデルXの初期需要、および新型モデル3の初期需要がすべて重なった年であるにもかかわらず、なんと前年割れという厳しい販売台数に留まってしまっていたわけです。 そして、この2024年シーズンについては、その新型モデル3の初期需要の残りくらいしか、現時点で販売台数をプッシュするような材料がなく、果たして2024年シーズン、テスラジャパンがどれほど販売台数を死守することができるのかに大きな注目が集まってます。 そして今回、欧州市場において新たに判明したのが、モデルYに新たなグレードとしてロングレンジRWDグレードを追加したことです。じつはこのロングレンジRWDグレードについては、モデルYが正式発表された2019年当初の計画ではラインアップされていたものの、結局その正式発売後に、RWD、ロングレンジAWD、そしてパフォーマンスAWDという3グレード展開に制限。その後、RWDがラインアップから削除され、中国国内で生産がスタートした段階でRWDグレードが再度復活。そして今回、ドイツ・ベルリン工場で生産されるモデルYに対して、ロングレンジRWDグレードが追加設定されたことになったという経緯です。   それでは、今回のロングレンジRWDグレードについて、どのようなEV性能を実現しているのかを、現在ラインアップされているそのほかのグレード、日本市場でラインアップされているグレードとの違いも含めて簡単に比較しましょう。 まず初めに、モデルYのスペックを詳細に理解したい方が抑えるべきは、製造する工場や販売マーケットにおいて、同じグレードでもスペックが異なるということです。具体的にわかりやすいのがRWDグレードです。 この表で示されているのが、日本やカナダ、オーストラリアなどの東南アジア・オセアニア地域向けの中国製RWD。中国製であり中国市場限定のRWD。そしてベルリン工場製の欧州向けのRWDの3種類です。 まず大きい違いが、中国製については中国CATL製のLFPが採用されているものの、ドイツ製についてはBYD製のLFPが採用されているという点です。バッテリー容量が若干異なることによって、航続距離という点では、20インチホイールを装着する場合、欧州市場で採用されているWLTCモードクラス3において25kmほど違ってきます。それとは対照的に、充電性能についてはBYD製のLFPのほうが大きくリードしています。 また現在、中国製のRWDのなかでも、中国向けとそうでない場合でスペックが異なっている状況です。こちらはバッテリーは同じであるものの、搭載モーターが異なっています。中国市場向けには220kW、440Nmを発揮するモーターが搭載されていることで、その加速性能が大幅に向上。よって日本向けはゼロヒャク加速が6.9秒であるものの、中国向けは5.9秒と、動力性能が大幅に改善されているわけです。   そして、本題のロングレンジRWDグレードに関しては、WLTCモードクラス3において、最大600kmという航続距離を実現しています。この航続距離の長さを、すでに本国内でもラインアップされているロングレンジAWDグレードと比較してみると、35km分の航続距離延長ということになります。 やはり、同じLG製バッテリーを搭載しているものの、前輪側モーターが存在しないことで、その分だけ車両重量の軽量化に成功しており、具体的には欧州市場において20kg分の軽量化に成功していることから、電費性能が向上しているわけです。

TAG: #テスラ #マイナーチェンジ #モデルチェンジ
TEXT:TET 編集部
「CHAdeMO」にも「テスラ方式」にも対応した画期的な充電器が登場! 超急速EV充電器「FLASH」を販売

”超”急速充電がさらに加速する! 日本でもようやく広まってきたEV。そのパワーソースはもちろん電気となり、ガソリン車がガソリンを入れるよに、EVでは電気を充電してエネルギーを得る。 この充電は、一軒家であれば200Vの普通充電器を導入することで充電できるわけだが、もしも外出先で減ってしまったら充電しなければいけない。その場合は、全国に約2万基ある充電スポット(うち急速充電器は約8400基)を利用することになる。 しかし、まだまだ全国では充電器が1基しかない場所も多く、不便な思いをしているユーザーも多いだろう。しかも、ここで臨みたいのはできる限り充電スピードが早い急速充電器だ。その数は先述の全充電器の半分にも満たない。 この現状にテコ入れをしようと試みているのが、テンフィールズファクトリーだ。同社では、充電器の無料設置キャンペーンを実施している。東京都内はもちろん、全国の商業施設や店舗オーナーなど、一般開放されている駐車場であれば、初期費用及びランニングコスト0円で設置可能なのだ。 また、同社は、1月20日にEV超急速充電器「FLASH」を販売する。これは、テスラ方式と呼ばれる、今後自動車メーカー各社での導入拡大が見込まれているという「NACS(North American Charging Standard:北米充電標準規格)」と、日本で主流の規格「CHAdeMO」の両方に対応した画期的なモデルだ。 しかも、2規格対応の急速充電器を持ちながら、同時充電機能(片方がCHAdeMOで片方がテスラ方式)を持たせないことで、国内最速の180kWhの速度を実現する。なので、両側からではなく片側から2本充電ケーブルが出ているのが特徴となる。 EV超急速充電器「FLASH」の発売後は、現在募集している完全無料設置にも、同モデルでの設置が可能となっているので、充電器の設置を検討している施設などは、候補に入れてみてはいかがだろうか。

TAG: #CHAdeMO #テスラ #急速充電器
TEXT:田中 誠司
テスラの売れ筋SUV「モデル Y」はライバルと比べてどうなの?[消費者派チェック]

モデルYはテスラの5番目の車種として、日本では2022年6月に注文受付を開始、納車は9月からだった。それからまだ1年しか経っていないが、一番街で見かけるテスラではないかと思うくらいにヒットしている。ライバルと比較しながらその要因を探った。今回の[TET消費者派チェック]の概要はこちら。リーフの回はこちら。アイオニック5の回はこちら。 乗る前に考えたこと 「餅は餅屋」という言い回しがある。誰かに何かを頼むにあたっては、その専門家を訪ねるのがベストだ、という格言だ。 もう15年近く前のこと、ロータス・エリーゼのシャシーをベースとした電気自動車「テスラ・ロードスター」を日本自動車研究所テストコース(高速周回路)に持ち込んだ時、思い出したのはまさにこの言葉だった。「自動車は自動車屋にまかせなさい」と。一般路を誰もが快適なペースで走らせる限りはそこそこ軽快でも、全開加速ではまるで小船のようにノーズが浮いてしまい、フロントタイヤの接地感のなさに恐怖を感じたことを覚えている。 けれども最近になって思うことは、「電気自動車は電気自動車屋に任せるのがいいのでは?」ということだ。毀誉褒貶あるテスラだが、なにしろ彼らはずっと電気自動車のことしか考えていない。そうだからこそ生まれ得た長所をアーリーアダプターが見出し、世界に名を轟かせる存在になったのだろう。 電費 車重がジャスト2トンとリーフよりも320kgも重いにもかかわらず、電費は80km/hが8.8km/kWh、100km/hが6.7km/kWhと、3台中最も良い値だった。前面投影面積も小さい方ではないので、Cd値(空気抵抗係数)がリーフより0.05、アイオニック5より0.09も良い0.23と最小であることが奏功しているはずだ。 パッケージング   パッケージングは、今回の3台の中では圧倒的に優れている。唯一、後席の膝前スペースだけアイオニック5(26cm、ホイールベース3,000mm)に及ばなかった(22cm、ホイールベース2,890mm)が、それはホイールベースの差によるところが大きいはずだ。ホイールベースの差が110mmあるのに対し、膝前スペースの差がわずか4cmにおさまっているのは立派だ。 荷室も854Lと圧倒的に大きい。そしてBEV専業メーカーらしく最初からエンジンのことを考える必要がないので、フランク(ボンネット下の荷室)も大きく深く、容量117Lを確保していて圧勝だ。 テスラのフランクは、最初からそのためのスペースを想定して設計されているように思える。取ってつけたような空間ではなく、とても使い勝手がいい。これはリヤエンジン車のポルシェ911に通じるところがあり、だからこそ顔つきもちょっとポルシェと似ているのではないか。車体全幅に対しちょっとグリーンハウスを絞ってスポーティーさを強調していることは、絶対的なスポーツカー・ブランドを見習った結果であるような気がする。 運転してわかったこと 外観からはそれほどがっしりした印象に思えないのだが、実際に乗ってみると各部品の建て付けや足回りの剛性感に優れていることを感じる。ボディの裏側を覗くと、他社と異なり、モーターを覆いサスペンションの付け根となっている前後のサブフレームは、巨大なアルミの鋳物でできている。コスト低減にも効果的だというこの機構が、車体剛性の面でも威力を発揮しているのだろう。 加速力もいわゆるファミリーカーの範疇を超える強烈さだが、コントロールしにくいと思わせる部分はなかった。 デザイン的には突飛とも思えるサイズのモニターに、多数の情報を高解像度で並べる。ドライバーの目の前には何も遮るものがない。最近になって多くの既存自動車メーカーは小さめのモニターを横にいくつか並べることに腐心しているが、最初からEV世代であるテスラはそうした既成概念から逃れられているのだろう。

TAG: #テスラ #モデルY #消費者派チェック
TEXT:烏山 大輔
ぶっちゃけどう違うの!? ミドルクラスEV・3車種をとっかえひっかえ乗ってみた![TET消費者派チェック]

「電気自動車は、電気でモーターを回して走るだけだから、回転の上下によりパワーの出方が変わるエンジン車とは違って、どれも同じようなクルマなんでしょ」 数年前まではそんな声もよく聞いたし、実際にわれわれ自身にも、そうなんじゃないかと思っていた部分もあった。 そして今回、電気自動車の3台を直接乗り比べる企画をスタートさせた。その結果、「こんなにも違うものか!」と驚きさえ覚えた。パワーの出し方も違えば、そもそも根本的な「クルマ作り」の考え方さも三“車”三様だった。 TET消費者派チェック概要 THE EV TIMES(TET)では、これまでに掲載してきた「試乗記」とは別の切り口の試乗記を始める。企画タイトルは「TET消費者派チェック」だ。 消費者派チェックでは価格や大きさなどから競合すると思われる数台を集め、同日にクルマを乗り換えながら比較、試乗することで、ドライバビリティ、電費、パッケージングの違い(室内空間と荷室)の差をあぶり出すことを目的としている。BEV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド車)、FCEV(燃料電池車)を購入しようと比較・検討している読者の皆さんの参考になる記事を目指す。 室内空間については、身長172cmのドライバーがポジションをとり、同じ人間が後席に座り前後のヘッドクリアランスと後席膝前スペースを測っている。昭和生まれの人間らしく座高が高めなので、ヘッドクリアランスは厳し目になっている。 電費計測は条件を揃えるため3台で同じコースを同時に走行している。計測方法は東名高速道路の綾瀬スマートインターチェンジを出発し、東名川崎インターチェンジでUターン、綾瀬SICに戻るという往復(約43km)を1セットとし、往路と復路の平均値で比較する。速度は80km/hと100km/hで1セットづつ計測した。 各車ともに本線に合流し、目標速度に達したらACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)をセットし、巡航する。こうすることで一定速度を維持でき、読者の皆さんにも同じ方法で走行することで再現性の高い電費計測としたいのが狙いだ。 3車種の紹介 第1回目の消費者派チェックにあたり、日本のBEVの代表として選んだのは「日産・リーフ」だ。初代モデルは2010年と、今から13年も前にグローバルで世界初の量産車BEVとしてデビューした、BEVのパイオニアだ。その後、2017年に2代目に生まれ変わった。現在のラインナップにはバッテリー容量が40kWhと60kWhの2種類がある。今回の試乗車は60kWhのe+Gグレードを用意した。車両本体価格は583.44万円だ。 2台目は2022-2023インポートカーオブザイヤーにも輝いた「ヒョンデ・アイオニック5」である。2009年に日本市場から撤退したヒュンダイが2022年にヒョンデとブランド名を改め再上陸した。 新生ヒョンデにエンジン搭載車はなく、BEVのアイオニック5とFCEV(燃料電費車)の「ネッソ」の2車種のみ。アイオニック5には5つのグレードが用意されているが、今回の試乗車はAWDで72.6kWhのバッテリーを積むトップグレードのLounge AWDだ。車両本体価格は599万円とリーフとほぼ同じになった。 3台目はアメリカ代表のBEVメーカーテスラから「モデル3」を用意しようとしたが、取材日程に合う広報車の都合で「モデルY」になった。モデルYはモデルXに次ぐテスラの2車種目のSUVだ。現在のモデルYは3グレード構成で、試乗車はAWDのパフォーマンスである。バッテリー容量は非公表、車両本体価格は727.9万円だ。 モデルYのみSUVということで、3台が揃うと全高の違いが大きいかと想像していたが、リーフは1,565mm、アイオニック5が1,645mm、モデルYが1,624mmということで写真でもお分かりの通り、際立った差はなかった。特にハッチバックスタイルに惑わされて単体だと小さく見えるアイオニック5だが、実は全長4,635mm、全幅1,890mmとかなりの大柄だ。 価格ではリーフとアイオニック5が、大きさではアイオニック5とモデルYが、ライバルとして比較されることは十分にあり得そうなので、結果としてこの3台になって良かったのかもしれない。 リーフの回はこちら。 アイオニック5の回はこちら。 モデルYの回はこちら。 日産 リーフ 全長:4,480mm 全幅:1,790mm 全高:1,565mm ホイールベース:2,700mm 車両重量:1,680kg 乗車定員:5名 交流電力量消費率:161Wh/km(WLTCモード) 一充電走行距離:450km(WLTCモード) 最高出力:160kW(218ps)/4,600-5,800rpm 最大トルク:340Nm(34.7kgm)/500-4,000rpm バッテリー総電力量:60kWh モーター数:前1基 駆動方式:FWD(前輪駆動) フロントサスペンション:ストラット リアサスペンション:トーションビーム フロントブレーキ:ベンチレーテッドディスク リアブレーキ:ベンチレーテッドディスク タイヤサイズ:前後215/50R17 最小回転半径:5.4m 荷室容量:435L(フロント無し) 車両本体価格:583万4,400円   ヒョンデ アイオニック5 全長:4,635mm 全幅:1,890mm 全高:1,645mm ホイールベース:3,000mm 車両重量:2,100kg 前後重量配分:前1,060kg、後1,040kg 乗車定員:5名 […]

TAG: #アイオニック5 #テスラ #ヒョンデ #モデルY #リーフ #日産

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